アキレスと亀 [DVD]

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  • 103レビュー
監督 : 北野 武 
出演 : ビートたけし  樋口可南子  柳 憂怜  麻生久美子 
  • バンダイビジュアル (2009年2月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569634306

アキレスと亀 [DVD]の感想・レビュー・書評

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  •  芸術至上主義の話。「地獄変」へのオマージュのような部分もあり、生前はまったく評価されなかったゴッホを彷彿とさせるような演出もあり。芸術という価値基準が流動的なものにとりつかれてしまった真知寿の人生を丁寧に描くことで、幸せとはなんぞやという疑問を投げかける映画でした。なぜそこまで絵に執着するのかということも、真知寿の幼年~青年時代をしっかりと見せることで説得力があって(幼年時代の衝撃的な出来事からの影響、ちょっとアスペっぽい気質などが見て取れる)ただ「こいつ人間として終わってる」という評価をしないで済みます。

     結局芸術って、わかりやすいものをつくったもの勝ちだと思う。それはたとえ一見わかりにくくても、解釈が人口に膾炙すれば問題はないともいえる。芸術家は期待されたものと自分がつくりたいものとの狭間で苦しむ。そこでたとえバランスをうまくとったとして、期待されたものをつくり続けたとして、あるいは自己流を貫いたとして、それが高評価に繋がるかはわかんないし、真知寿のような人生ってたくさんあると思う。それでも好きで、好きで続けていたら、作品の真のファンが一人だけでも現れてくれたりして、それだけが本当に幸せでがんばれるんだ。

     真知寿が亀なら、アキレスは幸子でもあり、時代でもあるんだろう。なかなか沁みてくる映画です。

  • 芸術が、

    わかる人にはわかる人が世界に一人はいる
    ということでしょうか。

    ついてきてくれる人はいる。ということでしょうか。


    テイストはやっぱ北野ワールドですね。

  • いろいろ考えてしまい、すぐレビューかけなかった。
    まとまってないけど、思ったこと適当に書いておこうっと。

    もう映画とか関係ない雑感かもしれん。


    マチスくんの子供時代の様に、養蚕業があったような時代は、
    何かの才能があるなんて子供など珍しかったと思う。 
    普通の子供なのに、親が成り金でアホやから、
    全ての勘違いが始まった・・・そういう話やろ。
     
    でも、その後の日本はどうだろう?

    右肩上がりの会社に就職した親どもが不自由ない給料もらって
    子供に習い事させて、ちやほやし、
    マチスくんのように、なんか才能あると思って、
    個性を尊重された子供がいっぱいになって、
    オタク文化とかクリエイターとか、
    そのとたん、人口減少で経済は縮小!
    俺はまだ本気出してないだけとか言い出して、、、、
    そんなハシゴ外されたマチスくんのようなコドモや大人がいっぱいいる国になったんちゃうか?

    むしろ今後はマチスにさえなれないで死ぬやつ、おおいやろ。
    まあマチスは死にぞこないやからしゃあないけど。

     

    今の時代な、芸術家なんて職業、関係ないねんな。
    「おにぎり」と、「スマホのアプリ開発販売」比較したって、
    飢えてる人は、アプリより、おにぎりやろ?
    逆に、芸術と、アプリ、飢えたやつにみせたら、とりあえず
    形ある芸術えらぶやろが。

    震災で気付きそうになって怖なったやつ多いやろ、
    ホンマに必要な職業なんて実はそう多くないて。

    いざとなったら芸術家のほうが、OSとか組織関係なく、
    直接的なメディアで、
    あわれをさそうからw 乞食同様、つぶしきくねん。
     


    ま、ええわ。 

    この映画、たけしは、誰でもピカソと、BSアートビートで長年仕入れた
    芸術苦労ネタや喰えないアーティスト見すぎて、
    ネタが溜まったから自分のフィルターで映画にまとめただけやろ?

     
    ま、それはそれで、コネタいろいろあっておもろかったから、ええわ。 


    話変わるけど、
    自分の親父は公務員、母親は生け花の先生だ。
    この、安定と芸術の矛盾。子供のころからいろいろ考えさせられた。
    まあ、活け花は「家元」とか習い事産業で「食える」仕組みがあるうえで
    世界中の芸術・表現を探求してる。
    伝統芸能とか、ご当地工芸とか、そんなかんじだ。
     

    マチスくんは、成り金の無責任な親に育てられたから、
    ああなった。芸術だけのせいじゃないよ。
     
    バブルの時、大人たちはみんなマチスの父ちゃんの様な気分で、
    絵画投資したり、成り金みたいになったんやろ?
    その子供もマチスとにたようなもんや。
    芸術家じゃなくても、うかれた親に育てられた世代はみんな
    被害者や と思うことも多々あるで最近。

    どの国も歴史も、浮かれた時代の親は皆成り金。
    その世代の子供は、個性求められたり、アホなって苦労すんねやね。
    どこか皆マチスくんのように
    ハシゴをはずされ、経済社会の歯車にからまって生きていくか
    ちやほやされた個性を押し殺し気味にいきる。

    これは成り金の被害者の話。 たけし自身はどうなんや?
    「北野武 全思考」って本読むと、たけしは
    親は苦労してまじめなのに、自分で決断して大学辞めたんやて。
    ちょうどその時代は、ポエムとか演劇とかやってジャズ喫茶にいりびたる文系とかアート系とかの、そういうやつがモテ始めたらしい。
    理系のたけしは、自分に決められた工業系の進路レールから外れようと、
    ここまでしてくれた親を説得する意味も含めて大学辞めたらしい。
    そのせいかなんか、芸術家=「自分で選び、好きでやってる」=幸せ者っていう感じが強い。


