双頭の悪魔 江神シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]

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  • 東京創元社
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感想・レビュー・書評

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  • エラリークイーンの国名シリーズ,X,Y,Z,ドルリーレーンおよび月光,孤島と読者への挑戦をされ続けてきたが当てたためしがない。でもこの手の小説は探偵さんがすっきりとさせてくれるのに拍手を送るのが良いのかも。今回も江神二郎はじめ推理研のみなさん分断された川のあちらとこちらで頑張りました。この話で江神氏の過去も語られましたね。挑戦された結果は見事に外れ。僅かに室木犯人は分かったが論理的な説明はできなかった。しかし、よくもまあこんなややこしい話を考えつくものだと思う。

  • 頁数は多いですが長いとは感じさせません。
    それは単に二つの事件が平行して進行しており二本分のボリュームがあったからですが、それを1+1>2にしてしまう所が本作の凄み。
    両話を交互に良い所で場面転換させる事と、二つの一見無関係な事件にさりげなく関連性を差し込む事で、兎に角先が気になり頁を捲らせてくれます。
    更に一方の視点しか無い江神が他方の事件の関連性と本質まで捉えて纏めて解決する様には舌を巻きます。
    期待感溢れる題材と展開にお得意の消去法理論。
    信頼できる二枚看板を得た氏の作品は最早磐石、そう感じさせる一冊でした。

  • 関西弁のウィットに富んだ会話が好き。
    しかし長かった。

  • 三度も読者への挑戦がある特盛推理ゲーム。派手なトリックはないが、それぞれの事件の犯人推定のための伏線のクオリティは前二作以上に研ぎ澄まされたものになっている。エラリー・クイーン好きはハマる。またこれだけ事件をてんこ盛りにしながらも、物語全体の抒情的な雰囲気や事件とは直接関係しない内面描写をおろそかにしていないどころか、その部分だけを切り取っても面白く読めてしまう。ベートーベン、北原白秋、ピンクフロイド、理想宮などの印象的な小道具も良い。この作品には本格ミステリに対して腐るほど投げかけられる「人間が描けていない」という批判が全く当てはまらない。
    強いて言えば事件の幕引きが少し味気ないように感じた。もう少し犯人たちのやり取りを説明しても良かったのではないか。八木沢、室木が交換殺人を簡単に呑み込み過ぎではないかと思う。老齢である香西が殺人を遂行できるのかという疑惑が二人に浮かばないのは不自然だからだ。この辺をもう少し説明してほしい気持ちもある。
    ただ物語全体の雰囲気を鑑みるとこれはこれでいいとも思う。

  • 動機が明らかだった前作を踏み台にして、今回は動機は明らかなのに殺人にはつながらない、といった設定。交換殺人を疑って当然なのだけど、奇人たちの村と平凡な田舎の村の世界観の違いによって接点が見えにくくなっていた(と思う)。ただ謎解きはすっきりしなかった。例えば、二つ目のやつなんかは、西井が『「室木がアリバイ工作した」ようにみせかける工作」』を行った可能性は考えられないのだろうか(よく読めば否定されるのかもしれないけど)。今作は物理的には可能だけど蓋然性が低いというだけで却下される可能性がいくつかあったと思う。

  • 2つの場所での話がテンポ良く順番に出てきて、最後まで飽きることなく読みすすめることができた。初めて、江上さんの答え合わせ前に推理の一部を当てることができた。
    犯人に共感、まではできないのがなぜか少々残念だが、物語としては読みやすく、納得の行く作品だと思う。

  • 読者への挑戦が3つ。
    アリスとマリアの関係が彼らの周辺の人と同様気になるわけですが、いろいろと邪魔が入ってなかなか会えません。
    でも、最後のマリアのアリスに関するセリフ、いい。
    で、事件ですが、マリアが家出した芸術家が集まる村とその近くの村で殺人事件がおこります。
    夏に怖い思いをした彼らですが、またまた巻き込まれるわけです。江神二郎部長の推理は?

  • 前半やや退屈だけど、殺人が起きてからはなかなかのスピード感。前フリもしっかり最後にいきてくるというのはさすがですね。ちょっと都合がいいのはしょうがないかな。

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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