愛を読むひと (完全無修正版) 〔初回限定:美麗スリーブケース付〕 [DVD]

監督 : スティーヴン・ダルドリー 
出演 : ケイト・ウィンスレット  レイフ・ファインズ  デヴィッド・クロス  ブルーノ・ガンツ  レナ・オリン 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.58
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感想 : 242
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142764324

感想・レビュー・書評

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  • ・「愛を読む人」
    https://www.youtube.com/watch?v=Wb8mx1Z7Jt8

    圧巻だった。レイフ・ファインズをはじめすべての共演者が素晴らしい演技を見せていたが、全てぶっ飛ばしたのがケイト・ウインスレットだった。彼女を知ったのは「タイタニック」だったがそれほど評価できることもなく、その後の演技を見てもあえて購入しようという気はなかった。

    本作は素晴らしいとしか言い様がない!レイフ・ファインズの役柄は青年期と成年期を二人で演じ分けているのに比べてケイトはすべてをひとりで演じ切った。美しさと老いの中に昔から見せる気の強さがなんとも言えずにマッチしていた。演技を見ている中で「素晴らしい」や「上手い」というよりも「美しい」という言葉がどんどん膨らんでいく、彼女の魅力が全て詰まった作品かと思います。

  • 組織での犯罪で、末端の職員として雇われた人間に罪はあるのか?組織に忠実に従うということは日本では美徳とされてきたことだが、『es』でも描かれていたようにこれは集団心理として扱う問題だと思う。同調圧力によって、人はいとも簡単に洗脳されてしまう。

    集団心理として扱うべきこうした問題は、歴史の中で常にこの映画のように個人の罪や責任として問われ詐称され、歪められてきたんだろう。看守仲間みんなでハンナを指差し、簡単に嘘を付き罪をなすり付ける様は、観ていて非常に心苦しかった。

    そして埋められそうで埋まらない二人の間の深い溝、強烈なプライドに傷付いた心。相手への愛のあまり、お互いに同じ極同士のように反発し合う様が狂おしくもどかしい。
    捨てられた少年は、年老いた老女を捨てる。

    緻密で繊細に描かれるハンナの存在感が素晴らしく、見終えた後も、主人公の脳裏に呼び起こされる彼女の記憶を垣間みているような感覚の余韻が残った。

  • パトカーにPOLIZEIって書いてあるドイツが舞台の映画なのに、名前がマイケルでしゃべってる言葉は英語で本にはtheって書いてあって手紙も英語っていうのはかなり興ざめ。あと、女優さんが若い時期は適度に年で色気もあるけど体型は崩れてる人を持ってきたなと思ったけど、老年期は全然老けて見えなくてもう少しメイクでなんとかならないのかと思った。特に顔のラインが綺麗すぎて、年をとると輪郭全体がたるむのにそれがないのがとても不自然。

    その2点以外は、とても好きな作品。ドイツではナチズムに対してすごく厳しいと聞くけど、情があってもそれだけではすんなり受け入れられないのだろうなと思った。社会的にもだけど、主人公自身の中でも。

    主人公が、ハンナの尊厳を尊重するのがいいね。

  • 監督スティーブン・ダルドリーは、
    『リトル・ダンサー』で果てしない夢を描き、
    『めぐりあう時間たち』で死の淵を描き、
    本作で喪失を描いた。

    日本の童画の創始者であると同時に、恋愛の至高を繰り返し綴った、武井武雄は「触れてこそ愛はきわまる」との一文を私家本(刊本)にそっと潜り込ませた。

    making love 以上に、reading you a story は相手に触れる行為。もちろん肌の触れ合いは繊細かつ重要。しかし、そこに言葉と心の触れ合いが加わったとき、繊細さは、奥深さを増し、しっかりと大きく響き合うものになっていく。それは独りになっても、生きていける泉になる。

    繰り返して言うが、この映画が描いたのは秘密ではない。
    喪失を内面に抱え持つこと。
    それでも生きていくこと。

    しかし、その喪失を内面に抱え込めなくなったとき、何かが終わる。生きる、って何?・・・ここからやっと本当の生が考えられる。考えるというよりは突きつけられる、という感じだろうか。

    本作では、時間軸がしばしば錯綜する。
    そのため、物語は複雑になるが、喪失の大きさを描くためには仕方のないこと。過去は過ぎ去ったことではなく、今の自分そのものだから。より深く理解しようと思ったら、もう一度、観る必要があると思う。

