セブン [DVD]

監督 : デビッド・フィンチャー 
出演 : ブラッド・ピット  モーガン・フリーマン  グウィネス・パルトロー  ケビン・スペイシー 
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
3.92
  • (212)
  • (279)
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  • (40)
  • (7)
本棚登録 : 1477
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988135832290

感想・レビュー・書評

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  • ステイホームで、これまで観たかったけど観れなかった不朽の名作を観てみようシリーズ!

    いや、この作品に関しては「これまでにも観たことがあるけれどもう一回度観てみたい不朽の名作を観てみようシリーズ」である。そのシリーズの第二作品目だ。
    みなさん、第一作目を覚えているだろうか。そう、第一作目は「ショーシャンクの空に」だった。
    奇しくも、「モーガン・フリーマン」が繋いでくれることとなったのである。
    そして、エンディングのクレジットの演出とデビッド・ボウイのかっこよさに痺れ散らかしたわたしは、早速デビッド・ボウイのアルバムをダウンロードしたのである。

    二度目の視聴とは思えない程、内容を覚えていなかった。
    当時のわたしは、サブカル好きの元カレに「面白いから観よう」とか言われて、自分の頭で何も考えずに「うん!」とか言って観ただけなんだろう、きっと。
    でも、最後の、あのエヴァンゲリヲンみたいな鉄塔は、うっすらと覚えていた。

    感情的で、根拠もないのに「犯人を捕まえてやる!」とか簡単に口走っちゃう熱血新人刑事をブラッド・ピットが演じ、定年退職を間近に控え、長年の経験と知識でもって冷静で客観的に事件を追うベテラン刑事を、モーガン・フリーマンが演じている。
    だからこそ、あのバーにいるシーンで、モーガン・フリーマンは、この事件の真相もしくは背景に気付いていたのではないか、と思えてくる。
    彼はあの時、日常的な話をしていた。
    そう、日常なのだ。わたしたちは、捕まるような罪を犯すことは、生涯ないかもしれない。けれど、日常となるとどうだろうか。みんなうまく生きていくために、小さくて、些細な嘘をついたり、自分を守るために誰かを傷つけてしまったり、そうやってうまく隠して生きている。
    そして、芸能人や政治家は、いつも週刊誌で過去の罪を暴かれ、晒され、たたかれる。でもじゃあ、その記者さんたちに罪ないのかと言われれば、きっとそうじゃないだろう。
    その罪は、償うべきなのか。
    その罪は、罰せられるべきなのか。
    わたしには、犯人は、異常者というより「嫌な奴」に映った。
    実際にあれほどの猟奇殺人を犯してしまうのは異常なのだろうけれど、車中での会話には思わず耳を傾けてしまった。わたしが異常者なのだろうか。

    物語は進んでいくにつれ、暴食・強欲・怠惰・肉欲・高慢の5つの罪を重ねていく。嫉妬と憤怒を残す中、最悪のラストを迎える。
    デビッド・ボウイが、脳内で流れ続ける。

    • naonaonao16gさん
      …!!!

      こんなに丁寧に細かく!!
      永久保存版ですね!スクショしました(笑)

      お仕事の邪魔をしてすみませんでしたm(_ _)m

      シャイ...
      …!!!

      こんなに丁寧に細かく!!
      永久保存版ですね!スクショしました(笑)

      お仕事の邪魔をしてすみませんでしたm(_ _)m

      シャイニングは実は一度も見たことがないのにリリイ・シュシュのすべては5回くらい見たことがあるってくらい極端でした(笑)

      同僚に「シャイニング見たことない」って言ったら驚かれたのでシャイニングにしようかなと…

      今後もこちらから選ばせて頂けたらと思います!

