イングロリアス・バスターズ [DVD]

監督 : クエンティン・タランティーノ 
出演 : ブラッド・ピット  メラニー・ロラン  マイク・マイヤーズ  クリストフ・ヴァルツ  イーライ・ロス  ティル・シュヴァイガー  ダニエル・ブリュール 
  • ジェネオン・ユニバーサル
3.60
  • (101)
  • (189)
  • (190)
  • (40)
  • (15)
本棚登録 : 999
感想 : 198
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102822231

感想・レビュー・書評

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  • 『ニュー・シネマ・パラダイス』ならぬ「ニュー・シネマ・インフェルノ」とでも言うべきか。

    時折さらっと織り込まれるショッキングな描写に、肝を冷やすこともしばしばだが、圧倒的に抗いがたいタランティーノの魅力。
    戦争を題材にした映画かと思いきや、意外にも映画愛に満ちた娯楽大作。
    150分強という上映時間もあっという間に過ぎ去った。
    今更ながらに気付いたR−15指定。
    知っていれば観ることをためらったかもしれないが、観てしまったものはしょうがない。

    オープニングで最初の音楽がなった瞬間に「あっ、タランティーノだ」と何故かわかる独自の世界。
    一応、主演はブラッド・ピットのようだが、何と言ってもランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツが凄かった。
    激高することもほとんどなく終始にこやかな笑みを浮かべているが、部屋に入ってミルクを飲むだけで漂う緊張感。
    ああいう人に睨まれたら、やってない悪事まで吐いてしまいそうで恐ろしい。
    アカデミー助演男優賞受賞も納得。

    ショシャナ役のメラニー・ロランも良かった。
    彼女が出演しているシーンは、他とはテイストが違って随所に古今のフランス映画へのオマージュが感じられた。
    物憂げにカフェで両切り煙草を吸うシーンに始まり、すこし紗がかかったようなカメラや構図、赤と黒の鮮烈な対比や音楽の使い方など、さすが映画オタクのタランティーノ。
    守備範囲の広さというか引き出しの多さににやにやするとともに、泥臭いアクションや銃撃戦などと合わせても、統一感を損なうことなくつなげる手腕に驚く。

    第二次世界大戦中のナチス統治下のフランス。
    一人逃げ延びて復讐に燃えるユダヤ系フランス人の少女。
    「ユダヤ・ハンター」の異名を持つランダ大佐とナチス親衛隊。
    ナチス掃討の任務に就く特殊部隊、イングロリアス・バスターズの三つ巴の戦い。
    そして奇想天外な「プレミア作戦」の行く末は。

    日本での売り方としてはあれが正解だと思うが、映画館の予告編で感じたような「おバカ」テイストはほとんど無かった。
    楽しいとか痛快、爽快というのとは違うが、重苦しいという訳でもない。
    一言でいうならばタランティーノ・シャワーを全身に浴びせられる感じ。片時も目が離せない。

    とかく第二次世界大戦が舞台でナチスが題材となると思想的なことを考えてしまいがちだが、単にいい素材があったので娯楽作品として料理しましたという雰囲気。
    だからといって決して茶化している訳でもなく、大真面目に取り組んでいる。
    「ただただ面白い映画を撮りたい」というクエンティン・タランティーノのこの姿勢は、映画人としては至極真っ当で、意外に稀有でニュートラルなのではないだろうか。

    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      コメントありがとうございます。

      ふと思えば気になるアイツって感じで、僕もタラちゃん好きなのかなぁ。
      気がつけば『ジャッ...
      円軌道の外さん!

      コメントありがとうございます。

      ふと思えば気になるアイツって感じで、僕もタラちゃん好きなのかなぁ。
      気がつけば『ジャッキー・ブラウン』も劇場に観に行っているし、『フォー・ルームス』も観たし。
      『レサボア・ドッグス』も当然『パルプ・フィクション』も大好きで何回も観ました。
      『キル・ビル』も「1」はもちろん、実は「2」派だったりして。
      あっ、やっぱり無条件に好きだわ。そんな感じです。

      もう、タランティーノ作品がメインストリームで評価されていることに驚きと感動でいっぱいです。
      彼にはどんどん稼いでもらって、好きなものをずっと創り続けてほしい。ただそれだけです。

