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- / ISBN・EAN: 4988113823753
感想・レビュー・書評
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日本のトンデモ描写が多いため、本作に良い印象を持つ人は少ないかもしれませんが、これはとても良く出来た映画だと思いますよ。
時代は80年代。勢いに乗る日本の自動車会社が、自動車の本家アメリカに進出する。
日本人は会社へ忠誠心が強く、私生活を犠牲にて残業も厭わない。そのような日本人の気質に支えられた日本企業の高い生産性。これらの描写が非常に的を射ていることにとても感心します。
日本人経営者はアメリカ人従業員に同じような忠誠心や勤勉を求めますが、当然そうはならないし、生産性は上がらず、労使の対立は深まる。非常に理解しやすい設定です。
この両者の間で板挟みになるのがマイケル・キートン。両方に良い顔をする彼のせいで、状況はどんどんこじれていく。
一方で、現地の日本人経営者も、本社からプレッシャーと、言うことを聞かないアメリカ人従業員の間でこれまた板挟みになって苦悩する。ゲディ・ワタナベという、あまりよく知らない日系人俳優が好演しています。
この2人に奇妙な友情が生まれ、予定調和的なハッピーエンドを迎えます。この能天気な結末はいかがなものかと思いますが、そこを除けば、80年代の日米の経済関係の実相をリアルに描いた本作は非常に意義深い作品だと思います。
BS松竹東急「よる8 銀座シネマ」にて。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1986年のアメリカ映画。
のちに『ビューティフル・マインド』でアカデミー賞監督賞・作品賞を受賞するなど、一流監督になるロン・ハワードの初期作品である。
「日米自動車摩擦」真っ只中の時代に、米国に進出した日本の自動車会社を舞台にするという、キワドいというかチャレンジングな映画だ。
会社の名は、「日産」ならぬ「圧惨(アッサン)自動車」(笑)。
前半はかなりコミカルな作りだ。
日本の大企業が普通に持っていた(いる?)習慣が、アメリカ人から見るとことごとく滑稽に見える(たとえば、精神主義的な社員研修とか、ずらりと並んで名刺交換する様子とか)。そのカルチャーギャップが笑いの燃料になっているのだ。
じっさい、日本人の我々が見ても笑ってしまう。
後半はわりとシリアスな展開となり、労使対立から圧惨自動車が工場を閉鎖して撤退する瀬戸際にまで進む。
そしてけっきょく、対立を乗り越えて大団円のハッピーエンドになる(おっとネタバレ)。
要するに、日米の企業文化の差異を物語の駆動力とした映画であり、両国の人々が対立を乗り越えて融和に至るまでを描いているのだ。
ストーリーには相当無理やりなところがあるし、日本人の描き方には一部悪意に満ちた誇張が感じられる。
それでも、日本企業が圧倒的な力を持っていたバブル期の空気を刻みつけた映画として、貴重な一作には違いない。
大学の経営学や政治学の講義などで、本作を教材として学生に観せる教授が少なくないという。それもうなずける内容だ。 -
わっっかりやすいくらいのアメリカ映画
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政治学の授業で見たもの。最後はハッピーエンドだけど、日本人の労働スタイルが海外からどう見られているかがわかる。同じ車を作るということに対しても、まったくスタンス考え方が違う。良くも悪くも日米のステレオタイプがわかる。
日本の時間当たりの労働生産性は低く、日本が経済大国でいられるのは、組織を重んじる精神からくる、サービス産業・長時間労働などから来ているものであるそうだ。これからもっと人口が減っていく中で、日本の労働はどのような方向性に行くのだろうか。もっと労働時間を増やして、サービス残業を増やして行くのだろうか。 -
素晴らしい作品!異文化の衝突を描き、それがどういう形で1つに融合していくのかを、コミカルな笑いを織り交ぜながら展開している。確かに前半部分は日本への偏見が溢れていたり、日本語もメチャクチャだったするが、そういうものを除けば、この作品は日本人とアメリカ人の考え方・価値観の違いを上手に見せている。日本人には日本人の考え方・信条があり、アメリカ人にはアメリカ人の考え方・信条がある―。どちらが正しくて、どちらが悪いというのではなく、ただ違う見方をしている―というだけなのだ。その違いを相手の立場になって理解した時、本当の意味で異文化は融合していく…。そんな素晴らしいメッセージが込められた作品。