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- / ISBN・EAN: 4988632502313
感想・レビュー・書評
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「TOKYO JOE マフィアを売った男」はモンタナ・ジョー (1919-2004)、日系アメリカ人ギャング、ケン・エトウ(衛藤健)を取り上げた2008年のドキュメンタリー映画。小栗謙一監督。
「東京のジョー」といった意味の英語などの語句で、日本人や日系人男性の通称などに用いられることがよくある
彼(ジョー)の父親は戦前に教師としてロスに赴任し、キリスト教に感化され現地での生活を選ぶ。日本にいた妻や子供も呼び寄せるが、厳格すぎる父親の元で妻は発狂し、子供(長男であるジョー)は家出をする。その後の真珠湾攻撃で日系人は強制収容所に入れられる。帰る場所のない日系人の生き残る道は暗黒の世界であった。
FBI女性捜査官の目を通して描かれる犯罪者としての顔、弟の記憶による兄の印象、息子から見た父親の姿などジョー本人を多面的にあぶりだしていく。頭に銃を3発撃ち込まれても死ななかった男の壮絶な人生の足跡です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前から気になっていた、アメリカのマフィアの元幹部・ジョーを追ったドキュメンタリー。
以前、彼を取り上げた書籍を読んだけど、それとは微妙に異なる、“モンタナ・ジョー"あるいは“トーキョー・ジョー”こと、ケン・エトーの生涯。植民してきた日系人のいわゆる“二世”ゆえの苦悩、厳格な父親、博打の稀有な才能――と、「モンタナ・ジョー」とディテールは同じなんだけども、なんだかこちらの方が、もう少しドライに評されている感じ。
映画では、ジョーを追っていた元FBI特別捜査官のスミス氏を中心に、元連邦検事補、最愛の息子などのインタビュージョーによって、ジョーこと、ケン・エトーの存在が浮き上がっていく。曰く、無表情なポーカーフェイスで、人となりを見抜く才能を持っていた男。天才的な博打のイカサマの腕。そして、自分を裏切ったマフィア(もちろんイタリア系)の「沈黙の掟」を破り、姿を隠して司法の場での証言をゆるがせにしない、筋の通し方。
彼は日系アメリカ人だけれど――日本人の理想の男=任侠を実践した人であるのは、間違いないと思う。そしてそれは、皮肉なことに、現在の日本においては、リアルではない「理想の」人物像でもある。
17年に及ぶ連邦保証人プログラムで、彼はマフィアと、マフィアに癒着している労組や警察などの実態を次々と証言して、権力を握っていた人物たちの逮捕に貢献する。そのあたりをもう少し見せてくれたら、なおよかったのに……。
それに、スミス氏が彼の若かりし頃を語る時、日系人収容所に触れるのだが、妙にそこだけ湿っぽいのが気になる。いえ、日系人収容所はひどいと思いますよ? “仕方ない”じゃ片付かない問題だと思いますよ? だけど、なんだか日本人の観客を意識したシーンに思われて居心地が悪いというかなんというか。
ジョーはすでにこの世の人ではない。だから、この映画で語られた彼の姿も、結局のところは、想像と推測の範疇を出ないといっていい。インタビューに応じた、元FBI捜査官・スミス女史による、ジョーについて語った書籍が出版されたようだけれど――一応、「モンタナ・ジョー」と、読み比べてみるべきでしょうかね。
そうそう、映画で使われていた音楽が超サイコー! ハズマット・モディーン、要チェック。 -
[TOKYO JOE 日本 2008]
メモ:シアターキノ A館 16:05-17:40 2008Vintage手帳15 一人で観る