ボディヒート アンレイテッド・エディション [DVD]

監督 : カット・シア・ルーベン 
出演 : ドリュー・バリモア  サラ・ギルバート  トム・スケリット  シェリル・ラッド  レオナルド・ディカプリオ 
  • Happinet(SB)(D)
3.25
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953025950

感想・レビュー・書評

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  • アメリカのハイスクール映画って(日本もそうか?)、どう見たって女子高生に見えない人が演じていたりする。だから、このドリュー・バリモアも、あんまりにもお色気たっぷりなので「こりゃ絶対、20歳過ぎているよな」と調べてみたら、なんと17歳。恐るべきドリュー。
    話の筋はご都合主義的なところが多々あるけど、やっぱり幸福な家庭が崩壊していくのを見るのって楽しいもんなんだな、と反省しつつ観てしまいました。

  • 恍惚とした表情をうかべ、あえぐように顎をそらせるドリューの、うつくしい横顔が印刷された、赤い扇情的なパッケージ。白い文字で右端にコピーがうたれている。いわく「少女と呼ぶには危険すぎる」タイトルは「ボディヒート」もう17年もまえの映画だ。レンタルビデオ店(あのころはまだDVDなど普及していなかった)ではエロティック・サスペンスとか、そんな棚にこの作品はおかれていて、これでだいたいどういう映画なのか想像できるだろうけれど、でもその想像はたぶん3割程度しかあたっていない。ドリューの太股はたしかにエロテックだし、筋書きもスリル、ショック、サスペンス。しかし、そのまえにこれはうつくしい少女映画であり、またかなしい青春劇なのだ。すいぶんむかしの記憶だから正確かどうかわからないが、冒頭、蔦のからまる赤茶けた煉瓦を背景に、ブランコを漕ぐドリューの姿が映し出され、おもわず見惚れたのをおぼえている。

    ミニスカートに編み上げブーツを履いた彼女は、波うつゆたかな金色の髪をなびかせながら、ほそいが肉感的な脚をあげたりさげたりしていた。ときどきちらりと太股の入れ墨がのぞく。彫られているのは十字架、それと蔦(Ivy)そこへ別の少女のナレーションがはいる。うえのくちびるはしたのくちびるをあんじするんですって、わたしはレズじゃない、でもそうかも、いいえやっぱりちがう。縮れた黒髪の、地味なメガネっ子シルビー(サラ・ギルバート)もまた、ドリューに見惚れている。そしてとまどいながらゆれる感情を吐露する。それくらい16歳の彼女は妖しく可憐で、とにかくとくべつだった。はかなさとあやうさと不健康な魅力にあふれていた。健康的でほがらかで、いまではその笑顔を「太陽のような」と形容されるドリューだけれど、子役らしく早回しの人生(9歳で飲酒、10歳でマリファナ、12歳でコカイン)をあゆんでいた彼女は、さまざまな中毒を克服し、この映画でスクリーンに返り咲いたのだ。このころはバッドガールのイメージで売り出したばかり。これからしばらく影のある少女役がつづく。

    「ボディヒート」の原題は「Poison Ivy」アイビーはドリューの役名でもある。この作品でえがかれるのは、シルビーとアイビーの、ちょっとあぶなっかしいレズビアン的な友情と、愛と誘惑と裏切りだ。さきほどの場面で物陰からアイビーをのぞいていたシルビーは、観客とおなじように少女に釘付けになっている。くらく、うつむきがちで、コンプレックスの塊のシルビーは、べつの意味でやはり浮いた存在の、アイビーにつよく惹かれていた。わたしはレズじゃない、シルビーはそうひとりごちるが、その傾倒の仕方は多分にレズビアン的だ。シルビーはアイビーに声をかけ、ふたりは急速にしたしくなる。でもその関係は健全とはいいがたい。アイビーの気をひくためならシルビーは嘘までついた。ふたりはまるで女王様と下僕。シルビーはアイビーのいいなりで、ショッピングへでかけても、買うのはアイビー、支払いはシルビー。それでもふたりはいつも一緒にいる。

    外見はまったくちがうけれど、少女たちはおたがい孤独だった。好き勝手にふるまいつづけるアイビーと、なにをされても彼女をゆるしてしまうシルビー。しかし、いびつだが幸福なその関係も、徐々にほころびをみせてくる。ふしぎな魅力をもつアイビーは、シルビーの両親にも気に入られ、身寄りがないという彼女を、やがてかれらは家にまねきいれるのだけれど、それが崩壊への序曲となった。シルビーは初め、その同居をこころからよろこぶ。でもそれまでだった。アイビーが欲望を暴走させたからだ。シルビーがもっているすべてのものを、アイビーは欲しがった。豪奢な屋敷、ママ(シェリル・ラッド)の宝石、それからやさしいパパ(トム・スケリット)までも。パパはあっさりと陥落し、病床にふせるママもそれをしってしまう。ラスト、ママのガウンをまといベランダにたたずむアイビーをみつけ、シルビーはやっと感情をあらわにする。みたことのない彼女のつよさはげしさを目の当たりにして、アイビーはひどく狼狽える。そのシーンがとてもせつない。あと、レオナルド・ディカプリオがクレジットされているが、その出演箇所は不明。

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    わたしはほんとうにこの映画がだいすきで、数百円で手に入れた中古品のビデオをくりかえしくりかえし観ていた。のだけれど、これを書いたあと、ひさしぶりにまた観たくなって、アマゾンでDVDを注文したらばこれが、いまあらためて観てもすごくおもしろい。かつて夢中になったものだとしても、そのほとんどは歳をとればがらくたになってしまう。でも「ボディヒート」はちがう。むかしとおなじように冒頭からひきこまれる。ブランコを漕ぐアイビーが、やはりとてもうつくしい。ところどころにわすれていた場面、記憶と異なるシーンもはさまれていた。それを観るにつけ、わたしはいつのまにか、思い出のなかで彼女を美化していたのだと気づく。実際のアイビーは、思い出のなかのそれよりも、もっとずっとわるかった。彼女のいいなりだったシルビーが、はげしい感情をはじめてぶつけるのはベランダでなく、ドライブの場面なのだが、このときアイビーは狼狽えてなどいなかったし、その態度は最後まで一貫している。せつないのは、エンドロールの直前にながれるシルビーのナレーションだ。””わすれられない、まだアイビーをあいしている、かのじょがこいしい、わたしよりこどくだったのらねこ””

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