SWEET SERENITY
- Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(M) (2008年9月9日発売)
- Amazon.co.jp ・音楽
- / ISBN・EAN: 4582192939055
感想・レビュー・書評
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相変わらず、濃密でヒリヒリと痛い私小説的歌世界。鈴木祥子という1人の女性の私生活と心の中を覗き見るようで、聴いていてドキドキする。
たとえば、前作の「忘却」では「病院にいるおばあちゃんに訊いてみたいよ、“すべてを忘れてゆくことは幸せですか?”」と歌われていた彼女の祖母(痴呆症になっていたという)が、今作の「ローズピンクのチーク」では「おばあちゃんは花にかこまれてた/眠るように、やすんでた」と歌われ、亡くなったことがわかる、という具合。
また、鈴木祥子が40代になって初のアルバムにあたる今作には、ずばり「まだ30代の女」という曲もある。彼女自身の過ぎ去った30代へのフェアウェル・ソングのような曲。最後の一節で、歌の主人公は40代に足を踏み入れる。
前作『鈴木祥子』には混沌とした印象のヘビーな曲も多く、聴いていて心配になってしまうほどだったが、今作には吹っ切れたような明るさがある。
たとえば、「まだ30代の女」もアメリカン・ロック・テイストの軽快なポップ・チューンで、アラフォー女性の焦燥を、突き放すような乾いた明るさとユーモアにくるんで歌い上げる。
いい曲てんこ盛りだが、私がいちばん気に入ったのは「Father Figure」という曲。これは、かつての「優しい雨」に匹敵する感動の名曲だ。
歌詞やタイトル(Father Figure=「父親代わりとして理想化される年配者」の意)から察するに、おそらく若き日の鈴木と年上の男性との恋を振り返った歌。
恋する者の至福を、これほど甘やかに美しく表現した曲もめったにない。とくに、全国のファザコン女子に聴かせたい(心を鷲づかみにされること間違いなし)。「ツンデレ・ヴォーカル」とも評される鈴木祥子の声の魅力も全開だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
失望と絶望のどん底にいた時期に発売され、どハマリした。
だが今は傷をえぐられたくないから聞けない。
でも名作です。
走り続けてきて、ふと立ち止まってみたら傷だらけになってたことに気付いてしまった30~40代女性におすすめ。