キッズ・リターン [DVD]

監督 : 北野武 
出演 : 金子賢  安藤政信  森本レオ  丘みつ子  北京ゲンジ 
  • バンダイビジュアル
4.02
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感想 : 156
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569630872

感想・レビュー・書評

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  • 邦画で好きな作品を選ぶとすれば
    必ず10本の指に入るほど
    大好きな映画。

    お笑い芸人ビートたけしを、
    初めて映画監督として意識した作品で、

    ちょうど自分が
    21歳で
    ボクサーになる夢を見失いかけていた時期に
    劇場で観たので、
    余計に感慨深いものがありました。


    学生の頃から何をするにも
    ずっとつるんでいた2人が、
    1人はプロボクサーへ、
    1人はヤクザの道へと
    別々の道を歩き出す過程は
    切なく胸を打ちます。

    本当の青春は
    テレビドラマのようには
    うまくいかない。

    実際自らを振り返っても
    挫折挫折の連続で
    恥ずかしい思い出ばかりです(汗)


    社会に出た若者の苦悩や葛藤、
    才能を持つ者と持たざる者との
    リアルで残酷な現実、
    そんな青春時代の
    「苦い部分」を
    ユーモアと共にうまく描いていて、

    ワケの分からない焦燥感に怯え
    苦悩の青春時代を送った者ほど
    共感できると思います。


    魅力的な登場人物たちも
    特筆すべき点で、
    ヒジ打ちやタバコに酒など(笑)
    いらんことばっか教える
    先輩ボクサー、

    漫才師を夢見る学生コンビ、

    喫茶店のウェイトレスに恋する学生などの
    名脇役たちと、

    主人公2人と平行して描かれる
    脇役たちのちょっとしたサイドストーリーが
    抜群に面白いんですよね(笑)

    それにしても
    残酷な挫折を描いていながら
    鑑賞後これほど前に進む勇気をくれる作品は
    珍しいと思います(笑)

    その秘密は
    映画史に残る名ゼリフとなった
    ラストの言葉。

    この言葉のために
    この映画はあります。

    この言葉の魔力に
    人々は引き寄せられ、
    どんなに壁にぶち当たっても
    どんなに傷付いても
    また歩き出すんだろうと思う。


    今現在、
    やりたいことが見つからない、
    新しいスタートを切るきっかけが掴めないなどで
    くすぶってる人、

    過去に挫折を経験したことのある人なら
    誰もが共感できるであろう映画です。

    思わず走り出したくなる(笑)
    久石譲のメインテーマも心に染みます♪

    • kwosaさん
      円軌道の外さん

      あのラストの言葉。
      僕も時々思い出します。
      そして自分を奮い立たせます。

      いくつになってもたまに観返したくなる映画。
      余...
      円軌道の外さん

      あのラストの言葉。
      僕も時々思い出します。
      そして自分を奮い立たせます。

      いくつになってもたまに観返したくなる映画。
      余談ですが最近観てみたら、カツアゲされる学生役が宮藤官九郎だったのに気づき、驚きました。
      2013/02/20
    • 円軌道の外さん

      andesapresriam12さん、
      コメントありがとうございます!


      おおーっ!!
      同い年ですか(笑)

      自分は干...

      andesapresriam12さん、
      コメントありがとうございます!


      おおーっ!!
      同い年ですか(笑)

      自分は干支はうさぎですよ(笑)


      久石譲さんは
      今じゃすっかりジブリで有名やけど、
      自分にとっては
      北野映画のイメージが強いし、
      その中でもこの映画の印象が強烈に残ってます♪


      あはは(笑)
      いえいえ、映画大好きなんで
      これからもよろしくお願いします(^O^)

      またオススメありましたら
      情報交換していきましょう(笑)


      2013/02/23
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、
      連チャンコメント
      ありがとうございます!


      コレはもう
      紛れもない名作ですよね(^O^)

      特に...

      kwosaさん、
      連チャンコメント
      ありがとうございます!