    「マチスは好き勝手やってる人間」て反感もってるレビューがほかのサイトにいくつかあったけど、
    根本は、たけしのそういう根っこの部分が「勝手」とみられるんじゃねえのかな?
    いまは、まともなレールにのるのさえ大変だってえ時代だから。
     
    話は変わって。

    人は
    才能があったり、悪さに秀でていたりもふくめ、
    特別で必要とされたり、安心感を与え、繁殖したがっている。
     
    人間は安定したいのが第一の望みなんだってさ。
    「人間が不安定な冒険するのも、最終的にはそれで名声を得て
    子子孫孫安定したいから」的な意味のことが心理の本に書いてあった。
     
    結局はそこの差が、常識か、本当の狂人の境目かなと思うてる。

    マチスは子供うんだし、子供死んだけど、かみさんが居るし。
    パフォーマンス自殺までして狂ったふうに見えて、
    「エンディングでかみさんにモテてる時点でやっぱり普通の人」やし。
    「戻ろう」って終わる時点で安定めざしてる普通の人やし。

    せやから、最後のシーン、いらないって多くの人に言われてるんちゃうか?
    ようは、勝手なことをポーズでやってましたテヘペロぽくなっちゃうもん。



    個人的には、この映画含めて
    レールから外れようとすることは、最終的には
    モテたり収入を得たりで「安定」したがってる・・・という点で矛盾してるって最近すごく思うから
    それが、パラドックスの「アキレスと亀」っぽいなと感じました。

    まあ、なんとでも解釈できる、うまいタイトル付けたなと思います。


    追記

    絵の下手さが、絶妙で良かった。
    もし半端にうまい絵やほんとにいい絵がでてきたら、
    痛々しいかったり、ほんとにつまんなかったりして、はなにつくから、
    下手な感じの湯加減がよかった。
    絵画のパロディのフンデルトワッサーが「似てない」所はおもろかった。

  • 北野武監督の作品らしく狂気もあり笑いもあり、尚且つ個人的に感情移入しやすい映画でした。
    少年期、青年期、中年期と分かれている年代記で、絵にとり付かれてしまった男の人生がしっかり描かれていた。
    何かになりたいと思った事がある人は、主役マチスに自分を投影できるんじゃないかな。
    彼はどうしょうもない人間だけどひたすら絵に没頭する姿は愛らしく見えてくる。
    周りには理解できない人もいるけど愛してくれる人もいる。
    それはファンタジーなのかも知れないけど救われる部分でした。

    麻生久美子が相変わらず美しい。
    事務員姿と子供を見つめる横顔はいいなぁ、惚れる。

    たけし監督の芸術三部作の最後らしい。
    他の二作品も見たけど今作が一番見やすいので他の人にもオススメできる。

  • この映画はちょっとした西洋絵画史みたいになっているのだけれど、シーンごと、それに対するアイロニーが感じられて面白かった。
    もう一つ気づいたのは、これは、例えば「アウトレイジ」などで人を殺しまくる作品のネガ(あるいはポジ)だということ。つまり、人を殺しまくるかわりに、自分を殺しまくる映画だ。

  • 芸術だけじゃなく、何かを極めようとするには狂人と紙一重のラインが必要で、主人公は純粋に極めようとした結果、狂った。
    北野作品でこんなに笑えなかったのは初めて。
    良い作品です。

  • 夫婦愛だと銘打っているものの、もっと北野さんの考えは深いところにあるようで。

    アキレスと亀っていうタイトルから、映画の中でいったい何の物事が“アキレス”を象徴し、何の物事が“亀”を象徴しているのか、最後まで見ても分からなかった。

    でも、ようやく分かったんですが、アキレスと亀のパラドックスの話を精一杯考えようとしても、体感的にはアキレスが亀に追いつけないなんてそんなはずはないと矛盾がないことはわかるのに、数学的に頭で考えようとするとなかなか理解が出来ない。そのもやっとしたジレンマや発生する感情が、この映画を見ることで全く同質のもやっとした感情が再現される。この感情のことを北野さんは“アキレスと亀”だといっているんだろうな、というのが個人的な思ったことでした。

    アートっていうのが、往々にしてそういう矛盾の感情の中で、現実社会に受け入れられたり受け入れられなかったりすることを若干皮肉的に気づかせてくれる。
    そうやってアートにまつわる送り手と、受け手。その間にある意図や思いのズレを描いている作品です。


    …こういうような「アートに関する感情論」であることが北野さんのこの映画に対する思いだとすれば、現実社会には「何があっても支え合う夫婦の物語」と捕らえられている、この送り手と受け手のパラドックス。この映画“アキレスと亀”は、自分の作品自信でさえも、その矛盾に入り込んでいます。

    んー、堅いこと言ったけど。それぞれの人がそれぞれ思いたいように思えばいい。そう思います。

  • これぞ北野武。不屈でゆるぎない、ラストが素晴らしかった。
    芸術なんてしょせん自己満足に評価がついてくるだけのこと。
    だから、錆びたコーラ缶が20万円したって良い、それを理解してくれるたった一人を探して芸術家は苦悩を繰り返す。
    芸術は万人に愛されるための道具ではないとまざまざ思い知らされた。
    存在証明として絵を描き続けた男の子がそのまま成長し、最後幸せを見つけた喜びはまさにおとぎ話。

  • 2014.3.20(自宅)

    「景色は明日もあるからね」

  • 樋口可南子の健気さが終始つらかった

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