悪い奴ほどよく眠る<普及版> [DVD]

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監督 : 黒澤明 
出演 : 三船敏郎  加藤武  森雅之  志村喬  西村晃 
  • 東宝 (2007年12月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104044792

悪い奴ほどよく眠る<普及版> [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • 1960年東宝。黒澤プロ第一回作品。監督は黒澤明で、主演は三船敏郎。
    共演は、土地開発公団・副総裁役の森雅之、同部長役の志村喬、同課長役の西村晃、同課長補佐役の藤原釜足。
    それに、主演の三船敏郎の妻で副総裁の娘役に香川京子、同じく兄役に三橋達也、三船敏郎の協力者役に加藤武。そのほか、検事役に笠智衆や宮口精二、課長補佐の妻役に菅井きん、チンピラ役に田中邦衛などなど豪華俳優陣です。

    冒頭は土地開発公団副総裁の娘・佳子(香川京子)と、副総裁の秘書・西幸一(三船敏郎)の結婚式。だが、その結婚式の直前、司会をつとめるはずであった課長補佐の和田(藤原釜足)が逮捕されてしまう。結婚式には、開発公団と建設会社の贈収賄事件を嗅ぎつけて新聞記者も集まっている。式もたけなわの頃、誰も予期していなかったウェディングケーキが登場して・・・。

    圧倒的な面白さでした。最初150分って長いなあと思っていたのですが、あっという間の150分でした。黒澤プロ第一回作品とあって黒澤監督も気合が入っていたんですね。
    テーマは官民の贈収賄という社会派的なものですが、全編がサスペンス色となっていて、矢継ぎ早に変化しながら物語が進んでいくので、ストーリーテーリングとしても申し分ありませんでした。
    冒頭の結婚式の場面はとても秀逸で、主演であるはずの三船敏郎の影は薄く、公団の面々を中心に式の進行場面が続き、物語全体の背景を新聞記者が横から解説するという構図になっています。結婚式の場面から始まるというのは、物語のプロローグとしては上首尾で、フランシス・フォード・コッポラ監督も『ゴッド・ファーザー』でマネをしたということです。
    次第の明らかになっていく汚職の全容と三船の立ち位置。緊張感と重厚さを持って進む物語と、謎が謎を呼ぶサスペンスな展開が観客を惹きつけます。
    さて、今回の三船敏郎はただのおっさんですね!(笑)あの黒ぶち眼鏡でわざとそうみせているのでしょうか。そして、相変わらずの彼の重々しい話し方と立ち居振る舞いなんですが、これが結構この物語の重しとなっていて、全体を引き締めていたように思います。でもおっさん過ぎて、あの可愛い香川京子とちょっと釣り合いが取れていなかったような気も・・・。(笑)
    それから、悪役の面々が素晴らしかった!特に森雅之の憎々しいこと。家庭では平凡な父親だったというところもミソですね。この使い分けがたまらなく良かったと思います。(電話でへいこらと会話する最後の場面にも繋がっていたとも思います。結局、一番の悪は電話の向こう側の人だったんですね。)そして、課長補佐を演じていた西村晃も小役人っぽくって良かったです。次第に人格が破綻していく様子がとても迫真で、これにも圧倒されました。反対に部長役の志村喬は大福顔でいまひとつ悪人っぽくなかったのですが(笑)、終盤の軍需工場の場面の彼はなかなかの迫力ある演技だったと思います。
    それに三船を助ける藤原釜足と加藤武もなかなかいい味を出していました。破綻していた人格から次第に正気を取り戻していく藤原釜足と、ニヒルなようで実は内面にほとばしる感情を持っている加藤武の演技にも大いに魅せられました。
    この映画は物語展開だけをとってみても面白いのですが、こうした俳優たちの重厚かつ迫真の演技に支えられてさらに面白くなっていて、それらを集約した黒澤監督はやっぱり凄かったんだなあと改めて実感しました。
    二転三転する物語展開に先が読めずわくわくしながら観ていたのですが、こうした映画は最近あまりお目にかかっていないなあとも思いました。150分は少し短かったんじゃないかなあ。

