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- / ISBN・EAN: 4988105058583
感想・レビュー・書評
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"男はつらいよ"第26作。さくら一家もついにマイホーム。寅さんの部屋がちゃんと用意されているのが泣ける。感激した寅さんはご祝儀を奮発するも。。。飛び出した寅さんは昔馴染みの訃報を聞き奥尻島へと。そこに残された娘の、東京に出て働きながら夜学へ通いたいという願いを容れて葛飾へと帰る二人。
山田洋次監督らしい夜学での人情ものでじーんとくる。寅さんも親代わりと言うだけあって、色恋話はほぼなし。最後の一波乱で怒る寅さんは多少狭量に思えなくはないけれど、決して恋に破れて怒ったのではなかろうよ。自分も夜学に興味を示していた寅さん、夜学の先生がさくらに語るように、勉強を大事にしてほしいという思いだったんじゃないかな。
と、しみじみしているところにラストお遍路で登場のあき竹城でぶち壊し笑。ストリップは勘弁な。。。 -
1980年、松竹映画。監督は山田洋次。シリーズ第26作です。
主演は渥美清。マドンナ役は伊藤蘭。
そのほか共演としては、寅さんファミリーでは、倍賞千恵子、前田吟、中村はやと、下條正巳、三崎千恵子、太宰久雄、佐藤蛾次郎、笠智衆で、準レギュラーとして米倉斉加年、松村達雄(今回は定時制高校の教師)、吉田義夫、関敬六らがいます。
その他の登場人物としては、村田雄浩、園佳也子、あき竹城、杉山とく子、林家珍平、梅津栄、田中美佐子らになります。
今回の『男はつらいよ』は後年によく取り上げられたずばり「父親」寅さんですね!
かつてのテキ屋仲間の一人娘である伊藤蘭への「父親」として奮闘する姿がおかしくもあり、ほほえましくもあるところが良かったです。(^o^)
高校に行きたいという伊藤蘭に付き添って奥尻島から柴又へ帰ってきた寅さん。
高校というだけに寅さんとは完全に世界が違っているにもかかわらず、しゃあしゃあと絡んでくる寅さんが楽しかったです。
それに諏訪一家の家購入祝いとか、入学試験に関連して、ところどころでお金ネタがあったのにも笑えました。源ちゃん可哀想に、あれは反故だろうなあ。(笑)
いつもの片想い相手に対する以上に甲斐甲斐しく接する様は、いつも以上に寅さんの人情味が溢れていたとともに、そしていつもの恋愛話以上に最後は切なかったなあ。
ラストに向かって伊藤蘭の恋人の村田雄浩が登場してきたところからちょっと違和感が出始めましたが、まあ今回は寅さんの恋愛話でも無かったので、多少の唐突感は仕方がないか。
学校や「父親」をストーリーの柱に据えた物語構成は、山田洋次監督の後年への発展が垣間見えたようでなかなか興味深かったです。
一貫としたストーリー展開で、きっちりと『男はつらいよ』のテイストをまんべんに盛り込んだ円熟期の佳作と思います。
これだから『男はつらいよ』はやめられないね。(^o^) -
出ました、センター蘭ちゃん!
77年の解散から3年後、本シリーズへの出演が決まった点から言っても女優としてのキャリアを着実に積み上げていっていたころなのだろう。とはいえ当時25歳の彼女は若さ前面の美しさ、寅さんの相手役としては少々若すぎ、はてさてどういう脚本で持っていくのかと追っかけてみると比較対象で言うところの第7作での榊原るみの役どころに近い感じで仕上げてあった。寅のちぐはぐで不器用な「父性」を堪能できる仕組みとなっている。
それにしても松村おいちゃんに再会出来たのは喜。それもなかなか重要な役どころ&重厚な演技、どっぷり楽しませていただいた。とある評価者からは「本作がのちの山田監督作品『学校』につながる。」と述べられていたので早々に借りてきた。楽しみである。
村田雄浩は若すぎてスルーしかけるも直後に「ミンボーの女」(1992) でじっくり鑑賞させていただいて印象復活。映画業界は79年のデビューということでこれからも末永く彼の仕事ぶりを追っかけてゆきたい。 -
寅さんが死んだ友人の娘の東京に出て夜間高校に入りたいという夢の為に奔走する。
うーん、これはこれまでの寅さんの中で最もよくない作品かもしれない。
伊藤蘭の可愛さはすごいんだけど、やっと入った夜間高校をあっさり辞めてしまうのはなぁ。寅さんとも恋愛未満のままだしなぁ。
あと、マドンナが朝帰りしてしまうのは、それまで性を表立って描いてなかった寅さんとしては歪な感じがした。
この消化不良感が『学校』シリーズを生んだのかもしれない。。。 -
諏訪家がマイホームを購入。二階に自分の部屋が用意されていると知って感激する寅次郎のくだり良し。ツンと澄ましているようで実は内気なだけだったりする伊藤蘭がとにかく可愛い。ピザな満男に違和感。のし袋が飛び交う本作。引越祝いに香典に実母からの小遣い。まだコンビニという言葉が定着していなくてセブンイレブンがスーパーになっている。定時制高校の入学願書から寅次郎の個人情報がちょっとだけ分かる。
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シリーズ26作目で、マドンナは伊藤蘭。
これだけ若いマドンナは榊原るみ以来か。寅さんは彼女に惚れていたわけではないから(伊藤蘭が器量よしでないところもポイント)、悲しい結末は迎えないであろうと想像できるところでは、安心して見られる作品であります。彼女への下心がないことがはっきりしている以上、寅さんが本来的にもっている弱い人への優しさがいたわりの心がストレートに伝わってきます。
本作は定時制高校を描いているところもポイントですね。これは山田洋次の「学校」の元になったのではないかな。学ぶことの喜びや、学びへ導く師の存在(おいちゃんこと松村達雄の芝居が素晴らしい)の描き方がよいのです。人間はいくつになっても学び、成長することができる。そんなメッセージが込められているのではないでしょうか(それに感化される寅さんの姿も微笑ましい)。結婚が決まったマドンナが定時制高校に通い続けることを宣言するシーンが個人的にはベストシーン。 -
奥尻島にいた伊藤蘭が柴又に来て定時制高校に通いながらセブンイレブンで働くも、3歳のときから会っていなかった母親が訪ねてきたり、もともと付き合っていた男が訪ねてきたり。最後はその男と結婚する。
定時制高校のシーンはのちの「学校」のモチーフ? 山田洋次は恵まれない出自の人びとへのまなざしが温かい。伊藤蘭が漢字が読めないシーンにしてもそうだ。寅次郎はべつに彼女に恋をしているようには見えなかったがメンツをつぶされたのかいつもの家出。
まあ佳作。短いし。
高校で寅さんが自らの出自を語ったり、生年月日が昭和15年11月29日と履歴書に書いてあったり。するのも面白い