    たどたどしく書かれたハンナにとって「最初」の手紙
    "Thanks for the latest kid. I really liked it."
    を見た瞬間、全てが分かった。ここから彼女の本当の人生が始まり、自殺をもって幕を閉じた。

    マイケルは、離婚を経て、朗読テープを送り続け、ハンナの死のきっかけを作り、そして、その死を引き継ぐ。そして、長らく抱え込んでいた喪失を娘と共有しようと試みる。

    物語からは、誰が正義で、誰が悪人かは分からない。ただ、二人の生き様に、世界の文学が結晶化させようとあがき続けた「人間」そのものを見てしまうのは私だけだろうか。

    『リトル・ダンサー』のような喜びは本作にはない。
    『めぐりあう時間たち』のような衝撃は本作にはない。

    しかし、本作には深い喪失がある。この喪失を味わうには、まだまだときが必要だと感じた。それは原作者やキャスト、スタッフであっても例外ではなく、同じ思いなのではないだろうか。

    一人の人の人生も、アウシュビッツ(ポーランド語でオシフィエンチム)のような出来事も本当に理解するには「とき」が必要だと思った。「とき」とは、ただ単に流れる時間ではなく、誠実さを伴った営みである。ドイツの哲人政治家ヴァイツゼッカーの言葉を借りれば、「erinnerung」=心に刻む(「荒れ野の40年 ヴァイツゼッカー大統領演説全文より」)ということになる。

  • すごく良い映画だった。エロティックだがスケベではないケイト・ウィンスレットの演技は最高だった。悲しい結末も。
    以下の詩はHPに掲載されていたもの。観終わってから再度読んでほしい。
    フリードリッヒ・シラー「たくらみと恋」
    何も怖くない 何も
    苦しみが増せば 愛も増す
    危険は愛を一層深め
    感覚を磨ぎ 人を寛容にする
    私はあなたの天使
    生の時より美しく
    この世を去り
    天国はあなたを見て言うだろう
    人間を完全にするもの
    それこそが愛だと

  • 官能が主題などではなく、
    ハンナの羞恥心が孤独を産み、
    それ故にマイケル(ミヒャエル)と結びつき、
    後の人生の重大な結末へと向かわせた、
    大変な悲劇である。

    一方でまた、
    罪とはなにか、正義とはなにか、
    愛とはなにかを深く考えさせる物語であった。

    無心に朗読をし、
    そこから学ぶ姿に涙が止まらなかった。

  • この映画は、公開されていた時に観たいと思っていたのに、機会を逃してそのままになってしまっていた映画。

    前半は、少年のマイケルが可愛くて可愛くて、ハンナに恋している姿が本当に可愛い。
    本を読んでもらっているハンナも可愛くて。素敵です。

    そしてもう、後半はほとんどずっとボロ泣き…。
    法廷のシーン、テープのシーン、食堂でのシーン、そして机に重ねた本。
    重たいストーリーで、背景も難しいし全てが感情移入できる訳ではありませんが、最後のハンナの選択は、なんとなくわかる気がします。

    あー、泣きすぎて顔が酷い。

  • ケイトウィンスレットは
    タイタニックで初めて見て
    なんて稚拙な演技なんだろうと思った記憶 。

    それだけ残りながら
    他作品をなにも見ないまま

    アカデミーにノミネートされる理由を知らなかった。

    化けるんだ、人って。
    リーアムニーソンが
    食われてる。
    他の彼の作品で、影にですらびくっと
    身を硬直させたのに。

    不思議なほど、
    記憶に残るのは彼女だった。

  • 観終わった後、なんともいえない哀しみしかなかった。思いっきり脱力!