      コレはもう
      紛れもない名作ですよね(^O^)

      特に30代以上の人にとっては
      思い入れの強い作品やと思います。


      自分もボクサーなんで
      観ててリアルに面白かったし、
      (あんな悪い先輩ホンマにおるんスよ笑)


      なんと言っても
      主演二人のキャラと
      ラストシーンに尽きますよね!


      あの希望を感じさせるラストは
      ホンマニクいぐらい
      グッときたなぁ〜(T_T)



      今でもチャリンコ乗る時は
      あの久石譲のメロディが
      自然と脳内に流れてきます(笑)


      あっ、クドカンは
      自分も最初まったく気づかなくて(笑)
      最近誰かのレビュー読んで
      ええーっ!!ってなったんスよね(笑)(^_^;)


      昔の映画見直してると
      たまにそういう嬉しい発見があったりして(笑)
      いろいろ楽しめますよね♪



      2013/02/23
  • 十数年振りに見返した。
    宮藤官九郎がちょい役で出演していたなんて!
    それはさておき、この挫折と再生の物語は、シンプルであるだけに、力を持っている。人間のどうしようもなさを肯定しつつ、きっと二人の主人公は同じようなことを繰り返していくんだろうけれども、その休息のような束の間の時間に、この世界に存在していることそのものの美しさが、幸福が、あらわになる。

  • 落ちこぼれの高校生マサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)は、高校が受験ムードになっても悪戯やカツアゲなどをして勝手気ままに過ごしていた。
    ある日、カツアゲの仕返しに連れて来られたボクサーに一発で悶絶したマサルは、自分もボクシングを始め舎弟のシンジを誘うが、皮肉にもボクサーとしての才能があったのはシンジであった。
    ボクシングの才能がないと悟ったマサルはボクシングをやめ、以前にラーメン屋で出会ったヤクザの組長(石橋凌)のもとで極道の世界に入り、二人は別々の道を歩むことになる。
    高校を卒業しプロボクサーとなったシンジは快進撃を続け、マサルは極道の世界で成り上がっていった。
    しかし、ジムの先輩ボクサー・ハヤシ(モロ師岡)からボクシング界の悪しき慣習を吹き込まれたシンジは、安易な道を選択するようになり、大事な試合で惨敗。
    一方、敵対する組から組長を狙撃され、親分に反抗して粋がるマサルもヤクザの制裁を受ける。
    若さが裏目に出て苦い挫折をした二人は、通っていた高校の校庭でかつてのように自転車の二人乗りをしていた。シンジは冗談混じりに本気の質問をマサルに問いかけた。
    「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」「バカ野郎、まだ始まっちゃいねぇよ」
    北野武、バイク事故後の監督復帰作。
    たとえ親友同士でも才能の優劣があって人生の道筋が別れてしまったり、才能の限界や悪い先輩の甘い言葉で足を引っ張られ挫折したり、真面目に働いても不幸にあったりほろ苦い青春模様がリアル。
    挫折した主人公ふたりに対する目線に武の優しさが感じられる傑作青春映画。安藤政信の抑えた演技が、印象的。

  • 素晴らしい青春映画。漫才、ボクシング、ヤクザ、女など、対象は違えどなにかに賭ける若者たちの志と失敗を鮮やかに描く。
    乾いた演出、編集、久石譲の手による音楽、すべてがはかなさと切なさにあふれている。
    たけしは出でおらず、ヤクザの世界もサブ的な装置。その重しがないことが、それぞれの青春群像を印象づかせることに成功している。唯一ステップアップをしているのが無垢に己の道を信じた漫才師というのも、たけし事故直後の第一作ということを考えるとまた感慨もあるというもの。あらすじにするとなんでもないが、見ると奥深い。
    また、ジムの会長、ヤクザの親分、どれもが清濁併せ持った「普通の人」であるのがいい。分かりやすい人間は教師位のものだ。
    各役者陣。金子賢は演技イマイチ、安藤政信は寡黙な役に合っていた。ボクシングジムの会長(山谷初男)・コーチ陣はみんな達者だった。喫茶店のお母さんも人情味があっていい。石橋凌の貫禄はさすが。
    なお、冒頭とラストの自転車シーンの構図に込められた意味を解説しているサイトがあり、参考になった。言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつかない。それが人であり、映画なのだ。

