長江哀歌 (ちょうこうエレジー) [DVD]

監督 : ジャ・ジャンクー 
出演 : リー・チュウビン  ハン・サンミン  チョウ・リン  ホァン・ヨン  チャオ・タオ  マー・リーチェン  ワン・ホンウェイ 
  • バンダイビジュアル
3.46
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569631947

感想・レビュー・書評

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  • 長江が川も山も人もひっくるめて、ゆっくりと、たゆたゆと流れる、そしてそのゆっくりした時間、それを味わった。しかし実は1回目は半分くらいで眠ってしまい、2度目でやっと最後まで見た。でも見終わって見ると、観客である自分も長江のゆったりした時間といっしょに流れたか、というような感覚になった。

    しかし画面はけっこうシュールな画がある。
     コンクリートの四角いビル?現代美術?みたいなのが、ロケットが発射するように黄色い煙を吐き上昇する。
     やっと夫に会えたが言葉も無く、流れる音楽でダンスをする。また展望橋のような所でも踊っている男女が5,6組。
     妻と会えた男は、空虚になったビルで妻と向き合いしゃがんで会話する。ビルの空間からは、なぜかビルとビルを綱渡りする男が背景に映る。

    現実的な場面では、仕事を終え次の現場に向かうとみられる男たちが、眠るためのフトン1枚を背にくくりつけ、荷物はそれだけで移動する。

    こういったひとつひとつの画面がなにかよかった。

    長江三峡ダム、建設途中の湖の静かな広い湖面、回りの山々、でも5,6階建の暗灰色のビルなんかもけっこう建っている、そして出来上がれば156mの深さになります、といってビル群を壊している。爆破もあるようだが、手斧で壊す労働者もたくさんいるのだ。人々はなんだかゆったりしている。そこに16年前に別れた妻子を訪ねて、また、2年前から音信不通の夫を訪ねて、男と女がやってくる。それぞれにそこの人に聞きながらさがすのだが、みんな親切なのだ。おれの家も今はあの川面の下さ、とか、ダムで沈む村になんともいえぬ思いを抱く若者。

    映画公式サイト、監督インタビュー
    https://bitters.co.jp/choukou/interview.html?msclkid=1afacd34a77011ecbef1e78e7c3c07e8
    不思議な建物が飛んで行く場面、ここがすごく気に入ったのだが、この場面を撮った意味を語っていた。この物体は湖底に沈んだ人たちの移住モニュメントなのだそうだ。お金が無くなり建設途中なのだそう。監督はこのモニュメントを見た時そぐわない、と思い、映画で飛ばすことにしたそうだ。


    2006中国
    2022.3.17BSプレミアム

  • パンフレットの解説にもありますが、この映画のポイントは監督(ジャ・ジャンクー)の『眼差しの深さ』にある。
    ゆえに、観客としては、あれこれ「考える」よりもまず「感じる」こと、、、例えば、10代(あるいかそれ以下)の感傷期の頃に、森林、廃墟、夕闇、あるいはガラクタな静物などに感じたような感覚、、、が先にくる。
    そのうえで、それらに対して、愛情を、あるいは怒りをもって見るか、は観客の自由でしょう。
    監督としては「庶民のリアルな現実」を切り取ることに終始しているので、それをどう思うかは観客に委ねられているでしょうから。

    ところで、この映画には、笑いというか、シュールなシーンが幾つかあります。
    ビル(正確にはタワーらしい)が、ロケットのように火を噴いて空を飛んで行ったり。
    最初全く理解できなかったけど(笑)。
    映画という制約された時間のなかでシュールさを描くことが難しいのか、単に自分がセンス(理解力)がないだけなのか(笑)。

  • 最初から最後まで静かですが
    しっかりと私の琴線を爪弾く映画でした。

    この映画の予告映像やポスターは悲恋や悲哀をにおわす。
    ダムの底に消え行く古き街・・・
    離れてしまった夫を
    訳あって別れてしまった妻を
    探し求めるそれぞれの姿・・・

    確かにシリアスで神妙な話しなのですが
    メランコリックさと
    おかしみが背中合わせでそこにあるように見えました。

    誤解を恐れずに言うなら・・・コメディ・・・かなぁ。
    うーん、コメディ・・・これはちょっと語弊があるなぁ。
    でも私には見え隠れするおかしみがとても強く愛おしく感じられました。

