奇跡(通常版) [DVD]

監督 : 是枝裕和 
出演 : 前田航基  前田旺志郎  大塚寧々  オダギリジョー 
  • バンダイビジュアル (2011年11月8日発売)
3.70
  • (78)
  • (118)
  • (119)
  • (26)
  • (3)
本棚登録 : 652
感想 : 150
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569640543

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いやぁ〜じわりじわりと
    胸に沁みてくる傑作!


    『誰も知らない』の是枝裕和監督だけに、
    子供たちを描くのが抜群に上手い。


    生き生きとした子供たちのセリフの
    ほとんどが
    アドリブや
    フリートークだったようで、
    本当に自然で
    いい効果をもたらしています。
    (子供たちの会話がかなり笑えます)


    天真爛漫な弟は
    新しい環境にすぐに溶け込むんやけど、

    繊細な兄は
    常に火山灰が降りかかってくる鹿児島での生活にうんざりしているし、
    家族がバラバラになった現実を
    なかなか受け入れられない。


    そんな正反対の性格の兄弟に
    兄弟漫才コンビの
    『まえだまえだ』が扮し
    コレが意外や意外(笑)
    いい味出してます☆


    そして女優になりたいと願う少女を演じた
    本木雅弘さんと内田也哉子さんの娘さんの
    内田伽羅(きゃら)ちゃん(11歳)の
    存在感も圧倒的!


    しかも実の祖母である樹木希林が
    まえだまえだの祖母役で出演していて
    ひとつの見所となっております(笑)


    他のキャストに
    先生役の阿部寛、
    長澤まさみ。

    引退したお菓子職人だった祖父に橋爪功。

    祖父の幼なじみに
    最後の輝きを放つ
    原田芳雄。

    子供たちが身を寄せる家の老夫婦に
    素晴らしい演技を見せてくれた
    高橋長英とりりィ。

    などなど
    脇役に徹した
    バラエティー豊かな大人たちも
    素晴らしい好サポート。


    子供たちだけの冒険は
    名作『スタンドバイミー』を彷彿とさせ、
    忘れかけていた
    高揚感やドキドキを
    観る者にくれます。


    物語の後半、
    「奇跡」を見るために
    旅に出る
    7人の少年少女たち。

    それは子供たちなりの
    運命に抗う
    小さな反逆でもあるんですよね。


    新幹線がすれ違う瞬間に
    それぞれの「願い」を叫ぶ子供たちに
    激しく胸を締め付けられました(≧∇≦)


    「意味わかんねぇ」が口癖だったお兄ちゃんが
    奇跡の旅を経て
    「ただいま」と桜島に挨拶する姿は
    少し大人になった
    成長の証しなのかな。


    震災前に撮られたこの作品が
    震災後に封切られ、
    たくさんの離れて暮らす家族に
    生きる力を与えただろうことも
    何かの奇跡のようなものかもしれないし、

    当たり前の日常こそが
    実は奇跡なんだと
    今だからこそ沁みる、

    前向きな希望が感じられる映画です。


    くるりが歌う
    主題歌の『奇跡』も
    素晴らしい名曲!

    • まろんさん
      おお!これ、まえだまえだの自然体の演技がすばらしいって書かれてて
      しかも是枝監督だっていうし、子供はいっぱい出てくるっていうし
      観たいなぁ!...
      おお!これ、まえだまえだの自然体の演技がすばらしいって書かれてて
      しかも是枝監督だっていうし、子供はいっぱい出てくるっていうし
      観たいなぁ!と思ってた映画です。

      なんと、あの原田芳雄が出てて
      しかも元木くんと也哉子さんのお子さんまで出てるなんて!
      はりきって借りてこなくちゃ!
      2012/06/08
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      沢山コメント
      ありがとうございます!

      子供好きで
      是枝監督作品が好きなら
      コレ絶対にオススメです(^O^) ...

      まろんさん、
      沢山コメント
      ありがとうございます!