  • 「これでなにもかも…。
    はい、おやすみなさいまし。」

    何とも皮肉で洒落の効いたラストでした。
    思わず“巧い!”と膝を叩いてしまいました。
    タイトルで落とす見事さは、「郵便配達は2度ベルを鳴らす」に並ぶと思います。

    悲劇のヒーローが知恵と勇気を絞り、
    息つく間もない展開で権力を持った巨悪と闘います。
    二転三転最後の最後までハッピーエンドになるのかどうか、惹き付けられました。

    権力に執念燃やす人間は異形ですね。人でなしです。空恐ろしいです。
    組織に身を委ねた従順で盲目な奴隷。これまた恐ろしいですね。
    ぼやっと流されてたらすぐにどちらにでもなってしまう、恐ろしさ、愚かさを考えました。

    飼い慣らされた小役人が「自分が何なのか判らなくなる」と言うセリフがありますが、
    うっかりすれば身につまされる思いです。

    珍しく志村喬が悪役やっています。
    いつもは主人公の頼りになりますが、敵に廻すと怖い人とはこの人のことでしょう。

    また若かりし西村晃、加藤武、三橋達也、菅井きんも見所でした。
    面影を充分感じさせつつ、溌剌とした演技が新鮮でした。
    田中邦衛は若い頃の方がしっかりして見えます。

    三船 敏郎が花屋の前でガラス越しに店内を覗くとき、
    ショーケースに移る逆さ文字のアルファベットが映ります。
    この演出がいかにもジェームス・スチュアートの頃のハリウッド映画の感じが出ていて、
    邦画の巨匠 黒澤 明の意外なルーツが見れた気がします。
    (110910鑑賞)

  • やはりかなり面白かった。

    冒頭の結婚式のシーン。
    場違いな黒い雲が押し寄せるような不穏さで一杯。
    臭いやつはどいつで
    何やら復讐めいた動きがあるのが
    式次第に従ってわかってくる構成が面白い。

    役者陣は黒澤常連の面々。
    すさまじい存在感で物語を推し進める。
    映像の説得力は言うまでもないが
    推敲を重ねられた脚本は見事というしかない。

    白黒ならではのコントラストをうまく
    コントロールした夜のシーンも今となっては見所のひとつ。

    事後報告のような惨劇を想像させる演出は
    直接的に描く以上の効果を生んでいるように感じた。

    巨悪を打ち倒して終わるという締めくくりではないから
    スカッと溜飲を下げて終わる・・・とはいきません。
    この悔しさ、苦渋の想い、残念感、こそが巨悪の前の
    善良なる人々の思いなのでしょう。

    「悪い奴ほどよく眠る」なのです。

    国宝級。

  • 導入の黒い薔薇が刺さったウェディングケーキからラストのおやすみなさいまでの流れが秀逸

  • 兵庫県立美術館の県美サロンにて500円で観賞。
    途中で音が聞こえなくなったり、一時映像が消えたりしたのもご愛嬌。

    黒澤明やし、三船敏郎やし、絶対面白いはず!という期待が大きすぎた。

    画面の構成はほんと圧迫感があって素晴らしい。
    ハラハラさせる感じもいい。
    昭和30年代、、やったっけ?、、の演出もレトロな雰囲気がよい。
    若き日の田中邦衛がちょい役の殺しに失敗する殺し屋役で出てるのも楽しめる。

    しかし、オチが、、、。
    イマドキのサスペンス映画やドラマの見過ぎか、どんでん返して、どんでん返して、さらにどんでん返して、という展開を期待、というか予想してたら、案外素直に終了してしまった。

    死んだと見せかけて実は、というのは始めの方だけにしたのね。あ〜あ。

  • 黒澤明監督、1960年作。三船敏郎、森雅之、香川京子出演。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    父を自殺に追いやられた男(三船)が、実在する他人になりすまし、追いやった会社幹部(森)の娘(香川)と婚姻して近づき、巨悪を暴いて復讐する話。