    山下敦弘監督が好きな監督だといっていたのがうなずけました。

    ※これを書いた後、他の方々のレビューを見てビックリ。
    こんなレビューを書いてるのは私だけ・・・
    でも嘘偽り無くそう思っちゃったんだからしょうがないです。
    そして嘘偽り無く大好きな映画ですし、
    ジャ・ジャンクー監督の他作品も強く見てみたいと思いました。

  •  なかなかに,深ーい内容だった。
     中国の巨大ダム・三峡ダムに沈む地域を舞台に,それまでの貴重な時間が,淡々と流れていく。中国の映画って,あまり見たことがないので,なかなか興味深く拝見した。
     それにしても,三峡ダムである。最も深いところで150mを超すんだからなあ。このダムのために,なんと100万人の人びとが移住したらしい。この巨大なダムは,それでも中国の必要な電力の1%しか担っていないそうだ。そして,中国は,さらに大きなダムを造ろうとしている…とあるテレビで言っていた。
     映画に戻る。
     映画の中には,沈んでしまう建物を壊しているようすが見られたのだけれども,なぜわざわざ壊すんだろう。鉄骨でも再利用するつもりなのかなと感じる場面もあったけど。
     何もかも巨大な中国は,描かれている景色もまた広大だ。その映像美は,なかなかのものがある。
     ただ,後半の部分で,ロケットのように飛び立ったのはなんだったのだろう。

    《NHKプレミアムシネマ》の解説を転載
     長江三峡。巨大ダムの建設により住民たちが立ち退きを余儀なくされる奉節に、16年前に妻子と別れた炭鉱夫ハン・サンミンと、三峡の工場に働きに出たまま音信不通の夫を2年も待つ看護師シェン・ホンが、山西省から訪ねてくる。国際的に活躍する
    中国のジャ・ジャンクー監督が、それぞれ胸に複雑な思いを抱える2人の男女と、沈みゆく古都に生きる人々の生活を詩情あふれる映像で描き、ベネチア映画祭金獅子賞を受賞した傑作。

  • 記録映画的な内容なんだが、退屈です。

    『長江哀歌』(ちょうこうエレジー、原題: 三峡好人)は、ジャ・ジャンクー監督による2006年の中国映画である。三峡ダム建設により水没する古都に住む人々が描かれる。製作は上海フィルム・スタジオとエクストリーム・ピクチャーズが共同で行った。
    2006年9月5日に第63回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、同映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した。(ウィキペディア)

  • 2023/1/26
    ロケーションと雰囲気は最高。

  • 離れ離れになった妻子を探す夫、夫を探す妻。国の政策のため消えゆく村で生きる人々の悲哀をすべてのみ込んでいく河。
    デカい国だけれど、そこに生きる人たちのノスタルジーまでも奪ってしまうのはどうなのかしらと思う。

  • 物悲しい人間模様が描かれているのだが、何を描きたいのかはよく分からない。
    突如として現れるUFOや建物の発射なども意味不明。
    背景や想いがあるのだろうが、映画をみているだけでは理解できなかった。

  • 思っていたのとは違った。
    眠くはならなかったけど、退屈だった。
    でも印象に残る映画だった。

  • TVにて
    沈む村,新たに生まれる長江の景観,夫を探す妻,16年前に出ていった妻を探す夫.淡々と流れる時間.ダムはやがて何もかもを飲み込んでしまうのだろう.

  • 三峡ダムに沈む町、奉節を舞台に描かれた映画。
    漢詩的、まさに中国映画であった。

  • 三峡ダムで水没が確定した町の話である。私にはよくわからない映画であった。
    う~ん。

  • 2015/07/10

  • バウスで観ておけばよかった。

  • 低彩度の落ち着いたトーンの中にときどき現れるアクセントは高い彩度で立ち上がり,そのコントラストに我々ははっとさせられる。ロケットのように飛び立つ奇妙な建造物のあとに残されたビビッドに青いボーダーのタンクトップ。離婚の話をしたあとに画面全体に広がるとてもとても濃い緑の山と河など。

    --
    煉瓦の壁にペンキで文字を書く男の背中の筋肉。

    烟(タバコ)
    ブリーフのガキがタバコを吸う。
    彩度の低い街の色。
    山盛りのうどんを食う男達の筋肉。


    村上春樹に似ている(顔が)。
    高コントラスト低彩度。
    女。錆のある風景。
    腕を失った男。
    億単位の金。
    責任。
    ウォーターサーバーからペットボトルに水をくみ飲む女。
    グォビンを探している。