      子供好きで
      是枝監督作品が好きなら
      コレ絶対にオススメです(^O^)


      まえだまえだが
      なかなかいい芝居してるし、
      是枝監督は子供たちを撮るのがホンマ上手いです♪


      2012/06/13
  • 2011年 日本 128分
    監督:是枝裕和
    出演:前田航基/前田旺志郎/大塚寧々/オダギリジョー/長澤まさみ/阿部寛/夏川結衣/樹木希林/橋爪功/原田芳雄/橋本環奈/内田伽羅
    https://web.archive.org/web/20140706102316/http://kiseki.gaga.ne.jp/

    両親が離婚して離れ離れで暮らす兄弟。小学6年生の兄・航一(前田航基)は母(大塚寧々)の実家である鹿児島で、和菓子屋を営む祖父母(橋爪功・樹木希林)と、小学4年生の弟・龍之介(前田旺志郎)は福岡で、定職につかないバンドマンの父(オダギリジョー)と暮らしている。疎遠な両親と違い兄弟は連絡を取り合い、航一はいつか家族4人で一緒に暮らしたいと夢見ている。

    ある日、航一は、親友の佑と真から、九州新幹線が全線開業する日、鹿児島から福岡に向かう新幹線「つばめ」と福岡から鹿児島に向かう「さくら」が初めてすれ違ったときに願い事をすると叶うという噂を耳にする。航一たち3人組は、熊本あたりで電車が擦れ違うことを調べ、熊本旅行を計画する。兄からそれを聞いた龍之介もまた、仲良しの友達4人組を誘って熊本へ向かい…。

    2011年3月の九州新幹線開通のPRにJRの企画で制作された映画、ということもあり電車がらみの物語とはいえ、子供たちを主人公にしたことで、他の是枝作品にはない、ほのぼの冒険ストーリーが展開されていて、ポジティブなスタンド・バイ・ミー味がありとても良かった。実際に兄弟である、まえだまえだの二人の、子供らしさ全開の可愛さがなんともいえず良い。

    航一のほうはやや潔癖で、火山灰の降る鹿児島で、自分でせっせと掃除したりしている。遊び友達は男子ばかりで、美人で色っぽいサチ先生(長澤まさみ)にポーっとなったり、男子のアホ可愛さ満載。一方弟の龍之介のほうは、お兄ちゃんより社交的で要領が良く、ダメンズだけどかっこいい父親オダジョ似ゆえ女の子にもモテるのか、遊び仲間も男子の蓮登だけでなく、女優志望の恵美(内田伽羅)と、絵の上手なかんな(橋本環奈)がいる。橋本環奈ちゃん、11~2歳かな、まだ子供でびっくり!この子があんな美少女に育つとは。内田伽羅は希林さんの孫だけど、一緒に出演するシーンはない。

    脇を固める大人はいつもの是枝作品常連組。祖母役・樹木希林を始め、航一の担任役で阿部寛、恵美の母親役で夏川結衣らが出演。いつもの饒舌っぷりで大人たちの日常の悲喜こもごもも盛り込まれている。

    紆余曲折を経て、7人の子供たちは新幹線が擦れ違う瞬間にそれぞれ願い事を叫ぶのだけど、女の子たちの「女優になれますように」「絵が巧くなれますように」という現実的な将来の夢と違い、男子たちの願う内容が意外と切羽つまっていて切ない。そして家族4人で暮らしたかったはずの航一と龍之介がそれぞれ願ったことは…。

    結果からいうと、魔法的な意味での「奇跡」は当然起きない。死んだ犬は生き返らないし、離婚した両親が突然仲直りすることもない。でも大変ベタだけど、子供たちにとってこの冒険は、大きな成長に繋がり、彼らの人生に置いて一生大切な思い出になるだろう。そういう意味ではすべてが奇跡的な出来事だ。ほのぼのできて、くすっと笑えて、ちょっと泣ける、子供映画の名作。

