百万円と苦虫女 [DVD]

監督 : タナダユキ 
出演 : 蒼井優  森山未來  ピエール瀧  竹財輝之助  齋藤隆成  笹野高史  嶋田久作  モロ師岡 
  • 日活
3.89
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本棚登録 : 3959
感想 : 760
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013706941

感想・レビュー・書評

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  • 随分前に見たけどかなり好きな作品なので
    改めてレビューを(笑)


    プライベートでもかき氷マスターである(笑)
    蒼井優のかき氷職人っぷりは必見です(^O^)

    成り行きで前科持ちになり人を信じられなくなった主人公の佐藤鈴子が、
    世間の目からただ逃げるため、
    自分探しをしないために(笑)、

    百万円貯めては住まいを転々とする生活を始めていきます。

    海の家でのかき氷作りに始まり、
    農家での桃の収穫のお手伝い、
    都会に戻っての花屋の仕事。

    どこにいてもそこが自分の居場所だとは思えなくて、
    ここではないどこかで新しい生活を始められたら…

    誰もが一度は考えたことがある願望です。


    自分も10代の頃から放浪癖がある根無し草なので、
    その感覚は分かるんですよね(^_^;)

    旅をして分かったことは、
    自分一人では自分のことは何ひとつ分からないということ。

    自分自身がなんなのかを知り
    自分の欲望を教えてくれるのは、人と出会う旅だけです。

    人との出会いだけが、唯一自分を成長させてくれる。


    森山未來扮する花屋の同僚と
    戸惑いながら手を繋ぎ家へ向かうシーンや、

    ベランダのネギを見て笑って
    そっとキスをするシーンには誰もがキュン死に必至だろうし(笑)、


    『人は出会うために 別れるのだ』 というセリフには ハッとさせられました(>_<)



    転々とする姉とは対照的に、
    執拗なイジメにあいながらも姉との約束を守るため、
    逃げずに踏み止まって戦う弟の姿にも、 激しく心動かされたなぁ~(泣)
    (想像力のかけらもない教師が本当に腹立たしかった)


    重たい荷物を引きずり、
    希望を胸にドーナツを頬張り歩く名シーンと、

    いつまでも余韻の残る
    ニアミスのラストが本当に良かった(^_^)v


    クラムボンの原田郁子ちゃんの歌う、 『やわらかくて きもちいい風』がまた
    映画の世界観にピッタンコで最後に泣かせてくれます(ToT)


    きっと哀しみを知ることが
    大人になるということ。

    別れを知ることによって
    人は儚さを知り、愛することの意味に気付く。

    大事なのはどんな道を歩くかではなく、
    どう歩くか。

    誰と生きるかを自分で選びとること。


    いい女、いい男になった二人(姉弟)に
    またいつか会いたいなぁ〜
    (それにしても全く歳をとらない蒼井優って違う意味でスゴい!笑)

  • 下を向いて苦虫をかんだような顔で「好きです」という蒼井さんとか
    蒼井さんと森山君のアサツキのプランターを見ながらはにかんでいる姿が
    微笑ましくて、きゅんとなりました。
    ようやく居場所を見つけたかと思いきや、すれ違ってしまう結末がせつなかった。終わり方としてはハッピーエンドよりもよかったのかもしれないけど、誤解解けてほしかったなぁ。
    ドーナッツといい、蒼井さんの食べる姿はほんとにおいしそう。そして森山君の優男な役柄は本当によく合うなぁと思うのでした。

  • 考え抜いた末の愛想笑いや拒否も、穏便にやり過ごす為の逃げでしかないのかな。
    それでもやはり他人との不必要なまでの関わり合いは面倒だと思ってしまう。
    親密なようで希薄な場合も多々あるように思えるし。
    それとも、どのような種の上辺の会話や関係もそれを越えてこそ見えてくるもの発展するものがあるが故に関わるべきなのか。
    見境なく関われば良いという訳ではないと選別をしている時点で逃げていることになるのだろう。
    難しい。
    ラストのすれ違いも相まって考えない訳にはいかない映画だった。

  • 百万円溜まったら次の街へ転々と…。憧れる生き方ではあるなぁ(*´-`)

    出会ったら必ず別れるから泣く必要は無いという台詞があるけど、別れの無い出会いがあるんじゃないかと思ってしまうから、難しい(-_-;)

    この映画のラストは蒼井優ちゃんの清々しい顔で終わるからいいとは思うのだけど、森山未來くんの真意が伝わらないのが何か切ないー(;_;)

    蒼井優ちゃんが弟くんの希望になれてる兄弟の関係性はとても好きでした。

  • 長くとどまる事によって、煩わしく思えてくる人間関係。
    だけど、何かあった時に修復できるのも、そこにとどまるからこそ可能なのであって。
    転々とすることには、煩わしい物事からのリセット・仕切り直しが可能だが、
    そのぶんリスクもあるのだ、と。
    始まる前に、終わってしまう、と。

    100万円溜まったら移動、っていうのが良い。憧れる。
    クワイエットルーム後の細い蒼井優ちゃんです。可愛い!

