月に囚われた男 コレクターズ・エディション [DVD]

監督 : ダンカン・ジョーンズ 
出演 : ケヴィン・スペイシー(ガーティの声)  サム・ロックウェル 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2010年8月10日発売)
3.66
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  • (6)
本棚登録 : 552
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4547462069726

感想・レビュー・書評

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  • BSにて。実は前知識なく録画して、へーボウイの息子なんだ、とか、結構評判いいんだ、とか舐めてかかって鑑賞して、よかった。
    まずは97分というコンパクトさ。
    あまり尺の長短を気にしない人間だが、作品の内容と尺とサイズが綺麗に落とし込まれた尺というのは、もはや美学だと、改めて知った。
    新しい!とか、筋に驚愕!とか、どんでん返し!とかは決してない。
    しかし細かいところまで目が行き届いている、ウェルメイドな作品。

    比較的早いうちに、クローン、AI、というネタばらしがあるのも、中編から短編小説という映画にぴったりな長さの題材が、逆算できる。
    また、オマージュ先や連想先が多数容易に浮かぶのも、映画的記憶を活用した中規模SF作品という、大変良質なもの。

    ・ガーティ……「2001年宇宙の旅」のHAL。
    そこまでの奥行=哲学的「吹かし」はないが。
    AIが正常に動作を続けるために、ご主人である人間を(特に仕事はないのに)配置し続ける必要がある、という、倒錯した関係性がある、らしい。
    これなんかはAIが人間を超越するというわかりやすい構図を超越して(むしろキューブリックやクラークには読めなかった)予言的な題材なのかもしれない。

    ・「エイリアン」のローテクな船内設備やらディスプレイやら。

    ・「惑星ソラリス」のローテクとか、不穏な雰囲気とか。得体の知れない存在が船内に出没するという、ホラー。

    ・「ガタカ」の静謐さ。

    ・3年という寿命については、もちろん「ブレードランナー」を連想するが、さらに2015年のテレビアニメ「プラスティック・メモリーズ」をも。
    さらに日本人として連想せざるを得ないのが、まるで藤子・F・不二雄だな、と。
    具体的にどのSF短編のどの部分と言えないので浅い読者なのだが、間違いなくF先生が描いていた。
    ……ということは、F先生がさらに参照していたSF小説や映画やが存在するということで、新規さよりも目配せという、よさが、再度浮かび上がってくる。

    ・そもそも、ひょんなことで同時に存在してしまったクローンふたりが、互いにクローンと認め合って、意外と友情を育み、相手にクローンを超えた人間性を見たがるという、もうF先生の絵で再現できるのだ。
    ラストに言及してしまうが、寿命は3年だと気づいている側は、相手が自分の寿命の長さを知らないという状態で、地球に送り込む……この残酷さと、託した希望の大きさと。ここもF先生の絵で。

    ・うん。こういうのが好みだな。
    さらにいえば、全体的な不気味さについては、SFC「LIVE A LIVE」のSF編の怖さも連想する。
    もちろん作り手は知らないものばかりだろうが、勝手に連想を広げることができる、映画というものは面白いものだなあ。

  • センスがとても良い!!
    宇宙と言う壮大な空間舞台でありながら作品自体はとてもシンプル。で分かり易くスマート。それでいてミステリアスでハラハラするし、しかもスタイリッシュな作品。好感触です。

    ほぼ一人のほぼ密室空間で宇宙空間の表現って何気にリアリティある設定だなぁと思いつつもストーリーは小学生でも楽しめる程に漫画的に起伏やファンタジーがあって楽しめる。
    地味だけどこのスリル感、ミステリーな感はハリウッドのSFにはないセンスに溢れている。実は立派な英国的ミステリー映画ですね。

    私のツボにはストライクでした。

    なんとなくレトロな宇宙基地のデザインもとても素敵ですね。
    部屋の空間デザインや光の変化がいちいちすっごくカッコイイ!
    しかし素敵なインテリア感覚だけでないのがスゴイ。
    このレトロ感ってのは単に監督の趣味的問題だけでなく実は物語に示唆を与えて影響する意味のあるデザインというのに気づいたときの感動って言ったら!うーむあなどれん!