    水面がほぼ白くなるぐらいのハイコントラスト。
    歌う少年,再登場。
    ペットボトルの水を飲み干し,またくむ女。
    殴られた男ととっちめに行く仲間たち。
    手と一緒に包帯が巻かれそうになるが女が巻き直す。
    フォーカスが徐々にあう。
    黒いブロックの塊のような奇妙なフォルムの建造物。
    またウォーターサーバーから少し水をくみ一口飲む女。
    本場の四川料理。
    グオビンがお世話になっている,という女のアップ。
    時計が並ぶ。
    ペアになって踊る複数の男女と夜景。
    奇妙なフォルムの建造物がロケットのように飛び立つ。
    画面に残るボーダー柄のタンクトップ。
    夫と再会。
    離婚話をする夫婦の背後で水を吐き出すダム。
    画面に緑が広がる。
    川の水位が156.3メートルになる。
    取り壊し決定,の字幕。
    映画スターの真似をしてかっこつける白シャツの友人。
    いつまでも着かないライター。
    雨。
    電話をかけると近くで鳴っている。
    瓦礫の中から聞こえた。
    白シャツの友人?
    小さなタグボートで送る。
    緑の山と河。

    男も再開した。娘はもっと南で働いている。
    今の夫はいい人か?夫じゃないわ。
    日に焼けたね。老けたのよ。
    なぜ16年も経ってから会いに来たの?タバコを吸う男。

    廃ビルの穴から見えるビル群。

    インタビュー
    ドキュメンタリーを撮るつもりで現場に入ったが物語がとりたくなった。
    10日もたたないうちに。

    モニュメント,去っていく人を祈念して設立された。
    資金がなくなり完成しなかった。

  • (2006年作品)

  • 再鑑賞。ジャ・ジャンクーの傑作。

    ダム建設に伴い水没することになる街で繰り広げられる、人々の暮らしにそっと寄り添うような映画。

    ダム建設で水没する街は、これから過去のものとなるわけで、そこに沈着した人々の記憶も、それとともに触れられない過去になっていく。なんとも無常。

    起伏の少ないストーリーや突如挿入される非現実的なシーンなど映画の捉え方によっては、観ても楽しめない方がいることは確か。

    ホウ・シャオシェンに通じるような温かな眼差しと、観賞後の味わい深い感覚は、好み。

  • 三峡ダムの建設により湖の底に沈む街にかつての恋人を探しもとめる男女の物語。全体の構成が非常に中国的だと感じた(4つのテーマ毎に章を分ける手法や、間接的な接点を持たせつつ主人公を二人設ける点が)。UFOやロケットの描写はあまりに唐突で本編を追う上で少し混乱した(監督インタビューを観て解決)。

  • (2006年 中国 監督:ジャ・ジャンクー)

    No.10 / 2o12

  • 限りなくドキュメンタリーに近いフィクション。移ろいゆく中国の時代背景をしっかりと見つめている貴重な作品です。でもあくまでこれは映画の話しである ということを確実に表現するあの方法は鬼才としか言えません。

  • 長いドキュメタリーを観ているかの 
ように整然と流れていく雰囲気の作品。 
風景が絶品で、中国の景色格差が痛々しいまでに 
浮き彫りにされています。 

三峡ダム建設により、古都が水没していく 
儚い風情と、そこに住む人々の心情哀歌。 
そして、愛する人を探して訪れる二組の男女が、 
私たち見る側と同じ、旅人の視点を持ってその地元の 
人々と交流し、人探しを手伝ってもらう構図。 

そして中国の早過ぎる都市化に追いつけずにいる人々の、 
日々の生活。労働格差が良く描かれていて 
何気に社会派な作品だなと思います。 

本作にはジャ・ジャンクー監督のインタヴューが収録されていて、それを観ると、さらにこの作品の理解が増す事でしょう。 
「青の稲妻」を観た時も、中国変貌期の中の風俗が 
巧みに描かれていて、圧倒されてました。 


名残惜しい望郷。その望郷を捨てて移住を余儀なくする 
多くの労働者の哀歌に耳を傾けてみる。

  • 映画館で見たかった。過去に生きた詩人達が愛した美しい情景と深い歴史をもつ古都、奉節県が舞台。長江の三峡ダム開発という巨大事業をめぐって、人も情景も、人の暮らしも、古きから新しきに変わっていく寂しさを描いている。切ない。映画の終わりにあるシーンの一つ、あめを舐めて見詰め合っているところへ突然の爆発音が鳴り響くシーンは、印象的。良かった。

  • 諸行無常ってこういうことなんだろうな。
    人の心も二千年の歴史をもつ街も、いつしか変わっていく。
    長江の流れのように。

    (2006年 中国)

