- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4933364611079
感想・レビュー・書評
-
_†_ \エリオット⇔ビバリー/ _†_
一卵性双生児として産まれた兄:エリオット、弟:ビバリー。
だが性格は兄が野心家・社交的であるのに対し、
弟のビバリーは努力家・内気。
そんなふたりは婦人科のクリニックを開く。
ある日、診察した女優:クレア(ジュヌビエーブ・ビジョルド)の子宮が特異なことにビバリーが気づき…
彼はクレアに恋心を抱く。クレアは兄エリオットと関係を持つ。
だがクレアはエリオットに双子の弟が居ることを知らない。
やがて 不思議で異様な三角関係が始まり***
ジェレミー・アイアンズの二役に圧倒される。
デヴィッド・クローネンバーグ監督の作品というと、何かいつも驚かされてばかりいる。
本作でも“一卵性双生児”という《運命共同体》を、「驚きの演出」と「物体(本編で登場する小道具)」で驚かせて下さっている。
また、共演しているジュヌビエーブ・ビジョルドが実に良い味を出している。
ビジョルドというと私は、「1000日のアン」で受けた可憐な印象が強いのだが。
本作では双生児である産婦人科医の兄弟に翻弄されるという不妊症の女優役に扮している。
この作品の公開当時、彼女は46歳だったらしいが昔の可憐なイメージが未だ残っていて素敵だった。
クローネンバーグの世界観に思いきり嵌ってみようと、という方は必見の一作と言えよう。
まるで、
《何かのオブジェのようなオペ器具》の不気味さ、
アイアンズによる双子の怪演は鳥肌もの。
これぞクローネンバーグ!
1988年製作のまさに《戦慄の逸品》である。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実際にあった事件を元にしたサイコスリラー作品。性格が正反対だが強い絆で結ばれた双子の美麗秀才産婦人科医(!)の兄弟。彼らが一人の女性と出会ったことでその「完結した双子の輪」が崩れていき、やがて二人とも崩壊してしまう様を美しく描き出す。
オープニング、彼らが考案しデザインした手術具が映し出されるが、その流線美とスチール感、赤い背景…これぞクローネンバーグ!な絵柄だ。だが、その手術具(道具)のデザインと性質からまるで中世期の拷問具のごときまがまがしさと同時に、総毛立つほどのナルシズムを感じたのは私だけではあるまい。
双子の兄弟はおのおのが精神と身体として機能しあい、互いに分け合うことで完結していた。その双子の完全なる関係性を壊すのは「女(女優)」なのだ。心を奪われ(彼女の何に双子は心奪われたかがまた!)双子は互いに分け合えなくなりバランスを崩し、最後はその双子の自己崩壊で一体化する。
…これほど明快にミソジニー(女性嫌悪感情)の原理を表した物語(しかもおぞましいほどに毒々しい赤を基調にした美しい絵だ!)を私は知らない。デヴィッド・クローネンバーグ監督本人があまりにミソジニー的だとの指摘に対して「そうだ」と認めているほど。が、だから故に観て欲しい作品なのだ。「そういう消費(いわゆるオカズ)」を拒絶する硬質さがあるため、己は何を感じたか?を探り出せるはずだ。 -
人体の構造、そして双子ならではの運命に強い関心を持っているっぽいクローネンバーグ監督ということで、この映像の空気はこの監督でしかあり得ないものと改めて思わされる…なぜなのかうまく説明できないのですが、シーバースから最近の作品まで貫徹している空気…クールな佇まいに音を立てず崩れそうな脆さが同居している、みたいな。同性だとか兄弟だとか、そうした愛を軽々と超えた双子の愛は異様なんですが、ヒシヒシと伝わる不思議!2人をほぼ軸に進むので展開は一本道な感じですが、重さ濃厚さは十二分に。
-
クローネンバーグにしては、イマジネーション異空間度は低め。