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- / ISBN・EAN: 4934569631947
感想・レビュー・書評
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長江が川も山も人もひっくるめて、ゆっくりと、たゆたゆと流れる、そしてそのゆっくりした時間、それを味わった。しかし実は1回目は半分くらいで眠ってしまい、2度目でやっと最後まで見た。でも見終わって見ると、観客である自分も長江のゆったりした時間といっしょに流れたか、というような感覚になった。
しかし画面はけっこうシュールな画がある。
コンクリートの四角いビル?現代美術?みたいなのが、ロケットが発射するように黄色い煙を吐き上昇する。
やっと夫に会えたが言葉も無く、流れる音楽でダンスをする。また展望橋のような所でも踊っている男女が5,6組。
妻と会えた男は、空虚になったビルで妻と向き合いしゃがんで会話する。ビルの空間からは、なぜかビルとビルを綱渡りする男が背景に映る。
現実的な場面では、仕事を終え次の現場に向かうとみられる男たちが、眠るためのフトン1枚を背にくくりつけ、荷物はそれだけで移動する。
こういったひとつひとつの画面がなにかよかった。
長江三峡ダム、建設途中の湖の静かな広い湖面、回りの山々、でも5,6階建の暗灰色のビルなんかもけっこう建っている、そして出来上がれば156mの深さになります、といってビル群を壊している。爆破もあるようだが、手斧で壊す労働者もたくさんいるのだ。人々はなんだかゆったりしている。そこに16年前に別れた妻子を訪ねて、また、2年前から音信不通の夫を訪ねて、男と女がやってくる。それぞれにそこの人に聞きながらさがすのだが、みんな親切なのだ。おれの家も今はあの川面の下さ、とか、ダムで沈む村になんともいえぬ思いを抱く若者。
映画公式サイト、監督インタビュー
https://bitters.co.jp/choukou/interview.html?msclkid=1afacd34a77011ecbef1e78e7c3c07e8
不思議な建物が飛んで行く場面、ここがすごく気に入ったのだが、この場面を撮った意味を語っていた。この物体は湖底に沈んだ人たちの移住モニュメントなのだそうだ。お金が無くなり建設途中なのだそう。監督はこのモニュメントを見た時そぐわない、と思い、映画で飛ばすことにしたそうだ。
2006中国
2022.3.17BSプレミアム詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パンフレットの解説にもありますが、この映画のポイントは監督(ジャ・ジャンクー)の『眼差しの深さ』にある。
ゆえに、観客としては、あれこれ「考える」よりもまず「感じる」こと、、、例えば、10代(あるいかそれ以下)の感傷期の頃に、森林、廃墟、夕闇、あるいはガラクタな静物などに感じたような感覚、、、が先にくる。
そのうえで、それらに対して、愛情を、あるいは怒りをもって見るか、は観客の自由でしょう。
監督としては「庶民のリアルな現実」を切り取ることに終始しているので、それをどう思うかは観客に委ねられているでしょうから。
ところで、この映画には、笑いというか、シュールなシーンが幾つかあります。
ビル(正確にはタワーらしい)が、ロケットのように火を噴いて空を飛んで行ったり。
最初全く理解できなかったけど(笑)。
映画という制約された時間のなかでシュールさを描くことが難しいのか、単に自分がセンス(理解力)がないだけなのか(笑)。 -
最初から最後まで静かですが
しっかりと私の琴線を爪弾く映画でした。
この映画の予告映像やポスターは悲恋や悲哀をにおわす。
ダムの底に消え行く古き街・・・
離れてしまった夫を
訳あって別れてしまった妻を
探し求めるそれぞれの姿・・・
確かにシリアスで神妙な話しなのですが
メランコリックさと
おかしみが背中合わせでそこにあるように見えました。
誤解を恐れずに言うなら・・・コメディ・・・かなぁ。
うーん、コメディ・・・これはちょっと語弊があるなぁ。
でも私には見え隠れするおかしみがとても強く愛おしく感じられました。
山下敦弘監督が好きな監督だといっていたのがうなずけました。
※これを書いた後、他の方々のレビューを見てビックリ。
こんなレビューを書いてるのは私だけ・・・
でも嘘偽り無くそう思っちゃったんだからしょうがないです。
そして嘘偽り無く大好きな映画ですし、
ジャ・ジャンクー監督の他作品も強く見てみたいと思いました。 -
なかなかに,深ーい内容だった。
中国の巨大ダム・三峡ダムに沈む地域を舞台に,それまでの貴重な時間が,淡々と流れていく。中国の映画って,あまり見たことがないので,なかなか興味深く拝見した。
