セント・オブ・ウーマン/夢の香り [DVD]

監督 : マーティン・ブレスト 
出演 : アル・パチーノ  クリス・オドネル  ジェームズ・レブホーン  ガブリエル・アンウォー  フィリップ・シーモア・ホフマン 
  • ジェネオン・ユニバーサル
4.26
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感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102050962

感想・レビュー・書評

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  • 人生を悲観した偏屈な盲目の退役軍人と人生の岐路に立たされて悩む貧乏高校生の交流と、お互いがもたらした再生を、シンプルだけどあたたかい筋立てと、役者さんたちの見事な演技でとことん魅せた作品。

    名門高校に奨学生として通うチャーリー。彼は、家庭にも、裕福で傲慢な級友たちの中にも居場所を見つけられずにいました。訳あって彼は、感謝祭休暇の直前、彼の人生に関わるとても不条理な選択を休暇明けにするように、校長から脅されてしまいます。

    感謝祭休暇中は、ある盲目の退役軍人の世話をするアルバイトの予定があったため、悩む心を抱えたまま、彼はその元軍人・フランクの家を訪問します。
    しかし、彼の面倒を見る姪家族との旅行を嫌がって一人家に残った筈のフランクは突如、ニューヨークへ旅行すると言い出して…。

    思い出のあるニューヨークの街で、周囲の迷惑など御構い無しに、傍若無人に振舞い、豪遊するフランク。
    しかし、その心の中は、人生への絶望と、ある計画でいっぱいで…。

    互いが抱える孤独が共鳴したかのように、最初は距離のあった二人が、激しい応酬と危険の中で心を通わす場面は、本当に両者とも迫真の演技で、演技だとわかっているのにハラハラしながら観てしまいました。

    なんといっても、盲目の退役軍人フランクを演じたアル・パチーノの演技がすごい。
    傍若無人で偏屈な厄介者だけど、その実、孤独で、寂しがり屋で、人生に絶望しているのに、生真面目な優しい若者に感化されてしまう、どこか脆いところのある、複雑なキャラクターを、見事に演じきっています。

    しかも、盲目という設定のため、徹底的にまばたきも視線もなくして、目を見開くことに気を払いながら、という離れ業。

    ラストの、フランクによるチャーリーのための大演説のシーンは、ちょっと出来すぎな気もしましたが、その迫力と力強さに心奪われてしまった、良い映画でした。

  • 1992年 アメリカ
    監督 マーティン・ブレスト

    アル・パチーノ、クリス・オドネル、ジェームズ・レブホーン

    苦学生のチャーリーが短期バイトとして退役軍人のお世話をすることに。
    気の弱そうな、それでいて最後には芯を貫く苦学生チャーリーはなんと、クリス・オドネル。NCIS LAでイケイケガンガンな渋いG役の、、、もう、ビックリ。違いすぎる(笑
    そして退役軍人役は本作でアカデミー主演男優賞のアル・パチーノ
    ふて腐れの盲目な人の設定なんだけど、まったく瞳を動かすことなくカメラに動じてないので本当に盲目の人のよう。
    絶対にこっち見てないよな、って演技。

    そんな盲目の方が華麗にタンゴを踊るシーンが印象的でした、そして「フーハー」って意味不明な掛け声も(笑

    ラストの講堂での中佐の演説はよかったなぁ、チャーリーの保護者としてチャーリーを救ってくれた。拍手喝采浴びて!!

    すかっとするラストでした。
    二人はいい出会いだったんだよなぁ。
    でも、チャーリーからGへの変貌の驚きのあまり、映画の内容、忘れてしまってる(笑

    因に校長先生はHOMELANDでキャリーのお父さん役の方でした、、、

  • <5年ぶりぐらいに観た。そして買った>

    チャーリーの実直さ。
    ドナの美しさ。
    そしてフランクの口の巧さ。

    オスカー受賞のパチーノの演技もさることながら、セリフ回しが良い。すごく英語の勉強になる(気がする)。

  • タイトルと有名なダンスシーンから受けていた印象と全然違ったんでびっくり(年の差恋愛の話かなんかだと思ってたw)

    クリス・オドネルの直面する問題なんて失明したアル・パチーノが抱える屈託に較べりゃ大したことないじゃん?なんて思っていたら、クライマックスで2人の物語が見事に交差するものだから、感動するやら驚嘆するやら。最後のアル・パチーノが演説するシーンは本当に素晴らしい。えらく盛り上がるラストでした。

    で、彼らと相対するのがこれが映画デビュー作のフィリップ・シーモア・ホフマン。かっこ悪くすぎてあまりに気の毒w

  • アル・パチーノが最後まで素敵。
    タンゴのシーン、フェラーリ、最後の演説、どれも絵になるね。特に最後の演説のシーンは見ていてジーンときました。
    最初はフランクが「お前に生き方を教えてやる」と言いつつ、知らず知らずのうちにチャーリーが彼に正しい道を教えて魂を救っていたんだね。