  • 初めて観た十代終わり頃だったか、衝撃を受けた。
    衝撃の感覚は例のラストの台詞に象徴的だけど、それよりもそこから流れ出すメインテーマが何よりも刺激的だった。すごく好みの楽曲で、すぐに自分でも似たような曲をつくったりした。とても影響を受けた。曲にのみ。ボクシング始めようなどとは考えもしなかった。
    登場人物も話もおもしろく印象的なシーンもいっぱいあるけど、この映画と言えば映画それ自体よりもこの曲、という印象。

  • 安藤政信さんが大好きで手にとった
    心にどんよりした黒いものが残った
    気づかないようにしていた気持ちを
    えぐり出されたような…
    それでも爽快感が残るのが、この作品の魅力

  • Kids Return
    1996年 日本
    監督:北野武
    出演:安藤政信/金子賢

    落ちこぼれの高校生がボクシングを始めるも、誘われた友達のほうが才能を発揮して、最初に始めたほうは挫折するというのはよくある構図。そこからプロボクサーとチンピラへと二人の道は分かれ・・・。青春映画の名作。あまり安っぽい言葉で言いたくないけど、二人の関係性にいわゆる「萌え」を感じた女性は多いと思われ(笑)ラストの二人のやり取りは邦画史に残る名セリフだと思います。

    (1997/1/9)シネマセレサ

  • 安っぽい青春映画が多い中、こんなに良いのはなかなかない。テーマは友情と挫折、なんて言うとそれこそありきたりで安っぽく聞こえるけど、そんなことは全然ない。
    いつも一緒にいた2人。いつのまにか別々の道を歩むようになるが、それぞれ挫折した後、再び会って言うラストのセリフが心に残る。

  • うひゃあ、何年ぶりに観たかねえ?久々に観返しましたよ。やっぱ、こう、素晴らしいな。なんでこんなに、好きなんかねえ?多分、残りの人生で、あと100回は観たいな。それくらい、好きですね。

    プロローグ、「あれ?こんな物語の始まり方だっけ?」って、ちょっと最初、ビックリしたけど。いきなり、エンディング部分から始まるんですね。覚えてなかったんだなあ、結構。


    マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?

    ばかやろう、まだ始まっちゃいねーよ!


    という、言わずもがなの名言中の名言で、とにかく有名ですよね。
    北野武監督の映画では、最初に観るのには、一番向いている?気がします。
    個人的には「あの夏、いちばん静かな海。」が最も好きなのですが、これもホンマに大好きですね。素晴らしいよなあ。

    この話は、嘘か本当かはしらないのですが、あのあまりにも有名な名言を二人が語る、校庭の自転車のラストシーンのとらえ方、日本とフランスでは真逆の価値観になるそうです。

    日本人は、多くの人が、あのラストに
    「いくつになってもやり直しはできるんだ。どん底を経験しても、俺たちは復活することができるんだ。決して、諦めてはいけない」
    という、未来への希望を見出すのに対し、

    フランス人は、多くの人が、あのラストに
    「もう完全に人生ドロップアウトした二人が、何言ってるんでしょうね。希望なんか、もう、無いでしょ。これまででもで、散々、チャンスはあったのに、君たち二人は駄目な方にダメな方に行っちゃったでしょ?始まってもいない?んなわきゃない。哀れですねえ」
    という、諦められない人々への悲哀と絶望を見出すのですって。

