クワイエットルームにようこそ 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]

監督 : 松尾スズキ 
出演 : りょう  内田有紀  蒼井優  宮藤官九郎  大竹しのぶ  妻夫木聡  徳井優 
  • 角川エンタテインメント (2012年9月12日発売)
3.62
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本棚登録 : 2130
感想 : 413
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988126205607

感想・レビュー・書評

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  • 2007年公開。


    いやぁ〜コメディかと思いきや

    芯がしっかりした
    シリアスなストーリーで
    深く考えさせられる内容でした。


    クワイエットルームとは、
    閉鎖病棟内にある
    命を粗末にする患者を
    閉じ込めておくための部屋。


    フリーライターである主人公・佐倉明日香が、
    ふと目を覚ますと
    そこは閉鎖病棟の白い一室。

    しかしそこにいる理由が思い出せない。

    観る者は
    明日香と一緒に
    途切れた記憶を辿りながら
    一見普通に見える主人公の闇に自分を重ねて、

    実は誰もが
    クワイエットルーム予備軍だということに気付かされる
    脚本の巧みさ。


    しかし、ぼさぼさ頭でスッピン姿にも関わらず、
    主演の内田有紀の美しいこと(^O^)

    コメディエンヌとしても
    いいもの持ってるし、
    体を張って汚れ役に挑んでます。


    “言われるがままの男”こと(笑)
    彼氏の鉄ちゃんには
    宮藤官九郎。

    半ケツ姿で泣いてるシーンに爆笑やし(^O^)


    過食症の西野を
    強烈なインパクトで演じるは
    大竹しのぶ。


    食べたくても食べれないミキに
    役作りのため7キロも体重を落として挑んだ
    蒼井優。


    鉄仮面な、
    りょうのナースより、

    個人的には
    淡々と業務をこなす
    若いナース役の
    平岩紙が
    いい味わいだったし、

    他に松尾作品常連の
    庵野秀明や塚本晋也の怪演も見ものです(笑)


    ストレスを溜め、
    夜眠れず
    お酒でうさを晴らす、
    自分たちの周りにもいる
    「普通」と呼ばれる人々。


    精神を病んでると判断された人と
    そうでない人の
    境界線なんてものは
    本当に曖昧で、

    いつ自分たちが
    クワイエットルームに入れられても
    おかしくない現実。


    狂っているのは
    どっちなんだろ?

    もしかしたら
    人が正常でいられなくなる
    こちらの世界の方が
    おかしいのかもしれない…。



    患者たちと心通わす日々の中で
    真実に気付く明日香。

    ありのままの自分を受け入れて
    なお生きることを選択する
    明日香の決断には、
    激しく心揺り動かされました。


    しかし、本気になった松尾スズキは
    やっぱ
    スゴいわ♪

    笑いとシリアス加減が絶妙だし、
    重いテーマを
    飽きずに見せる力量は
    もっともっと
    評価されていいと思います☆

  •  松尾スズキの同名小説を、松尾自身が監督し映画化したもの。

     「クワイエットルーム」とは、ここでは精神病院の隔離病棟を指す。女子専用の精神病院で、問題行動をとった患者がこのクワイエットルームに隔離される。
     ヒロインの佐倉明日香(内田有紀)は、28歳バツイチのフリーライター。彼女はある日、このクワイエットルームで目覚める。泥酔したあげくに睡眠薬を大量摂取し、救急車でこの病院に担ぎ込まれたのだ。だが、彼女には自殺を図ったという意識はなく、精神病院に入院させられたことにも納得がいかない。

     同じ病棟の一クセもふたクセもある患者たちや、個性豊かな看護師や医師たちと接するなかで、しだいに明らかになっていく明日香の心の闇。そして、ある出来事をきっかけに、彼女は自分が自殺を図った理由を思い出す。
     ……という感じのストーリー。

     原作を読まずに観たこともあって、新鮮な驚きが味わえた。観客の予想をよい意味で裏切りつづける映画だ。

     序盤の展開だけ見て「ブラック・コメディなのかな?」と思ったら、さにあらず。中盤からジワジワとシリアスになっていく。それでいて、シリアス一辺倒ではなく、随所にねじれた笑いが埋め込まれている。
     また、中盤、りょうが演ずる氷のような心をもつ婦長と明日香が衝突するあたりで、「お、これは日本版『カッコーの巣の上で』かな?」と思ったら、これもさにあらず。ストーリーは予想を超える方向にぐいぐいと展開していく。