      あと、園子温好きなんですが、冷たい熱帯魚は挫折した記憶が…(笑)

      本当に、本当に、ありがとうございます!!
      2021/02/22
    • sinsekaiさん
      いえいえ、お役に立てて嬉しいです!
      リィリィシュシュを5回も観れるのはすごいですね!!
      一回見たら5年は空けないと見れません…
      心がえぐられ...
      いえいえ、お役に立てて嬉しいです!
      リィリィシュシュを5回も観れるのはすごいですね!!
      一回見たら5年は空けないと見れません…
      心がえぐられすぎて

      シャイニングは是非一度は見てみて下さい
      基本スタンリーキューブリック作品は全部面白いですよ♪
      2021/02/22
    • naonaonao16gさん
      リリイ・シュシュ、一時中毒のように見てました。
      何回か見る時は途中飛ばしたりもしましたが(爆)
      曲も貪るように聴いてましたね。今も落ち込むと...
      リリイ・シュシュ、一時中毒のように見てました。
      何回か見る時は途中飛ばしたりもしましたが(爆)
      曲も貪るように聴いてましたね。今も落ち込むと聴きます(笑)

      明日はシャイニングを見る!って方向に気持ちを持っていきます(笑)
      2021/02/22
  • デヴィッド・フィンチャーは『エイリアン3』を劇場で観て、
    この『セブン』は高校生の時なので、もうだいぶ前の映画ですね。
    VHS時代に友達に薦められてレンタルして観たような。
    観てない人の方が少ないと思います。
    その頃は『エイリアン3』と監督が一緒だなんて想像もつかなかった。

    当時はこれすっごい面白くて、衝撃的でした。
    いまだに鮮烈に印象が残ってます。特にラストシーン。
    ブラッド・ピットは他のアイドル俳優とは一線を画す存在だなあってのは
    やっぱり『セブン』の印象が強いから。

    そんなわけで久し振りに観て、★5つつける気満々だったのだけど、
    今観るとなんだか物足りない・・・。2回目だからでしょうか。
    初見ならもっと楽しめたというのと、
    『セブン』以降の作品がいっぱい出てきてるからかも。
    ジャンルは違うけど、『ダークナイト』しかり。

    『セブン』は映像がとにかく素晴らしかったです。
    あの陰鬱かつリアルな感じ、そしてラストの明るい光。
    これも昔観た時はもっと鮮烈な感じだったんですけどね・・・。

    「世の中クソだ」って話で、希望があったりなかったりする話ですけど
    脚本がものすごく良く出来すぎてるから、逆に新鮮味ないのかも。

    キャストは全員本当に素晴らしいです。
    モーガン・フリーマンもリー・アーメイも良いし、
    若いときのグウィネスはとても良い。
    そしてケビン・スペイシーのむき卵みたいな、
    ぬめっとした気持ち悪さが最高でした。
    この人ものちの役柄でそんなのが多かったような。
    ジョン・ドゥってジョン・スミスっぽいなーと思ってたら
    だいたい一緒な感じなんですね。

    エンディング曲は聴けば一発でわかるボウイの声。
    そしてこの曲はイーノがプロデュースしてたんですね、知らなかった!

    • GMNTさん
      kwosaさん、おひさしぶりです。お元気でしたか?
      いつもコメントありがとうございます!

      そうなんですよね、『セブン』は昔の印象が強烈すぎ...
      kwosaさん、おひさしぶりです。お元気でしたか?
      いつもコメントありがとうございます!

      そうなんですよね、『セブン』は昔の印象が強烈すぎたんですけど、
      今観るとこういう映像のタッチのものっていっぱいありますよねえ。
      残銀処理って最近知ったんですけど、
      最近観たものだと『キル・ビル』のUS版血しぶきシーンとかコーエン兄弟の『バーバー』とか・・・
      どれも映像が印象的ですけど、メジャーなもので復権させたのの先がけだったみたいですね。
      (あとJPジュネ監督作品)
      それと、メディアが変わるたんびにフィンチャーが毎回映像をいじってるらしいんですよ。
      だからもしかすると、映像自体が違ったのかも。

      三池監督作品はちゃんと観たいんですけど、仕事量が多すぎなのと、
      たぶん当たり外れが激しいんじゃないですかね。
      仕事選ばなさすぎな気が(笑)。

      この映画のタイトルシークェンスって、kwosaさんもお好きな『スパイダーマン』OPも手がけた
      カイル・クーパーなんですね。最近観た『ランゴ』もカッコよかったですけど、
      どうりで~!と思いました。

      ケヴィン・スペイシーだと、kwosaさんが書かれてるもの以外で印象的だったのは『交渉人』と、
      あとたまたま観た『ペイ・フォワード』ですかねえ。
      最近あんまり観ない気がしますけど、とにかく昔はよく出てましたよね。
      『ユージュアル・サスペクツ』は数年前に観たんですけど、
      最近観ると逆に「出オチ」でした(笑)。
      『アメリカン・ビューティー』は面白かったのでぜひ観て欲しいです。

      >弟さんの件
      爆笑して全俺も泣きました(笑)。
      2013/09/03
    • kwosaさん
      GMNTさん!

