考える人 2007年 05月号 [雑誌]

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  • 新潮社 (2007年4月4日発売)
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考える人 2007年 05月号 [雑誌]の感想・レビュー・書評

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  • 短篇小説特集。
    以下主な内容。

    ・特集「短篇小説を読もう」
    ・丸谷才一ロングインタビュー「この世に雑誌なかりせば。」
    ・村上春樹氏への15の質問
    ・短篇作家案内
      泉鏡花 黒川創
      梅崎春生 町田康
      ロジェ・グルニエ 山田稔
      レイ・ブラッドベリ いしいしんじ
    ・海外文学アンソロジー
      アメリカの短篇 青山南
      イギリスの短篇 小野寺健
      フランスの短篇 野崎歓
      その他の国々の短篇 豊崎由美
    ・アンケート「わたしの好きな短篇3作」
      池澤夏樹、江國香織、小川洋子、加藤典洋、鶴見俊輔、中島義道、平出隆、保坂和志、堀江敏幸、松山巖、茂木健一郎、若島正……
    ・対談:橋本治×高橋源一郎「一人にひとつのドラマ。」
    ・堀江敏幸「プリン」(短篇)
    ・ジュンパ・ラヒリ「一生に一度」(〃)

  • 村上春樹、川上弘美インタビューなど。短編ってどこまでを短編というのかよくわからない。
    おーなり由子のみちくさ絵本「いす」もよかった。

  • 大好きな丸谷才一さんが立て続けに雑誌に載っているのでうれしくてたまりません。ひとつは「考える人」、もうひとつは「世界」。ふだんは「世界」なんて絶対読まないのに、丸谷さん目当てで立ち読みしてしまいました。

    「考える人」のインタビューはまず楽しい。インタビュアーが丸谷さんのことにやけに詳しいと思ったら、これが湯本豊さん。『文学全集を立ち上げる』の日本文学編の司会を務めた人ですね。以前「丸谷才一 ゴシップ的年譜」を作成した人だけあって、息はぴったり、話がはずみます。

    小説は発表する媒体によって形式を変える、という話で、イギリス、フランス、アメリカ、日本の例を豊富に挙げながら論理を展開します。
    ああ……………いいなあ。丸谷さんを読むと勇気づけられます。八十過ぎてもしみじみした人生論なんかに逃げなくていいんだ、こうして頭の中をすっきり整理できるんだ!ってね。これを読んだらアイリス・マードックの「何か特別なもの」(いい題だ!)を読みたくなりました。「短篇小説を読もう」という特集にふさわしい、素敵な読み物です。

    「世界」では、憲法学者の長谷部恭男さんと対談。題は「改憲論と御霊
    信仰」。御霊信仰というのは丸谷さんの長年のテーマで、おおざっぱに言えば、無念を残したまま死んだ人は現世にたたたるので、神様として祀って霊を鎮めよう、という考え方です。それを応用し、憲法九条を変えようとする人達には「そうしなければ戦没者に申し訳ない」という思いがあるのではないか、と、左翼雑誌らしい方向に持ってゆきます。
    ただし長谷部さんは凡庸な護憲派ではなく、『女ざかり』の贈与論にもふれながら、明晰な議論を交わし合います。丸谷さんには明晰が似合う。

    さて丸谷さんはこうも言っています。
    いま大切なのは御霊信仰を意識化することです、実際あるのにないようなふりをするのは不健全な考えです、と。
    全くその通りだと思います(御霊信仰うんぬんは、ちょっとワンパターンですけどね)。出来事は、たとえ都合の悪い事実であっても直視しなければならない。そうしなければ問題は解決しない。

    ここで私も言いたくないことを言わなければなりません。「藤子不二雄」のことです。

    ご存じの通り、藤子不二雄とは、二人の漫画家の合同ペンネームです。
    この漫画家は、1951(昭和26)年から1987(昭和62)年まで実に36年間、名前を変えながらも、存在を続けました。デビュー前を勘定すれば四十年以上になるでしょうね。

