- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988126206987
感想・レビュー・書評
-
第二次世界大戦直後のシチリアの寒村を舞台に、映画技師の初老男性と彼を慕う幼い少年の友情と、人生の機微を描いた名作。
サルヴァトーレ少年(通称:トト)は、村で唯一の娯楽である映画に夢中で、初老のアルフレードが映写技師を勤める映画館「シネマパラダイス」に入り浸っていた。
大戦で父親を亡くして母子家庭で暮らすトトと、子供のいないアルフレードの間には、親子の情にも近い友情が芽生え、アルフレードはトトに映画技師の仕事を教えていく。
そして、ある事件をきっかけとして、トトはアルフレードに代わって映画技師の仕事をするようにまでなる。
しかし、トトが思春期を迎え、裕福な家庭の美少女エレナとの実らぬ恋に苦しむ最中に徴兵された時、自分には叶わなかった広い世界をトトに与えてやりたいと願ったアルフレードがとった行動は…。
時は流れ、ローマで映画監督として大成した初老のサルヴァトーレが、アルフレード死去の連絡を受けて30年ぶりに故郷に帰った時、初めて明らかになる、手に入らなかった恋の真実やその後のこと、そのきっかけを作ったアルフレードの行動と強い愛情、そして、サルヴァトーレ自身の抱える未練と払拭などが、時代の波の中で閉館し取り壊される「ニューシネマパラダイス」の姿や、幼かったトトとの約束を守ってアルフレードが贈ったプレゼントがもたらす郷愁と相まって、強い印象を残します。
アルフレードがとった行動には、映画ファンの間にも賛否両論あるようですが、個人的には、サルヴァトーレを取り巻いていた状況と将来性を考えると、あれでよかったんじゃないかなあ、と思います。
人生って、どれほど願っても頑張っても、手に入るものと入らないものがあるし、時々の選択が正しかったかどうかは結局誰にもわからないし、時には後悔することもあるのけど、それでも、進んでいくもんなんだよなあ、と、最後は感傷的な気持ちになりながら見終えた作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに感動の涙にくれました。
たくさんの愛が溢れている
父と息子(のような)愛は 人生の楽しみ、何が大切なのか道標を指してくれた。
母の愛は ランプの灯り、心のまなこで見つめ続けていてくれる、いつでも帰る場所があることを照らしてくれた。
男と女のその愛は 苦境に抗うのではなく、受け入れあるがままに身を委ね、流れる時の中の不変を信じさせてくれた。
それから
映画という愛してやまないたくさんの作品はそれを作る人、見せる人、観客のハートが木霊し合い様々な感情を享受できる尽きることのない愛が詰まっているのだということを再認識させてくれた。
大好きなシーンは数え切れない程に。
映画館を締め出された人達に外壁をスクリーン代わりに映像を映し出した見事な場面。
トトが生まれた街を出て行く時のアルフレードのかけた言葉。
トトとエレナの30年以上の想いが一夜の夢の中で確認されたシーン。
そして、最後のあの繋ぎ合わせたフィルム、粋な贈り物(アルフレードは幼少のトトとの約束を守ってくれていた笑)言葉を失う程の感動に。
アルフレードとトト
トトとエレナのストーリー軸の太い柱の周り、多くの人を交えた細やかな人達とその演出はこの先観るたびに発見できるという楽しみが待っていそうだ。
ありがとう。今、出会ってくれて…
と言いたくなる珠玉の作品です。
追伸 忘れてならないのはモリコーネの美しい旋律。音楽も涙をそそります。-
kaKerikoさん、ご無沙汰しております。
T-SlTE、ならびにTwitterをしていた際には大変お世話になりました。
早いもの...kaKerikoさん、ご無沙汰しております。
T-SlTE、ならびにTwitterをしていた際には大変お世話になりました。
早いものでBlog開設から2年2ヶ月。T-SlTEの閉鎖からは此方に移行するも、なかなか旧友の皆さま方のレビューを読破しかね失礼してしまっていることを、連日のように心のなかでお詫びしています。
本作は私も大好きな作品です。ジャック・ペラン氏は私と洋画との出逢いにおける俳優さんですので、本作への想いはひとしおです。
『WATARlDORl』など、監督としての才能を晩年は発揮しておいでですね。素晴らしい方だと敬服しております。
この場をお借りし、少しずつお世話になった方々にご挨拶をさせて戴きたく…
長くなり失礼いたしました。
2015/03/14
-
-
実はまだ見ていなかった作品。
音楽はとても有名で、いつか見なきゃと思って何年過ぎた事か。
やっぱりいい映画はこういう映画を言うんでしょうね。
恋愛だけじゃなく、その人の歩んできた歴史は大きな宝物。
そして、その人生に大きな影響を与えてくれた人がいたら尚更。
年齢差も関係なく、サルバトーレとアルフレードの絆はいつまでも何があっても永遠。
なんとなく少年時代のトトと大人になったトトの笑顔が似ていた。
本当にいい映画だった。 -
初めて観たのは高校生の時、視聴覚室にて。
確か、図書委員会のイベントかなんかででした。
facebookでの知人さんの投稿でふと思い出して、久々に。
「一番好きな映画は?」と聞かれると8割方、名前を挙げてしまいます。
映画と青春、そして人生への愛が、たっぷりとこめられています。
シチリアのその白い風景もただ、美しく。
個人的には、ヒロインのエレナが本当に綺麗だなぁ、と。
そして年を経てしっとりとた女性になっていのが、安心とも、せつなくとも。
「私と一緒にいたらあなたはこの島を出ていかなかった、だからあの人は正しかったのよ」とは、
妻、そして母となったエレナの言葉、芯のある人はいくつになっても魅力的です。
主人公だけが、時が止まったままでした、良くも悪くも少年のままで。
それもまたブレなさではあるのでしょうが、、行き違いの様相もせつないところ。
そして、アルフレードの父性と、様々な母性に包まれての、
ラストシーンが相変わらず涙を誘います、音楽も彩りを豊かにしてくれていて、たまりません。
映画館での公開版とDVDなどでの完全版では、賛否分かれているようですが、
個人的には完全版の方が好みです、「人生」が描かれていると、感じるので。
ん、生きるってことはなんだろう、と、思い返したくなる様な、なんて。 -
1988年イタリア
フィリップ・ノワレ、ジャック・ぺラン、サルヴァトーレ・カシオ
切ないなぁぁぁぁぁぁの一言に尽きます。
劇場版と完全版ではかなり印象が違うらしく、私が観たのは完全版。
トトとエレナの後日談があるかないかの違い?