      クリストフ・ヴァルツ怖かったですよねぇ。
      ホント、彼を発見できただけでも大収穫ですよ。

      『ジャンゴ 繋がれざる者』の公開が楽しみで、予習の意味を込めて『荒野の用心棒』を観て、その流れで黒澤明の『用心棒』 そして結局『イングロリアス・バスターズ』を観たと。
      ああ、過去からすべては繋がっていて、名作の遺伝子は受け継がれているのだなぁ、ということがとても良くわかりました。
      2013/04/15
    • GMNTさん
      こんばんは~。
      この映画公開当時、ちょっと劇場から遠のいてしまっていて劇場では観ませんでした。
      後で激しく後悔しましたけど(笑)。
      最後の最...
      こんばんは~。
      この映画公開当時、ちょっと劇場から遠のいてしまっていて劇場では観ませんでした。
      後で激しく後悔しましたけど(笑)。
      最後の最後で某人物を撃ちまくるシーンで大爆笑しました。

      僕もキルビルは2派ですね~。
      あんな映画なのに泣いてしまいました(笑)。

      「ジャンゴ 繋がれざる者」はもう観られましたか?
      ソフト化されてからになると思いますけど、感想楽しみにしてます~。

      あと、もし観られてなければ「荒野の用心棒」じゃなくて「続・荒野の用心棒」の方を・・・。
      2013/04/24
    • kwosaさん
      GMNTさん!

      コメントありがとうございます。

      僕も最近は劇場に足を運ぶ暇がなく、もっぱらDVDばかりです。
      『ジャンゴ 繋がれざる者』...
      GMNTさん!

      コメントありがとうございます。

      僕も最近は劇場に足を運ぶ暇がなく、もっぱらDVDばかりです。
      『ジャンゴ 繋がれざる者』もソフト化されてからなのかなぁ、と涙をのんでおります。

      『キルビル1』のVシネ感たっぷりな雰囲気もいいのですが、個人的には『2』のマカロニウエスタン風、そして初期のジャッキー・チェン映画のようなテイストにたまらなく痺れています。

      そう、遅まきながら西部劇、マカロニウエスタンの魅力に目覚め、チェックを始めました。
      実はコメントをいただく前に、GMNTさんの『続・荒野の用心棒』のレビュー、最初の数行読んだんです。
      もちろんあわててブラウザバックしましたよ。
      近いうちに観る予定にしています。
      2013/04/24
  • 1944年、ナチス占領下のフランス。かつて、ナチスのランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)によって家族を皆殺しにされた少女ショシャナ(メラニー・ロラン)は、ただ一人逃げ延び、現在はパリで映画館主に身をやつしながら復讐の機会を窺っていた。
    同じ頃、アルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)率いる連合軍の極秘部隊“バスターズ”がナチスを次々と虐殺、ドイツ軍を震え上がらせていた。
    そんな中、ショシャナの映画館でナチスのプロガパンダ映画のプレミア上映が決まり、ヒトラーはじめナチス高官が一堂に集結するのだったが…。
    「キル・ビル」のクエンティン・タランティーノ監督が、第二次大戦下のパリを舞台に繰り広げられるナチス殲滅作戦の行方をスリリングに描くアクション・エンタテインメント大作。
    最初のユダヤ人ハンター・ランダ大佐が隠れ家に潜んでいるユダヤ人を見つけて虐殺するシーンから、タランティーノお得意の会話の中でサスペンスを高める演出が冴え渡っています。
    ブラピ演じるアルド中尉率いるバスターズ、クリストフ・ヴァルツ演じるランダ大佐、表向きは映画館主として振る舞いながらナチスに対する復讐を企むショシャーナなどの個性的なキャラクターがせめぎ合い、ショシャーナとランダ大佐の探りあいをしながら会話するシーンや居酒屋でバスターズと女優兼スパイとイギリス軍が密談している時にナチスのスパイに見つかって銃撃戦になるシーンや可燃性フィルムを武器にしたナチスのプロガタンダ映画を上映する映画館を舞台にした驚愕のクライマックスになだれ込むまでのサスペンスの盛り上げ方に、タランティーノの成熟した演出に驚かされます。
    マイケル・ファズベンダー、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロランの名演技に驚かされます。

  • タランティーノはどっちかというと苦手だったんですが、この作品は楽しめました!

