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感想・レビュー・書評
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圧巻。
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前半は性虐待(継父→妻の連れ子)の物語で、連れ子が車の事故に見せかけて継父を殺すまで。
後半は継父の息子(これは実子のほう)が真実を知り、精神的に肉体的にも不幸のどん底に落ちてゆく義理の弟をどうにか日の当たるところへ導き出すまで。
前半が破滅へ向かう物語であるのに対し、後半は救いの物語なんですが、義理弟に救いの手を差し伸べる義理兄の手が何度も振りほどかれ、まったく効を奏しない(どころか逆にキレられ嫌われる場面もあり)というエピソードがえんえん繰り返されるのが、一見冗長にみえるようですが、連載当時はそりゃもうハラハラドキドキ、「え~またダメ~??!!」「イアン失敗した?(泣)」とプチフラワーを握りしめて、何度悲鳴を上げたか。萩尾先生は物語を悲劇的な結末に向かわせているのか?もしや先生も落としどころを見失っておられる??などと失礼なことも頭をよぎったり、、、、。読者も大いにリンフォレストの森の中で出口を見失いオロオロしていました。
でも単行本をじっくり読んでいくと、ジェルミ(義理弟)の気持ちの変化(イアン義理兄のことが好きだということ)が最初は匂わせる形で、そして徐々に明確になる形で描かれ、あ~ちゃんと救済の方向へむかっているじゃん、この恋心の描写は説得力ある~、丁寧だな~、と認識がかわり。
連載の醍醐味を味わわせつつ、収束へもきちんと向かわせている先生の手腕は素晴らしい。 -
萩尾望都先生は本当にすごい。
読んでてこんなにツラいのに、どんどん読んでしまう…
吐きそうなほど胸が苦しくなる。こんなマンガには10年に一度出会えるか。
萩尾先生は本当に尊敬します。
長い話なのに、ダラダラしないし、人間の右へ左へする心理の、描写がとてもリアルですごいです。 -
このマンガも図書館にありました。
「先生の白い嘘」( http://bit.ly/1EkLMNG )流れで読んだのだけど、何の先入観もなく読み始めて、面白くて止まらなくなるのはいいんだけど、しんどかったー。
借りられる冊数の都合上、前半10冊読み、後日後半7冊を読むという具合になったのだけど、この後半7冊は手許に来てもしばらく読めなかったねぇ…。それくらい読むのに気合が要った。
これって、いつ連載されていたんだ?と気になりググると、1992年に連載が始まって、1997年に「第1回手塚治虫文化賞優秀賞」受賞とな。そうか~、13年前か。
あらすじは、義父から性虐待を受けてた少年と、その義理兄による癒やし(になるんだろうな…)の長い長い葛藤話。
それにしても、マンガ家さんの嗅覚もさることながら、これを描けるというのがすごいよねぇ。
いろんなことを考えてしまう。 -
読書日記。
ふぅ。
とても苦労しました。
凄い、というべきか、苦行だった、というべきか。
(2009年08月07日読了) -
母の再婚でジェルミを待っていたのは義父の愛とのたまう支配と暴力。
彼は義父の殺人を決行、とともに母をも殺してしまう事に。
病んでいくカレに・・兄イアンは執拗に告白を迫りますが・
ソノ真実は今度はイアンを闇に突き落とすことに・・。
壊れたジェルミの心を 果たしてイアンは救う事ができるのでしょうか?心に痛い作品です、あなたは果たしてこの作品を直視できるでしょうか。
是非挑戦して下さい・・! -
蔵田さん、この本読みたがってたけど、読んだのかな。
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たま~に読みたくなるんですよね・・・・萩尾先生すごいわ。ここまで描くか!!その心理描写はなまじな小説を寄せ付けるモンではないです。愛の名のもとに(いやそれがなくても)人をここまで壊せるということ(本の「闇の子供たち」も凄惨ですが)その回復にこれほどのエネルギーが必要だということにもう暗澹とします。ジェルミにはイアンがいたからそれでもなんとか生きられそうですが、まあ下手するとジェルミのボストン男娼時代がずっと続くわけですね。・・・・・自分の近くでこういうことがあったらイアンのように向き合えるかと読むたび自問するわけです。(必ずしもこう向き合うことが正解な訳じゃなくて、イアンも「専門家にまかせなさい」と何度も忠告されるわけだが)読書感想文の対象に指定してもいいと思うのですけれどね。