ウィッカーマン (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第4弾) [DVD]

監督 : ロビン・ハーディ 
出演 : エドワード・ウッドワード  クリストファー・リー  ブリット・エクランド 
  • ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
3.80
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本棚登録 : 47
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4571264906477

感想・レビュー・書評

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  • 本作を知ったのは御多分に漏れず、アリ・アスター「ミッドサマー」の元ネタのひとつとして。
    ・「ミッドサマー」2019:北欧はスウェーデン:ルーン文字など古代ゲルマン
    ・「ウィッカーマン」1973:イギリスはスコットランド西、ヘブリディーズ諸島のサマーアイル島:ストーンサークルやドルイドなど古代ケルト文化
    「ミッドサマー」鑑賞後に、幻のカルト映画という触れ込みでネット記事を漁ったり、
    レンタル屋にあるので仕方なく(!?)、ニール・ラビュート監督、ニコラス・ケイジ主演のリメイク版2006を見たり、していた。
    このたびサブスクで簡単に見られると知って、勢い込んで鑑賞した。ほぼネタバレを踏んだ鑑賞ということ。

    幻の……というのは、内容やクオリティとはやや異なる文脈で、
    プロデューサーに気に入られなかったためにイギリスでの興行自体が、小規模だった、というか、不入りになるように仕組まれたんだとか、
    まあ不幸なプチ・トラブルというところだろう。
    しかし「赤い影」との二本立てという(後に見れば伝説的な)興行や、
    海外――たとえば日本に比較的安価でテレビ放映許可が出た結果、
    いわば視聴者側からの草の根的な、幼い頃に見たトラウマ、という映画的な評価があって、
    2022年度現在、サブスクリプションでアクセスできる状況を作り出しだんだろう。
    素人としては経緯を想像しながら愉しませてもらうだけだが……、実に楽しませてもらった。
    高橋洋が脚本を書き中田秀夫が監督した「女優霊」1996のように、作り手が幼い頃に偶然見てバチクソビビったアレコレが新感覚で復活するのを、楽しむのと同時に、その影響元を遡って見るのもまた楽しい。
    きっと深夜のテレビ放送でアクシンデント的に出会ったら一生トラウマになる映画だったんだろうな。
    ほとんど50年前の映画を愉しめるのが嬉しい。

    以上くだくだしい前書き。
    以下、作品の内容について、くだくだしく。

    ・wikipediaにいわく「ミステリアスなフォークミュージカル風恐怖ドラマ」! 確かに、無駄に歌が差し挟まれ、無駄に視点人物が翻弄される。
    ・好きなポッドキャスト「謎解き!ハードボイルド読書探偵局」の「ゴールデンウィークのウィッカーマン」回で再三言及されていたが、諸星大二郎っぽい。考古学者稗田礼二郎が出くわした異文化を解説するというフォーマットだが、本作では「負けた稗田」を想像することもできそう。
    奇祭映画という呼び名もあるらしい。稗田なら奇祭に直面しても寸でのところで躱して語りを残すが、本作の語り手は結果的に飲み込まれる……というか当事者として引き込まれてしまう。
    ・おぞましき暗き因習……という描写でなく、開けっぴろげで明るいのが、案外に怖い。この点「ミッドサマー」の明るさと同じ。
    ・淫猥で騒々しい村人たちが、宿屋の娘をあてがってくるシーンに、まず笑う。なんで隣室から!? なんで壁を叩いて誘惑!? なんで尻振りダンス!? 「死霊の盆踊り」か!? しかし落ち着いて考えてみると、視点人物の一人称から逸脱しているので、もしかしたら童貞たる彼の悶々とした妄想なのかもしれない……ということはロマン・ポランスキー「反撥」1965のカトリーヌ・ドヌーヴ、トニー・リチャードソン「マドモアゼル」1966のジャンヌ・モローといった、性的鬱屈でおかしくなる女たちの反転像として考えることもできるか……いや考え過ぎだな。
    ・この直後、明らかにヒッピーカルチャーを模倣したような野外乱交を目撃する場面があるが、資本主義文化から脱しようと声高に叫ぶ反面、ある程度モノに依存していることの浅さ、と重なって見える。この村人たち、古代宗教を完璧に妄信しているかと言われたら、意外とそうでもないんじゃね、損得勘定の結果信じるていで生活しているんじゃね、と疑えそう。
    ・クリストファー・リーがこれぞ怪演! するサマーアイル卿が、祖父の世代が古代宗教に戻したところ林檎が豊作になったと説明している場面から、信仰のいわば底が割れる。結局は経済の論理が働いた結果のハリボテの信仰で、指導者ははっきり迷信とわかっていても不作の矛先を逸らすために生贄の儀式をやっていて、追随する村人たちも恐らくわかってやっているが、集団全体で自己欺瞞した結果、こういう島の文化が生まれて続いているんじゃないか、という考察。
    ・キリスト教と迷信の対立、と映画全体を表面的には言えるだろうが、視点人物の傲慢さ・感じ悪さ・頑なさは、意図的・露悪的に描写されているので、キリスト教側の迫害精神への批判的言及でもある。
    ・ということは、正統・対・異端、という図式を想定した上で、正統なキリスト教も排斥主義に満ちたハリボテに過ぎず、異端的な原始宗教も担い手が現代資本主義に侵されているのでハリボテに過ぎない、という、究極的にはハリボテ対ハリボテでどっちが勝つか、という図式。
    ・宗教対立と一言で表現はできるかもしれないが、その裏には、ただ分かり合えない他者がいるだけで、それに気づいたときは何もかも手遅れ、という、……人ってこんなものよね。
    ・以上は「ミッドサマー」鑑賞後の胡散臭さを言語化したものでもある……きっと誤読も大いに含む深読みを書いてしまったが、本当なら、笑顔でブンブン腕を振って歌うサマーアイル卿(女装!)(自ら企画しただけあって、ノリノリ!)が素晴らしかった、というだけで十分かもしれない。
    ・頑なだった思春期の自分を思い出したりもして……文化祭のヒャッホーなノリについていけない童貞自意識の重さ・辛さとか。
    ・ロビン・ハーディ監督が自らリメイクしている、The Wicker Tree (Full Movie 2011)
    https://www.youtube.com/watch?v=3qaqPsTscv0
    続編でもあり、現代に置き換え再構築したものでもあり……字幕がないのでちゃんと見ていないけど。数年後に見るかも。

