二十四時間の情事 [DVD]

監督 : アラン・レネ 
出演 : エマニュエル・リヴァ  岡田英次 
  • IVC,Ltd.(VC)(D)
3.38
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4933672236612

感想・レビュー・書評

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  • 1959年。フランス・ドゴール政権の核開発開始が1957年、核実験成功が60年。戦争の陰を引きずる時代だからこそ成立し得た。戦時中、ドイツ軍人を愛したフランス人女性は、戦後の広島を旅する(取材?)。情を交わす日本人は、広島と共になって戦争の陰を暴き出していく。◇今となってはなかなか再現しがたい50年代半ばの広島の風景が記録としての価値も内包。モノローグと会話が主なフランス映画を粋と見るかどうかは定かではないが…。

  • ものすごく印象深く好きな映画のひとつだけど未だに内容は消化しきれていない部分が多い。戦後の広島の風景を映し出している点では歴史的な資料としても価値があると思う。
    ただ内容は広島の原爆投下の是非とかそういうのではなく、フランスという場所で戦争に巻き込まれた個の人間の話。間接的な戦争体験によって歪められた人間は普通の人だったら簡単にできてしまうことができなくなる。そして常に欠落感や自分のやっていること、周りの環境への疑問を抱き続け現実から乖離してしまっているような浮遊感を味わい続けるということを描いているのかなと考えた。
    丁度最近アメリカの元兵士の方とお話しする機会があって、戦地での世界とアメリカへ帰国してからの世界とのギャップにすごく苦しんだと話していたから多少それがどういう感覚なのかわかった。
    あと自分の勝手な見方だけど村上春樹の作品に登場しそうな女性だった。

  • 映画撮影のために広島を訪れたフランス人女優と現地に暮らす日本人男性の、戦後の広島を舞台にした、恋と、愛する人を忘れることについての物語。女性には戦時中故郷の町に駐屯していたドイツ兵と恋愛関係にあった過去があり、男性は原爆投下時は出征して不在だったが終戦後広島に戻っており、お互い家庭のある身という設定。
    時系列ごっちゃにした展開と、現在の恋人(岡田英二、美中年)に向かって昔の恋人(大戦中に恋に落ちたドイツ兵)との会話を繰り広げるとかに混乱することはなく、むしろ物語がスマートに伝わってくる感じ。決まり事をすっ飛ばした伝え方が効いている・・
    14年かけて忘れた恋の喜びを異国の地で再び感じるとともに、14年かけて封印してきた自分の過去、また14年かけてそれを忘れてきた自分と向き合うヒロインの苦しみ、そこに寄り添う男性のたたずまいが美しい、あと些細なことだが日本を舞台にしてもおかしな日本描写が殆どないのはフランス映画の日本展開を視野に大映とがっつりコラボした成果と、あとは監督の力量ということかなと(当時日本では外国映画の公開件数に制限があり、思うように市場開拓できないので大映との協業を思いつき、この企画に乗ったのがアラン・レネだった、脚本はマルグリット・デュラス)。
    原題はHiroshima Mon Amorだけど日本語題のほうが合っていると思う。舞台が広島であることの必然性はわずかにあるけどどっちかというとフランスでの話がメインのため。
    「あの時(原爆投下時)広島にいたの?」「いや戦地にいた」「幸運だったわね」と言われた時に男性が一瞬苦い顔をする、家族は広島にいた=被爆したのであり、自分だけが難を逃れたことを「幸運」とは言い切れない(むしろ罪悪感が勝つ)というあたりを見逃していない感じ。未曾有の惨事を彼はどんなふうに経験し、今はどう自分の中で整理したのか?とかそういうところはあんまり語られない。どっちかというと女性のほうがメインだけどそこに不満なない。前段の広島の伝え方(「全部見たわ」「君はなにもわかってないよ」)がそれなりに謙虚にまとまっているからだと思う。この時期にこの映画をみたのはタイムリーだったし、強いストーリーをしっかり伝えてくれる作品に出合えて幸運だったと思う。

    ※(2012/01/04に補足)
    第二次大戦中ナチスに占領されたフランスが連合軍に解放された後の風景として、救世主たる連合軍のパレードとセットでよく映画に登場する「占領中ドイツ兵とよろしくやっていた(という濡れ衣も多かったと聞く)フランス女性=裏切り者に対する、地元民によるリンチ、特に女性の髪を公衆の前で丸刈りにする行為」がこの映画にも登場する。「マレーナ」なんかでは傍観者的にその様子を見せるがこの映画では髪を刈られる本人の目線で語られて生々しい。ドイツ占領時のフランスにまつわる物語はユダヤ人迫害とセットでぽつぽつ語られはしているけれど、フランスという国もまたあの大戦をきちんと消化することに結構苦労しているのではないかなと思ったり。

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