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- / ISBN・EAN: 4988142713421
感想・レビュー・書評
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まさに“怪演”という言葉がぴたりと当てはまる演技。狂気と愛嬌が渾然一体となり、観る者を恐怖に陥れる、そんなアニーを演じたキャシー・ベイツのことです。
人気作家ポールは、自身の人気小説「ミザリー」シリーズの最終巻の原稿を出版エージェントに渡しに行く際、雪山で事故に遭い瀕死の重傷を負ってしまう。そのポールを救ったのは、看護師だというアニー。
ミザリーシリーズの大ファンだという彼女は、吹雪が治まり電話線が修復するまで、立つことすらできないポールの世話をしてくれることに。そしてアニーは、ミザリーの原稿が読みたいと頼み、ポールは快くそれを了承する。しかしその原稿で、ヒロインのミザリーが死んでしまうことを知った彼女は、ある行動を起こす。
原作はスティーヴン・キングの同名小説。8年くらい前に原作を読み、感想を書いているのですが、その感想には「アニー可愛いところもあるんじゃね?」的なことを書いていました。
実際映画を観てみると、アニーはやはりどことなく愛嬌が感じられます。発売前の原稿を読ませてもらえるとウキウキしたり、踊り跳ね回ったり。分かりやすい美人だとか、可愛らしいとかいう感じはないのだけど、表情と動きがどことなくチャーミングです。
だからこそ、アニー曰く「かんしゃく」が爆発したときの表情との落差が恐ろしい……。手がつけられないほど、大声でまくしたてたと思いきや、怒りを抑えた無表情でポールの枕元に立っていたり、こんな幸せ永く続かない、と拳銃を手でもてあそびながら、悲しそうにポールに話しかけたり。
躁鬱気味というか、行動が読めないというか、アニーの表情、行動一つで緊張と緩和がまったく逆転してしまう。観ている側の自分も、自由を奪われたポールよろしく、アニーに運命を握られた、そんな気にさせられます。
そして、原作でもほぼ密室状態で話が展開していくのに、物語の緊張感が途切れさせないのがスゴかったのですが、映画でもそれは変わらないのがすごい。途中、ポールの行方を追う保安官の場面もあるにはありますが、基本的にポールとアニーのみで話に緊張感を持たせながら、二時間近く話を引っ張っていきます。本当に良く出来てる。
アニーの外出中、ポールは出口を求め這いずりながらも家を探る。しかし、アニーの車が帰ってくる音がして、慌ててポールは足の激痛に悲鳴を上げながら、車椅子に乗り、閉じ込められた部屋に戻ろうとするが……
ホラーでありがちな演出といえば演出ですが、そういう基本には忠実に、そして丁寧にアニーに囚われたポールの恐怖を描いていたと思います。
ポールの足に金槌を振り下ろす、アニーも十分に痛々しく怖いのだけど、原作はもっとエグい展開が続いていたり(ポールを鎮痛剤づけにして、薬物依存に近い状態にしたり、その他もろもろ)、小説ならではの仕掛けもあるので、映画で興味を持った人は、原作にもチャレンジしてもらいたい。
映画・原作どちらも、単独で十分完成度は高いですが、映像と文字、それぞれにメディアの個性に合わせた見せ方、演出がされているので、二つを合わせてみると、アニーのツンデレ・ヤンデレを(ツン・ヤンの割合が高すぎるかもしれませんが……)より楽しめると思います。久しぶりに原作のより容赦の無いアニーに、会いたい気分になってきました。 -
★~キャシー・ベイツの演技に拍手!~★
スティーブン・キング原作の映画の中で1番怖い。
監禁、ストーカーなど実行する人ってある意味、
マメな性格なんだろうなぁ~と思う。
それに執着心と独占欲が+されるとこうなるのか。
どう考えても面倒臭いとしか思えないのだが・・・。
我々も監禁されないよう気をつけよう。
行政の方にもね。
怖くて面白い -
20年ぶりくらいに鑑賞した。