  • 主人公の鈴子に似た境遇を感じて、少し感情移入してしまった。
    森山未来の「自分探しですか?」という問いに否定し、「自分が行動しなければ生きてけないですから。探さなくても自分はそこにいますから。」と嫌でも自分はついてくるというような趣旨の言葉が凄い突き刺さった。

    最終的に弟の手紙から、自分は本音を隠し愛想笑いで人と関わるのを避けてきた、自分は逃げていたと認めるところがぐっときた。「人は出逢うために別れる」と。別れるのが怖い、傷つくのが怖い、面倒くさがってたと。次は逃げないと決意を新たにする場面。

    逃げてんのかなー。どうなんでしょう。自分のしたことから逃げていたのかな鈴子は。次はと言っているが、次はそこに定住するのだろうか。といつつもまた転々としそうな予感もした。

    自分の行動と向き合うというのは、とても大変だ。矛盾だらけの世の中を小さいリアルで描いていたし、見るからに幸薄そうな主人公を自然体に演じていた蒼井優の演技にグット!

    世の中そんなに上手くいかない。不器用な人らの、でもささやかな優しさが散りばめられていてなんだか切なくもほっこりする作品でした。

  • 前科持ちになったことで世間から煙たがられ、人を信じられなくなった主人公。そんな主人公の過去を知っても温かく接する人々の存在に感動。また、泣かせるのが主人公と文通している弟の存在。弟はいじめられており、世間から冷たい目で見られる主人公とある意味で似たような境遇におかれている。弟は、主人公を見習って少しずついじめっこから逃げるのをやめようと考えるようになり、主人公はそんな弟の決心を知ったことをきっかけに、ほんとうの気持ちを隠して振る舞ってきた自分を振り返って悔いる。この兄弟は、一見は憎まれ口を叩き合う仲でも、支え合って生きてきたんだなぁとしみじみする。手を繋いで歩くシーンなど胸が熱くなる。
    そして、最後のシーン。主人公の彼氏が、主人公に他の街に行って欲しくなくて、わざとお金を借りていた、というオチは読めていたが、それを伝えてハッピーエンド、になるかと思いきや、最後のシーンで目があったかのように見えた二人は実はそれぞれ違う方向を向いており、すれ違ったまま終わる……。この切なさは映像じゃないと出せない、映画ならではの深みのある表現だなぁと思った。
    台詞として印象に残ったのは、自分探しの旅に出掛けるのではなく、自分を探したくないから旅のような生活を送っているのだ、みたいな台詞。自分が行動しないと生きていけない、嫌でも自分はここにいる。みたいなことを言っていた。
    蒼井優ちゃんがとにかくかわいい。人に深く立ち入られそうになったときの、迷惑そうな表情がとてもうまかった。あれが苦虫を噛み潰すような顔、ということで苦虫女、なんだそうな。

  • 「自分探し」をする人はブームになるほどたくさんいるけれど、それは「ここにいる自分」を認めたくないからだとずっと思っていた。
    鈴子は、自分のしてしまった行動から逃れられない。どこかに自分を探しに行くのではなくて、自分が追ってくる。

    初めは、人との交流で鈴子が気づかされていくのかと思っていたけれど、鈴子は自分で、「自分自身に向き合わねばならないこと」に気づいていったのではないか。

    最後のシーンも個人的には謎。なぜ「お金を借りて百万円貯めさせないようにする」という"ロマンチック"な手段を取らねばならなかったのか。どうもモヤモヤする。

  • 何かに逃げたいけど逃げられない人へ。蒼井優の演技が素晴らしい。逃げることをやめた主人公のラストが素晴らしい

  • ネタバレです。



    やっと来た!良映画。ここ一週間ほど最後まで見られない、自分にとってはハズレ映画ばかりだったの。
    蒼井優、演技うまいなと初めて思った。

    誰も自分を知らないところへ行きたい…

    その欲求、すごくわかる。私も毎年同じことを考えているので、主人公鈴子の暮らしは憧れ。
    中島くんの、100万円貯めて欲しくないから金を借りる、って発想、隣で夫が早いうちからヨんでいて、ほほうと思った。男ってロマンチックなこと考えるわね。私には全くない発想だわ。

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著者プロフィール

1975年、福岡県生まれ。2001年、初監督作品『モル』で第23回PFFアワードグランプリ及びブリリアント賞、08年『百万円と苦虫女』で第49回日本映画監督協会新人賞を受賞。監督作に『タカダワタル的』『ふがいない僕は空を見た』『お父さんと伊藤さん』『ロマンス』など。著書に『小説 さくらん』『百万円と苦虫女』『復讐』などがある。

「2019年 『ロマンスドール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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