罪と罰 (落合尚之) 全10巻完結セット (アクションコミックス) [マーケットプレイスセット]

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著者 : 落合尚之
  • 双葉社 (2007年7月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ

罪と罰 (落合尚之) 全10巻完結セット (アクションコミックス) [マーケットプレイスセット]の感想・レビュー・書評

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  • 「楽園という名の地獄か、地獄という名の楽園か。」
    大学生である主人公が、ある女性と知り合い、「計画」を実行する。
    主人公は一体どちらの「家」に帰るのか。

    この物語には、人間の「良心」「愛」「憎しみ」「孤独」「焦燥」等のあらゆる感情を描き出していると思う。

    ---------------ネタバレストーリー-------------------



    父親が教師でありながら、教え子に手を出し、心中自殺をする。
    幼かった主人公「裁弥勒」は、母親から「父親は高潔な人だった。あなたも立派な人間になりなさい。」と真実を伝えられず、母親の人生を歩んでいくはめに。
    父親が亡くなった後、母親が仕事をあまり続けることができず、代わりに姉が働きに出ることに。
    そうなっても姉は、「弥勒は自分の好きなことをしなさい。」と健気に自己犠牲を貫く。
    そんな中、大学生の弥勒の元に、「姉が地元の成金と結婚する」事が告げられる。
    弥勒は、姉が結婚する理由を、「自分がやりたい人生のために愛する姉が金のために結婚する」と思い、自立した人間である事を示すため、「作家として飯を食える」ことを示そうと決意する。しかし、現実には金がなく、買収をあっせんしている「ヒカル」と出会い、金目当ての殺人を計画する。
    また、弥勒は計画の中で、自分には目的を達成するためには殺人を犯しても良い「資格」があると証明してみせようとする。
    その「資格」こそ、自分が自分の人生を生きているという「証」と思っている。
    殺人計画を実行し、ヒカル殺害は成功するも、ヒカルに騙されて売春組織の仲間になってしまいヒカルから虐められていた「リサ」に犯行を見られてしまう。
    リサは、「自分のために弥勒が助けてくれた」と思い、弥勒を守ろうとするが、弥勒は自分の計画を誰にも渡したくないとリサをも殺してしまう。
    そこに、リサの母親が帰宅し、弥勒は顔を見られずには済んだが、すぐさま事件は発覚してしまう。

    弥勒は、大学生インターンの際に「首藤」という男と出会っている。
    首藤は、弥勒が佳作をとった作品に、「人間味が空っぽの文章だ。」と批判し、「もっと世界を観ろ。自由を感じろ。」と弥勒を唆した。
    首藤は、東南アジアである少女を自殺させ、その父親も自殺させてしまった経緯から、資産家の老女に飼われていた。
    首藤は、弥勒にそう言いながら、実は自分にそのことを言っていた。
    そして、首藤は、老女を殺害し、東南アジアに逃亡した。

    焦燥しきって倒れた弥勒は、病院のベッドで目を覚まし、父親と同じ境遇の「飴屋菊夫」「エチカ」と出会う。
    エチカは、弱気な教師菊夫がAVを作っている男子生徒に脅されてレイプされてしまう。
    そのビデオが問題となり、菊夫は懲戒免職になるが、弱った菊夫の母親と娘達を守るために結婚し、身体を売りながら生計をたてる。
    復習とすら見紛うほどの妻の献身を感じれば感じるほど、菊夫は自分自身を攻め、アル中になった。
    そして、警察から追われ自暴自棄になった弥勒が自殺を試みるところを止めようとし、車に跳ねられて死んでしまう。
    菊夫が亡くなっても尚、菊夫の娘達のために頑張ろうとしているエチカが、「自分の人生のために闘い抜いた」ことに感銘を受けて、弥勒は生き抜くことを決意する。
    弥勒は、生き抜くために支えが必要で、自己犠牲により相手に隷従を強いる自分の姉さんと似ているエチカにその思いを伝えるため、自分がヒカル、リサ(エチカの友人)を殺したことを打ち明けた。
    エチカは、そのことに怒り、憎しみ、恐怖すら感じるが、誰かを守ることが自分の生きる意義であるため、そのことを受け入れる。
    共に生きることを誓ったエチカは、弥勒に自首を進め、弥勒も「自分の計画を自分の手に戻すために」自首したいと思うが、すでに売春組織との関連を疑われたくない権力者から口封じに殺されることを恐れ、卑怯にも自首することから逃げた。
    そして、エチカへの告白を偶然にも聞いていた指名手配中の首藤は、弥勒に「海外へ一緒に来ないか」と誘いをかける。
    エチカと共にするか(自首し、罪を償う)、首藤と共にするか(海外逃亡)に揺れ動く弥勒。
    しかし、エチカを愛していることに気づいた弥勒は、エチカと共にすることを選び、自首する。
    首藤は、弥勒にフラれた後、孤独に自殺する。

    --------------------------------------------------------
    誰しもが持っている「自分は特別な人間で、行動を起こす勇気を持っている」という選民思想。
    しかし、一方で変化する恐怖から行動を起こすには至っていない事実から、自分の存在意義を見失うことも多々有る。
    自分の誇りを保つために、あらゆる言い訳をしながら堕落していく弥勒は、自分自身がいつ堕ちてしまうかもわからない偶像なのではないかと感じる。
    しかし、人間としての誇りを取り返すきっかけとなった「支えとなる女性」のおかげで、弥勒は戻った。
    これは、ねじ曲がっていようが、どうであろうが、「愛」なのだと思う。
    やはり人生は一人では生きていけないし、支えとなる人の存在は大きいものだ。

    ----------------------感じたこと--------------------------------
    ・「正義」と「法律」は切り口が違う。(殺しても良いクズ野郎を排除することは正義ではないか?ただ法律からは「犯罪」となる。)
    ・価値観を押し付けることは、他人に隷属を強いる。(親の押し付けは、ほぼ確実に子どもを隷属させる)
    ・人は人生の中で「役割」を演じるにすぎない。

  • ドストエフスキーの同名作品をベースに現代に置き換えて描いたマンガ。

    正直、ドストエフスキーの話は、老いぼれ馬をみんなで痛めつける~、ぐらいのエピソードしか頭にもはや残っていなかったので(笑)、割と新鮮に読めたと思います。(要所要所で時折思い出して頭の中で繋げてはいましたが)

    初めの方はやはり、かなり原作を意識した重苦しいムード、閉塞感のあるエピソードが続くのですが、中盤以降から若干原作から離れてオリジナルなストーリーになりつつあるのですが、このあたりで作者の何か心境の変化があったのかな、と思いました。

    ヒロインのエチカのキャラクターがちょっと薄めだったかな。
    不幸を食いつくして生きるヒロイン、というエチカのアイデンティティがあまりはっきりと描かれていなかったので、なぜ彼女が自ら不幸を選んで身体を汚していくのか、とか、ときおり主人公弥勒に振るわれる謎の暴力(笑)、とかが、若干共感しにくいキャラクターになってしまっていたのが残念。

    個人的に、一番魅力があるのは、主人公を差し置いてピカレスクであった首藤かな。彼の生き様とかはすごく興味深い。

    罪を犯した二人が、弥勒は生きて罰せられる道を選び、首藤は自ら命を絶ってしまった。この二人の対比がすごく印象的。

    罪とは罰せられることではじめて罪へと昇華するのではないか。
    罰せられるということは、逆にその魂が赦されるということではないのか、などと考えてしまいました。

  • 結構おもしろい

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