子どもの時にも衝撃的で、
怖くて、
とてもおもしろかった記憶だったが、
今になって初見のような気分で観ると、
何度も何度も、
「ええーー!!」って叫んでしまった。
盲信的な一ファンだと名乗る女性が、
自身の妄想的理想に、
現実世界を強烈なエネルギーで巻き込み、
脚本を書き始める恐怖。
ドラマチックだが、
これこそ映画の魅力。
サイコ・スリラー。 -
予想以上の傑作だった。突っ込みどころはあるが、自分の考えだけで世界を捉えるキチガイ豚おばはんに監禁される恐怖がひしひしと伝わってきた。キャシー・ベイツのみならず、ジェームズ・カーンの演技も素晴らしい。アニーほど極端じゃないにしても、今の日本は自分の考えを押し付けたいだけの自己愛性人格障害の人ばっかだよなぁ、と身近に思いつつ見てました。
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「ミザリー」シリーズで有名な人気作家ポールは雪道で事故に遭い、瀕死の状態を元看護婦のアニーに救われる。ポールの小説の熱狂的愛読者だった彼女は、彼を手厚く介護する。だが、新作「ミザリーの娘」でヒロインが死んだことを知り逆上した彼女はポールに心理的・肉体的拷問を加え始める。スティーブン・キングの小説を映画化。
雪山でスリップ事故を起こした人気作家シェルダンの世話をするまでは良かったけど、自分の大好きなロマンス小説の主人公ミザリーをシェルダンが作中で殺したことを知り激怒し、シェルダンの生原稿を暖炉で燃やし作中でミザリーを生き返らせようとするアニーの熱狂的なファン意識が高じて現実と妄想の区別がつかず、自分の思い込みに現実を合わせようとする暴走ぶりが、献身的な優しい看病ぶりの落差もあり、恐ろしい。なんとか脱出しようとする作家と作家に自分の望むストーリーを書かせたいアニーの頭脳戦がスリリングだし、アニーを演じたキャシー・ベイツの成りきりぶりが印象的で、作家と熱狂的ファンそして編集者の愛憎関係を元にした傑作ホラー映画です。 -
ずっと怖くて観られなかったが、ようやく鑑賞。
結果はほぼ文句なし。
アニーは本当に悪夢に出てきそう。
保安官のリチャード・ファンズワースも良い味だった
※ストレイト・ストーリーのお爺さん
一つだけケチを付けるとすれば…
滑落した自動車は素人目にも外からこじ開けられた痕が残っているので、誰かに連れ去られた可能性があるとみるべき(周囲の家宅捜索が入るはずだし現実にはあり得ない)。
あといくら馬鹿力のあるアニーでも、あの崖から単独で担ぎ上げるのは無理がある。 -
仕事の忙しさで映画鑑賞率が低下気味…。
「忙しい」と書いて「心を亡くす」とはよく言ったもので、そんな精神状態を日に日に強く感じ出す近頃、細やかな抵抗として出張先のホテルのテレビで名作を観返してみる。ザッピングしててちょうど始まるところだったのも理由。意図としてはハロウィーンを控えてのホラー特集という枠組みだった模様で、本作の前枠は「Creepshow」(1982)でありました(笑)
で、しまった…
TV放映の面倒くささを忘れていた。CMに入るごとに5分ぐらいみせられるのに辟易としながらも初回鑑賞から時が経っていたこともありそれなりに辛抱して最後までスリルをもって楽しませてもらった。キャシー・ベイツ、さすがです。
翌日空港へ向かう帰途、タクシーの中で自分と同年代かそれ以上のドライバーだと認識した上でこの鑑賞経験を共有してみると確かな反応があった。「××のシーンは足首を痛めるために思い出すよ(苦笑)」といった感じで(笑) そして彼は続けて「James Caanは最近亡くなったんじゃなかったっけ?いい役者だったよね…」と言う。自身はその事を気づいていなかったので「じゃあ自分にとってはなにかお告げみたいなものでこの作品を観ることに至ったのかもね。」とその場は返しておいたのだが、後で調べると確かに今年の7月の事だったそうだ。
はてさて。このお告げには次回予告が続いてくるのでしょうか??
