ペルセポリス [DVD]

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監督 : マルジャン・サトラピ  ヴァンサン・パロノー 
出演 : キアラ・マストロヤンニ  カトリーヌ・ドヌーヴ  サイモン・アブカリアン 
  • ポニーキャニオン (2008年10月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013636644

ペルセポリス [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • すごいな。


    マンガで1作だけ読み、続き気になるなどうしようかな、と思っていたら偶然、知人にDVDを借りることになって観てみた。

    とにかくその完成度のすごさにおそれいる。
    作品のテーマがイランの日常、とても平穏とはいえない日常をテーマとしているため、そのセンセーショナルな内容が人の心を揺さぶることについてはもう、逆に言うとそれだけのセンセーションに巻き込まれている事態で尋常ではないので、内容のすごさは一切問題にしない。ただそのつくりが、原作に忠実でありながらも見やすく、白黒基調であるが上手に濃淡がついていて非常に見やすい。上手なお芝居のように動きもあり、現在の主人公はカラーに彩られ、少女時代は白黒、と言う転換も効いている。白黒の世界で流血さえもが色を与えられず、黒で表される表現も、単にそれを黒として見せることなく、むしろそこに何百もの色を当てるよりも雄弁に状況を語っている。

    なんせ9歳の少女の日常に淡々と、処刑とか爆撃という言葉が羅列されるのだ。
    両親が彼女を留学させる前日、母親が彼女に言うせりふがこうだ。
    「処女を殺すのは違法だから、革命軍の兵士と結婚させるのよ。
    処女を奪ってから殺すのよ、これがどういうことかわかってる?」

    そこにはプリクラとかスマホとかそんな単語は一切ない。
    それが現実なのだということが、モノトーンの美しくシンプルな絵で描かれる。

    留学する娘に父は言う。
    「自分が何者で、どこから来たのかを忘れるな」

    そのセリフの意味がわからないであろう日本の少女たちをあたしは幸せだと思うし、
    それを悪いことだとも思わない。
    ただそれを知るか、知らないかであれば確実に、知っておくべきだろうと思う。


    とはいえどんなメッセージを読み取るか、そういった難しいいことを考えたり期待したり押し付けずにフツウにこの作品は見てもらいたいと思う。
    アニメーションの表現という意味で、とくにモノクロの部分のそれは、本当にすばらしく、それだけでも一見の価値ありではなかろうか。


    黒がここまで雄弁に語り、黒の中に色彩を展開する作品を、私は初めて見た。黒をうつしながらもあなたの網膜には、黒以外の自分の色が映るはずだ。きらきらと大量に、カラフルに。それをいつしか私に、教えてくれたらありがたい。

  • 白黒で構成される映像は全く物足りないことなく、面白い。映画館で観て、気に入って買ってしまった。
    イランに生まれた1人の女性の物語。
    反骨精神にどこか共感する。

  • 後ろを振り返った

    ママが泣き崩れているのを見ないふりした

  • アニメなので表現が柔らかくなっているけれどかなり重いテーマ。そういえばイランのことをほとんど知らないことに気付く。イラン・イラク戦争はニュースでタイムリーに観ていたはずだけれど、両国の違いすらわからない始末。戦争は元々革命がきっかけだったというのを初めて知った。
    一個人の体験が基準なのでイラン全体に当てはまるわけではないだろうけれど、当時の雰囲気はわかる。戒律に縛られ、でもちょっと羽目を外してみたりとわりと普通の思春期っぽいけれど、それが命にかかわることにもなりかねない青春時代を送った女性。思想的な面は確かに強いけれど、もっと一般的な、多くの人が感じる抑圧とか疎外感とかの話にも通じるところはあると思う。

  • おばあちゃんがとってもカッコいい。イランの方のリアルな目の前に起こった話。

  • an38

  • PERSEPOLIS
    2007年 フランス
    監督:マルジャン・サトラピ
    原作:マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』
    声の出演:キアラ・マストロヤンニ/カトリーヌ・ドヌーヴ/ダニエル・ダリュー

    最初にこのアニメを見たいと思ったのは単純に、無駄のない線画のラインが美しくて、とても好きな絵柄だったのと、今はもう滅ぼされた紀元前のペルシアの首都の名前「ペルセポリス」に幻想的なイメージを抱いたからでした。つまり、あらすじも何も知らずに見たわけですが。まさかイラン出身の女性監督(原作者)の自伝的半生を描いた作品だとは思いも寄りませんでした。

