OOPARTS【初回生産限定盤】

アーティスト : the pillows 

• avex trax (2009年10月13日発売)

感想・レビュー・書評

[たださんの感想 · 2022年12月12日]

the pillows結成20周年記念オリジナルアルバム(2009年)は、久々に、私の好きなピロウズが帰ってきたと思えるような、ポップな中にも骨太なバンドアレンジと、その拘りの音楽愛がいっぱい詰まった、オルタナロックとなっております。

avexに移籍してからは、どちらかというと、聴き手に向けた歌が多かったように思われたが、本盤は、山中さわおさん自身が、周りを気にせずに、やりたいことをやっている印象が強く(｢YOUR ORDER｣は最初のリフだけで、さわおさんが好きなbreedersへのリスペクトが分かる)、久々に、彼の内面における孤独感を覗わせる歌詞が多いのも、結成20周年という節目において、改めて考えるものもあるのだろう。

アルバムタイトルの｢オーパーツ｣には、『時代にそぐわない遺物』という意味があり、さわおさんは、おそらく自らをそれに擬えているように思われて、例えば、オープニングの曲、｢Dance with God｣の歌詞の始まりは、

瞬きなんて忘れちまえよ
乾いた目でオレを見ろ
世界遺産に落ちぶれちゃいそうな
年輪だけの知名度

これって、ピロウズの事を皮肉って言っているんだろうなってことは、当時の私にはすぐピンときて(正直、今がどれくらいの知名度なのか分からないが、当時のファン心理としては、こんな感じでした)、もちろん私は、バンドを長くやっている事だけが素晴らしいのではなく、実際の音楽が素晴らしいことも知っているし、さわおさんの人柄が好きなのも確かなのだが、しかし、この曲はこれで終わらなかった。

生い茂った鎧は全部
嵐の夜に剥がされた
自業自得の丘に居座った
片鱗だけで致命傷
風が突き刺さる

咲かないで　枯れないで
呼吸だけ絶やさないで
時を超えて映るだろう
キミの目に
Dance with god

(中略)

混ざらないで　染まらないで
鼓動だけ冷まさないで
時を超えて響くだろう
キミの胸に
Dance with god

そう、さわおさんは、それでもいつかは自分の音楽が、誰かの心に響き残るであろうことを信じていた。たとえ、それがどんな形であっても、どれだけ後世になろうとも。


そして、本盤で最も重要で、シングルにもなった、｢雨上がりに見た幻｣という曲がある。

タイトルを見て、ピンと来た方もいるかもしれないが、おそらく、｢ハイブリッド　レインボウ｣の続きの歌だと思われて、それは、この曲のシングル盤のジャケット写真が、当時のシングル盤、｢ハイブリッド　レインボウ｣のジャケット写真を、そのまま再現している事からも明らかである。

『昨日まで選ばれなかった僕らでも明日を持ってる』と歌っていた、あの曲から10年以上も経った未来において、さわおさんがどんな思いを抱いていたのかについて、正直、私はここで言葉にすることができない。ただ、｢そうだね、そうだよね｣と、さわおさんのこれまでの歩みを讃え、頷くだけです。


全てが変わるかもしれない
蜘蛛の糸をよじ登って
認め合った僕らは
時代も背景もそぐわない
遺物なんだと思い知った
抜け出した壁画の夢

千年後の雨になって
僕らは降るだろう
太陽とも解り合って
虹を出せるかな
叶ったら　叶ったら　叶ったら
綺麗だろうな

踏み外した崖っ淵でも
手を掴んでくれた
雨上がりに見た幻を
今も覚えてる

足跡の無い道を選んで
ずいぶん歩いたな
荒野の果て　何処かにきっと
足跡残ってる
それだけが　それだけが　それだけが
生きた証
それだけが　それだけが　それだけが
僕らの誇り

[たださん · 2022/12/12]