  • 子供の視点からの是枝監督作品ですね。
    世の中はとかく大人の都合で回ってしまい、子供の願いや希望はなかなか簡単には叶わない。
    子供扱いという言葉があるが、子供の思考は大人が思うほど子供ではない。
    それは大人でも自分の経験で知っているのだけれどついつい忘れてしまうのだろう。
    この作品は子供の思考が大人のそれを超越してしかも純粋だというそんな事を思いつかせてくれた。
    小学生7人が保護者の目を掻い潜って一泊の冒険旅行と言う設定に多少強引さは多少無理があるとは思いますが見終わって、これからもっと人に優しくできそうな気がしてきた。
    夏川結衣さんがちょっと崩れた感じのスナックママを好演しているのがファンとして少々妬ける。
    樹木希林さんも若い!
    子供達を助けてくれる高橋長英さんとリリいさんの老夫婦役が味わい深い。

  • 皆さんの鹿児島弁に違和感があるのは置いといて、

    こんなちっこい小学生たちが
    こんな大冒険を成し遂げて
    もうそれだけで奇跡。

    物語は、両親の離婚を機にばらばらになってしまった兄弟が、
    新幹線に願いをかけて家族を元に戻そうと奮起する流れ。

    でも、家族をもとに戻したいと思うのはお兄ちゃんだけで、
    弟は喧嘩ばっかりの両親はもう見たくないって思ってる。
    これね、二人ともの気持ちがよーく分かるよ。
    てかさ、子どもにこんな思いさせちゃう大人たち!!大人たち!
    人間て身勝手だなあって思った。

    あ、それで奇跡の話ね。
    奇跡って、誰にでも起きるし、日常のさりげない全てが奇跡に繋がっていて、その一つ一つが全て奇跡なんだなあって思える。
    当たり前の毎日が奇跡。

    なーんか、ほっこりしましたね。
    音楽がかーなーり良かった!

  • 主題歌の「奇跡」は平々凡々でありながらの幸せを教えてくれる歌だった。

    醜い汚点ばかりが目について反発する他に自分の感情をおさめる術を知らない。そんな嫌い嫌いと思う心のふるさとにちゃんと人は染まってゆける。大嫌いな場所が本物のふるさとになっていく瞬間を見た。それを教えてくれた絡まりの多かった糸がするりとほどけて行くようなエンディングは秀逸だった。

    粘着質でありながらもどこかふんわりとした余韻を人に残してしまう関西弁がいい。
    こういう子どもがいるのだろうし、こういう大人がいるのだろうなと思った。でもそんな子どもや大人ばかりでは世界は成り立たない。多様性という名の無駄があってこそなのだ。無駄のある世界が完璧ということなのだろう。

    大人の言葉をあまりにも無邪気にさらりと子どもが使えてしまうことに、子どもは鋭く賢いのだと思わざるを得ない。大人が考えたらおかしな子どもの願い事が、当時は小さな頭で切実に悩んでいることで、本当はそれぞれの起こってほしい「奇跡」に大小も優劣もないのだろう。奇跡はミラクルではなくてI wishなんだなあ。ほっとする作品だった。

    (20130613)

  • 新幹線がすれちがう瞬間を見た時に願いをすると、奇跡が起こる―
    鹿児島と福岡、両親の離婚ではなれて暮らす兄と弟。「また家族4人で暮らしたい」それぞれの思いを胸に、子供たちは「奇跡」の瞬間を見に行く計画をたてはじめる。

    ごめん、俺は世界をとってしまったんよ。という兄の最後の言葉が印象的。後半にじわじわ来て、子供たちの心の成長に心打たれます。
    まえだまえだ、素晴らしかった!!!

  • 是枝作品の中でも最高に素晴らしい作品のひとつ。

    少年少女を描かせたら最高=岩井俊二のイメージだったけど、
    この作品での子供の描き方は、とてもポジティブで心震わされた。
    何よりも夢と希望が詰まっている!