    <コメント>
    黒澤サスペンスは毎度ながらスリルとスピード感十分(「天国と地獄」)。
    ただ、勧善懲悪的結末ではないのも黒澤らしさか。
    そこを題して、「眠る」は睡眠時間ではなく、逃げ果せて捕まらないとの意。

  • ☆☆☆☆☆
    よい映画でした。
    http://booklog.jp/users/tesa0819/archives/1/B000VJ2DPA

  • 昭和30年代の黒澤社会派劇の一本。官民の汚職を軸に、上中下の階級にうごめく人びとを冷徹に残酷に描く。悪をもって悪を制すはずだった思惑は、権力という怪物的最大悪によってもろくも崩れ去る。
    解決させずに、不穏な余韻を残し続ける、これも黒澤の思想を表現している。

  • 世界の黒澤明監督作品。父を殺された現代社会の悪に挑む男の姿を描いています。
    三船敏郎がカッコ良い!笠智衆、三橋達也など名優たちの姿も良いし、若かりし田中邦衛も観れて良い。

  • 制作年:1960年
    監 督:黒澤明
    主 演:三船敏郎、加藤武、森雅之、志村喬
    時 間:151分
    音 声:日:モノラル/ドルビーデジタル5.1ch/3chステレオ(パースペクタ・ステレオ・サウンド)


    日本未利用土地開発公団の副総裁岩淵の娘佳子と、秘書の西幸一の結婚式は、異様な舞囲気に満ちていた。
    政界、財界の名士を集めた披露宴が始まろうとする時、公団の課長補佐和田が、のりこんだ捜査二課の刑事に連れ去られた。
    押しかけた新聞記者たちは、五年前、一課長補佐が自殺しただけでうやむやのうちに終った庁舎新築にからまる不正入札事件に、やはり現公団の副総裁岩淵と管理部長の守山、契約課長の白井が関係していたことを思いだした。
    ウェディング・ケーキが運ばれてきた。
    それは、五年前の汚職の舞台となった新築庁舎の型をしていた。
    しかも、自殺者が飛び降りた七階の窓には、真赤なバラが一輪突きささっていた。
    その頃、検察当局には差出人不明の的確な密告状が連日のように舞いこんでいた。
    そのため、開発公団と大竜建設の三十億円にのばる贈収賄事件も摘発寸前にあった。
    だが、肝心の証拠が逮捕した和田や大竜建設の経理担当三浦の口からも割りだすことができず拘留満期がきて二人は釈放された。
    三浦は拘置所の門前で、トラックに身を投げ出して自殺、和田も行方不明となった。
    和田は公団の開発予定地である火口から身を投げようとした。
    その前に立ちふさがったのは西だった。
    翌日の新聞は、和田の自殺を報じた。奇怪な事件がまた起った。
    岩淵と守山の命で貸金庫の鍵を開けた白井が、金が消えさっている代りに、例の新築庁舎の絵葉書が一枚残されているのを発見したのだ。
    その貸金庫のカラクリを知っているのは、白井と死んだ和田しか知らないはずだ。
    白井はその夜、自宅の街燈の下に和田の姿を見て、ショックのため気が狂った。
    そんな白井が不正事件を発覚させないかと案じた大竜建設の波多野社長と金子専務は、岩淵と守山に処分を命じた。
    彼らは殺し屋を使って白井を消そうとした。
    白井を救ったのは、またしても西だった。西は五年前自殺した古谷の息子だったのである。
    すべては父の復讐をするためだったのだが、守山に感づかれた。西は守山を造兵廠跡の廃墟に閉じこめた。
    和田が佳子を電話で呼び出し、廃虚に連れてきた。
    何もかも聞き幸せですという佳子を、西は初めて抱きしめた。
    帰った佳子を岩淵はだまし、西の居所を言わせた。
    西は薬用アルコールを静脈に注射され、自動車に失心状態のまま押しこまれて、貨物列車にぶつけられた。
    岩淵は記者に「申し分のない秘書を、しかも、娘の婿を失って呆然自失--」とつぶやいた。

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