  • ワケワカメな映画でしたねぇ…けれども、最後まで観てしまいました…住人全員が何かの宗教に入信している国、というもがもしあればこんな感じなんでしょうか…みたいなことを想像しながら観ました。社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    なんか音楽が素敵ですねぇ…そして、主人公が童貞? 童貞はピュアーな存在でいけにえとして最適!みたいな価値観が素敵でしたねぇ…(!)

    まあ、ともかくよく分からん映画でしたけれども、撮影現場は楽しそうだな…と思いましたよ…さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • ウィッカーマン(73英)。
    行方不明となった少女を探しに土着信仰が根強い島に敬虔なキリスト教徒の警部が訪れる話。スコットランドの牧歌的な映像は美しく、その美しさが不気味さを引き立てている。追う立場から追われる立場への転換は怖く、いつ殺されるかという緊迫感は最高であった。

  • 今まで観た中で最高のホラー映画。

  • 楽しそうな島じゃないですか。
    島民も警官も同じだね。

  • 村の独特さは、本当に興味深い。おかげで映像としての独創性があったな。

  • どっちが本当に狂気なんだろう。




    あと本気キリスト教の人はどう見るんだろう。

  • 期待の割にいまいちだったけれど、こういったカルト作品が1500円で手に入るなんて素晴らしい時代だと思う。

  • 異教徒ホラーとでもいいましょうか。

    ニコラスケイジ主演のリメイクもあるんですが、このオリジナルの方が狂気が迸ってます。

    この日本版は88分のバージョン。
    ということは劇場公開版ですね。
    この映画は数奇な運命を辿って本来監督が編集したバージョンがさらに別の人によって刻まれたり、ポジ・ネガテープが喪失したりとなにかと話題にはことかかないのですが、
    どうやらディレクターズカットの11分延長の99分バージョンも存在するようです。
    その一部はこの日本版に含まれている特典映像の「ウィッカーマン・エニグマ」でも見れるのですが、全編通してみたいかな。
    ディレクターズカット版は輸入版に頼るしかないようです。

    ところで、この映画、ミュージカルでは??
    裸体で踊るミュージカル。
    そして、ラストの踊り・・・・すんごい怖いんですけどぉ。

  • 伝説のカルト映画!
    ということで、かなり面白い。面白いが、カルトというにはちょっと物足りない気がする。
    というか文字通り「カルト」の映画という理解で良いのでしょうかね?
    キリスト教になじみがない分、日本人にはツボがわかりにくいような気もする。
    欧米人にとってはかなり危ない話なのだろうな。
    役者はみな良いが、クリストファー・リーが特にカッコよい。

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