    藤子不二雄は二人の自然人が構成する法人格だった、と的確に指摘したのは呉智英さんです(藤子不二雄A『ブラックユーモア短篇集3』解説)。
    しかし二人の構成人はコンビ解消の後、その法人を「藤子・F・不二雄」と「藤子不二雄A」にしか分けませんでした。つまり、二人が合作したマンガの所有権を持つ法人格がなくなってしまったのです。

    もめたのか、曖昧なままにしたのか、それともほかの理由があったのか、私には分かりません。しかしこの不徹底のために『オバケのQ太郎』も『海の王子』も『天使の玉ちゃん』も、現在読むことはできません。少なくとも手軽には。復刻は不可能、古本の値段はつり上がる一方、きわめて不健全な状態です。

    言いたかありませんが……………本当に言いたかありませんが、この責任は藤本弘(藤子・F・不二雄)と安孫子素雄(藤子不二雄A)にあります。
    二人は、多少泥沼になったとしても、合作マンガの著作権をどうするか、きちんと定義しておくべきだったのです。それなのに……「方向性が違ってきたから円満に別れた」みたいな人聞きのいいことばかり並べて、都合の悪い事実から目をそむけるなんて!
    藤子不二雄両先生は私の神様ですが、この一件に関しては許せません。
    どこまでも普通の人であるA先生に多くを求めるのは酷ですが、透徹した理性の持ち主・F先生は、もう少しなんとかするべきだったんじゃないでしょうか。

    ………とは思うものの、そもそもコンビ解消の近因って、F先生が大病を患って『ドラえもん』を休載したことにありそうですからね(だから映画「のび太のパラレル西遊記」には原作がない)。そんなことを考える余裕なんてなかったのかもしれません。

    その明晰な頭脳な頭脳をコンビ解消の時に発揮できなかったF先生。
    「ドラえもんをやめさせてくれないだ」とこぼしていたF先生。
    最後の最後まで『ドラえもん』を描きながら亡くなったF先生。
    晩年のF先生は痛ましい。

    人間、理性が大事です。
    でも………それをどこまで押し通せるか………。


    2007年4月22日記


    2007年4月22日の追記


    なんだか暗くなっちゃいましたね。それに「明晰な頭脳な頭脳」ってなんなんだか。話題を変えましょう。

    久しぶりに「子供の科学」を読みました。2007年4月号……すごいなあ、こんなに続いてるんだ。日本で一番、かどうかは分からないけど、最上級の雑誌でしょうね。まず裾野が広い。誰でも気軽に入ってこられる。それでいて質を下げず、ていねいに記述する。なにより、わくわくさせてくれる!

    おかしかったのが、読者が新発明を投稿する「ぼくの発明きみの工夫」というコーナー。実用的な発想が多いなか、「人を追い返すざぶとん」なんてのがありました。
    いやなお客さんはこのざぶとんに座らせる。ざぶとんの中にはハンマーと伝導装置がついていて、人が座るとハンマーが伝統装置をたたく。さぶとんから振動が来るので、お客さんは居心地が悪くなって早めに帰ってしまう、というもの。

    いいな~、こういうの。動機がせこくて、大がかりなわりに効果が薄くて、愛嬌があって。坂部工さんの選評がまたなんかのどかで、「実用性のあるアイディアです」「相手にいやな気持ちを与えないように、スマートに返ってもらうさらなる工夫してみましょう」。

    こういう空気、たまんない。あのね、『ドラえもん』ってね、こんな空気が流れているんですよ。F先生は大変恐ろしい人ですが、一方でゆったりした、のんきな人でもありました。のんびりしてて、いいなあ。

  • 短編小説好きにはたまらない特集ですね。

  • 短篇小説を読もう、と思う。
    世界観を少しのスペースに、
    ものごとの断片と断面だけで、
    表現することを、考える。

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考える人 2007年 05月号 [雑誌]はこんな雑誌です

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