ハロウィーン後にでもまたこのレビュー読み返してきっかけ作りにいそしみたい、そんな週末の夜。 -
これはなかなかに怖い映画でしたねぇ…現代の映画と比べるとやっぱり撮り方とか? 少々時代を感じるところはありますけれども、それでもトチ狂った女の演技がうまい女優さん? が見ものでして最後まで飽きずに観れましたねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
原作は読んだことありませんが、この映画の印象を自身の心に残したのでこれからも読まないままでいいかな~などと考えてはおりますねぇ…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
凄いおもしろい。
いやぁ、映画好きさんはこれは必ず通って欲しいなと思う(*’ω’*)
小説であったら小説で読んでも面白そう
狂気じみて怖いけど本当これはおもしろい
実際に居そうだよね、こういう行き過ぎたファンって
舞台版を見たことがあります。
ポール市村正親さん、アニー白石加代子さんの二人芝居でした。
白石さんのアニー...
舞台版を見たことがあります。
ポール市村正親さん、アニー白石加代子さんの二人芝居でした。
白石さんのアニーも、愛嬌があり無邪気で可愛らしいのですが、
ふとした一瞬や癇癪破裂した時が怖いのなんのって。
私は原作は読んでいないのですが、アニーは容赦なく怖いのですか?
白石さんはキャシーベイツを元に演じたのかな。
こちらこそ、レビュー楽しく読ませていただいております。特に歴史系や知識系の本のレビューに関しては、その本の内...
こちらこそ、レビュー楽しく読ませていただいております。特に歴史系や知識系の本のレビューに関しては、その本の内容までも分かりやすくまとめていらっしゃるので、読んでいてためになるな、といつも思っております。
上手く伝わるかどうかアレですが、ホラーって急に来る怖さと、来るぞ、来るぞ、と雰囲気を作って「やっぱり来たー!」っていう怖さがあると思うので、内容が分かってる分、もう一度観ても怖い、となる可能性はありそうですね。もしお時間あれば、好奇心ついでに映画観てみると、面白いかもしれないですね。
原作の話もちょっとだけ。
自分が原作ですごいと思ったのが、ポールがあの状況で書いた「ミザリー」が作中作で、入ってくるところです。本編でポールが追い込まれていくごとに、作中の「ミザリー」の展開も進んでいき、「ポールはどんな感情で、これ書いたのかな」などと想像しながら当時は読んでいたと思います。
機会があれば、原作もぜひ読んでみてください。
ハイジさんのレビュー、これからも楽しみに読ませていただきます。今後ともよろしくお願い致します。
舞台版があったのは、始めて知りました。密室劇で登場人物も限られているので、演者さんは、そうとう演技力が必要そ...
舞台版があったのは、始めて知りました。密室劇で登場人物も限られているので、演者さんは、そうとう演技力が必要そうですね。上手い俳優さんだと見応えありそう。
原作はもっと痛々しかった記憶があります。原作が実家にあるので確認は出来ないのですが、覚えてる限りでは、
ポールが徐々に鎮痛剤に依存するように、薬を与えていく。
薬に依存するようになったポールが痛みを訴えても、鎮痛剤を与えない。
大けがをしたポールの足を殴ったり、足の上に物を落としたりする。
映画版だと、ポールの足は一応無事でしたが、原作だとアニーに切断されてたような……
あと、警官の殺し方も、銃であっさり殺すなんて生易しいものじゃなかったはずです。
この辺を痛々しく書くのがスティーヴン・キングは上手いことに加えて、アニーの行動や感情の爆発が読めないことと、ポールの心理描写の巧みさも相まって、めちゃくちゃ怖かったのを覚えています。