    この作品は世界中でベストセラーとなったドイツの作家・ベルハルト・シュリンクの「朗読者」が原作。
    もちろん出版された時にこの本は読んだけど、私は映像の方がよりよかったと思います。
    主役を演じたケイト・ウィンスレットとレイフ・ファインズ、ミヒャエルの少年時代を演じたダフィット・クロスが、それぞれいい演技をしたなぁ~って思う。
    小説では理解できなかった感情をみごとに演じている。
    ケイト・ウィンスレットがアカデミー賞で主演女優賞を受賞したのもうなずける。

    *** ネタバレ、注意! ***

    戦後まもなくのベルリン。15歳の少年ミヒャエルは具合が悪くなったところをひとりの女性が介抱してくれた。3ヵ月後にお礼を言いにいき、21歳年上のハンナと関係を持ってしまった。
    たぶん、彼にとっては初恋?本物の大人の愛ではなかったのだろうか。
    だからこそ、何もいわず突然消えたハンナにとても複雑な思いを抱き、ああいう行動をとったように私は感じた。
    愛と憎しみは表裏一体だと思うから。
    それにハンナとのことはトラウマ的になり、ミヒャエルは誰にも心を開くことができなくなり、家族生活も崩壊させてしまう。
    なんともむごい再会。
    ハイデルベルグ大学のロースクールにすすんだミヒャエルはナチス戦犯の法廷を傍聴しにいく。
    6人のSSの女性たちが被告で、そのひとりにハンナがいた!
    ハンナは無学で無垢で、言われた仕事をたんたんとこなしていたのだと思う。
    法廷でもあるがままを答えるハンナ。重罪を恐れたほかの5人は、リポートを書いたのはハンナだとハンナに罪をきせようとする。
    そこでミヒャエルは気づく。
    ハンナは文盲なのだと・・・・。だからいつもミヒャエルに本を読むことをたのんだのだ。
    ミヒャエルは葛藤する。文盲だという事実を公にだすべきか?
    しかし、文盲だということを恥じているハンナの気持ちを尊重し(だけだろうか?)何も告げず、ハンナだけが無期懲役を言い渡される。
    そしてミヒャエルはハンナに本を朗読したカセットテープを刑務所に送り続ける・・・。

    なんかみていて不条理さも感じたし、かといってナチスがしたことも許されることじゃない。
    法廷で裁判官に「教会に閉じ込められているユダヤ人たちがこのままでは死ぬとわかっていて鍵を開けなかったのか?」という質問に、ハンナは答える。
    「鍵を開けることはできない。看守が私の仕事だった。」
    そして、「あなただったらどうする?」と逆に裁判官に問いかける。
    裁判官は何も答えられず、ただどうしようもないなぁ~みたいなそぶりを見せて次の討議へ。
    そう、誰が裁けるのだろうか?
    生きるために言われたことをしただけなのに。
    私はドイツ在住ということでドイツに肩入れしているわけではない。
    ドイツは敗戦国ということで何もいう権利はないのかもしれないけれど、苦しんでいる普通の人々はたくさんいる。ドイツ人=ナチスではないのだ。
    映画にもアウシュヴィッツの第一収容所と第二収容所(ビルケナウ)の映像がでてくる。私自身も負の遺産は自分の目で見るべきだと思い見に行った。
    戦争は二度と起こしてはいけない。それぞれがいろいろな形で泣くことになるのだから。

    戦争での事実などを風化させず戒めるためにもこういう映画はとても重要だと思う。
    戦争を知らない今のドイツ人たちも、今でもそれを受け止めている。
    映画のラストもなんともいえない辛い結果となったけど、ミヒャエルが娘にこの物語を話しだしたとき、彼もやっと自分の道を歩けるようになるんだなーと、すこし明るい気持ちになれた。それがせめてもの救いだったような気がする。
    是非、観てほしい映画の1つです。

    ただ、この映画はドイツとアメリカの合作映画で英語です。なので人名もミヒャエルは英語読みのマイケル。
    できればドイツ語で作ってほしかったかなーとも思います。
    でも、ケイト・ウィンスレットだったから、ということもあるしねぇ。

  • 秘められた罪を告白されるような深い深い溜息のような映画だった

    ストーリー:9  盛り上がり:7  テンポ:8  緻密さ:9
    映像:8.5     音楽:7    満足感:9

    前半は年上に恋する少年とお姉さんの発情的なラブストーリーだったのが、後半からはガラリと雰囲気を変えてナチスドイツ時代の問題に焦点が当たる
    少年は法学部で学ぶようになり、ゼミの一環である裁判を傍聴しに行くと、そこには被告人としてあの時のお姉さんがいる
    そこにいた彼女はあの頃より老い、顔には疲れが浮かんでいる
    あの時彼女が消えた理由とは…いつも朗読を聞いていた理由とは…

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