スペース・バンパイア [DVD]

監督 : トビー・フーパー 

出演 : スティーブ・レイルズバック 

• 20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン

感想・レビュー・書評

[ただのcinéphileさんの感想 · 2013年10月3日]

＜私的ホラー映画祭⑤＞ホラーＳＦ映画という新しいジャンルｗ。終盤、鉄の剣でモンスターが串刺しにされ、光に囲まれて裸で抱き合う男女が串刺しにされて宇宙船へ正しく昇天し、コスモの彼方へ消えていく、というあ然としてしまう着地。怖いぐらい素晴らしい。

他人に憑依した女バンパイアが、ヘリの中で血液状態で蘇生！する瞬間も、すごい。血の出所のおっさん２人のＶＦに歓喜した。

それにしても、筒状の地球外宇宙船の中へ入っていくとき、宇宙飛行士が「なんだか懐かしい感じがする」という、一言のセリフがエロチックで意味深である。

牢獄に閉じ込められた犠牲者が、タイムリミットの２時間をすぎ、どうにもできなくて鉄柵に向かって走り出し、自ら粉砕する瞬間は、「肉体の冠」のシモーヌ・シニョレの張り手のごとくインパクトがある。

というか、いくら「心の奥にある究極の好みの女性」だからといって、得体の知れない宇宙人とセックスする、という設定が怖い。


【ストーリー】
1986年、ハレー彗星の調査に向かった宇宙船チャーチル号は、宇宙空間に浮ぶ巨大な宇宙船（長さ２４０キロ、高さ３４キロｗ）を発見した。船長のカールセン大佐(スティーヴ・レイノルズバック)はクルーとともに探査する。なかには巨大なコウモリ状の宇宙生物の死体が多数あった。そして、全裸の女１人、男２人が透明なカプセルに収容されているのを発見し、チャーチル号に回収した。

１カ月後、ＮＡＳＡはチャーチル号を発見。米国のコロムビア号は船内火事をおこしているチャーチル号に接近し、クルーの焼死体と無傷のカプセルを発見した。

ロンドンの欧州宇宙研究センターに安置されたカプセルのうち、美女のものに異変がおきた。なんと彼女(マチルダ・メイ)が起きあがり、ガードマンを誘い、抱きついたのだ。彼の肉体から精気が美女に吸い取られ、またたく間にミイラの如くひからびた。

ファラーダ博士(フランク・フィンレイ)が駆けつけた時には、彼女はロンドンの町に消えていた。ケイン大佐(ピーター・ファース)が捜査指揮をとる。「死学」を研究するブコフスキー博士(マイケル・ゴザード)によると、生物はみなライフフォースを持ち、あの宇宙生物は強大なエネルギーを吸い取っているという。被害にあった人間は2時間すると、スペースバンパイアになってしまう。ついにロンドンの町で被害者が出始める。

全滅したと思われたチャーチル号の船長カールセンが乗った脱出カプセルがテキサス州に着陸した。ロンドンにやってきた彼は、クルーが次々にミイラになり、宇宙生物を地球にやってはならないと思い船を爆破したと告白した。

バンパイアを追ってケイン、カールセンはサルストン精神病院に急ぐ。バンパイアは看護婦、院長、サー・パーシー(オーブリー・モリス)と続々とエネルギーを奪っていった。カールセンはチャーチル号で美女バンパイアと交わったことを告白。ロンドンではパンパイアの犠牲者がうごめきＮＡＴＯは核攻撃を計画する。教会でカールセンは美女バンパイアと再会した。教会前では、男パンパイアがロンドンから集めたエネルギーを、美女を通してハレー彗星内にある巨大宇宙船に送り込んでいる。ファラーダ博士の説では、スペースバンパイアを退治するには十字の鉄くいで貫くしかないという。カールセンは全裸で美女バンパイアと抱き合い、自分自身と彼女を鉄くいで貫いた。

宇宙で発見された生物が、地球人の精気を吸い取っていくというＳＦ恐怖映画。製作はキャノン・グループのメナヘム・ゴーランとヨーラム・グローブス。監督は「ポルターガイスト」(82)のトビー・フーバー。コリン・ウィルソン著『宇宙ヴァンパイア』(新潮文庫。映画に合わせて『スペース・バンパイア』と改題)に基づいて、ダン・オバノンとドン・ジャコビーが脚色。撮影はアラン・ヒューム、音楽はヘンリー・マンシーニ、特殊ヴィジュアル効果はジョン・ダイクストラが担当。出演はスティーヴ・レイノルズバック、マチルダ・メイほか