用心棒<普及版> [DVD]

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監督 : 黒澤明 
出演 : 三船敏郎  東野英治郎  山田五十鈴  加東大介  仲代達矢 
  • 東宝 (2007年11月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104044662

用心棒<普及版> [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • 黒澤明、すげぇ。
    そんな阿呆みたいな感想しか出てこない傑作。

    「巨匠」や「世界のクロサワ」といったイメージに気圧され、いままで黒澤作品をなんとなく敬遠していた。
    もちろん『七人の侍』の泥まみれで切り込むシーンや、『蜘蛛巣城』の数十本の矢が打ち込まれるシーン、『乱』の舞台劇のようなメイクと極彩色の騎馬戦のシーンなど、有名なカットは断片的には知っていたが、恥ずかしながらきちんと観たのはこれが初めて。

    こんなにムチャクチャ面白い娯楽作品を撮る人だったんだ。

    『荒野の用心棒』の元ネタがこの作品ということで「やっぱりちゃんと観とかなきゃ」と鑑賞。
    『用心棒』の時点で、すでに無駄のないシナリオとカットが完成されていたのだとわかり驚く(また『荒野の用心棒』がリメイクとして完璧で抜群にクオリティが高いとも言える)。

    ヤクザ者の丑寅一家と女郎屋の清兵衛の二大勢力が牛耳る宿場町。
    そこに流れ着いた一人の浪人。

    三船敏郎演じる浪人は「桑畑三十郎」と名乗る。
    名を問われ、目の前に広がる桑畑をみて咄嗟に口にした名字。
    そして「三十郎、もうすぐ四十郎だがな」と冗談めかしてはぐらかす仕草から、彼も「Man with No Name」であるとわかる。

    キレとユーモア溢れる画面、そしてストーリー。
    飄々としてとらえどころのない三十郎が時折見せる凄み。
    三船敏郎のセクシーな魅力。
    チャンバラ活劇ではない、一閃で終わる殺陣のリアルさ。

    クールでニヒルで心に咲く悪の華が美しく乱れる、丑寅一家の卯之助は若き日の仲代達矢だった。
    ただの色男ではない剃刀のような存在感。

    女郎屋のやり手ばばあで妙に色気のある年増は山田五十鈴。
    出演している役者たちがみんな一癖あって魅力的。

    丑寅一家のまゆ毛が繋がった亥之吉や、ジャイアント馬場のお化けのような番人、ヤクザの下っ端たちにいたるまで全員が「コクのある」いい顔。
    最近のイケメンブームの映像業界では、この極寒の荒海で揉まれた昆布のダシのような「いい味」は、なかなか出し難いのではないだろうか。

    砂埃舞う緊迫した対決シーンからエンディングへ。
    スマートにすぱっと終わるのかと思いきや、あの狂気の演出にはやられた。
    黒澤明、クレイジーだ。

    明るくからっと別れた「三十郎」の物語は、次の『椿三十郎』へと繋がるのだろうか。
    とても気になる。
    黒澤作品、しっかり腰を据えて観なければ。

    (書き忘れていたが音楽も良かった。泥臭く血の煙る抗争にも、独特のコミカルな風味を加え存分に効果を発揮していたと思う。)

  • 細かな演出と全くブレのない鮮明かつ的確なカメラワークによる、場面毎の的確な空気感や臨場感、そして立体感を存分に楽しめる、見事な映像作品としての印象が強く残った作品。

    ストーリーはシンプルで、一見悪ぶっているのに実は情に厚く、腕が立つ浪人「桑畑三十郎」が、ヤクザ同士の抗争によって荒んだ宿場町を、奇策とその剣の腕によって救うという、ヒーローもの。

    白黒の世界なのに、登場人物たちにぶつかっては通り抜けていく寒々しい空っ風や、舞い上がる土埃などをとらえることによって生まれた、独特の情緒が堪らなく見事です。

    黒澤明らしい、人間のあらゆる性質を余すことなく描いた人間劇としての側面は正直弱いかなと思う作品なのですが、それでも、細かな演出の積み重ねによる、この見事な映像は一見の価値ありですね。

    四十代となり円熟味の出てきた三船敏郎演じる桑畑三十郎と、三十台を前にして、まだ若く荒削りな印象をどことなく残しながらも、存在感のある若き日の仲代達矢演じる敵役の卯之助の対比もとても良くできています。

