一枚のハガキ【DVD】

監督 : 新藤兼人 
出演 : 豊川悦司  大竹しのぶ 
  • TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
3.21
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988101161713

感想・レビュー・書評

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  • 新藤兼人監督の遺作。なんと撮影当時99歳。
    自身の戦争体験が色濃く出た作品だそう。たしかに、本作で描かれる細部のいくつかは、体験者でなければとうていわからないものだとわかる。
    その意味で本作もまたひとつの証言だ。

    前半と後半で、戦中と戦後にちょうど分けられる。
    森川定造(六平直政)と松山啓太(豊川悦司)は、掃除部隊として奈良の天理教の施設にて任務にあたっている。
    2人は同じ二段ベッドの上下で寝ている。ある夜、定造は松山に、妻の友子から来たハガキを見せる。そして、もしも自分が死んだら、確かにハガキを受け取ったということを妻に知らせてほしいと言う。松山は約束する。

    (任務完了後に整列し、上官が偉そうに話す場面は、ぜったい笑わそうとしている。きっと監督自身、こういう経験をし、内心上官を嗤ったことがあるのだろう。)

    任務後にクジが引かれ、定造は運悪くフィリピンへ行くことになり、道中、アメリカの潜水艦に襲われ戦死してしまう。
    戦友との約束はいかに果たされるのか。

    中・後半は主に、夫を失った妻の友子と息子を失った両親(柄本明と倍賞千恵子)とが暮らす家が舞台になる。

    (柄本明はしたたかな男を演じさせたら右に出る者がいないなほんと)

    本作を通じて、とくに目立ったアクションはないのだけれど、もっとも動きがある存在がいるとすれば、友子役の大竹しのぶだ。この人の凄みのきいた演技には時折ぞっとさせられるほどだ。

    大杉漣のおまぬけな演技も良いけれど、大竹しのぶがすべてをかっさらっていく。映画を観ているというより、演劇を観ているような感じだった。

    物語は、細部は実体験に基づいてリアルなのに、話の展開は作り物めいていて、そういうちぐはぐな感じはあまり味わったことがない種類のものだ。それから、なんというか、映像を丸めて投げつけたみたいなぶっきらぼうな編集が好きだった。

  •  新藤兼人著『生きているかぎり――私の履歴書』(日本経済新聞出版社/1785円)読了。

     日本最高齢の映画監督が、『日本経済新聞』の看板連載「私の履歴書」の一編として書いたものの単行本化である。来週新藤監督を取材する予定なので、その準備として読んだ。

     また、今夏に一般公開予定の新藤監督の最新作(にして、「最後の作品」であると監督自身が明言している)『一枚のハガキ』を観た。

     『一枚のハガキ』は、監督自らの海軍二等兵時代の忘れ得ぬ記憶を元にした、ある種の反戦映画である。ゆえに、『生きているかぎり』を読んでから観ると感動が倍加する。大竹しのぶが演ずるヒロイン――戦争に翻弄されながらもたくましく生き抜く農婦――には監督の母上の姿が投影されているのだろうし、主人公の復員兵(豊川悦司)には若き日の監督自身が投影されている。

     大竹しのぶの演技がすごい。彼女が名優であるのはいまに始まったことではないが、改めてすごいと感じた。今年の賞レースで主演女優賞を総ナメしても不思議ではない熱演である。

     反戦映画のヒロインといえばとかく聖女のごときイメージで描かれがちだが、本作で大竹が演じる農婦は違う。生々しくも「女」であり、ドロドロした情念も持っている。あくまで生身の人間として描かれている。だからこそ、彼女の戦争への怒り、戦死した夫への思慕が、いっそう観る者の胸に迫るのだ。

     『生きているかぎり』は、印象的なエピソード満載でバツグンの面白さだった。新藤監督の歩みをフィルターとした日本映画史としても出色だし、故・乙羽信子との愛情など、ラブストーリーとしても感動的。『ゲゲゲの女房』がヒットしたことだし、朝の連続テレビ小説にしてもよいのではないかと思った。

  • 見て損はない

  • 有名監督さんなのにまだ一つも作品を観た事がなかったので観たけどありきたりな印象しかなかった。
    戦時中にしては体格が良い人ばかりだし、主役の方も前からあまり好きでなかったので案の定といった感じ。
    特に感動もなし。

  • 義母さんの最後が、切なかった。

  • BSプレミアム録画>反戦を少々可笑しみを込めて謳った映画に感じた。新藤兼人監督の遺作。戦争によって夫,家族を次々と失う悲しくも逞しい女の話。そこに戦死した夫からの1枚のハガキを携えた男(戦友)が訪問して来た。。
    肩に棒担いで水を運ぶ様は「裸の島」の乙羽さんを想いだす。大竹しのぶの演技が凄い。おろちの舞は大根もいいとこ。六平さん(兄)と弟の年齢設定が離れ過ぎておかしくないかww?ちょっと舞台劇の様相でもある。
    昔は皆、青年男子は戦争にとられ、亡くなれば、元妻(戦争未亡人)は兄弟で養子縁組のように結婚したんだよね。。。先妻、後妻も多かった…切ない話。(昔聴いた話)

  • 黒澤監督にしろ新藤監督にしろ一流の邦画の監督の作品ってシンプルでそれこそ小学生でも話についていけるような気がする。それでいて引き込まれていく深みがあって見た後確実に心に残っているのは「良い体験をした」という感覚。今回もそれらの例にもれない作品だった。なのに100%満たされたかというとそうではないというのは、さんざん今時の刺激的で撮る側の野心に満ちた作品を観させられ続けている後遺症的な症状だと考えるが、あながち的外れではないだろう。豊川悦司が相変わらずセクシーでカッコ良いので見惚れてしまった。多分そこは監督の狙い通りなのだろう。

  • 友子さんは、電気もガスも水道もない家で、沢の水を汲んで、薪を割って、煮炊きや暖をとり、少しの土地で米や芋や大根などを育て、現金収入もなく、老いた義理の両親の世話をし出征した夫を待つものの夫は戦死。父母の順次になくなりひとりぼっち。戦争を恨んで気が狂いそうになるものの、結局最後まで尋ねて来る者を受け入れその土地に留まり、畑を大きくし、強く生きていくお話。大竹しのぶの芝居に圧倒されました。

  • 2015年1月13日 部屋日テレ11時おわり

  • 大竹しのぶがすごいけれど、後半ちょっと観ているのが辛かった。
    そしてくじ引きって…。明らかに命が軽く扱われていたときがあったことを裏付ける1つがまた。

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