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- / ISBN・EAN: 4988006854628
感想・レビュー・書評
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かなり前からアナログ盤を捜していたのだが、時たま見かける盤はどれもこれも高価すぎて、今日まで手が出ずにいた。何たってオリジナル盤ともなれば10万円台の価格がついているのだから、私などが手出しのできる分野ではない。
そもそも、ユタ・ヒップなる女性ピアニストを知る人は、ピアノ・ジャズもしくは熱心なブルー・ノート・ファン以外では少ないと思う。ましてや、彼女のピアノが聴きたくてアルバムを買う人など、そう多くはいないだろう。
1955年、彼女はドイツからやってきた。それまで、自分自身では「まあまあのピアニスト」だと思っていた彼女だったが、ニューヨークのジャズ・シーンに触れ、大きな挫折を味わう。
しかし、アルフレッド・ライオンの助けで立ち直り、1年にも満たない間にブルー・ノートで3枚のアルバムを残すのだが、その後は、ごく普通の事務員に転職してしまう。このあたりが、彼女のアルバムが幻化される一員だと思われる。
時としてホレス・シルバーを思わせるストレートな彼女のピアノ。私は大好きである。だから、彼女のピアニストとしての資質をとやかく言うつもりなどまったくない。しかし、別段テクニックに優れているでもなく、情感溢れるタッチでもなく、早い話が「まあまあのピアニスト」である彼女のアルバムが、希少価値だけで高額取引されている状況。このあたりに、私がマニア及びコレクターとは一線を画す要員がある。
とは言え、私の懐に余裕が有りさえすれば、アナログ盤を見つけ次第、即刻買ってしまうことだろうが、それまでは、このCDで彼女の凛としたピアノを味わうことにする。
因みに、彼女のCDをあと1枚だけ買うとすれば、彼女がBlueNoteに残したもう1枚のアルバム「Jutta Hipp with Zoot Sims」がお勧めで、この2枚と比べるとずいぶんリラックスした彼女のピアノを聴くことができる。
【Vol.1 Vol.2 共通レビュー】詳細をみるコメント0件をすべて表示