    黒澤明がアメリカのハードボイルド小説を翻案して作った時代劇であり、それがまた、後の西部劇映画に大きな影響を与えたとされていますが、動きのあるものをここまでクリアに、そして、緩急をつけて撮れている点や、細かな演出の積み重ねによる巧みな空気感に魅せられ、ものにしようとした人々がいたというのも、納得の出来です。

  • 実は本作よりも先にクリント・イーストウッドが主演の「荒野の用心棒」を先に鑑賞してしまっているまさかの日本人です。

    三船敏郎とクリント・イーストウッドとどっちがかっこいいかと尋ねられたら裏切りなことにクリント・イーストウッドと言ってしまいそうでですが、仲代達矢と彼とはどっちがかっこいいかと尋ねられたら・・・迷います!笑

    て程に仲代達矢演じる卯之助がよかった。あの伊達もの風情なキャラクターにピストルとはもう何処の高杉晋作だよと思ってしまいましたが、
    まさかここでピストルが見られるとは。多分これはクロサワに触れとくに外国人も非常にエキサイティングで親しみの持った要因の1つではないでしょうか。
    故にこういうキャラクター性を滲ませることに重視したのは世界に愛される迄に至ったことの1つにもなり得るものじゃないかと思います。

    この映画の舞台は一体何処なんだ、時代はいつなんだ、と頭に過ってしまいますが本作はあくまで黒沢監督のワールドの中の映画なのだから。つまり映画であるから。という一言で
    全て成っとく出来てしまう非常に痛快な一作。

    この痛快さや大胆なキャラクター設定は今の漫画にも通じる、むしろ漫画的な要素を濃く感じますがこういうものが敷居高く感じる白黒映画の黒澤明監督の作品というイメージの中で感じ取れるのは非常に面白いと思いました。

  • 黒澤作品て、「世界のクロサワ」だのなんだの
    評論家やオッサンらが昔から色々薀蓄を垂れるばっかりで、
    なんだかそういうのは不健康だなあという感覚がすごくあります。
    ビートルズとかも一緒ね。

    映画好きの人なら世代関係なく観る人は観る、と。
    特に映画好きでなくても皆名前は知っている。
    けど、そういう人が観てみようってそんなに思うかなあ、
    観るきっかけってあるかなあというのが疑問。
    なんか、もうちょっと違う言い方や感触で
    作品の面白さを伝えられねえもんかなあ、とよく思いますね。

    黒澤作品は「単純に面白い」です。
    大衆娯楽としての映画、映画としての面白さ。
    娯楽活劇。アクションエンターテイメント。

    映画はそもそも娯楽であり芸術なのだけど、
    エンターテイメントを突き詰めるとものすごい芸術作品になった、
    それが黒澤映画なんじゃないかな。


    さて『用心棒』ですけど、
    これはキャラクターがいっぱい出るのでその面白さがまずある。
    東野英治郎とかほんと最高。(西村晃も出ててW黄門様)
    あとは大体いつもの面子、所謂東宝の大部屋俳優さん達。
    これが喜八っつぁんの映画やゴジラ・ウルトラシリーズも好きな人だと
    横断的に出てくるので楽しいのです。

    異彩を放ってるのはいつもの天本英世とw、
    いつもの「よし、わかった!」の加藤武。
    そして羅生門綱五郎という人。
    「こんな骨格の地球人はいない。」
    いや、おるってw


    例の仲代達矢のピストルの件ですけど、
    続編の『椿三十郎』とは時代設定が違ってて、
    これは1860年代、幕末のお話なんですよね。
    まあギリギリIfで成り立つかな、というところ。
    しかも本物のS&Wの初期モデルを空砲で使ってるんだとか・・・?
    (龍馬が使ってたやつとかあそこらへんの型)

    あと、黒澤=パンフォーカスってよく聞きますけど、
    奥行きがある町の路地で、
    手前に東野英治郎からの~奥の敵ナメの~ミフネ、で
    「あぁ~こういうことか!」とすごく実感できました。


    ストーリーは、前半は静かに進んでいって延々状況説明をしてて、
    後半からぐわーっと盛り上がってきます。
    脱出シーンが燃える!!!