    イランという国の近代史を生き抜いた女性の自伝…というと、ちょっとお固い印象になってしまうんですけれど、それでも第一印象で抱いた、極端に無駄を省いた影絵のような線画の美しさがかもしだす幻想的な雰囲気というのはそのままなので、堅苦しいものを見せられたという印象はまるで残りません。これが実写映画だったらもっと説教くさい戦争ものとかになってたのかもしれないけれど、アニメーションという手法が、この作品をもっと普遍的なものに昇華したのではないかと思います。素晴らしい映画でした。大好きでした。

    普通に驚くのは、1970年代のイランに生まれた女の子が、ブルースリーが大好きで、長じて今度は音楽にはまり、パンクス気取りで「PUNK IS NOT DEAD」なんて書かれたジャケットを来て街を闊歩しているところ。でも聞いているジャンルはマイケルジャクソンだったりアイアンメイデンだったりビージーズだったりして、実はメチャクチャなんですが(笑)。少女時代のエピソードはほとんど「ちびまるこちゃん」。

    しかし相次ぐ内戦、政権交代、思想の弾圧、拷問、死刑、やがてはイラクとの戦争、と、平和な日本で育った自分には想像もつかない苛酷な社会情勢が彼女をとりまき、彼女はヨーロッパに留学。そこで普通に友達を作ったり恋をしたりするわけですが、常に根底に、祖国に残してきた家族への罪悪感のようなものが残っているんですよね。折しも若者たちはフラワームーブメントとヒッピーの流行で、平和がどうとか言ってるわりには自分は安全圏にいて親の金で大学に通い、戦争や思想をアクセサリーのように語る人達ばかり。

    彼女の祖国では今も殺し合いが続いているというのに、自分はここにいて、恋にうつつをぬかしている、その現実との齟齬。なんだかそういう、どこにも自分の身の置きどころがない感じとか、口先だけの平和を語ることの空虚、それでいて自分自身がやっぱり世界平和より身近な恋愛に振り回されることの矛盾、そういういろんな葛藤が、高尚でも難解でもなく、すごくつるっと、同年代の女性の心情として自然に共感できるのがこの作品の不思議なところ。

    明快な結論はありません。この後も彼女の流転の人生は続いていくだろうなという終わり方。でもそれが、けして絶望的でも悲観的でもなく、だからといって偽善的でも楽天的でもなく。でもちょっとだけ、生きて行く元気のようなものがもらえました。うん、良い映画です。
    (2008.06.30)

  • イランの少女が革命、戦争、留学、帰国を経て母国に別れを告げるまでを描いた自伝的アニメ作品。国家による粛正が吹き荒れる革命後のイランでおこる残酷な現実と、レトロで可愛らしい絵柄のギャップがすごいが、基本コメディタッチの作品で楽しく観れた。

    『中東』という『異世界』で起こっていると思える物語が『アニメ』という手法を介することで、誰もが感じる普遍的な青春物語として受け入れることができる作品となっている。

    ここでは『革命や戦争』と『失恋』が同次元で描かれ、1人の女性が自らのルーツを受け入れ自立するまでが描かれる、非常に豊かな作品だと思う。

  • アニメっていう表現方法になると日本が先進のように思われることもあるが、逆に「先駆者」であったがゆえに縛りが生まれてしまっている面もあるのだと思った。

    パリでは基本的に色彩があって、イランではないのかと思いきや、別にそういうわけではなくて単に時間の違いを表しているのかな。

    イランというと、政府の良いイメージがあまりないことが多いけれども、そこにも市井の人の生活が息づいているのがはっきり見て取れる。

    ただ、上流階級に生まれて、留学までさせてもらえた監督は相当恵まれていたはずで、一般の人の生活とは大きく違うことは留意しないとな。

    この作品を「イラン」に一般化することはできないけど、一個人の体験として見るぶんにはとても良いアニメーションだろう。

  • ある問題について観る者に考えさせたければ、まず必要なのはそこに関心を向けさせることだ。すごく当たり前のことではあるけど、考える以前に、知るのが大前提。そのための興味を喚起すること。その点において、この作品は見事に成功していると思う。

    本作はイランの実情を知るうえでも非常に参考になるのだけど、何より一人の少女の個人史として文句なしに面白い。何気なく見始めると、どんどん物語に引きずり込まれていく自分に気付く。主人公の聡明さ、作り手のユーモア、センスに溢れたアニメーション表現に楽しませられる。と同時に、語られる悲惨な現実に驚き、ショックを受ける。思考を促される。

    才能ってこういうことか、と思う。
    文化や言語の違いなんか簡単に飛び越えてくる。こういう作品に出会うととても嬉しい気分になる。世の中にはこんな作品を世界に向けて発信する人がいるのだな、と。もちろん、それとはまた別に、映画で提起される重い問題にきちっと向き合わなければならないのだけど。
    そのきっかけになる作品として、この映画はとてもとても価値のある作品。作り手に敬意を表したい。

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