    人生もタンゴと同じ。足が絡まっても踊り続ければいい。
    けっこう大切なメッセージを送ってくれる映画でした。

  • アメリカはボストンの全寮制名門高校に奨学金で入学した苦学生チャーリー(クリス・オドネル)は、裕福な家庭の子息ばかりの級友たちとの齟齬を感じつつも無難に学校生活を過ごしていた。 
    感謝祭の週末、故郷オレゴンへ帰るための旅費を稼ぐためチャーリーは、アルバイトに出ることになっていた。
    そのアルバイトとは、姪一家の休暇旅行への同伴を拒否する盲目の退役軍人フランク・スレード中佐(アル・パチーノ)の世話をすること。
    とてつもなく気難しく、周囲の誰をも拒絶し、離れで一人生活する毒舌家でエキセントリックな中佐にチャーリーは困惑するが、報酬の割の良さと中佐の姪・カレンの熱心な懇願もあり、引き受けることにする。
    感謝祭の前日のこと、チャーリーは同級生のハヴマイヤーたちによる校長の愛車ジャガーに対するイタズラの準備を目撃した。生徒たちのイタズラに激怒した校長から犯人たちの名前を明かすなら超一流大学(ハーバード)への推薦、断れば退学の二者択一を迫られ、感謝祭休暇後の回答を要求される。チャーリーは同級生を売りハーバードへ進学するか、黙秘して退学するかで苦悩しながら休暇に入ることになった。
    中佐はそんなチャーリーをニューヨークに強引に連れ出し、ウォルドルフ・アストリアホテルに泊まり、“計画”の手助けをしろ、という。
    チャーリーはニューヨークで、中佐の突拍子もない豪遊に付き合わされるはめになる。高級レストランで食事をし、スーツも新調し、美しい女性とティーラウンジで見事にタンゴのステップを披露したかと思うと、夜は高級娼婦を抱く―。
    だがチャーリーは、共に過ごすうちに中佐の人間的な魅力とその裏にある孤独を知り、徐々に信頼と友情を育んでいく。
    旅行の終りが迫ったころ、中佐は絶望に突き動かされて、“計画”―拳銃での自殺を実行しようとするが、チャーリーは必死に中佐を引き止め、思いとどまらせる。
    ふたりは心通わせた実感を胸に帰途につくことができた。 
    しかし、休暇開けのチャーリーには、校長の諮問による公開懲戒委員会の試練が待っていた。チャーリーは、全校生徒の前で校長の追及によって窮地に立たされるが、そこに中佐が現れ、チャーリーの「保護者」として彼の高潔さを主張する大演説を打ち、見事にチャーリーを救うのだった。
    満場の拍手の中、中佐はチャーリーを引き連れ会場を後にする。
    再び人生に希望を見いだした中佐と、これから人生に踏み出すチャーリーのふたりは、また新しい日常を歩み始めるのだった。
    アル・パチーノ演じるフランクの弟たちに疎んじられ生き甲斐を無くした孤独さと不器用な優しさを知り年齢を越えた友情で結ばれるチャーリーとフランクの疑似親子的な友情、フランクと旅を続けながらフランクから大人のテーブルマナーや女性の誘い方などの手ほどきを受けて大人に成長していくチャーリーの成長物語、純粋なチャーリーに刺激されて生き甲斐を取り戻していくフランクの救い、頑固一徹なフランクのおかげで誇り高い生き方を貫けたチャーリー、窮地に立たされたチャーリーを救うフランクの人間の高潔さについての名演説、じんわりと温かくなる傑作ヒューマンドラマ映画です。
    タンゴも踊れナンパも得意なアル・パチーノの枯れたおしゃれなおじさまの魅力も、かっこいいです。

  • 2008年1月鑑賞。

    主人公チャーリーがthanks giving dayのアルバイトで出会ったフランク。気難しい元陸軍中佐。

    チャーリーが共にした旅は、フランクが死を計画した旅だった。
    自殺をしようとして止められたフランクがチャールズに “I'm in the dark ”と叫ぶシーン。
    今まで誰にも言わなかった、自分は苦しいんだということを初めて言ったフランク。
    フランクの心の何かが変っていくのを感じました。

    人間の五感。
    自分が思うに五感のうちの視覚これが、生きている上で、一番の情報量を人間に伝えているもの。
    それを失ってしまっているフランクと付き添いのチャーリー。その二人がニューヨークで繰り広げていく様々なシーンに吸い込まれます。

    最後の懲罰委員会でのフランクの演説。
    すばらしかった。

  • 1992年米、アルパチーノ主演。

    盲目の退役軍人とアルバイトで短期だけその世話をすることになった17歳の男子高校生のぶつかり合い。

    わがままで親類にも嫌われていた元軍人だが触れ合ううち高校生の悩みを知る。学校に戻り懲罰委員会に掛けられたところで別れた元軍事が登場して演説、という話。

    できた話だが盲人の優れた感覚をタイトルに象徴し、純真な若者の心が救われるのを描く。分かっていても泣かされるいい話だった。アカデミー主演男優賞を得たという主人公のアルパチート、そして音楽もいい。