    翻案された『荒野の用心棒』ってこんなんだったかなあ。
    あまり覚えてないけど、似ても似つかんと思うんだけど・・・。
    女が絡むんですよねえ、『荒野の用心棒』は。
    あと樽がごろごろーってなってたような記憶しかないw
    どっちかというと脱出シーンや棺桶は、
    『続・荒野の用心棒(ジャンゴ)』に引用が見られるような。

    あと、『荒野の用心棒』は長モノとリボルバーの対決が見所で、
    そこにギミックがあるのだけど、どちらも飛び道具でしょ。
    『用心棒』の方はピストルvs.刀で、ミフネどーすんじゃい!?
    ってところに面白みがありますからねえ。
    断然オリジナルの『用心棒』の方がおもろいです。
    笑いがあるってのも大きいけど。

    一箇所だけ嫌いな点は、最後の対決の後が長いこと。
    でこれは続編の『椿三十郎』が最高。
    どちらも方向性が違うのだけど、その点では『椿三十郎』の方が好きですね。

    劇伴、BGMも最高。
    というか音楽がいちばんクレイジーです。

  • 映画は、"見せぬが華"ってところがあると思うのです。見せないことが観客のイマジネーションを掻き立てて、実際に見えているものより何倍も奥深く面白い物語を作り上げる。最近の映画は、このあたりのニュアンスが違うようで、見せることこそが価値観。大金を惜しみなく投入し、最新鋭のコンピューターを駆使して、世の中に存在しないものだってなんだって、とにかく力づくで見せる。もちろん、例外もありますが、マスを巻き込むメジャー作品は大体”見せる映画”が多い。しかし、それが必ずしも作品の質の向上につながらないのがつらいところです。

    黒澤作品では、前回アップした『羅生門』などは観客に考えさせ想像させる見せない映画の類ではないかと思います。黒澤監督は、登場人物の顔にかかる木々の影まで計算し、非常に微妙な形で彼らの心象を表現します。同じ出来事が何通りにも再現され、観客は一生懸命それらをつなぎ合わせたり照らし合わせたりしながら映画の意図を読み取ろうとするのです。『羅生門』における黒澤監督の見せない手腕は超一流。

    ところがこの『用心棒』。何から何までまる見え。まる出し。

    人物の後ろにも場面の後ろにも出来事の後ろにも、スクリーンに見えるもの以外の要素はまるでなし。そして、驚くべきはこの映画が、それにもかかわらず、最高に面白いということです。良い映画とか素晴らしい名作とかそんな言い方じゃなくて、これ、面白い!実に痛快な時代劇。

    痛快とは、痛いほど快いと書きますが、なにがそんなに痛いほど快いのかというと・・・。

    舞台設定がまず傑作。宿場大通りの目と鼻の先に、敵同士の博徒一家が陣取っています。右手に女郎夜清兵衛、左手には新興やくざ新田の丑虎。そのちょうど中間点に、桑畑三十郎(三船敏郎)が居座る居酒屋。道向かいには、腰ぎんちゃくのおかっぴきがいて、こいつが『ここのつでござ~い~』とか、時を告げると、両サイドからわらわらとヤクザ者が出てきてにらみ合う。居酒屋の窓を開けるとその様子がパノラマ劇場みたいに見渡せる仕掛けになっています。

    つまり、観客はボクシングの特等席でかぶりつきになって試合観戦するようなもの。

    そして登場人物はというと、実に見事にデフォルメな面々。品性のかけらもない博徒の親分と、絵に描いたような凶悪ヅラの手下ども。主要人物でも、丑寅の弟亥之吉(加藤大介)の眉毛なんかつながってるし、末弟の卯之助(仲代達也)は、見た目は優男ながら、マフラーに懐手その手には6連発の短銃と、漫画などに登場する典型的な悪役風情。

    現実感などまるで無視した舞台設定と人物設定。黒澤監督の腕によりをかけたセッティングで、万全に仕込まれた極上のエンタテインメントをトコトン見物する。『用心棒』はそんな映画。

    で、その画竜点睛、桑畑三十郎その人と言えば・・・、これがまた最高に魅力的。二つの博徒一家を片付けて町に平和を取り戻す。大義名分はそういうことですが、そのプロセス自体が楽しくて仕方がない様子。自分の作戦とことの展開にワクワクドキドキの様子がまあかわいい。