      そうそう、三池監督の『逆転裁判』も残銀処理って言ってました。
      そして前半は『セブン』みたいに、ずっと雨が降っているんですよ...
      GMNTさん!

      そうそう、三池監督の『逆転裁判』も残銀処理って言ってました。
      そして前半は『セブン』みたいに、ずっと雨が降っているんですよねぇ。

      『セブン』OP、そうなんです。
      カイル・クーパーなんです。かっこいいですよね。
      珍しいところではプレイステーション2のゲーム『メタルギアソリッド3』のOPも手がけていて、それもいいんですよ。
      まあ、まんま『007』と言われればそれまでなんですけど。
      たぶんYoutubeでも観られると思います。

      そして『ユージュアル・サスペクツ』→「出オチ」(笑)
      たしかに。
      それこそ「ユージュアル・サスペクツ以降」が山ほど出ましたしね。
      公開時も「もしや」とは思っていましたが、それでもどきどきしながら観ていました。
      ケビンをはじめ、ベニチオ・デル・トロとか当時は知らなかったけど、そういう実力のある絶妙なキャスティングがまたよかったのですが、みながビッグになったいま観ると「出オチ」ですよね。
      一昔前の日本のサイコ物で、佐野史郎がキャスティングされた時点(しかも「いい人」の役)でヤバいみたいな。

      先日、ほんとに偶然に弟と『セブン』の話になったのですが、自分でさんざんネタにしていたくせに、件の話はすっかり忘れていました。
      人間、あまりにもつら過ぎる記憶は本能で消去されるようです(笑)
      2013/09/03
    • GMNTさん
      僕、ゲーマーじゃないんですけど(ゲームのハード全然持ってない)
      学生の頃は友達の家で散々ゲームしてまして、
      MGS直撃世代なんです。
      で、実...
      僕、ゲーマーじゃないんですけど(ゲームのハード全然持ってない)
      学生の頃は友達の家で散々ゲームしてまして、
      MGS直撃世代なんです。
      で、実際にやったのは2までなんですが
      やっぱり小島秀夫・・・で、ジョン・カーペンターも知って。
      3のOPも観たことあると思うんですが、もう忘れてますね~。ちょっとつべで観てみますね。

      『ユージュアル・サスペクツ』ってトロ様出てましたっけ?もうオチしか覚えていない・・・。

      あぁ、佐野史郎!まさに言い得て妙ですね。
      ていうかそれ『誰にも言えない』の最後らへんじゃないすか!!(笑)

      >弟さん
      つら過ぎたんですかね・・・。
      こないだ学生の時の友達と話してたら、僕は彼と一緒に観たビデオとかゲームとか
      詳細に覚えてるんですけど、彼の方は全然覚えてなかったです(笑)。
      まあでも、彼も凹んでた時期だったしなー、やっぱ関係あるんですかねーそれ(なぜかシリアスな話にw)
      2013/09/04
  • 原題:SEVEN/SE7EN (1995年) ※日本公開1996年
    収録時間:127分

    GLUTTONY(暴食)
    GREED(強欲)
    SLOTH(怠惰)
    LUST(肉欲)
    PRIDE(高慢)
    ENVY(嫉妬)
    WRATH(憤怒)