  • 「良い映画」風に見えるんですが、これは全然面白くなかったです。まずは単純に尺が長すぎ、こんな内容で2時間30分以上もあるとは…最後の「Yeah!」にもハァ?ってなりまして(ギャレゴジと一緒)、皆さまがお嫌いな典型的ハリウッドバカ映画パターンなのに、なんでこんなに評価が高いのかと。。なのでアカデミー作品賞は当然『許されざる者』が受賞、しかしアルパチーノの演技は良いので主演男優賞なのは妥当ですね。

    似た傾向の作品をたまたま続けて観ることが多くて、韓国映画の『オアシス』とか観たらやっぱりチャレンジングだなあと。
    あと82年の『評決』、これポールニューマンですけど、ニューマンとかアルパチーノとかアメリカンニューシネマ期の俳優が、その後どんな役を演じてるか?を考えると、アメリカ映画史ってすごくわかりやすい。

    劇中で何度も「ジョンソン大統領の側近だったんだ」って繰り返される。92年当時はパパブッシュ政権下で湾岸戦争直後。だから共和党に対してケネディやジョンソンの民主党ってことだろうけど、ジョンソン大統領の頃って内政は良いかもだけどベトナム戦争が一番泥沼化してた頃ですからね。アメリカ人で民主党支持者だったら気持ちいいのかもしれないけど、外から見てる人間からすれば何にも反省してないじゃん、としか思えない。

    アルパチーノの失明した原因も手榴弾お手玉と自業自得。その原因が戦争で病んだからとかならまだ同情できますが、「アジア女とアメリカ女を同時に抱いた」とかそういうことしか言わない笑。あと、「君たちぐらいの若い子たちが、手足が吹っ飛ぶ地獄を見てきた」みたいなこと言うけど、それベトナムの民間人のことじゃないよね。
    勝手に失明してそれで年金貰って豪遊、勝手に死ねよと笑。

    ただ一番大事なメッセージは、主人公の男の子(クリスオドネル…バットマンのロビンだ!)とアルパチーノが補完しあう、支え合うって点と、若い世代に「正直に純粋に生きろ」っていう点で、そこはわかる。
    わかったのでつまんねえ映画はつまんねえと正直に言いましょう、と。

    最後のYeah!のとこって、聴衆の生徒たちにはこのアルパチーノさんのメッセージが別に伝わってないでしょう。彼らはたぶん普段から校長に対してムカついてたから同調しただけかと。
    これは『フェリスはある朝突然に』なんかと同じなんですよね。アメリカンニューシネマ期は学生運動で大きな闘争だったけど、それが小さくなって、一番身近な体制側の人間って学校の先生だから、それに対して反抗したり戦ってたりする。
    これはたぶん日本も同じで、行き場を失った若者のエネルギーが70年代にどこへ向かったか…映画や漫画でもアナーキーな内容だったり、あとキャンディーズなどアイドルへ向かったり、校内暴力で学校が荒れたり…。先日『野生の証明』を観たけど、70年代に高倉健さんが主人公で、ラストどうなったか…とつながってます。

    そう考えたらフィリップシーモアホフマン君たちは、事後の行いや安全な立場だったりする点ではたしかに悪いんだけど、彼らは直接的に行動して先生をからかっている。傍観者としてただ笑って見てただけの他の生徒たちの方がよっぽどズルくない?だからYeah!の意味わかんないし、あれで感動とかしないですよ。

    つまりこれって、溜まったガス抜き映画なのではと。フェラーリ乗り回すのなんかも『フェリスはある朝突然に』とまったく一緒。町山さんなんかは『フォレストガンプ』を厳しく批判してますが、私はこの映画にけっこう近しいものを感じます。
    マーティンブレストは『ビバリーヒルズコップ』や『ミッドナイトラン』の監督で、典型的なハリウッド映画の人だけど、これらの映画を観た方がよっぽど泣けますよ!!

    この映画はたぶん、『ドントブリーズ』の元ネタじゃないかなあ。胸糞スリラー映画だけど、あっちの方がよっぽど感心しました。
    もうひとつ、原点としては『女の香り』という映画があって、これの原作を元にした再映画化だそう。たぶん、さらに辿るとチャップリンの『街の灯』とかかな。

    クリスオドネル君は先に書いたように、私はちょい後のバットマンのロビンで知りました。アイドル俳優的な。この映画では口が開いてる、なんかアホな感じで…。バットマンのせいもあるけどその後パッとしてませんね。
    逆に、フィリップシーモアホフマンはこの映画でも演技がとても良いです。
    ガブリエルアンウォーも、昔はラックスのCMに出ててアイドル俳優だと思う。翌年の『ボディスナッチャーズ』もおっぱい出るだけでクソつまらんかった。ダンスのシーンがどうのこうのって、大筋にそんなに絡まないのに!セリフの伏線にしたいだけだろ!と思う。それだけでテロップの上の方に来ますからね、ほんとに花を添える「だけ」の存在でしたね。

  • チャーリーが透明感溢れていて素晴らしい。
    最後と拍手喝さいの理由は、きっと全生徒の魂も守られたからだと思う。
    大人の都合で守られるべきものが守られないと、絶望するしかない。
    どんな暗闇の中でも少しの光がある。その光が自分を苦しめることもある。
    難しい。だけど私は光を諦めたくはない。

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