<私的ホラー映画祭㉖>
橋の上で、イカれた若い男2人が運転する車とトラックがすれ違う。男がトラックにちょっかいを出すと、トラックは猛然とバックをし始め、チェーンソーで車ごと八つ裂きにする。素晴らしい!
西部劇のガンマンのように、デニスホッパーの太ももに装てんされた2つの小型チェーンソー(絶対に歩きにくいだろう)や、キャロライン・ウィリアムズが廃墟と化したテーマパークの頂上で、歓喜の咆哮とともにチェーンソーを掲げるなど、チェーンソーへのこだわりが豊穣。
甲高い笑いをあげ続けるブルモズリーの声と、頭のはげたぶぶんをハンガーのひっかけるところで搔き、それを食べる(しかも頭蓋骨が合金!笑)のとか、サイコチックな感じもある。満足。
レザーフェイスがLGの顔面からはぎとられた皮を、キャロラインウィリアムズに被せるところとかも、ゾクゾクする。キャロラインウィリアムズの叫び声はいささか過剰ではある。
ミイラおじいちゃんのハンマーたたきも、健在である。
【ストーリー】
人を殺して、その肉を売っていた殺人鬼一家。彼らの凶行がうやむやになってから12年がたった。2人の高校生がダラスに遊びに行くため車を走らせ、自動車電話でラジオ局のDJストレッチ(キャロライン・ウィリアムズ)に話しかける。2人が追い抜いたバンが攻撃してきた。バンの屋根に立った怪人レザーフェイス(ビル・ジョンソン)が、電動のこぎりで2人を切りさいた。翌日、2人の死体をテキサス・レンジャーのレフティ・エンライト(デニス・ホッパー)が見に来た。彼は甥が11年前に行方不明になって以来、執念深く行方を追っていたのだ。ストレッチは被害者の悲鳴を録音したテープを提供しようとするが、レフティは1人でやるからと断わる。彼は金物屋に行き、電動のこぎりを買った。そして、ストレッチに例のテープを放送するように頼む。その夜、ファンだという気味の悪い男(ビル・モズリー)がやってきて、オフィスを荒しエンジニアのLG(ルー・ベリー)を目茶苦茶に痛めつける。彼はレザーフェイスの双子で、名前はチョップ=トップ。レザーフェイスも現われ、電動のこぎりの先をストレッチの股間に押しつけているうちに殺すのをやめてしまいチョップ=トップには嘘をつく。2人はLGを連れ去り、そのあとをストレッチがつけ今は廃城となった遊園地に行き、穴に落ちる。レザーフェイスはLGの顔の皮を剥ぐ。ストレッチは彼に見つかり、LGの皮をかぶせられてしまう。レフティもバトル・ランドにやって来る。ここは地下洞が長く複雑に延びており、レフティは電動のこぎりを両手にして進み、支えの木をかたっぱしから切っていった。ストレッチがチョップ=トップに見つかってしまう。双子たちの兄クック(ジム・シードウ)は彼女をつかまえ、ミイラみたいになった祖父にハマーで叩き殺させようとする。レフティは甥の死体を見つけて、改めて怒りクックらに向った。外に逃げ出したストレッチをチョップ=トップが追う。中ではレフティが爆弾を破裂させる。ストレッチは死闘の末にチョップ=トップを倒し、電動のこぎりを頭の上にかかげて、ふんばるのであった。
電動のこぎりを使った殺人鬼の凶行を描いた「悪魔のいけにえ」(74)の続編。製作はメナハム・ゴランとヨーラム・グローバス。エグゼクティヴ・プロデューサーはヘンリー・ホームズとジェイムズ・ジョーゲンセン。前作と同じトビー・フーパーが監督に当り、彼は共同製作も手掛けている。脚本はL・M・キット・カーソン、撮影はリチャード・クーリス、音楽はフーパーとジェリー・ランバート、特殊メイク効果はトム・サヴィーニが担当。出演はデニス・ホッパー、キャロライン・ウィリアムスほか。