    舞台は第2次大戦中のドイツ(正確にはフランス)、登場人物はほとんどドイツ人なのにセリフまわしや音楽のセンスはいつものタランティーノ。これが実に奇妙というか、よい意味で目新しいのです。一応歴史をベースにしているので、物語が荒唐無稽になりすぎず骨太なんですね。実に映画らしいクライマックスも予想外に盛り上がります。もちろん、グロい暴力描写や、主要人物が相撃ちでがんがんが死んでいく身も蓋もないシチュエーションといったタランティーノらしい悪趣味も堪能できます。

    それにしても凄いのはランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツ。英語もフランス語もドイツ語もイタリア語もなんでもござれの怪演。凄い俳優見つけてきたもんです。アカデミー助演男優賞も納得。

    あとマイケル・ファスベンダー。「プロメテウス」のアンドロイド役が印象的でしたが、涼しげな二枚目ぶりが相変わらずカッコいいです(飲み物を注文する手振りでドイツ人じゃないことがわばれるエピソードが好き)。冒頭でちょっとだけレア・セドゥ(「ゴースト・プロトコル」の暗殺者役)が出てたのも見逃せないぞ。

  • 長い。
    長い割にキャラクターに愛着は沸きません。
    全体的に冗長。
    しかし観終わった後、不思議な爽快感がある。

  • 久しぶりに(と言っても、もう5、6回は観てる)観たけど、やっぱり最高に面白い、極上のエンターテイメント!

    メラニー・ロランかわいいし、ブラピの訛りっぷりとクリストフ・ヴァルツの怪演が素晴らしいし、ちょっとだけのファスベンダーはハンサムですし、ブラピの部下にまさかのイーライ・ロスだったり、声だけにハーヴェイ・カイテルとサミュエル・L・ジャクソンが出てきたり、キャストの見応えがハンパじゃない。

    史実を無視して訴える、せめて映画のなかでヒトラーにナチに制裁を!と、快活すぎるタランティーノの脚本のパワフルさに圧倒。演出もイカしすぎてる。

  • ふっつうに楽しかった。クエンティンタランティーノの映画がどハマりしている。
    緊張感のあるやりとりが面白い。
    クリフトフヴァルツが最高に嫌味な男で面白い。
    みんなドイツ語とかフランス語とかイタリア語とかどんだけ話せるんだよと思った。
    最後の展開も圧巻。

  • ザッツ・エンターテイメント!

    表の主役はブラピだけど、真の主役はクリストフ・ヴァルツ演じるドイツのランダ大佐である。私は「おとなのけんか」で彼を知ったのだけど(あの役もすごいハマってた)この映画では普通に主役を食ってしまってる。ちょっと説明しづらいけど、とにかくすごい存在感。そりゃアカデミー賞取るわ、って納得する感じ。
    そして「あ、ジャンゴ興味なかったけどやっぱ見よ!」と思いました。

    ブラピも、こういう路線がいい気がするなー。こないだのわけわからないWorld War Zみたいなのより人間味があってよかった。

    話の展開は賛否あると思うけど、こういうの作られても怒らないからドイツはすごいなと思う。どういう気持ちで見るのか、今度社内のドイツ人に聞いてみようと思う。

    私はめっちゃ楽しんだけど、旦那さんはこういうのイマイチらしい。相変わらずものの好みのちぐはぐな我らである。最終的に二人の感想で一致したのは「美人(ショシャナのこと)って人生イージーモードだと思ってたけど、環境によっては美人ってだけで苦労することもあるのね」ということだった。笑


    --


    ナチス占領下のフランス。家族を殺された少女・ショーシャナ(メラニー・ロラン)は、劇場の支配人として身分を隠しながら、ナチスを根絶やしにする壮大な復習計画を進める。時を同じくして、アルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)率いるユダヤ系アメリカ人兵士の特殊部隊が、各地でナチスの極秘ミッションに参加する。周到な復讐計画を進める少女・ショーシャナとナチスを片っ端から始末するバスターズ。それぞれの作戦は、ショーシャナの経営する劇場で開催される、ヒトラー総統を招いたナチのプロパガンダ映画のプレミア上映会で交錯する・・・。

