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- / ISBN・EAN: 4907953047785
感想・レビュー・書評
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三島由紀夫を読んでいるせいか、愛に飢えている。
いや、わたしはいつだって、愛に飢えている。いや、恋に飢えているのかもしれない。
見放題が終了しそうな作品ということでこの作品にしたものの、新年2本目が園子音とは…。
我ながらこの、自分で自分を追い込む性格をどうにかしたいものである。
『恋の罪-Guilty of Romance-』
素敵なタイトルだ。美しい。タイトルバックもまるで、美しい恋の物語であるかのようだ。
しかし園子温である。そんなはずあるわけがない。もう出てくる人みんなやばい。
アマゾンプライムの作品紹介。「3人の女たちの行き着く果て、誰も観たことのない愛の地獄が始まる…」
これまでいろいろな映画や本に触れてきたわけだし、「誰も観たことのない」という言葉にワクワクしてしまったわけですが、舐めすぎてました。
本作品は東電OL殺人事件を基にした作品ではあるのだけれど、事件どうのというよりも、その女性が抱える生きづらさ(その人自身の環境や生い立ち、親子関係)とか、葛藤とか、踏み込むと抜け出せないセックスの沼とか、そっちの方を描きたい作品だったのだろう。
観始めた時になぜか全員演技っぽさがあるのが不思議だったのだけれど、中盤からラストにかけての女たちの罵り合いやボーイくんのサイコな高笑いなんかはもう怖すぎて画面からだいぶ目を離して鑑賞。なるほど、序盤はここへもっていくための伏線だったわけだ。
遺体発見現場や解剖のシーンでもうわああああ!となってしまい、食べてたみかんを放置。距離をとる。見終えたころにはちょっと頭が痛くなってました(今もちょっと続いてる)。
様々な女性作家やフェミニストが取り上げる東電OL殺人事件を、男性が女性目線で描いており、展開としてついていけるかどうかは別として、娼婦の美津子から語られる言葉にはハッとさせられる。
「あのね、翳がある人ねぇって言われる頃はまだ間に合うのよ。闇は翳よりも濃いから」
「不思議なことに、男たちはタダでヤらせる女より、金を払わせる女の方を蔑む」
菊池いずみはうざ~いモラハラ作家の妻として生活しつつも、その潔癖とピュアな夫との生活を息苦しく感じている。その弱い部分を上手につついてくる奴っているんですね。どんどんエロくなっていくいずみ。でも、危険な方へ向かういずみの姿は開放的でもあって、それを素敵だと捉えるか、崩壊の始まりと捉えるか。
そして、事件を担当する刑事の水野美紀のラストシーン。あれがまさにこの作品の肝だと思う。女性の生きづらさに触れ、それを男性にきちんと理解してもらえず、けれど事件がその生きづらさの核心をついた時。「自分も」「わかるわぁ」と共感した瞬間。魔の手はすぐそこまで迫っているのかもしれない。 -
2011年作品。園子温監督、監督の作品は4本しか観たことないので、あくまでも私観ですが、エロ・グロ・長い。この作品もそのイメージです。難解に思えましたが、迫力が伝わります。どうも後味が悪いです。主役は水野美紀さん、敏腕の女性刑事。しかし彼女が事件を解決するわけではありません。彼女の見所はラストシーンかな。主演を食っているのは、監督作品にはお馴染みの神楽坂恵さん、そして初めて演技を観た冨樫真さん。強烈な印象を与えてくれます。下品でセクシー。下卑た私見を書きますと、私が若い頃は男はするもの、女はされるものと言う風潮がセックスについてはあったように思います。はっきりと今は違いますね。男優陣も面白い。津田寛治さん、相変わらず目が怖い。児嶋一哉さん、嫌な男。うまいなあ。監督の作品は人間の不思議な部分・嫌な部分をこれでもかと見せつけてくれます。
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「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「恋の罪」と見てきたけど、
どれも前半おもしろいけど後半引いてしまった。
やりすぎというか、そこまで描かないほうがいいのに…って。
クライマックスからラストまでが貪欲すぎて。
そこに力があるのかもしれないけど、
私はその持ち味は好きではないなぁ。
インパクトのあるものをなんでも借りてきて放り込んで終わり、という印象もある。
実際の事件を詩の一節みたいに借りてきて、
自分の作品としていいように処理しまうことも疑問だし。
悪趣味なのはいい。
作風だろうから。
役者も。
「こういうもの」と割り切れば魅力のある監督で、
本作も楽しめると思う。 -