    結構評価が良かったのでプライムにあったし観てみた。
    評価が良くても何じゃこりゃって事はよくあるけど、これはなるほど面白い。
    時代設定のせいもあると思うが、古さを感じない。
    大した派手さはないのに、緊迫した雰囲気や緊張感が適度にあるし、モーガンフリーマンって名前はよく聞くし有名な俳優さんて事は解るけど、ちゃんと作品を観たことがなく顔もよく知らなかったので終わってから知った。
    けど、この人の存在感が凄かった。
    ブラピの奥さん役は何処かで見たなぁと思ったら「愛しのローズマリー」の人か。
    犯人が車の中で動機について語るシーン、殺人はどんな理由があるにせよダメなのに「あ〜なるほどね、それなら仕方ないk…」と思わず納得しそうになるような、尤もらしい理由を述べるのである。
    殺人はどんな理由があるにせよダメ!というのを前提に言わせて貰えれば、無差別じゃなくこの犯人なりに根拠や動機があっての事なので、普通のクライム映画に出てくるような犯人程の嫌悪感がない。
    箱の中の「贈り物」の見当はついたものの、最後の大罪は、わざと生かしておいたことと、「感情で動く」デイヴィッドだからこそ成立したんだろう。
    そう思うと最後の最後まで計算し尽くされた犯行なわけで、バッドエンドなのに思わず「ブラボー!」と声をあげたくなるような、一体どっちの立場なんだ的な不思議な状態になる映画だった。

    “キリスト教の“七つの大罪”になぞらえた奇怪な連続殺人事件を追う二人の刑事を描いたサイコ・サスペンスで、アメリカ・日本ともに大ヒットを記録した。凝りに凝ったオープニングが象徴するように、デヴィッド・フィンチャーのスタイリッシュな画造りと、ブラッド・ピット&モーガン・フリーマンの渋い演技が光る一編。”

  • 大食・強欲・怠惰・肉欲・高慢・嫉妬・憤怒。人間の中に潜む7つの大罪。
    それを罪とも思わずに生きている世の中に対して、後悔を強いることで、7つの大罪に気付かせようとする。後悔の場面に設定されたのが極限状態である死。それはあくまで手段として選ばれた。一見異常者に見えるジョン。一般人に見えるミルズ。しかし、結局は2人とも手段として死を設定する。
    罪は悪というわけではないが、罪に目をつぶり、気付かぬふりをして、ろくでもない世の中になっていく。目を向けることが必要。

  • 殺人事件が発生し、退職間近のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)は現場に急行する。
    被害者は、極端に肥満した男、大量の食べ物に突っ伏して死んでいた。
    現場には、犯人が書いた「大食」という文字が。
    サマセットは、キリスト教の7つの大罪になぞらえた連続殺人事件であることを見抜く。
    鬼才デヴィッド・フィンチャーが、キリスト教の7つの大罪になぞらえた連続殺人を起こす犯人と直情径行のブラッド・ピット、思慮深いインテリのモーガン・フリーマンの対照的な性格の刑事の対決を通して、人間は守るに値するのかを問う、優れたサイコ・サスペンスです。
    脚本のアンドリュー・ケビン・ウォーカーは、ニューヨークのタワーレコードの店員で、ニューヨークの最下層の荒んだ現状を目の当たりにしたことで無関心で己の欲を満たすことしかしない大衆に感じた怒りを、キリスト教の7つの大罪になぞらえて連続殺人を起こすジョン・ドウに込めて表現したそうです。
    直情径行なブラッド・ピットに刺激されて腐った社会と戦っていこうとするモーガン・フリーマンの変化が、心熱くなりました。
    なんといっても群を抜いているのは、ケビン・スペイシー演じるジョン・ドゥの異常性です。
    真っ暗な自室に十字架のネオンが輝き、自筆のノートには被害者の写真と共に世間に対する恨みつらみを書き連ねた物が数千冊、傍目から見れば単なる電波系のサイコ野郎だが、一連の見立て殺人事件を起こしたのが、この腐った世の中を正したいという狂った悪意が最悪の結末を引き起こす。
    この賛否両論を呼んだ結末を通じて、人間への絶望と希望を感じとることが出来る。この特異性故に単なるサイコ・サスペンス映画を超えたカルト作品となっています。

