シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD]

監督 : スティーブン・スピルバーグ 
出演 : リーアム・ニーソン  ベン・キングズレー  レイフ・ファインズ 
  • ジェネオン・ユニバーサル
4.25
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本棚登録 : 522
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102050160

感想・レビュー・書評

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  • いきぐるしい作品でした。ヨーロッパのくらいたたずまいも、いたたまれなくなるような雰囲気でした。

  • スピルバーグ監督の所謂古典的名作映画。
    クラクフが舞台でポーランド人やドイツ人が出ているのに、なんでドイツ語でもポーランド語でもなく英語なのかよくわかりませんでした。当時の映画はそういうものなのかもしれませんが。

    快楽主義の実業家、ナチス党員のオスカー・シンドラーは多くのユダヤ人が職や財産を失い苦しむ中で、ナチスの将校たちに取り込み、彼らを安価な労働力として工場に雇用し、利益を上げる。
    ユダヤ人の優秀な経理係シュターンの計らいもあり、ナチスの手にかかる間際の弱者も工場労働者として職を与えることになり、多くのユダヤ人を期せずして救う。

    クラクフに残虐な将校アーモンが赴任、凄惨なゲットー解体の光景の中、彷徨う赤い服の少女に目を止めるシンドラー。
    アーモンとは密な関係を築き、バカ騒ぎをしながらも、少しずつ意識が変わっていくシンドラー。
    工場の労働者たちはユダヤ人でも”貴重な熟練工”として守り、絶滅収容所に運ばれるユダヤ人たちが輸送車内で暑さに苦しめばユ水をかけ、誕生日を祝った雇用するユダヤ人女性にキスをする。

    クラクフの強制収容所が閉鎖されることになり、チェコへ帰ることに。そこで彼は、多くの財産の代わりに”軍需工場建設”の名目で、多くのユダヤ人をチェコに連れていく。
    手違いでアウシュビッツに送られた女性たちが殺菌室に入り服を脱がされるシーンはかなり鳥肌が立つ。暗くなった瞬間の、ガス室かと思った恐怖が観客にも伝わる、凄まじいシーン。
    終戦の日、シンドラーが救った1100人を目にし、救えなかったもっと多くの人を思い起こし、車や金のバッジを持つ己を嘆く。

    名作なのは間違いない。もっと早く観るべきだったとも思います。3時間強という長さと、重苦しい映像のしんどさもあって、観るのもしんどいですが、見る価値はありました。

  • 恐竜が人を襲う映画とは違い、本作では人が人を襲い、そして助ける。

    『シンドラーのリスト』を知った頃それをSteven Spielbergが監督したと聞いて妙な新鮮さを感じた。
    ”Clash of Titan”(2010)のZeus父さんで知ったLiam NeesonのSchindler。
    一か八かの危険な賭けをカードゲームのように楽しむあたりがとても上手かった。
    製作前、Bruno GanzがSchindler役として候補に挙がっていたという。
    『ヒトラー最後の12日間』(2004)で一躍有名になった彼のSchindlerもいっぺん観てみたい。

    視界に入っただけで殺される狂気の世界。
    生存者の証言に基づく場面が映画のいたるところに散りばめられていたのも注目すべきポイント。
    アウシュビッツに誤送される場面は恐怖から泣いてしまった。

    支配される側(ユダヤ人)を救ったのは支配する側(ナチ党員)の人間だったのが意外。
    しかもその行為は善意からではなく自らのビジネスを成功させるため。
    映画では最終的に善意を見せたが「手段はどうであれ結局救われたんだから良いじゃないか」と言わんばかりに美化しているのが気になった。
    場面ごとに変わる仕立ての良いスーツ達。
    収容所の所長や独兵を敵に回さない独特の手法。
    独兵と工員を前にした堂々たるスピーチ。
    美化されつつも、端々から伺える手際の良さがあったからこそ彼らは救われ命が続いた。それだけは紛れもない事実。

  • ユダヤ人が迫害される大戦中のポーランド。一人の実業家が事業のために、人件費が安いユダヤ人を雇って、工場を再生し、利益を上げる。
    映画の解説サイトなどでは、ユダヤ人を救った実業家、オスカー・シンドラーの実話、などと紹介されているが、実際に映画を観たところでは、オスカー・シンドラーは最初は別に、ユダヤ人を救おうなどとは思っていない。あくまでも事業の成功や、利益を上げることを考えている。しかし逆に言えば、その他の偏見はほとんど持っておらず、他の軍人がユダヤ人を人間とみなさず毛嫌いする一方、彼は工場で使える職人であれば、敬意をもって大切に扱う。特別に技能が高くなくても、一度工場に受け入れたユダヤ人やその家族も大切に扱う。障害があっても一生懸命に働いてさえいれば、問題はない。
    最初は本当に、自分の実益のために動いている。
    しかし、大切な従業員が、ユダヤ人という理由で殺されそうになった時には、全力で阻止しようとし、怒る。人材を育てるのにまた費用がかかり、損害が出る!と。
    そうするうちに、だんだんと、理由もなくユダヤ人が殺されていくことをだまって見ていられなくなる。
    その結果、終戦が近付く頃には収容所に送られるユダヤ人の中からできるだけ多くの人を「自分の工場で雇うから」という理由でリストに載せ、利益どころか私財を投げうって救いだす。映画の最後の最後まで、実業家の顔を崩さない。
    哀しい映画ではあるが、涙が出るのは、意外と、次々とユダヤ人が意味もなく殺されていく場面ではなく、実業家の顔しかもたなかったオスカー・シンドラーが、最後の最後に、「自分にはもっと多くの人を救えたかもしれない」と悔やみ、自分が救った1000人もの工場の従業員の前で、感謝されながらも後悔の涙を流すシーンだ。