  • 2時間半と長めの作品ですが、飽きずにずっと楽しく見れた。終始緊張感があって駆け引きの面白さもスリリングで見ものなのと、章立てで展開する構成も良かった。カメラワークは本当に上手いなーと思うし、残酷描写は別として、全体に一定の美しさがあるんですよね。それがやっぱり画面にひきつけるし、暴力的でハイテンポで場面転換も多いのに一定調子の美しさがあるという、これはすごいことだと思います。
    ブラッドピッド率いる米国特殊部隊の暗躍もさることながら、ドイツ軍の大佐の強敵っぷりがまた話を一段と盛り上げている。史上稀に見る巨悪であるナチス軍を叩きのめすブラッドピッドたちに私たちはどうしても肩入れしてしまうので、この大佐の抜け目のなさには歯痒さを感じるわけですが、しかし大佐役のクリストフ・ヴァルツがなかなかに好演していて素晴らしい。
    私的には大満足の2時間半でした。

  • タランティーノらしく、奇想天外なストーリーを最高のエンタメ作品に昇華している。
    日本のアニメ漫画大好きな監督自身は言及していないが、これは望月三起也「ワイルドセブン」や「必殺仕事人」から構想を得ているのでは。
    ヒトラー暗殺計画が別の形で同時進行するというスリリングもさすがだし、またモリコーネの名曲やデヴィッド・ボウイの曲など選曲も最高。
    ただ、1点のみ編集ではカバーしきれないおかしな場面が。それは、地下のバーでドイツ兵と撃ち合いとなるシーンだが、非番で友人の子供祝いですでに酔っぱらっていた兵士たちが、間髪を入れず反撃に転じたのはありえないし、そもそも祝いの席に銃やマシンガンを準備するか?また、ヒトラー出席の上映会で、拳銃の携行が許されたとも思えないのだが、ショシャナに撃たれた後、彼女を撃ち返した狙撃兵など、細かな粗も散見されるがこの辺はエンタメだと割り切りましょう。そもそもヒトラーはこのように殺されてはいないわけで。
    そして今切に願うのは、現代版イングロリアス・バスターズがロシアで再活動してほしいということ。
    タランティーノ監督の、イングロリアス・バスターズ第2章を期待したいところです。

    『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)は、2009年のアメリカの戦争映画。監督・脚本はクエンティン・タランティーノ、出演はブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロランなど。
    舞台は第二次世界大戦中のドイツ国防軍占領下のフランス。5章に分けて語られる物語の中心となるのは、ドイツ指導者の暗殺を企てる二人の主人公、一方はナチス親衛隊大佐(ヴァルツ)に家族を皆殺しにされたユダヤ系フランス人の女性映画館館主(ロラン)と、他方はユダヤ系アメリカ人からなる秘密部隊を率いるアメリカ陸軍中尉(ピット)であり、女の復讐劇と男たちの戦いは、ドイツのプロパガンダ映画が披露される夜に彼女の劇場が大炎上してクライマックスを迎える。
    タランティーノによると、脚本を章立てしたおかげで、異なるタイプの映画のタッチを『イングロリアス・バスターズ』という1本の映画に詰め込むことが容易になったという。第1章と第2章は、マカロニ・ウエスタン、第3章ではフランス映画やエルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』のようなタッチがあり、第4章と第5章は、『特攻大作戦』のような1960年代中盤の戦争アクションっぽくなっていると語った。映画公開を控えたインタビューでは、『イングロリアス・バスターズ』とは「俺がつくる『特攻大作戦』とか、『荒鷲の要塞』、『ナヴァロンの要塞』みたいな作品だ」とも答えている。また、彼の作品の特徴とは観客が思いもよらないところで笑うことであり、そのことを狙って映画作りをしていると語った。『イングロリアス・バスターズ』とは「名誉なき野郎ども」の意であり、その設定はタランティーノ独自のものである。タランティーノは、『地獄の黙示録』の脚本を手がけたジョン・ミリアスに尋ねるなどしたが、バスターズのような部隊が実在したかどうかは分からなかったという。映画では、ショシャナとランダが向き合って食事するシーンなど、緊迫するシーンが最後まで随所に見られるが、タランティーノは「こんなに緊張が続く作品は初めて。ヒッチコック的だと思う」とコメントした。
    最終的に全世界で3億ドル以上を稼ぎ、『パルプ・フィクション』の2億1392万8762ドル を超えてタランティーノの監督映画で最大のヒット作となった。
    第82回アカデミー賞では8部門でノミネートされるなど、映画賞も多数獲得した。