    両の手を懐に突っ込んで、肩をグリグリって回す姿とかね、丑寅の屋敷に乗り込んで上がりがまちにどかっと腰掛けてチラッと奥を流し見たときの目元の魅力。極めつけは、クライマックスで卯之助の短銃(ピストル)と対峙した時。恐れもせず、すたすたと卯之助の前まで歩き、ニカっと笑うと、おもむろにススッと横移動。射撃をかいくぐると懐の出刃包丁をドカッっと投げてピストル封じ! この一連の動作、びりびり来ますねぇ。

    通常は女優さんのグッとくるような仕草を見つけるのが映画鑑賞の楽しみの一つなんですが、この『用心棒』では三船敏郎にグッときっぱなし。強いわ、茶目っ気あるわ、知恵も働くし、色気もあるわで言う事なし。最高。

    完成した作品を鑑賞する立場からすると、なんにも考えずに大喜びしてれば良いんですが、作る側にとっては、観客のイマジネーションに頼らずに、一方的にこれだけの面白さを提供するのってそんなに簡単に出来ることじゃないと思うのです。

    黒澤監督の作品は一作観るごとに驚かされますが、『用心棒』のような作品も見せれば『羅生門』のような作品も見せる。実に様々なスタイルを見せてくれるところが本当に凄い。次の作品を観るのが楽しみです。

    で、次はなにって、『椿三十郎』に決まってるじゃないですか^^。★★★★★

  • 物心ついて知った三船敏郎は、
    ワイドショーで話題になる
    おじーさん俳優で、
    どこが「世界のミフネ」なのか
    さっぱりわからなかった。

    イギリスで、無性に日本語の映画が観たくなり、
    大学図書館でDVDを借りたのがこの映画。
    「世界のミフネ」の意味を初めて実感。

    豪快、爽快、痛快。
    男の色香、ムンムンですしっ。
    なんとも言えず、かっこいい。

    音楽との効果、
    どこが舞台演劇を思わせるような部分、
    構図のよさ、面白さ。
    大作と言われる
    晩年の黒澤作品より、
    モノクロ作品の方が
    何度も観たくなります。

  • 黒澤監督作品では「七人の侍」に続き二作品目。

    用心棒≠ヒーローという渋いキャラを見事に描いていたと思います。

    三十郎含めほとんどが悪いやつ(笑)で、賢い奴は誰だ?!という展開が面白かった。
    キャラも個性的で、憎めない亥之助、最後まで食いついた卯之助、権爺、金のために人を殺す用心棒ながら頭の切れる情にあつい三十郎…。

    画面が白黒なこと以外、時代を感じさせない極上のエンターテインメントでした。

  • 数年ぶりに観ました。もう何十回観たでしょう。先日鬼籍に入ったホイットニー・ヒューストンの代表作、「ボディーガード」主演のケビン・コスナーが何度も見たという映画(ややこし)。エンターテイメントの抽出度なら、「ルパン三世カリオストロの城」と並ぶ、超名作。何度観ても、また観たくなります。

  • 黒澤明の『用心棒』(1961、東宝)をみた。
    時代劇というよりも西部劇のテイスト。
    今見てもちっとも古く感じない。

    決闘のシーンで、背後に砂ぼこりを孕んだ風が
    ドウッと吹き過ぎる演出は、劇画のようだ。

    三船敏郎演じる桑畑三十郎が剣の腕を
    見せる場面は少ないのだけど、
    強烈に脳髄に焼き付いてしまう。
    三船の立ち回りの凄さについて、
    黒澤監督は次のように語っている。

    「三船の立ち回りってのはすごく迫力があるでしょう。
    あるとき、三船の立ち回りを編集してたら、
    そこへ誰かが用事があって来たんです。
    ムビオラ(編集用小型映写装置)止めてそれから
    ちょっとのぞいたらね、三船が映ってないんです、コマに。
    ただシューッと流れてる。コマを一つ一つ見てったら、
    ほとんど全部流れてるんです。顔もよくわからない。
    ずうっとつなげて見ると、三船はちゃんと
    立ち回りしてるんですけど、そのぐらい動きが速い」
    (『何が映画か』黒澤明・宮崎駿、1993)

    監督は刀を差している武士の歩き方
    ひとつにもこだわったというけれど、本当に、
    ただ歩いているだけでも魅了されるほど、
    三船敏郎がカッコイイ!

  • この二大スター共演 2人のオーラが凄かった

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