    ホロコーストを題材にした映画は無数にあるが、どんなに観ても、なぜこんなことが起こるのか本当に理解に苦しむ。ドイツの人はどういう想いでこういう映画を観るのだろう?もしくは観ないのか?日本軍がいかに非道だったかを描いた映画も無数にあるが、非道な日本軍の中にもこんな立派な軍人もいる、みたいな映画は観るから、それと同じことかな。

  • ナチスによる虐殺からユダヤ人を1000人以上救った、一人のドイツの実業家の偉業を綴った映画。

    と、普通は説明されるだろう。私もこの説明に特に異存はないが、話はそう単純ではない。

    スピルバーグはシンドラーと対比的にアーモン・ゲートという親衛隊将校を登場させている。
    アーモンについてシンドラーは言う。「戦争は常に人間の最悪な部分を引き出す 平和な時ならあいつも普通の男だ いい面しか表に出ない」と。
    ここのやりとりのあとシンドラーの態度が明らかに変化することを考えれば、このシーンの、このセリフの持つ意味の重要性は見逃してはならないだろう。

    観客はこのシンドラーのセリフを逆転させて考えてみることができる。
    アーモンは「平和な時なら[…]普通の男」だったかもしれないのに対し、シンドラーは「平和な時ならただの悪徳事業者」だったかもしれないのだ(現に、このシーンまでのシンドラーは今で言う「ブラック企業の社長」と言っていいだろう)。
    つまり、シンドラーとアーモンは戦争という危うい「境界線」により、あっち側とこっち側に区切られたに過ぎないのだ。
    シンドラーが「偉人」であることは確かだが、その「偉人」の危うさを巧みに表現しているのがこの映画の面白さだろう。
    史実が下敷きになっていて、原作もあり、特典映像の証言からも「シンドラーは汚い商売をしていた(要旨)」とあって、等身大のシンドラーを描き出すには、これが必須だったと思うが、見せ方の上手さはさすがスピルバーグと言っていいのではないだろうか。

    映画全体の描写は本当に気持ちが悪くなるほどリアルであるが、これは当然、この映画の売りであろう。観客は理不尽に殺される恐怖をリアルに味わうことになる。

    また、個人的に良いと思った部分がいくつかある。
    一つは、(あえてこのように表現するが)「ドイツ側の人間」が制度・手続き・規則等々に従って粛々とユダヤ人虐殺に関与していく様が描写されていた点である。人間の心理というものをうまく表現している。アメリカの社会学者のジョージ・リッツァーがその著書'The McDonaldization of Society'で述べているが、「ホロコーストとは「生」から「死」を効率良く大量生産するシステム(要旨)」なのだ。マクドナルドの従業員がマニュアルに則ってハンバーガーを作るように、「ドイツ側の人間」は「死」を生産していく。

    今ひとつは、解体されたユダヤ人ゲットーを「ドイツ側の人間」が掃討するシーンである。このシーンは評者の感覚から言えば「狂ったような」とも「喜劇的な」とも言えるようなピアノのBGMが印象的である。しかし、このBGMは単にBGMをとして貼り付けられているのではなく、SSの人間が実際に弾いているものである。そして奏者に掛けられる仲間からの言葉はこうだ。
    「バッハか?」「いや、モーツァルトさ」
    つまり、モーツァルトを弾いたり、それを聞いてモーツァルトだと分かるような教養のある(=高等教育を受けた)人間もユダヤ人虐殺に関与していたことが表現されているのだ(評者はタイトルしか知らないが、クリスティアン アングラオ『ナチスの知識人部隊』)。「狂気」は多種多様な人間を巻き込んでいたのであろう。

    これらの描写とその作りこみが、原作、史実、スピルバーグらの制作側、どこから由来するのかはわからないが、この際それはどうでもよく、この映画の質を一段も二段も高いものとしていることは間違いないと評者は思う。
    また、評者が気づかなかっただけで、もっといろんな作りこみがあるに違いない。

    評者があえて言うまでもないが、間違いなく上質の映画だ。

  • ナチス関連に関心がある人は買うべき作品

  • スピールバーグ監督が初めてオスカーを獲った作品。

    第二世界大戦時にユダヤ人を救った実業家オスカーシンドラーの姿を描いた真実の物語。

    印象に残ったセリフ。
    オスカーが、簡単にユダヤ人を殺す強制収容所長について語ったシーン。

    「戦争は常に人間の最悪な部分を引き出す。
    平和な時ならあいつも普通の男だ。」

    普通の人間を殺戮マシーンに変えてしまうのが戦争。

    日本を戦争する方向へ導いている政府、そしてその支持者にまず見てほしい。

  • ただ撃ち殺すだけなら誰にでもできるさ。
    力とは殺したって構わないような人間を許す事だ。
    本当に力のあるものは
    弱者に対して残虐にも寛大にもなれる。
    なぜなら彼にとって恐るに足りない相手だからだ。

  • ドイツの実業家による、ユダヤ人救出の事実の物語で約4時間の大作。しかし決して引き伸ばしているものではなく、この物語を描く上で必要な長さだと思う。 撮影技法、音楽、演技など全てが良い。ホロコースト下でのシンドラーの心境の変化、アーモン・ゲートの性格、そしてユダヤ人一人一人がしっかりと描かれている。
    これが現実で本当に起こっていたということ、しかしその中でこのようなエピソードがあったことを知れてよかった。全てが終わった後のシーンは非常に胸に染みた。

  • シンドラーのリストを見終わって、非常に重たい作品だと感じた。 本当にあった話であの状況下では1,200人もの人を自分の信念で救ったことは賞賛されることである。

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