    ストーリー:
    1941年、第二次世界大戦中のドイツ軍占領下のフランスの田園地帯。この地に赴任した「ユダヤ・ハンター」の異名をとるナチス親衛隊のランダ大佐は、行方不明になっているユダヤ人一家の手がかりを得るために酪農家のラパディットを尋問する。床下にその一家が匿われていることを突き止めると、部下に命じて床板越しにマシンガンで皆殺しにさせるが、ただ一人、娘のショシャナだけは逃げ出すことに成功する。ランダは走り去るショシャナの背中に向けてピストルを構えるが、引き金を引く代わりに別れの言葉を叫ぶ。(第1章『その昔…ナチ占領下のフランスで』)
    1944年春、レイン米陸軍中尉はユダヤ系アメリカ人8名からなる秘密特殊部隊を組織していた。レインが部下に説明する任務とは、市民にまぎれて敵地奥深くに潜入し、ドイツ人を血祭りにあげることであった。捕虜はとらないという方針の下、拷問を加えた上で殺害し、レインの祖先でもあるアパッチ族の慣わしに倣って、各員が100人のドイツ軍兵士から頭皮を剥ぐよう命じる。一方、ドイツ軍の間では、レインの部隊は「バスターズ」の名前で知れ渡っており、その活躍は生存者を通してアドルフ・ヒトラー総統にも伝えられえる。「ユダヤの熊」こと軍曹ドニーは、協力を拒むドイツ軍下士官をバットで撲殺する。レインは、唯一の生き残りのドイツ兵の額に、一生消えないハーケンクロイツの傷をナイフで刻んだ上で解放する。また、バスターズはドイツ軍兵士でありながらゲシュタポ将校13名を殺害して監獄に入れられていたスティグリッツを救出して仲間に引き入れる。(第2章『名誉なき野郎ども』)
    1944年6月、パリ。ショシャナは、亡くなった叔父夫妻から経営を引き継いだ、身寄りのないうら若き女性映画館主エマニュエルという別人に成りすましていた。ショシャナに想いを寄せるドイツ軍狙撃兵フレデリックは、彼のイタリア戦線での活躍をプロパガンダ映画『国家の誇り』に仕立て上げたヨーゼフ・ゲッベルス宣伝大臣にショシャナを無理やり引き合わせて、映画のプレミア上映会にショシャナの劇場を使用するよう、ゲッベルスを説得する。そのビストロでの会食の場に、ショシャナの家族を皆殺しにしたランダが現れ、ショシャナは緊張する。ゲッベルスとの話し合いが済むと、ランダはショシャナ一人を残らせて、彼女の生い立ちや劇場について尋問するが、最後までエマニュエルがショシャナだとは気付かない。ランダが立ち去ると、ショシャナは極度の緊張から解き放たれ、一人静かに泣く。家族を殺された復讐に、上映会に集うナチス高官をニトロセルロースフィルム[6]を使って劇場もろとも焼き尽くすことを思いつく。(第3章『パリにおけるドイツの宵』)
    ドイツ軍およびナチス党高官が一堂に会するプレミア上映会の情報は英軍もつかんでいた。フェネク将軍はドイツ語と映画史に堪能なヒコックス中尉を呼び出し、チャーチル首相もいる場で、ドイツ人高官ごと劇場を爆破するキノ(映画館)作戦について説明する。ヒコックスはドイツ語のできるバスターズのメンバーとともに、フランスの田舎町にあるバーをドイツ軍将校に扮して訪れる。そこで作戦を手引きするドイツ人人気女優でイギリスのスパイでもあるブリジットとランデブーする手はずであったが、バーにはその日に限って子供が生まれたドイツ軍兵士とそれ祝う仲間が集っていた。ブリジットはドイツ軍兵士から息子の誕生祝いにと、サインをせがまれる。ヒコックスは、その不自然なドイツ語訛りをドイツ軍兵士に不審がられ、さらに飲み物を頼む仕草が決め手となって、その場に居合わせたゲシュタポのヘルシュトローム少佐にドイツ人ではないことを見破られてしまう。ヒコックスが開き直ると、バーのマスターとウェイトレスも巻き込んだ銃撃戦になり、足に銃弾を受けながらもブリジットだけが生き残る。