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- / ISBN・EAN: 4988126207038
感想・レビュー・書評
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この感想を今はなき映画ログに書いた時、「『幸せへのキセキ』のスカヨハはそういう雰囲気じゃなくて、また違う魅力でしたよー!!」というコメントを他のメンバーさんからいただきました。
確かに!!
『幸せへのキセキ』の彼女は、セクシーが売りじゃない女性の役で、それはそれで素敵でしたよね。
(でも、「幸せ」と付くタイトルはいっぱいありすぎて、すぐ思い出せなくて、ググってマット・デイモンの顔を見てやっとどの映画か思い出した)
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2017/01/01 鑑賞
ウッディ・アレンの映画は正直、ほぼ苦手なんですが、今回、初めておもしろいと思いました。
この映画のあらすじを文字で読んだり話に聞いたりすると、きっと主人公には全く同情の余地なんかなくて、浮気男のくだらないありふれた陳腐な話に見えると思う。
しかし、映画を見ていると、あやうく主人公に同情しそうになった。
窮地に追い込まれた時、私は完全に主人公サイドにいて、「やべぇ!」と本気でビビってしまった。
こんなクズ野郎に同調できてしまうとは、映画というのは本当にすごい。すべてのメディアの中で、疑似体験度はやっぱり映画がピカ一なんだなぁと改めて思った。
こんなダメ男は、小説とか文字だけだと、ここまで同化はできないんじゃないかな。
そして、人間のネガティブな営みのすべて、悲しみやら誘惑やら恐れやら憎しみやら何やらって、やっぱり話に聞くだけじゃ分からないものだな、実際にその立場になってみないとたぶん本当には理解できないんだなぁとしみじみ思った。
そういう意味で、犯罪をさばくのってやっぱりすごく難しいことだなぁとも思う。
ところで、スカーレット・ヨハンソンは、男性にとってはもう、記号みたいな存在なんですかね?
「この人の役の意味に説明はいらないっしょ?」みたいな感じで登場することが異常に多いような。
そういうタイプの女性の宿命なのかもしれないけど、少し安く扱われる役が多い。
男って、なんで心奪われるものと大切にするものが完全イコールじゃないんでしょうかね!?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
GYAOでまた視聴可能だったので再鑑賞。
3年前に観た時と大きく印象は変わらないが、変わらないということはやはり相当面白いってこと。アレン映画の中では色々な点で異色作だが、それでも一目でアレンの映画とわかる。エミリー・モーティマーやブライアン・コックス等イギリスの正統派役者さんの手堅さを再認識。 -
ネタバレ
結婚生活を維持するためににっちもさっちもいかなくなって不倫相手を殺すというありきたりな浅はかな話だけど、面白かった。最後運良く落とした老人の婚約指輪を売人が拾って難を逃れるというオチがちょうど、テニスボールがネットに当たってどっちに落ちるかというそれだけの差ってことを象徴してる。ほんとに幸運な男。
罪悪感に苛まれている主人公が
「逮捕されて罰を受けるのが当然だ。少なくともそれが正義だ。ほんの僅かでも罪を償う意味があるのなら」
ってことは罪を償う意味がないと思ってることだよね。可哀想な人だ。 -
男の本能とは・・・と途中でため息をつきつつも、「指輪」と「テニスボール」をキーにしているあたりがうまいな、と思った。
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運に翻弄されるというよりも、富と欲望を求めた男の悪運のお話。BGMのオペラやテニスネットに当たったボールと投げたリングの印象的なギミックを駆使し、重厚感を意図したのだろうが、残念ながら内容が軽すぎた。
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元プロテニス・プレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、大金持ちのトム(マシュー・グード)と親しくなり、やがて彼の妹クロエ(エミリー・モーティマー)と結婚。しかし、トムの婚約者で、セクシーなアメリカ人女優のノラ(スカーレット・ヨハンソン)に心を奪われ、不倫の関係に陥ってしまう。