  • 日本の昭和と照らし合わせると、60年くらいの幅をそのまま現代の中国は同時に持ち合わせているようだ。風景も景色も昭和20年代、30年代を思わせるような映像が続く。突然、もうひとりの「探す人」が登場すると、ポスターからも2003年頃とわかる。
    長江もきれい。三峡ダム計画が容赦なく「古さ」を一掃していく。
    小津安二郎を彷彿とさせるという形容はよく当たっていると思う。

  • 原題:三峽好人
    ( 2006 / 113min / ジャ・ジャンクー / 中国 )

    ドキュメンタリー的な手法を取り入れうんぬんと、話は聞いていましたが、本当にドキュメンタリー的でした。けど、突然ロケットが発射したり、人が綱渡りをしていたり、あれはシュール?笑

  • 静かな語り口のなか所々にあらわれるシュールな演出が気になりました。

    (2006年 ジャ・ジャンクー監督)

  • ジャ・ジャンクー監督作品。
    レンタルにて鑑賞。

    以下あらすじ、ネタバレ


    長江・三峡。船を下りた男は、16年前に別れた妻子を探しに、山西省からやってきた炭鉱夫サンミン(ハン・サンミン)。昔、妻(マー・リーチェン)が住んでいた場所に連れてきてもらうが、すでにそこは三峡ダム建設で水の底に沈んでいた。サンミンは、しばらく三峡の街・奉節(フォンジェ)に腰を落ち着け、妻子を探すことに決める。宿の主人が、妻の兄の居場所を教えてくれた。サンミンは義兄を訪ねる。義兄は、サンミンの妻ヤオメイはもっと南の街で船に乗って仕事をしているという。翌日からサンミンは、住民が移住した建物の解体作業に精を出す。サンミンが眺める峡谷を、同じく眺めている女がいる。彼女の名はシェン・ホン(チャオ・タオ)。三峡の工場に働きに出て2年間音信不通の夫グォ・ビン(リー・チュウビン)を探しに山西省からやってきた。シェン・ホンは、夫の友人トンミン(ワン・ホンウェイ)を訪ねる。トンミンは夫の今の職場である住民撤去管理部に案内してくれたが、夫は留守だった。住民立ち退きを違法にやっているらしい若い衆が、グォさんは独身だが経営者のディン女史と怪しい仲だと言う。その夜2人は、夫が経営する社交ダンス場へ出かける。昔、夫はダンスなんかしなかったのに、とシェン・ホンが呟く。翌日、シェン・ホンはようやく奉節に戻って来た夫に会う。好きな人ができ、明日その人と上海行きの船に乗る、別れよう、と彼女は嘘をつく。翌日、シェン・ホンは一人で客船に乗る。一方、サンミンはグォ・ビンのもとで働くマーク(チョウ・リン)と意気投合し食事をする約束をするが、彼は現れない。マークは解体現場で死亡していた。サンミンは義兄からヤオメイが戻ったとの連絡を受ける。彼女は兄の借金のかたにとられていた。彼女を囲っている男は、ヤオメイを連れて帰るなら彼女の兄に貸した3万元を返せという。サンミンは金をつくるために、山西省に帰り炭鉱の仕事をすることを決心する。


    ダムに沈む町に哀しみを背負う男女の二人はよく合っていた。

    時に映る雄大な自然もその二人のむなしさをよりいっそう際立っていたと思う。

    丁寧に撮られた秀作ではあると思うが、想像を超えることはなかったかな。

    今の私の感性からしてだけど。

    またもう少ししたら見かえしたい。

  • 例えるならX軸上に真逆に流れる人々の欲望と長江という現実、Y軸上の下から上に水という時間。

    流れにのるもの、流れに逆らうもの、それを嘲笑うかのように時間という名の水が人々全体を飲み込み、何もかもが沈む。

    人生の不可逆性。大きな流れの前には、人々の善行悪行努力放棄すべてが等価値に感じられた。それでも抗う人間の力強さ、受け入れる寛容さ、共通して根底に流れる生きるという美しさ。

    無情な流れの中に確かな力強さを感じる映画でした。

    【2008.04 劇場にて鑑賞】

  • ストーリーとしてはよくみえてこなかった。

    現実を反映した?三峡ダム付近の話は興味をもってみれた、
    途中眠くなったけど。

  • まさにエレジー。社会の底辺に生きる人々を情熱と冷静のはざまで見つめる視線は、やさしい。

    最後のカットは秀逸。カッコ良すぎる。

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