今回、どうしても、｢ハイブリッド　レインボウ｣をテーマに書きたかったので、感想では書けなかった、私の好きな曲を二つばかり、コメント欄で失礼します。

まずは、ピロウズの盟友、｢ヌードルス｣を歌った｢Lemon Drops｣。英詞で歌ってるのですが、ここでは日本語訳を。


不器用な演奏と甘い声
自信家ガールの軽率なアイディア
まさに冗談
何だろう　初めてのテイスト
まさに曖昧

まさに、さわおさんがプロデュースしていた頃の、ヌードルスのオルタナロックを表しているかのような素敵な表現が印象的で・・でも、yokoさんは本当に自信家ガールに見えます。昔も今も。

もう一曲が、ラストの｢Primer Beat｣で、こういう歌詞は、さわおさんしか書けないんだろうなというのが、よく分かります。


止まってる時計だって一日に二度
確かな時間を差せるのに
半端に狂っちゃった僕ら
ずっと居場所がない　黄昏てんだ

キツネの森で握手　紛れ込んだ晩餐会
嘘を紛らわすシロップが目立って
変に甘ったるいんだ
飲み込んだ振りも限界

どうしよう　こんなはずじゃないぜ
マトモになろうとしてたのに
ただ年老いてくだけ
千切れたプライドは
ルーツを逆走中

急ぐよ　キミに会わなくちゃ
とっておきロックンロールを
昨日右脳でキャッチしたんだぜ
くたばる前に届けたくて
迷走中

[浮気なスーさんの感想 · 2018年12月1日]

このアルバムの6曲目に収録されている
「Beyond the moon」
って曲が、物凄く好きですね。ちょっとこう、特別に堪らん、といいますが、ガッツーンと、くるんです。

激烈に失礼な言いかたで、すみません、なのですが、ビックリするほどにヘナチョコな歌詞のラブソングだと思うのですが、こんな歌詞を書いて、こんなメロディーを生みだすことのできる、山中さわおさんと、pillowsのメンバーの関係性、すっごい好きだなあ。

こんな気持ちを、ずっと忘れずに、生きていたい。こんな思いが、ロックンロールの根っこに繋がっていると信じたい。そんなことをね、何故か、思うんですよね。

あ、アルバム自体も、すっごくこう、スッと聴くことのできるナイスさだと思います。だって、アルバム一枚で38分ですよ。テンポ良すぎやで、ホンマ。

１曲目の「 Dance with God」の不穏さ生意気さも、好きなんだよなあ。ロックンロールでしかないなあ、この感じは。

[人生≒本×Snow Manさんの感想 · 2011年11月28日]

今回は三回目、四回目の聴聞にして、やっとぴんと来た。

眠いとき、半覚醒の時、目覚まし代わりにピロウズを使うのはやめよう。音楽に対する敬意を持とう。

ちゃんとしたコンディション（体調）で、聴いたら、どの曲もよくて、踊り出したくなった。ライブ行きたーーーい！というか、絶対チケットとるぞ。

なかでも、「メロディー」「Beyond the moon」的な曲は本当に私の好み。誰かにとっての、太陽じゃなくて、満月じゃなくて、三日月な自分を感じるから。

初回限定版のＤＶＤは面白い。笑えるというものではないが、生の本人たちを知っているだけに、とにかくコミカル。

[ミチルさんの感想 · 2010年10月7日]

★FOXIES

[うえつじラスカルさんの感想 · 2010年6月28日]

ピロちゃんを追っ掛けて、早や15年以上…。

サウンドが全体的に大人しくなってきたというか、控えめというか。ちょっと物足りない印象です。引き込まれていかない…。

いい曲ばかりなんだけど、なんというか…。物足りない。物足りないんです。

【収録曲】
1. Dance with God
2. YOUR ORDER
3. メロディー
4. Lemon Drops
5. FOXES
6. Beyond the moon
7. ジョニー・ストロボ
8. 雨上がりに見た幻
9. LIFE SIZE LIFE(The bag is small,and I don't enter)
10. Primer Beat

[ゆうたんめんさんの感想 · 2009年11月23日]

ピロウズの中でもかなり自由度の高いアルバムだと思います。それでもピロウズらしさが出てるから不思議。聴けば聴くほど好きになります。
ちなみに６曲目のBeyond the moonがさわおさんらしいラブソングで個人的に大好きです。