貧しいアイルランド人のクリスが上流階級のクロエと結婚をし、大手会社の重役に成り上がりつつもアメリカ人のノラに惹かれてしまい、「愛」を捨てるか「富」を捨てるか選択を迫られるという三角関係のありがちなお話ですが、冒頭でクリスが読んでいたドストエフスキーの『罪と罰』が後の展開の伏線になるところや、投げられた指輪が柵を越えて川に落ちるか歩道に落ちるかをテニスのコードボールに例えるなど演出が秀逸。監督のセンスの良さを感じさせます。 -
別途
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ハワイからの帰国前日、一日フリーな時間をもらえました。
どこに行こうかと考えたんですが、ずっと雨が降っているので観光には向いてないし、海に入る気もしないので、映画を見に行くことにしました。
ホテルの人に聞くと、アラモアナ・センターの近くにWard Centerというのがあって、そこに映画館があるとのこと。
今地図を見てみるとWard 16 Theatersというのがあるので、私が行ったのはそこだったようです。
ハワイのバスに乗って行きました。
地元のバスは全線2ドルで、サングラスをかけたきりっとしたお姉さん(というかオバサン)が運転手をしていました。
スペイン系らしい兄ちゃんたちが乗り込んできて、通路に立ってスペイン語でワーワーしゃべっていると、途中でバスを止めて、かれらにむかって仁王立ちして「おまえらうるさいから後ろに行け」(たぶんそういう意味の英語)と一喝したら、みんな後部座席に行ったのはおかしかった。
映画館周辺はショピングモールになっていて、にぎやかでした。
ハワイはどこに行っても日本の観光客がたくさんいるので、英語ができなくてもわりと安心。
映画館は例のシネマ・コンプレックスというもので、福岡だったらヤフー・ドームの隣のユナイテッド・シネマ福岡とか、キャナルシティのAMCと同じつくりでした。というか、日本の方がそれをまねているんですよね。
で、入り口でどれを観ようか迷いました。
チケット売り場にはタイトルと時間しか書いてないし、最近映画を見に行ってないので新しい情報を知らない。
日本語の字幕はないでしょうから(あたりまえだ)、なるべくわかりやすいのがいいなあ思って、Match Pointというのを選びました。
おそらくテニスを扱ったスポーツ映画でしょうから、話はそんなに複雑ではないはず。観ていればストーリーはわかるだろうと思って。
いま考えると、ブロークバック・マウンテンとかファイヤーウォールとかもやってました。
ブロークバックマウンテンはいま評判のゲイのカウボーイを扱った映画。
ファイヤーウォールは、ハリソン・フォード主演のコンピューター関係の映画。
そっちも見ておけば良かったなあ。
でもブロークバックマウンテンを見に行って(そのときは山登りの映画だと思いました)、まわりがゴツい黒人系の人たちばかりだったら怖かっただろうなあ。実際の客はどうだったかしらないけど。
そのほかにも、デートムービーというのがあって、これは映画のタイトルではなく、そういう種類の映画を集めたものみたいだったけど、これもちょっと覗いてみたかったな。
Match Pointの横にはRという印が書いてありました。
リバイバルの意味のRなのかな。昔見た映画なら、英語がわからなくても退屈しないだろうと思ったんだけど、これは違いますね。映画の内容からすると、たぶんR指定のRです。日本と同じですね。
チケットは8ドルちょっと。1000円ぐらいです。安い。
高齢者割引があって、6ドルちょっと。
それに、兵隊さんの割引がありました。高齢者割引と同じ値段。
こういう優遇措置があるとはさすがアメリカ。
よく戦争やってますからね。
Match Pointを上映している映画館には、高齢の女性が3人しかいませんでした。
RはやっぱりリバイバルのRなんだろうなあと勘違いしながら待っていると、お爺さんが一人と、若いカップルが一組入ってきました。
私もいれて全部で7名。
少ないなあ。(笑)
再映中心の映画館だから仕方ないのか。
映画のタイトルに、ウディ・アレンという名前が出て来て、勘違いに気がつきました。
ウディ・アレンといえば都会風の気の利いた映画を撮る監督。
これまで、「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう 」しか見たことはありませんが、そういうイメージの監督です。
