そして、私たちは愛に帰る [DVD]

監督 : ファティ・アキン 
出演 : バーキ・ダヴラク  ハンナ・シグラ  ヌルセル・キョセ  トゥンジェル・クルティズ  ヌルギュル・イェシルチャイ  パトリシア・ジオクロースカ 
  • ポニーキャニオン
3.74
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013888647

感想・レビュー・書評

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  • ドイツにおけるトルコ移民という存在。トルコのEU加盟問題。犠牲祭というモチーフ。3組の親子それぞれの葛藤、すれ違い。

    「死に乾杯を」

    同性愛は不要だったんじゃないかな、と一瞬思ったが、やはりそれにも意味があるのか、と見終わった時に気付いた。
    つまり反体制グループの所属員であり娼婦の子であり(本人は知らないが)ドイツに不法入国したトルコ人であり、更には同性愛者であるアイテンは徹底したマイノリティーであるわけで、そんな彼女が帰属するものは国ではなく、愛なのだろう。

    それぞれ出会えそうなところですれ違うシーンが多くて(アイテンが本屋を訪ねた時には掲示板の母の写真は剥がされてる、息子が父を訪ねに行ったら本人は釣に行ってる等)見ていてもどかしいが、しかし旧約聖書という共通した教典を持つキリスト教とイスラム教のように、それらの絆は根っこのところで必ず交わる予感を残して映画は終わる。

    久しぶりに映画らしい映画を見たなー、といったところ。なかなかよかった。

  • 2020年再観賞。

    光の使い方が美しい。屋内や夜の暗さと、陽光のさす場面の対照が印象的。
    時間の間やしぐさに現れる人の内面の描写がさりげなく巧い。
    ストーリーの構造がうまく対照と繰り返し、すれ違いの構造を使っていて面白い。
    在ドイツのトルコ系移民の子が父の愛人を辿ってトルコへ、その愛人がトルコに残してきた子は母を追ってドイツへ入り、またドイツからトルコに入る人がいる。
    ずっと近くにいながら溝のあった父子と、ずっと離れて暮らした母子、そして同じ道を辿った母子。
    トルコとドイツでそれぞれ本来は他人である相手を探してゆく旅、血縁を超えた家族愛と宗教を超えた赦しの連鎖。
    それぞれの社会の古いもの(ドイツの前例主義と生真面目さ、トルコのジェンダー観)と新しい価値観、世代間の葛藤。

    愛の失敗が死を招いたのを、本人やその家族がその償いのように旅に出る。本来の目的にはロッテの母を除いて見事にすれ違うばかりだが、イスタンブールの地で互いの親切によって償おうとしている感じがある。
    最後に償いができなかったのはアリなのだが、荒れる直前の海に出た切りずっと戻らない。エンドロールの間ずっと戻らない描写に、父殺しの歌詞が出てくる歌に、今までも迎えに行くときはすれ違うこの映画の筋書きといい、赦しを得られなかった父は死を選んだのだろう。赦せなかったネジャットがまた最後に残されている。

    題はドイツ語だと「向こうへ」、英語とトルコ語だと「人生/天国の果て」だそうだ。

  • すれ違いながらも確かな愛を見出せて、良かったというべきではあるが、一番感じたのは死は唐突にやってきてあっけなく避けられないものだということ。曲も良かった。

  • ファティ・アキンさんの映画はいつどれを観ても面白い。
    まあ純粋に「大好き!」ってことなので冷静な評価はできないのだけれど。
    (ノイバウテンのやつだけ観てないけどノイバウテンってとこに惹かれる)

    これだけどちらかと言うと社会派的な映画の要素もあったり
    叙情的なんだけど、
    100%そうなってないところが良いんじゃなかろうか。

  • トルコの海が印象的。最後のシーンがすごく好き。理解することはできなくても、許すことはできるんだよね。

  • ドイツとトルコ。私の2大憧れの国。
    監督はトルコ系ドイツ人。
    世界の映画を観ると、世界には民族問題を抱える国が沢山あるのだと思わされる。日本はそういう意味で平和だから。日本でアメリカの映画ばかり観ていると世界の多様さに気づかない。

    いや、これは民族の話ではない。これはつながりの話。
    タイトルが良い。
    イェーテの死、ロッテの死、死のほとりで。
    前時代的(エロイ・ガンコ・タンキ)親父。
    万国共通で人気のある草食系心優しいインテリ息子。
    娘の学費の為にピンク街に立つ母。
    反体制運動の為に不法入国し、塀の中に入れられる娘。
    その娘に自分の中の熱い想いを重ね合わせ驀進する友達。
    若い頃の自分に似た娘を心配する友達の母。

    愛すべきキャラではないけれど、どの人物も現実的で自分にとってとてもリアルだった。
    人が人を信頼するのに、家族である必要はないし、人が絶望の時に救いになるのは
    家族だけとは限らない。そして家族は家族となった以上いつまでも家族なのだ。

    犠牲祭の日、息子を守る為なら神をも敵に回すと言った父、
    娘の学費の為なら娼婦にもなれる母、
    娘の遺影を求めてひとり慟哭する母。
    父の素行に幻滅する度に糸を手繰り寄せる息子、
    自分の信念を信じ闇夜の中を突き進む娘、
    母を疎みながらそれでも自分の中に母を見つける娘。

    なんだか凄くリアルな話。そうだ、人は何度でも繋がり・離れ、それを繰り返す。

  • どこまでもどこまでもすれ違い続けるストーリーなのだけど…

    ひさしぶりに味わい深い映画を観た。

    噛めば噛むほど味のでる作品だから、前編で引き込まれなくても見続けてください。

  • 何気ない会話が輝きを放っている。無駄なものを削ぎ落とした演出の妙か。
    ラストは簡単に納得のいくものではなかった。だが、余韻に浸る内に何か見えてくるものがあった。おそらくそれは、見る人それぞれに異なったものであるに違いない。
    いつかトルコに行くことがあったら、ドイツ書店に入ってみたい。素敵な出会いを期待して。

  • 色んな縁がつながりあうかんじ。
    愛に溢れた映画。
    イスタンブールにいきたくなるー!

  • なんかこれまたこのジャケット写真とかにすっごい齟齬がある気がするんですけど!なんかこの写真だったら、じんわり心が温かくなるハートフルストーリー☆って感じじゃないかえ?そういうつもりで見出したら、だーまーさーれーたー><って私なら絶対思いそう(苦笑)
    なんちゅーか、「いっかにもドイツ映画!!」と思いました。一言で言うならキレイじゃない!オシャレじゃない!!なんていうのか、こういうので一作映画を撮っちまおう!っていう価値観が、なかなか他ではないよねえ~と。
    しかし、私はブレーメンは2ヶ月ぐらいいたことがあるのだが、トルコはまだ未踏の地で。イスタンブールの街の風景にへえええ~でした。パッと見さほどハンブルクと違わないぐらいなの?へえ~

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