あのシーンがあるかないかではラストのシーンの受け取り方も全く違ってくるでしょうね。
アルフレードはどうしてトトに嘘をついてまで、トトに旅立ちをさせたかったのでしょうか?
トトの才能を認め(トトはたぶん、学校の成績もよかったんでしょうね)田舎の映写技師で終わってはいけない、旅立たねばならない!!
恋愛と言う一時の感情で人生を可能性を棒にふってはいけないって思ったのでしょうね。
そうして送られたトトは幸せだったのでしょうか?
映画人として大成功を納めたようだけど、30年たっても独身、誰とも結婚せず、、、横にいる女性は常に違う、、、ずっとずっとエレナを思い続けた30年。幸せなのかなぁ?
確かにあの時、エレナと一緒になれてたら、、、恋愛感情がずっと続いてたかどうかはわかんないし、例えば駆け落ちとかしてたらどこぞの田舎町でくすぶった人生を送っていたかもしれない。
そんなことを観終ったあとに、延々と考えさせられる映画でした。
ラストシーンのサルヴァトーレの表情が何ともいえず、、、よかった。
「アルフレードのせいで、、」って思ってた感情が消えていったのでしょうね。アルフレードのトトへの愛をふんだんに感じた瞬間でしょうね。
ところでこの純愛物語、ギャッツビーを思い出させますが、、、
男のめめしさと言うか純真さというか、、感じますね。
エレナはトト以外の人を好きにならないと言いながらなんとトトの幼馴染みと結婚してトトの故郷で暮らすという何ともビックリな人生を歩んでるじゃないですか。
ここらへんが男女の違いなんでしょうかね?
細部に盛り込まれている笑いもくどすぎず、いい感じ、、
印象に残るレアなシーンは
30年後にサルヴァトーレが故郷に戻った時に母が編み物をしてたのに、、玄関に迎えに行くために全てほどけていいったところ。
それから「俺の広場だ」って言ってた男が30年後も「俺の広場だ」って言いながら様変わりした広場の車をかいくぐりながら歩いていたところ。
名作と言われる作品にあまり共感を感じない私ですが、これはいいっすね♪
名作じゃ!! -
昔、小さな映画館で観ました。観た頃は若かったが、今なら、もっと共感できる。泣いたら、さんまさんに怒られる!!
-
第二次世界大戦後のイタリア・シチリア島の片田舎で、壮年の映画技師アルフレードと映画に見せられた少年トトとの30年以上にわたる親交を、映画そのものへのリスペクトを随所に散りばめながら描く。
映画が老若男女全ての人々にとって娯楽だった牧歌的だった時代と地域にあって、映画技師のアルフレードは、その心地良さの居心地の悪さを感じていたのだろう。創造的であること、人生で何かを為すということをトト少年に教えるために、唐突に冷淡に接し、少年はその真意を完全に理解する。
画角に見え隠れするシチリアの海岸線や街並みと、エンニオ・モリコーネによる旋律が美しく、客席でスクリーンを見つめながら笑い、泣き、怒る群衆が愛おしい。どうやら、この劇場公開版とは全く異なるストーリーの完全版という編集があるらしく、そちらはトトとエレーナの恋愛模様が中心とのこと。 -
あまり多くは語らないのに、たくさんの余韻を残す映画でした。
古きイタリアの村を舞台にしているためか、近頃の作り込まれた映画とは違った魅力と、人間味を感じました。
人々の娯楽の中心が映画出会った時代、村の人々をたのしませていた映画館。
映画館で平気で大声で笑い、エッチなシーンでは囃し立てる。
今の映画館ではおよそ考えられないことが映画館の中で起こる。
そんな市井の人々の姿がとてもユーモアを感じました。
そして何よりも、映画によって絆を深める少年トトとアルフレード。
アルフレードの死から物語が始まり、村に30年帰らなかったトトの回想という形で物語は始まります。
二人は時が経っても特別な絆を持っています。
だけど、あるとき、アルフレードから村を出るように言われる。
アルフレードの言葉は強く胸に響きました。
トトのことを大切に思うからこそ、強く厳しい言葉をかける。
そしてトトも、アルフレードの言葉を受け止める。
ラストシーンは、最初の二人のやりとりを覚えていないと理解しにくいですが、どれほど思いを寄せてくれていたのか、それをうかがわせる場面でした。
プロットとしてはとても単純ですが、二人の絆、年齢も距離も超えた関係性に感動します。
アルフレードが残したものの意味が理解できたとき、言葉にならないほどの愛情を感じて、涙が溢れでてきます。
名作と名高い本作、初めての鑑賞でしたが、本当に見てよかった。
相手を思うからこそ、相手と離れる。
見えない、会えない相手にも心を寄せる。
静かで深い愛の一つの形を、ゆったりとした時間の中で描いた作品です。