ブリジットに裏切られたと思ったレインは、近くの動物病院で拷問を加えるが、ドイツ軍兵士達が居合わせたのは単なる偶然だという説明に納得する。さらに、ブリジットはレインたちに、プレミア上映会にはヒトラーも出席するという新情報を伝える。ドイツ語ができるメンバーを失ったバスターズは、レイン、ドニー、オマーが、ドイツの同盟国のイタリア人の振りをしてブリジットを上映会にエスコートすることを決める。後にバーを捜索したランダは、ハイヒールとブリジットのサイン入りナプキンを発見する。(第4章『映画館作戦』)
    『国家の誇り』プレミア上映会に続々とドイツ人高官が集まってくる。警備に当たるランダは、疑いをかけるブリジットの「イタリア人」エスコートたちに堪能なイタリア語で話しかける。ランダはブリジットを別室に連れ出していすに座らせると、バーで見つけたハイヒールを試着させる。サイズが合うことを確かめたランダは、ブリジットに飛び掛り、絞め殺す。さらに、ロビーで待つレインと外で待機していたウティヴィッチを逮捕して連行すると、無線でレインの上官と掛け合い、劇場に残るドニーとオマーにナチス高官の暗殺を許す代わりに、ランダの恩給を認めた上で訴追せずに米国へと亡命させることを呑ませる。劇場ではフレデリックがショシャナがいる映写室に押しかけていた。フレデリックを追い払えないと悟ったショシャナは、映写室のドアに鍵をかけようとしているフレデリックの背中をピストルで撃つ。死んだと思ったフレデリックがうめき声を上げ、ショシャナが近づく。フレデリックは最後の力を振り絞って体の向きを変えるとショシャナを射殺する。ショシャナが事前に編集していた『国家の誇り』は、連合軍へのメッセージを伝えるフレデリックの顔からショシャナの大写しへと切り替わり、観客はこれからユダヤ人に殺されると伝える。これを合図に、ショシャナの映写技師で恋人のマルセルが、劇場の出口にボルトをかけて観客が逃げられないようにした上で、スクリーン背後に積まれたフィルムに火を放つ。ドニーとオマーはバルコニー席のヒトラーに飲み物を運ぶ振りをして護衛を射殺すると、マシンガンを奪って、ヒトラー、その場に居合わせたゲッベルス、さらには炎から逃げ惑う一階の観客たちを滅多撃ちにする。最後はドニーとオマーが仕掛けた爆弾が爆発して全員が死ぬ。
    レインらを載せたトラックで米軍の支配地域までたどり着いたランダは、事前の打ち合わせ通り、レインに投降する。銃とナイフを受け取ったレインはその場でランダの通信兵を射殺し、ウティヴィッチに頭皮を剥ぐよう命令する。混乱して怒鳴るランダ。レインはランダに、アメリカではナチスの軍服を脱いでナチスだと分からないようにして暮らすつもりなんだろう、と尋ねる。映画はレインがランダを押さえつけてナイフで額に鉤十字を刻み、ウティヴィッチに語りかけるシーンで終わる。「どうだいウティヴィッチ、こりゃダントツで最高傑作だ。」(第5章『巨大な顔の逆襲』)(ウィキペディア)

  • タランティーノによるジューイッシュエンターテイメント。WW2中のナチス占領下のパリを舞台に、ジューイッシュ特務舞台がナチスをスプラッターに殺しまくる話。ここではドイツ兵達の命はとても軽いことに違和感を持つのだけど、現実においてはユダヤ人達の命はそれよりももっと尊重されなかったことにゾッとする。2009年の公開時に絶賛されたというけれど、そこまで称賛される映画とは思えない。

    ドイツ出身ダイアンクルーガーとフランス出身のメラニーロランは本当に綺麗で、彼女達を鑑賞する映画ともいえる。

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