それにしても,三峡ダムである。最も深いところで150mを超すんだからなあ。このダムのために,なんと100万人の人びとが移住したらしい。この巨大なダムは,それでも中国の必要な電力の1%しか担っていないそうだ。そして,中国は,さらに大きなダムを造ろうとしている…とあるテレビで言っていた。
映画に戻る。
映画の中には,沈んでしまう建物を壊しているようすが見られたのだけれども,なぜわざわざ壊すんだろう。鉄骨でも再利用するつもりなのかなと感じる場面もあったけど。
何もかも巨大な中国は,描かれている景色もまた広大だ。その映像美は,なかなかのものがある。
ただ,後半の部分で,ロケットのように飛び立ったのはなんだったのだろう。
《NHKプレミアムシネマ》の解説を転載
長江三峡。巨大ダムの建設により住民たちが立ち退きを余儀なくされる奉節に、16年前に妻子と別れた炭鉱夫ハン・サンミンと、三峡の工場に働きに出たまま音信不通の夫を2年も待つ看護師シェン・ホンが、山西省から訪ねてくる。国際的に活躍する
中国のジャ・ジャンクー監督が、それぞれ胸に複雑な思いを抱える2人の男女と、沈みゆく古都に生きる人々の生活を詩情あふれる映像で描き、ベネチア映画祭金獅子賞を受賞した傑作。 -
2023/1/26
ロケーションと雰囲気は最高。 -
思っていたのとは違った。
眠くはならなかったけど、退屈だった。
でも印象に残る映画だった。 -
TVにて
沈む村,新たに生まれる長江の景観,夫を探す妻,16年前に出ていった妻を探す夫.淡々と流れる時間.ダムはやがて何もかもを飲み込んでしまうのだろう. -
三峡ダムに沈む町、奉節を舞台に描かれた映画。
漢詩的、まさに中国映画であった。 -
三峡ダムで水没が確定した町の話である。私にはよくわからない映画であった。
う~ん。 -
2015/07/10
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バウスで観ておけばよかった。
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(2006年作品)
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三峡ダムの建設により湖の底に沈む街にかつての恋人を探しもとめる男女の物語。全体の構成が非常に中国的だと感じた(4つのテーマ毎に章を分ける手法や、間接的な接点を持たせつつ主人公を二人設ける点が)。UFOやロケットの描写はあまりに唐突で本編を追う上で少し混乱した(監督インタビューを観て解決)。
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(2006年 中国 監督:ジャ・ジャンクー)
No.10 / 2o12 -
限りなくドキュメンタリーに近いフィクション。移ろいゆく中国の時代背景をしっかりと見つめている貴重な作品です。でもあくまでこれは映画の話しである ということを確実に表現するあの方法は鬼才としか言えません。
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諸行無常ってこういうことなんだろうな。
人の心も二千年の歴史をもつ街も、いつしか変わっていく。
長江の流れのように。
(2006年 中国) -
日本の昭和と照らし合わせると、60年くらいの幅をそのまま現代の中国は同時に持ち合わせているようだ。風景も景色も昭和20年代、30年代を思わせるような映像が続く。突然、もうひとりの「探す人」が登場すると、ポスターからも2003年頃とわかる。
長江もきれい。三峡ダム計画が容赦なく「古さ」を一掃していく。
小津安二郎を彷彿とさせるという形容はよく当たっていると思う。 -
原題:三峽好人
( 2006 / 113min / ジャ・ジャンクー / 中国 )
ドキュメンタリー的な手法を取り入れうんぬんと、話は聞いていましたが、本当にドキュメンタリー的でした。けど、突然ロケットが発射したり、人が綱渡りをしていたり、あれはシュール?笑 -
静かな語り口のなか所々にあらわれるシュールな演出が気になりました。
(2006年 ジャ・ジャンクー監督) -
例えるならX軸上に真逆に流れる人々の欲望と長江という現実、Y軸上の下から上に水という時間。
流れにのるもの、流れに逆らうもの、それを嘲笑うかのように時間という名の水が人々全体を飲み込み、何もかもが沈む。
人生の不可逆性。大きな流れの前には、人々の善行悪行努力放棄すべてが等価値に感じられた。それでも抗う人間の力強さ、受け入れる寛容さ、共通して根底に流れる生きるという美しさ。
無情な流れの中に確かな力強さを感じる映画でした。
【2008.04 劇場にて鑑賞】 -
ストーリーとしてはよくみえてこなかった。
現実を反映した?三峡ダム付近の話は興味をもってみれた、
途中眠くなったけど。 -
まさにエレジー。社会の底辺に生きる人々を情熱と冷静のはざまで見つめる視線は、やさしい。
最後のカットは秀逸。カッコ良すぎる。