     ジャンル分け不可能な、独創的で才気みなぎる映画。
     一面だけ見ればブラック・コメディだが、28歳の女性の“終わりかけの青春”を描いた風変わりな青春映画でもある。
     さらには、「人の心の恐ろしさ」をつぶさに描いたサイコ・ホラー、サイコ・サスペンスとして観ることすらできる。とくに、大竹しのぶが怪演する、明日香の心を崩壊寸前にまで追いつめる患者の、なんと恐ろしいこと。「周囲の人を次々と不幸にしていくサイコパス」の典型を見るようだ。

     内田有紀が素晴らしい熱演。これはまちがいなく、彼女の女優としての代表作になるだろう。それ以外のキャストも豪華。なにしろ、いまをときめく妻夫木聡が脇役で登場するのだから。
     重い拒食症の女性を演じるために激ヤセして臨んだ蒼井優も、強烈な印象を残す。腕がポキンと折れそうなほど細くなっていて、最初「蒼井優に似た新人女優」かと思ったほど。

     原作の小説で芥川賞候補にものぼった松尾スズキは、劇団「大人計画」を主宰する演出家で、映画監督としてはこれが2作目(1作目は『恋の門』)。俳優としても活躍しているし、なんとも多才な人である。

  • すきなセリフ「おーい、おーい」

  • 宮藤官九郎と妻夫木聡のノリが最高。
    大竹しのぶの演技に感服。

    精神病院という設定は面白いけど、ストーリーはそれほど響かなかった。

  • 17歳のカルテを思い出す

    こんなふうに自分の気持ちを抑えきれずに出すのと
    人の迷惑にならないように生きるのは
    どっちが苦しいのだろう


    どこにだって社会は存在して逃げられない

  • 『リリス』『カッコーの巣の上で』『17歳のカルテ』などの精神病患者を扱った傑作をなぞっただけではない。
    精神病棟という閉鎖された舞台劇として秀逸なのだ。これは舞台の世界で名を上げた監督ならではといえるだろう。また一言では到底語れない主題とコメディのバランスが絶妙だ。

    「救いがない」のは映画において、その作品の優劣を決めるセンテンスにはなりえない。そもそも、このような主題を救えるのならば、映画なぞ撮らないでよろしい。ラスト5分の、ずっしりとした空気こそ、この映画の本質であろう。「救いがない」のかもしれないが、それ以上に監督は「認識」を我々に迫らせているのだろう。

    正に体当たりという表現がしっくりくる内田有紀が抜群に良い。役者としての力の高さをお釣りがくるほどに証明している。
    大竹しのぶの監督の意を汲む演技はさすがだし、宮藤官九郎も作品にユーモアをもたらしている。蒼井優、りょうも役を物にしている。松尾スズキ監督の役者を「操る」手腕は確かなものがある。

    『リリス』や『カッコーの巣の上で』などと比べると、主題を乗り越えるカタルシスが不足していたので、★は-1としておくが、傑作であることは変わりない。

  • つまんね

    蒼井優もいまいち

  • 精神科病院の風景が結構誇張されているけども,患者同士が影響を与え合ったりするのとかは,病院ならではの感じがうまいこと出てたように思う。
    エッシャーの無限回廊のパズルを作るとか,ちょっと皮肉というか,うまいことテーマを重ねているというか・・・。

    なにより,内田有紀がやっぱり可愛かった・・・。

  • 酒と睡眠薬を大量に摂取してぶっ倒れた女は自殺未遂と疑われ、精神病院のとある一室に“監禁”された。
    そこではフツーに生きることを目標にした人たちがわんさかいる。
    自分はそんな連中とは違うと主張する女だったが。。。。

    人が大きく方向転換するときは、一度「死」を経験する。
    死ぬことでこれまでの殻を脱ぎ捨て新たな生命体へと再生するのだ。

  • ザックザック色んなモンが突き刺さる映画だった。面白かった。笑えた。泣けた。
    内田有紀演じる鬱陶しくてメンドクサイ女が自分にカブり過ぎて痛かった。痛女!!

    居場所を求めていた。というより、誰かにすがって、しがみついて、そこに居て良いのか確認しようとしていた。

    なんというまぁ、卑屈な態度で。

    何にそんな不安になっとったんだろう。すがりつかなきゃ立ってらんない位アタシの足元はゆるかったのか?自分で崩してきただけじゃなかろうか…。

    物凄いタイミングで観てしまったせいで、かなり深いとこまで抉り取られた気分だったけど、全体的に笑える要素が多かったのが助かった。松尾スズキ凄すぎ。


    そして終始クドカンに萌えまくり。

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著者プロフィール

作家・演出家・俳優

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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