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- / ISBN・EAN: 4934569630889
感想・レビュー・書評
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死ぬのが怖いと思うと、死にたくなっちゃうのはバイク事故前のソナチネであり、HANA-BIは死にに行こうとするバイク事故後の映画。
やっぱりあのバイク事故は事故じゃなくて、自殺だったんじゃないのかって考えてしまいます。
登場人物と監督自身がリンクしているのはソナチネ同様で、車椅子生活を余儀なくされ芸術へ向かう堀部と、豪快で無茶な西は監督自身の二面性を表現している。
堀部は事故にあい仕事をやめ、家族からも見放され、自殺未遂をする。しかし自殺は失敗してしまう。
そして、警察やヤクザに追われる西によって、堀部は芸術に目覚めていく。
堀部は生かされている。
ソナチネであった「これで最後にしよう」とした監督が、事故(やはり自殺にしか思えないが)で命をとりとめ、生かされているように。
しかし芸人としての威厳が失われたのではなく、西もまた魅力的な人物として描かれている。
年代的に北野映画が評価されたころだと見受けます。
芸人と映画監督の両立は難しいと思いますし、だからといってどちらも手は抜けない。
北野武自身の生き様を表現しきっている、素晴らしい映画であると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不治の病に冒された妻(岸本加世子)を見舞うため、張込みの現場を離れていた西刑事(ビートたけし)に同僚の掘部(大杉漣)が撃たれたという知らせが届く。
追い詰めた犯人との銃撃戦で、今度は部下の田中が命を落とす。
次々と大切な物を奪われ、心をさいなまれていく西。下半身不随となった堀部は絵を描き始める。そんな堀部や田中の遺族、そして妻と過ごせるあと残り僅かな時間のために、西はある重大な決心をする。
北野武が、「生と死」「究極の夫婦愛」を問う映画。
靴下に石を入れたものでヤクザを間髪入れずにしばき倒すなどの北野武お得意のバイオレンス描写は健在だが、どちらかというと西と妻の夫婦愛、西の同僚刑事・堀部の死ねずに生き延びた時どう生きるかの葛藤に力を入れているのが、バイク事故で生き延びたビートたけしの当時の心境が反映されていて興味深い。
特に言葉を交わさず一緒にトランプしたりパズルしたり花火をしたりして心が通じ合い信じ合っている西と妻の夫婦が、コメディアンのたけしらしい間の外し方でユーモラスに描かれているのがほっこりする。
下半身不随になり絵を描いている内に生きる気力を取り戻していく堀部の心情は、バイク事故のリハビリや絵を描いて気を紛らわしていた頃のビートたけしの心情が反映されている。
自分なりに筋を通して美学の通りに死ねたら良いけど、「生と死」は思い通りにいかない。そういう葛藤を描いている部分がリアル。間に差し込まれるたけし自作の絵やラストに岸本加世子がたけしに投げかける言葉が沁みるビートたけしのプライベートフィルム的な色彩が強い傑作映画。 -
切なくていい。
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北野武監督作品 第7作
映画の中に出てくるたけし自身が描いた「絵」がすばらしい! -
暴力の過程をカットして結果だけ見せる、という芸風が好き。
渡辺哲のシーンはぜんぶ面白い。 -
暴力、ヤクザ、拳銃・・・、現実の世界とはかけ離れた世界でしか、彼の描きたいものは表現できないのか。
映像に語らせるという手法も、役者としての未熟さやシャイさを取り繕うためのように見えてしまう。
才能ありの評価をする才能を、どうも私は持ち合わせていない。 -
1998年公開
監督 : 北野武
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死期迫る妻を喜ばせるために犯罪に手を染め、逃避行に旅立った一人の元警官のお話。
終わりが見えているストーリーとどう向き合うかは、つらいよね。ただそれは、すべからくすべての人の人生はそうであるわけで。限界があって、終わりが見えていて、はてその時人は何を大事にするか。何を捨てるか。主人公が捨てたものは、それを捨てることでしか得られない最後の時間のためのものすごいもので。
破滅の話は見ていてしんどいけど、どうしてか見入ってしまうわけでした。自分だったらどうするだろうかとか、いやいやそんなバカは俺は絶対しないとか、いろいろ考えながら、要するに中々陥る状況じゃない人の心理に興味を持ってしまうということなんだと思いました。 -
この作品は物語の大きな盛り上がりがなければ、言葉数も少ない、とても渋い作品です
そのため、1回見ただけでは、展開や登場人物の心情があまり理解できませんでした。
作中の人物は、生きがいにしてきたものを失い、客観的に見て不幸な状態へなっていく悲しげな話ですけども、
こと主人公に関しては大切な人とのつながりを必死に守りぬき、自分なりの幸せを失うことはありませんでした。
ただ悲しいと一括りにできない話です。 -
正直、ストーリーはあまり好きではない……けれど
前半の仲間が撃たれてしまった記憶のフラッシュバックが何度も重なっていたのが、主人公の後悔と重い苦しい絶望感を見るようで
この表現力はすごいと思った
楽しそうに今を生きている奥さんの岸本加世子さんの笑顔がかわいくて好きだった -
こっちのキタノかー
Dollsの不安が押し寄せてきたが、本作は良い出来。
なんといっても久石譲の音楽に尽きて、叙情的。
銃声と暴力でテンションも適度に保たれている。