(ちなみに、「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」という映画は、はとても面白い映画です。見てない方はビデオでぜひどうぞ。なかでも「ミクロの精子圏」は傑作)
そういう監督が、ストレートなスポーツ映画を撮るわけがない。これはマズイ。
映画のオープニングで、テニスコートのネットの上をボールが行き来して、そのうちネットにはじかれて真上に上がり、「マッチ・ポイントで、このボールがどちら側に落ちるかでその人の運命が決まる。」みたいなことを言っています。(たぶん)
映画の終わりがこのオープニングとピタッと符合するところがなかなか見事なんですが、物語はまず主人公クリスがテニスのコーチとして、ロンドンの富豪の息子トムのコーチになるところからはじまります。
その妹クロエとも知り合い、富豪の父親にも気に入られ、彼の会社の重要な仕事を任されるようになり、やがて結婚して家族の一員になるという、主人公のサクセス・ストーリーとして物語は進みます。
ですから全然テニスの映画ではありませんでした(笑)。
富豪の息子トムの恋人として登場したノラに対し、主人公は初対面のときから関心を抱きます。
トムに棄てられてロンドンから姿を消した彼女とふとしたきっかけで再会し、彼の方から積極的にアプローチして、ついにわがものとします。(このあたり私は寝てました)
貞淑で賢く優しい妻クロエと、美しくセクシーで奔放なノラ。
その二人のあいだを行き来しながら、仕事もますますうまくいって、主人公は一見順風満帆に見えます。
しかしそういつまでもうまくはいきません。
ノラとの関係がだんだん泥沼化していきます…
主人公クリスを演じるジョナサン・リス=マイヤーズは、この役柄にぴったりの俳優です。
彼のどこか暗い風貌は、育ちの良い優しい娘と結婚し、経済的にも恵まれ、裕福な彼女の家族からも信頼されるという一見何不自由なく見える環境にいるにもかかわらず、根本的なところでの焦燥感、自分の人生には重要な何か欠落していると感じて、無自覚ながらいつもそれを追い求めている人物、それへの欲求にいつも駆られている人物を思わせます。それが目に見える形となってあらわれたのが、(ある意味手近な)ノラへの欲求だったように思えます。その欠落感と渇望感は、根本的なモラルの欠如とどこかでつながっており、時と場合によっては致命的な結末を引き起こす知れない。最後のシーン(階段のシーン)では、彼の暗さがいっそう際立っています。それはこの主人公の倫理的な暗さといってもいいかもしれません。
ノラを演じたのはスカーレット・ヨハンセン。
美人です。
ブロンドの美人。
なんかあまり感想が出てこないぐらい美人。
こういう主人公の近くにセットする爆弾としてはピッタリです。吹っ飛ばされるとわかってても手を出してしまう。
クリスの妻クロエを演じたのはエミリー・モ-ティマー。
貞淑で賢く優しい妻。
上品に育てられ、絵に描いたような良妻賢母なんでしょうが、どこかひ弱で鈍感さも感じられます。彼女と結婚したらきっとこの主人公は退屈するだろうな、大変だなあ、でも誠実で可憐な彼女を裏切って不倫に走るとはこの男はとんでもない奴だと思わせるまでところまで役柄にぴったりです。
ただ、彼女に対する監督の視線はシニカルですね。スカーレット・ヨハンセンに較べると胸のとこらあたりがイマイチなので、それが原因かも…。
音楽はオペラの曲がたくさん出てきて、もしかすると、オペラのストーリーと映画の進行に関係があるのかもしれませんが、その方面に詳しくないのでわかりませんでした。
この映画は各種の賞にもノミネートされ、アメリカでもヒットしているそうです。
たしかに見応え十分。
舞台がロンドンなのでイギリス英語なんですが、なじみがないのでさらに聞き取れず、ウトウトしたところもあったんですが、途中から引き込まれて目が離せなくなりました。
ただ主人公が鏡の前で犠牲者と対話する場面、どう弁解したのかきちんとわからなかったのが残念。
レジェンド・オブ・ゾロ、コープス・ブライド、それにこの映画、いずれも字幕なしだったので、そういう重要なセリフを漏らしたところはあったんですが、それでもストーリーだけなら結構分かるものなんですね。
というより、そういう映画でなければ、つまり映像だけでも観客に物語を分からせるようなものでなければ、映画としてだめなのかもしれません。
これは新しい発見でした。 -
いつにもましてしょうもない男の話なんだけど、結局なんか妙に腑に落ちてしまうところがさすが