感情の発露に置ける強烈な描写な部分は園監督らしさが十二分に表現されていて相も変わらずスゴイの一言に尽きる。神楽坂さんはホンマに凄い女優さんですね…
充足感って一体…充たされるってどういう事なんだろうか
監督が今作品で描きたかったのは「渇望」なのかな…
園子温監督作品…次がまた楽しみになった。 -
園子温という監督は、役者が持っているあまり人に見せたくない部分をさらけ出す。そのむき出しの部分を撮ることを、一つのパターンのようにしている。さぞや監督も役者もスタッフも精魂疲れ果てる撮影なのだろう。ドラマでよくあるような「NGしちゃいました、へへへ」なんて通用しないだろう。エロティックであり残忍である本作は、観る者の「見てはいけない。でも見たい」部分をもむき出しにする。癖になる人は癖になる。嫌いな人は大嫌い。クセの強い山廃生酛日本酒のような味わい。酔えば酔う程、はまりこむー。
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つれ込み部屋として使われていた廃屋で、
猟奇的な遺体が見つかった。
頭部、女性器、両手、ひざ下が切断され、
頭部にはマネキンが乗せられている。
その事件の真相を探る刑事の物語。
そして、犠牲者と、殺人犯の物語。
この二つの時間軸の物語が展開されます。
物語の最後になるまで、犠牲者が誰なのか分かりませんが、
とくに、最終的に、犠牲者と殺人犯になる二人。
この物語には
ぐっ!!!
と惹かれます。
偏執的なまでに潔癖症な夫、従順な妻。
しかし彼女が、AVにスカウトされたところからその人生を大きく変えていきます。
「女」として見られることに快感を覚えていく妻、いづみ。
その彼女を、より大きく変えたのは、
昼は大学の講師も務める女性、美津子。
美津子は渋谷の丸山町のたちんぼで、週3はデリヘルで働いていて。
「愛のないsexには、必ず金を取れ」といづみに教えます。
「私のところまで堕ちて来い!」
という美津子。
けれどこれは、「堕ちていく」話なのかなぁ。。。
たしかに、貞淑な妻から、売春婦に堕ちていく話だけど。
貞淑であり続けることと、淫売になり、安価でsexを売ること、
どちらが、いづみにとって幸せなんだろう。
なんだか、いづみが「人間」になっていく話のようでもありました。
それに対して美津子は、「人形」にされてしまう。
それは、美津子が、本当の美津子ではない「仮の人間」を生き続けた罰?
美津子が求めていたのは、「父」なんです。
けれど、得られなかった。
それがために、他の男を求め続けた・・・というのは、
なんだか陳腐な展開のようにも思いますが。
最終的に「人形」になって、それが罰であるとともに、
「浄化」のようにも感じました。
カフカの「城」が印象的に使われていますね。
民は城の周りを周るだけで、けして城にはたどり着けない。
「お前にとって、今は私が『城』なんだ」
印象的な台詞です。-
“いづみが「人間」になっていく話のようでもありました” というのは秀逸な評ですね。得心しました。“いづみが「人間」になっていく話のようでもありました” というのは秀逸な評ですね。得心しました。2012/09/04
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凄かったけど、ただ凄いだけというか…勢いでもっていったというか。
終わりにつれて何だかよくわからなくなってしまった。
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ようこそ、愛の地獄へ -
こんなんばっかじゃない、しあわせなせっくすもあるとおもうの。
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水野美紀は主役やけど脇役な感じ。
コジが出て来たのは吃驚やけど、あんまり違和感なかった。おいしいなー。
巨乳のおねえちゃん、奥さんなんですね。
鏡の前でポージングするの面白かった。
笑顔で罵り合いながらの団欒も好き。
これでR18なのか。オトナでよかった。
やはり水野美紀さんの裸体に衝撃を受けたのは私だけではなかったのですね。
そのあと園子温作品を数作観たのです...
やはり水野美紀さんの裸体に衝撃を受けたのは私だけではなかったのですね。
そのあと園子温作品を数作観たのですが、わたしには合わないと結論付けです。
どれも怖すぎる。
園子温、何するか分からん!
違っていたらすみません…
大丈夫だと思って見たら大丈夫じゃなかった、...
違っていたらすみません…
大丈夫だと思って見たら大丈夫じゃなかった、ということが多発してますね、園子温作品(笑)
そうですその通りです「冷たい熱帯魚」、最後まで観る事ができませんでした。
あれには参りました。
そうですその通りです「冷たい熱帯魚」、最後まで観る事ができませんでした。
あれには参りました。