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- / ISBN・EAN: 4527427646537
感想・レビュー・書評
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埼玉の冴えない町(俺の見解ではなくそういう話ね)の冴えない仲間たちがラップグループでの活動に熱を注ぐ、良い意味でのもっさり青春コメディ映画。
HipHopが好きな俺からすると、コミカルに誇張しているけどHipHopの姿をねじ曲げることのない馬鹿にするギリ手前の面白いラインで演出することに成功してると感じる。
日本では大衆に滑稽だと思われがちなHipHop、ラップを、きっちりと滑稽な大衆目線でコメディに仕上げていて、それがあるからこそダサさに情熱が宿る部分が際立つ。主人公たちのラップのダサさは特に変わらないのに情熱が乗ってカッコいい。つまり最後に自分の気持ちに正直になったということ。
ざっくり言うとラップは言葉とリズムで構成されメロディーは少ない。メロディーで叙情性をあおり共感を促しにくいぶん歌詞量が多く自分が本当に言いたい事表出したいことを研ぎすませてラップで訴えないと伝わってこない。自由でシビアだからこそ自分の気持ちを正直にスピットするクライマックスがダサいのにアツくてかっこいい。
わかってる人が見ても不愉快にならず楽しめるHipHopを扱った珍しい日本のエンターテイメントであり、HipHopをまるで知らなくても問題なく楽しめる作品。邦画のB級ダサ青春群像コメディが好きな人は気に入るかも。役者のラップも結構上手い。
終わり方も好きだしエンドロールも好き。HipHopを扱った邦画の肩を持ちたいけど客観的には☆みっつ。日本語ラップを知っているなら星四つもしくは満点。
また観たいね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そこはかとなく漂う閉塞感と、
そこからなにかを見つけたい、
自分を見出したい、
でもどんなに格好つけても垢抜けなくて、
本当に憤りたい理不尽などないけど、
なにもかもがぼやけた色した理不尽に詰まっている。
だけど、発したいのだ、メッセージ。
笑った。 -
私は「ヒップホップなんてチョットね…」って思ってる
よくいるオヤジ世代の人間です。
そのオヤジ世代の私が見ても愛おしく思える映画。
油断してました、とても素晴らしい青春映画です。
お察しの通り、YO!YO!言ってる(笑)
ラップが好きとか嫌いとか
ヒップホップが生理的に受け付けないとか
そんなことちょっと横においておいて観てみよう。
切ないほどの境遇の主人公達には笑わせられる。
でも決してバカにしていないスタンスがこの映画にはあって
軽蔑や小ばかにする対象とはして描いていない。
この映画の多くのシークエンスで
色々な分野で直面する若いゆえの苦悩、絶望、あがきなど
共感するテーマがあると感じます。
日本の「ヤング・ゼネレーション」だ -
北関東、レコード屋もライブハウスもないサイタマ県の片田舎。IKKU(駒木根隆介)は、仕事もなく毎日ぶらぶらしながら、なんとなくいつの日か世界的なラッパーになるのを夢みている。
友人のTOM(水澤伸吾)や後輩のMIGHTY(奥野瑛太)たちと、ヒップホップグループ“SHO-GUNG”を結成、オリジナルトラックを作って、まずはこの町でライブをやろうと考えていた。
しかし、TOMはおっぱいパブのアルバイト、MIGHTYは実家のブロッコリー作りで忙しい日々。
それでも彼らはライブ実現のために、伝説のトラックメーカー“病弱なタケダ先輩”(上鈴木伯周)ら地元の先輩たちの力を借りて、自分たちの曲を作っていた。
そんなある日、IKKUはスーパーの書籍コーナーで高校の同級生、小暮千夏(みひろ)と再会する。千夏は高校を中退して東京でAV女優として活躍し、また地元に戻ってきたのであった。
やがて些細なすれ違いから、千夏のことを巡って次第にラッパーたちの夢がバラバラになっていく。IKKUのまわりから離れていく“SHO-GUNG”メンバー。
