キム・ドンソン 1970年大韓民国釜山広域市生まれ。洪益大学東洋画科卒業。邦訳された『かあさんまだかな』(フレーベル館)は、韓国出版文化賞を受賞しています。韓国固有の文化や生活の中の美を描く作家として知られています。1970年代まで、ほとんどの韓国の子どもたちは、“チェクポ”を背負って学校に通いました。カバンがとても貴重な時代だったので、家にある四角い風呂敷や布で本を包んでカバンの代わりにしていました。すべてが不足していた時代、かわいいカバンの登場は子どもたちの羨望の的となるほかなく、主人公のダヒも例外ではありません。どこへ行ってもモノが溢れる時代に暮らす今日の子どもたちには想像もできないことでしょう。しかし、このような厳しい環境の中でも使い古した余りものの切れ端を利用して、美しい布として活用した昔の人々の生活の知恵とその中に含まれている韓国的な美意識は、豊かな時代を生きている私たちに大切な価値観を教えてくれると思います。『チェクポ』で語られる希望と笑い、友情を日本の子どもたちと一緒に楽しむことができれば幸いです。
「2019年 『チェクポ』 で使われていた紹介文から引用しています。」