  • H30.01.08 観了。

    ずっと気になっていたタイトル。
    もうかれこれ10年以上気になっていたものの、Gyaoで無料で観れたのでやっとこさ。

    極力、グロシーンを見せないように撮っているんだけど、グロさを感じさせるのは才能だと思う。

    冷静沈着サンセット刑事に、感情で生きるミルズ刑事を最後まで対照的に描いていた。

    有名作だから、もっとスッキリするのかと思っていたが、まさかの展開だった。

  • 1995年9月公開。

    無神論者ではないけれど一神教的な感覚は全く持ち合わせていない私ですが、家人に「一般教養である」と強く推されて鑑賞。ああ面白かった。

    事件の背後に七つの大罪が絡んでいると気付いた老刑事(モーガン・フリーマン)が、新入り刑事(ブラッド・ピット)に「『神曲』と『カンタベリー物語』を読んでおくこと」とアドバイス。
    『神曲』は何回か読んだけど『カンタベリー』未読だったので、次の日速攻本屋行ったわ。

    『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』にも取り上げられている作品なので、そちらを読むのも楽しみ。

    仏教だったら10人死んでる。

  • 言わずと知れた、不朽のサイコサスペンス映画。七つの大罪をテーマに、連続殺人事件を追う刑事ものですが、派手な演出は少なく、湿っぽい気鬱な雰囲気がストーリーと相まって恐怖感をそそる辺り、やはりただものではない作品という気がします。
    ラストの展開は何とも言えない衝撃を受けましたが、ブラット・ピットの演技が素晴らしいの一言。怒涛のごとくあふれる感情を見事に表現されていたと思います。
    見終わった後の精神的ダメージもあるので、万人にお勧めというわけにはいかないと思いますが、サスペンス映画としてのクオリティは非常に高い作品だったと思います。

  • また観たくなってレンタル。すごく暗いけどブラピがカッコよくて面白かった、という印象が強かったけど、感想変わらず。雨ばかり降ってて、陰鬱で、なんだか全体的に汚い町。なんか少し未来のSF世界みたいな退廃的な世界観だよ。モーガンフリーマンの過去で子供をこんな残酷な世界に産まなかったっていうのが印象的。

  •  七つの罪に準えた見立て連続殺人。衝撃の七番目の標的(ターゲット)は――。
     狂信的な連続殺人犯が引き起こす悪夢の連続殺人事件を描いた映画。
     とても面白かった。見立て殺人には『ゾディアック』や『悪魔の手毬唄』、『そして誰もいなくなった』、『ABC殺人事件』、『名探偵コナン 十四番目の標的』、『うみねこのなく頃に』などがあるが、七つの大罪に焦点を置いたのが面白い。更にそれを上手く伏線している。正直、最後の「憤怒」が刑事になるのは読めたが、それまでの持って行き方が巧みで面白い。特に宗教や文学に通じた犯人像は、異様かつ不気味なものを思わせる。知能犯の恐怖だ。
     また二人の刑事のキャラクターも良い。すっかり擦り切れてしまった老いた刑事と、若くて血気盛んな刑事。冷静と熱血。『相棒』を例に取るまでもなく、相棒(バディ)の理想像だ。その二人が協力して犯人に迫っていく様が良い。
     だが一番衝撃的で面白いのはラストだ。犯人は己を「嫉妬」の罪に準え、刑事であるデイヴィットに「憤怒」の罪を準える。デイヴィットが復讐のために犯人を殺せば、「嫉妬」の罪は完了し、生き残ったデイヴィット自身も「憤怒」の罪を背負って生きねばならない。命懸けの見立て殺人。『そして誰もいなくなった』に代表的な、自身さえ取り込んだ壮大な見立て連続殺人事件である。
     撃てば犯人の思う壺となり、「完全犯罪」に自ら加担してしまうことになる。だが撃たなければ、亡き妻の復讐を遂げることはできない。畜生同然の犯人であっても、殺して良いのか悪いのか。また、その殺人は復讐と呼んで良いのか。犯人の意のままの殺人を、復讐と果たして呼べるのか――。
     そのような複雑なテーマを孕んだ作品だった。

    キャラクター:☆☆☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆☆☆
    世界観   :☆☆☆☆☆
    テーマ   :☆☆☆☆☆
    映像    :☆☆☆☆☆
    台詞    :☆☆☆

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