    この頃のわくわくして飛び出していく感じがうまく現れていたと思う。
    世界ってなんだろう?
    この頃にこういう問いを自問したかった。

    それにしても是枝さん、いい作品が多い。

  • こどもの頃は、今思えば簡単に見抜かれてしまいそうなちんけな嘘でも絶対隠し通せる気がしていたし、おやつを持って山に集まるっていうだけで少し悪いことをしているような気がしたし、秘密基地もわくわくしながら作っては集まっていたし、今では簡単に自由にできることが色々と不自由で、でもそれを打破して自由を手に入れることに物凄くどきどきして、わくわくして、びくびくして、そわそわしてたことを、思いだした。くるりの全篇にわたる音楽と、エンディングに流れる『奇跡』が、とても素敵。

  • 正月特番でテレビがつまらない時に、母と二人で観るには丁度いい感じの映画でした。子供たちが自由に動き回っていて楽しい。
    以下、映画の内容とはあまり関係ない感想になりますが…。




    九州新幹線全線開業のニュースは、震災の影響の自粛ムードで、あまり大きく人々に知らされなかったように思う。実際、震災当時盛岡にいた私自身、そのニュースもこの映画も知らなかった。
    東北新幹線が営業再開した際に、東北の人々が九州新幹線開業のCMの真似をして復興の一歩を喜んだ…というニュースで初めて開業を認知した。そんな経緯があったので、個人的に、震災と九州新幹線は深い関わりがあるものになっていた。
    震災から約10ヶ月。被害の多かった地域や原発のニュースも少なくなり、せいぜい年末に震災関連の特番が組まれるぐらいになってしまった。しかし、津波、原発事故の影響で、今も大変な思いをしている人々がいる。自分自身、あの震災以来これからどう生きるか悩み、年が改まった今でも、未来のことがうまく考えられずにいる。
    震災直後のニュースで、津波に流された街の、小学生くらいの子供がインタビューで、「今なにか欲しいものはないか、やりたいことはないか」と聞かれ、「なにもない」と答えていたのを覚えている。子供ながらに、わがままを言える状況ではないと理解し、自分を戒めていたのかもしれない。あまりにも悲惨な状況に絶望し、これからの人生に何も望むまい、と本心から思っていたのかもしれない。どちらにしても、子供が正直にわがままも言えない、という事実はとても悲しかった。
    失われたものは戻ってこない。そんな奇跡は起こらない。でも子供も大人も、強く願い、強く祈ることで、はじめて前に進むことが出来る。
    何かうまくいかなくても、家族全員一緒に暮らすことが出来なくても、なんとか生きていけるこの毎日こそが、まさに奇跡。
    この映画を観れてよかった。吐き気がするほど苦しいけど、もう少しもがいてみよう。

  • 名も知れない子役たちが、生き生きと個性を魅せてくれる。その全身の跳躍と眼差し。監督は子供を撮るのがホント上手いな。
    子供の個人と社会、大人の個人と社会、双方が地続きであることを、正に等身大で感じさせてくれます。
    夢を見ること、そのものの力と、無責任と、バネのように伸びるまでの助走と。
    ほとんど(全然?・笑)鹿児島を褒めてないのに、かるかんのぽやっとした甘みと感触を、いつ以来かで口にしたくなりました。

    • 円軌道の外さん
      こんにちは!コメントありがとうございます(^O^)また遊びに来ました♪

      まえだまえだは最初ミスキャストやろって心配になったけど(笑)ま...
      こんにちは!コメントありがとうございます(^O^)また遊びに来ました♪

      まえだまえだは最初ミスキャストやろって心配になったけど(笑)まったくそんなことはなく、子供たちがみな、キラキラと輝いてましたよね☆

      当たり前の日常こそが実は奇跡なんだと、
      震災後に観たので、余計に胸に沁みるものがありました。

      また良かったら、
      気軽に遊びに来てくださいね♪

      2012/01/12
全150件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×