夢も希望もなくなったIKKUはヒップホップの服を脱ぎ捨て、焼肉店でアルバイトを始める。そこで、IKKUはかつての仲間にばったり再会する……。
埼玉県で、ラッパーとして初ライブを目指して、作品作りに奮闘するが思うように、アメリカのヒップホップアーティストの猿真似になって空回りしてラップしたいことが見つからず、現実に負けて仲間も離れていき、それでも見つけた本当に表現したい物とは? 身近な現実にぶつかり感じたことからしか表現出来ないし、それこそがリアル。現実に負けそうになっても夢にしがみつくラッパーの姿が、ヒリヒリするリアルな熱い青春映画でした。 -
父と観ていたのでみひろさんのAVシーンにはたいそう焦った。
最終的には面白かったという感想を交わせたのでほっとした。 -
痛々しくも夢を捨てきれない若者を描いた青春の応援歌。最後のIKKUのラップは泣ける。
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これはめちゃくちゃ良い映画。
2000年代後半から今まで、もはやHipHopって
昔みたいにリアルやら現場云々って状況でもないな、
というのがあって・・・
文化的に根付いたんだか、それとも消費されちゃって
平行線のままで根付かなかったのか?と。
これ観たらわかると思うけど、ロックの方がまだ全然マシかも。
牧歌的だなとは思うけど、社会的認知ではロックの方がマシ。
その代わり先鋭化はされてない。
「バンドやってます」って、カッコよくも悪くもなくて
感覚だけで言うと「学生っぽい」。
田舎、LocalでHipHopってほんとこういうことだよなあ・・・と。
HipHopに限らず、社会的認知度が低いことって大体そう。
「リアル」で言えば、真にRealなのは田我流の出た
『サウダーヂ』の方だと思うけど、
こっちはストレートな青春映画、笑える部分もある。
HipHopを題材にした映画だとかつて『8Mile』があって、
やっぱりクライマックスはMCバトルでしょう!となるわけだけど、
この映画でももちろんそう。
どこで来るのか??と思ってたら、「そこか~!!」となりました。
あと、全体的に長回しがものすごく効果的。
欲を言えば、尺が短いのでみひろのくだりがもうちょっと観たかったです。 -
食わず嫌いで見てなかったことを後悔。ロードサイド店舗並ぶ幹線道路をラップを響かせて主人公たちが車で走るオープニング、これがすべてを語ってる。この映画は、夢と挫折の物語なんかじゃない。もっと救いようのない日常を極めて巧妙に描き出す。地方都市で生まれ育ち”土地”の呪縛に物理的にも精神的にもがんじがらめにされた日常。そこから外の世界へと接続する媒介こそ、彼らにとってはラップなのだ。彼らに呪縛から自由になれというのは容易い。しかし、それは言葉で表すほどに簡単なことではない。確かに今の時代個人の能力をエンハンスする環境はたくさん整っていて、優秀な人物には成功のチャンスがもたらされるだろう。だが、ここで問題にされているのは優秀な人物でないその他大勢の方なのだ。彼らにチャンスはあるのか見えるのか。そんなチャンスの欠片も見えないからこそ、外の世界との接続を探しつつ、生まれ育った土地に閉塞感と共にとどまり続ける。これは、サイタマだけの話でもラッパーだけの話でもない、普遍的な物語といえると思う。
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売れてないラッパー(デビュー前)に対する世間の目や苦悩を残酷なまでに正面から表現しながら、コメディとして成立させている素敵な映画。
僕はラッパーでもなければ、若くもないので感情移入はしきれませんでしたが、落ちこぼれの苦悩~成長という点では青年版スタンドバイミーと言っても過言では無いと思える良さが有りました。 -
深谷シネマにて観賞。
去年も深谷シネマで観ていて、DVDも購入して何度か観ています。
この作品のひとつの特徴として長回しが多いのでカメラと役者の距離が遠く、テレビでは表情の細かいニュアンスが汲み取りきれない箇所があったのですが映画館では良く見えて、映画館で観てなんぼの映画だなーっなんて思いました。
あと音響も映画館の方が良く会話が聞き取りやすかったです。
あとマイティ宅でみひろの裸(以下略