    万能コンピューター、ガーティとの切なくともユーモアあるコミュニケーションが面白い。さり気なくコーヒー置くところが付いてるのがいいね。(しかもコーヒーでかなり汚れてるのも良い。これも示唆的)

    しかもこの監督というのがかのデヴィッド・ボウイの息子さんだというのがこれまた衝撃!
    そう言われれば父さんの偉業に、さり気ないオマージュを感じるテーマだし意識したタイトルだなぁ。

    かの写真家の女流監督さんなんかみたいに日本なんかは逆に2世は過大評価されてることが多いと思いますが、欧米では多分そんなことないでしょうね。
    むしろプレッシャー的になると思われますがそれに屈しない素晴らしい作品です!親の七光りの必要がない素晴らしいセンスがありますねぇ。この監督。

    ステラ・マッカートニーに続くロックスター2世代の大物になること間違いない!今後も期待です!

  •  技の1号、力の2号。

  • MOON
    2009年 イギリス
    監督:ダンカン・ジョーンズ
    出演:サム・ロックウェル/ケヴィン・スペイシー/ドミニク・マケリゴット

    これはネタバレを絶対知らないほうが面白いです。

    基本設定としては、近未来、燃料会社の月面基地に単身赴任している主人公、基地では本当にひとりぼっちで、話し相手はロボット(?)のガーティのみ、通信機能が故障しているので地球との連絡はもっぱら録画されたビデオのやりとり、寂しいけど任期の3年まであと2週間、というところでトラブルに見舞われる話。

    ざっくりまとめると、すごくよく出来たSFでした!SFといってもスペクタクルなアドベンチャーじゃなくて、なんかねえ、萩尾望都のマンガみたいなSF。緊迫感あふれる心理劇もありつつ、友情とかそういう泣かせる要素もありつつ、きちんとSFとして成立しているというか。キャストも最小限で、基地や月面の感じも低予算ぽいけど、それがかえって、まだ宇宙に夢があった時代のSFぽい懐かしさもあってとても良い感じ。

    余談ですが、この監督、デヴィット・ボウイの息子さんだそうで。「地球に堕ちてきた男」の息子の映画が「月に囚われた男」ってのが洒落てます(笑)
    (2010.07.19)

  • 契約期間:3年
    赴任地:月
    労働人数:1人

    このミッションは何か、おかしい。

  •  淡々と、しかし、状況が良く判らない中で絡めとられていくかのような印象を強く残すSF映画。
     意外な拾い物であった。

  • ネットで視聴(英語字幕)。

    各所で評判の良いSF映画。

    閉ざされた空間で展開されるSFドラマ。
    よく練られた構成と展開。
    期待したほどではなかったが、小ぶりの優秀作として、そこそこ楽しめる。

  • ルナ産業の従業員として月の裏側でヘリウム3の採掘に従事するサムは、とある事故から、自分のクローンという謎に直面し、真相に迫っていく。

    絶望のなかで忠実でニコニコマークのAIのガーティがかわいい。作りには粗が目立つけど、男の苦しみ、謎解きと脱出、世界観とかは面白かった。低予算ながら良作SF。

  • 2001年宇宙の旅のように人工知能の裏切りを予想していたのだが意外にも主人公のサムに従順なキャラクターだった。なんというか、主人公にはこれ以上辛い思いをして欲しくなかったので、これはこれで(良い意味で)安心した。

    AIの感情をiMessageのような顔文字で表現していて、それが不穏な空気の演出としてすごく美味しいと思った。いつもニコニコしている彼が憤怒の形相に変わる瞬間を心待ちにしていたし、それが狙いなのかなと思ってみていたので、そういう意味では少しがっかり。
    あと最後の結末の説明要らん。

  • 激しいアクションもないし、CGも激しくないけれど、とっても面白かった。脚本や設定の重要性が分かる作品。
    内容としては、「ぼくたちはプログラムじゃない」この一言に尽きると思う。ちょっと非人道的なことをしている割りにはお粗末すぎやしませんかねルナ社さん。みたいな感じで突っ込みどころは感じるんだけど、逆に最初からお粗末さが目立つ分、あまり気にならない。逆に、プログラム通りじゃない動きをしたときに弱いんだ、と考えれば自律して動くことの大切さを教えてくれているのかも知れない。
    静かな感じだし、深く考える作品でもないので、ちょっと映画が見たいなってときに面白い作品だと思う。

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