    本当なのかしら?どうなのかしら?あくまで、噂として聞いた話だけなので、なんとも分からないのですが。でも、北野監督は、どちらの意味を込めたんだろうなあ?両方なんだろうなあ、って気はします。で、自分は、どちらかといいますと、、、やっぱ、前者の見方ですかね。どうしても、希望を、感じちゃいますよね。

    で、今回、十数年ぶりに観返したのですが、個人的にグッとくる役どころは、モロ師岡演じる、ボクサーのハヤシ、でしたねえ。人間という存在の、弱さ、狡さ、汚さを、完璧に表現しているなあ、と思って、切なくなり過ぎました。

    モロ師岡、素晴らしい演技でした。ある意味、あのハヤシこそが、人間という存在の最も邪悪な部分を擬人化した役どころではなかろうか?でも、だからこそ、本当にこう、好きなんですよね。身につまされるんですよね。

    めっちゃ印象的なシーンが、あるんですよ。
    いつも行く居酒屋のお気に入りの席に、弱そうな若者が座っていた時は「おいてめえ、どけよ。俺、この場所が好きなんだよ!」って凄んで、自分が働いている工場?の、先輩のおじさんが座っていた時は、卑屈に別の席に座る、というあの立ち回り。

    ハヤシ、という人間そのものを、全て表しているなあ、アレで、と思いましたね。北野監督、素晴らしい。

    あと、エンディングロールの、
    安藤政信(新人)
    っていう注釈。何故か、ツボです。その(新人)、いるんかい?っていうね。ツボだなあ~。安藤政信を見出したタケシ監督の眼力、畏るべし。金子賢も、本当にハマり役だったよなあ。
    あと、ボクシングジムの会長役の山谷初男も、好きですね。怒り方とか、本当にこう、なんか好きなんだなあ~あの存在感。

    あ、クドカンこと、宮藤官九郎も、凄いチョイ役で出演してます。今となっては有名なネタですよね。

    主人公のマサルとシンジの家族、一切、出てこないんですよね。そこら辺の、映画に必要なものと不必要なものを潔いまでにバッサリと決める話の作り方も、好きだなあ。久石譲さんの、あの有名すぎるテーマ曲も、素晴らしいよなあ。

    あかん、いつまでたっても書き終わらないくらい、とにかく大好きだ。本当に、良い映画ですね、コレ。

  • 男の場合、親友の間でも、あいつには負けたくないっていうプライドや、能力を競い合うことって当然のごとく存在して、お互いがお互いを比べ合って自分の存在価値を作っていく。それが友情に溝を作るものだとわかっていても、どうしても意識してしまう。それに戸惑いながらも付き合っていく。そんな男の友情特有の緊張感や距離感、切なさをとても上手く表現している。それは決して美化されず、みっともないくらい正直だ。そして、この映画の魅力はそれだけに止まらない。学校を卒業した若者が厳しい現実社会に打ちのめされていく過程や、めげずに開き直る強さ、ウサギとカメ的な対比など、社会を風刺したいろんなエッセンスが盛り込まれている。カタギとヤクザの世界を同列に扱っているのも面白い。北野監督らしい、センスの良い、皮肉のきいた笑いも満載だ。
    この映画を見て思うことだけど、人生ってやっぱり辛いことの方が圧倒的に多いとしみじみと感じた。
    主人公二人、彼らの辿った道は幸せなものではない。そして将来が明るいわけでもない。でもなぜだか、少し元気になれた気がした。それは今現在の自分の境遇にも少し重なるところがあるからだろうか。脚本の都合に動かされることのない、生きている人々の躍動を、魂の叫びを感じることができる傑作だ。でも、この映画で見られるのは彼らの人生のほんの一部だ。見られないのは残念だけれど、これからもきっと彼らはあの世界で生きていく。苦しみながら、悶えながら、それでも笑いながら。そしてそのうち、あのあっけらかんと笑っていた表情にも疲れが混じってきて、みっともない表情になると思う。私もいずれそんな表情になるのだろう。そのときまた、観返してみようかな。

著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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