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- / ISBN・EAN: 4933364611628
感想・レビュー・書評
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スコセッシの映画、あともうちょいで微妙にフルコンプできておらず・・・。この『クンドゥン』も、何年も前から知り合いのTSUTAYAの店員に「ないんか?入れんのか?」と言っていたのだけど無く・・・発掘良品で入った時はとても嬉しかったです。GJ。
当代ダライ・ラマを扱った作品はこれと『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(未見)、リインカネーションもののフィクションだと『リトルブッダ』がありますが、この『クンドゥン』はノンフィクションの伝記で史実に忠実に作られている。
スコセッシが宗教をメインテーマにしたものはこれと『最後の誘惑』が双璧で、どちらも宗教指導者を一人間として描いている。
史実にのっとった伝記映画や歴史ものだと、「ふ~ん・・・そうだったのか~」で終わることが多く、結局は題材とされる人物がどのような生涯を送ったかがドラマ性に大きく関わることになる。
この点、ダライ・ラマ14世は激動の前半生を送ってきたので題材としては良い。
面白かったのはマオ・ツォートンの描かれ方。
慇懃だけど気色悪い人物。不穏な空気。
マオに言われた言葉が最も考えさせられる。
先にも書いたが歴史ものは途中で飽きることが多いのだが、映像表現の部分が面白いので飽きずに楽しめた。
チベットの風習、そして鳥葬が見られる作品は他にあまり無いんじゃないのかな?
余談だけど、これと『セブン・イヤーズ・イン・チベット』、そしてチベタンフリーダムコンサートって大体時期が一緒なんですよね。何かムーブメントとして関係あったんだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ダライ・ラマの幼少期から亡命するまでを描いた映画。
観てよかった!
ダライ・ラマ美しい人だった。 -
「ぼくの話をして。」
そうしきりにねだる子供に接した時、多くの人は、ただの自分勝手な子供だとしか思わない。たぶん。
その先にある絶望的なまでの優しさに他人はすごく鈍感。
鈍感な他人に、心は乱され易い。
繊細すぎる。
面倒な事に、「社会」は鈍感さで成り立っている。
繊細さをどう克服するのかが、人生の大命題。
ひきつった笑顔で外に迎合するでもなく、他人に恐れられるギラついた凶器になるでもなく。
インテリぶって「洗練」という言葉・思想に甘えて、繊細さを削ぎ落とすなんて事をせずに、強く生きたい。
知恵の大海=ダライ・ラマ14世の半生。
日本未公開(のはず)。探してたら意外と近く(BIG10。超ローカル。)で発見。
モンクを始め全ての登場人物は英語で話す。チベット国民も、毛沢東も、インド人も。
どうしようもないオリエンタリズム。
アジアの極東、日本に住む自分にも歪んだオリエンタリズムがある事を再確認。
けれどそういった矛盾を超えたところから、人が生活を営むのに必要とする主義・主張を超えたところから、切実に、現実・真理を訴えかける映画。
スコセッシという人は、高い所にいるんだろう。
(…高い所から俯瞰するから、ほとんど全ての作品の、ほとんど全てのシーンがまるで絵の様に鮮やかなのかも)
ヒト社会にある全てのしがらみを出来る限り上手く利用して、凄く危うい場所から映画という手段で伝えようとしている。
「真理とは、究極の現実」