NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2012年 05月号 [雑誌]

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナルジオグラフィック社
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感想・レビュー・書評

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  • 「コアラを救え!」
    オーストラリアでは、交通事故に遭ったり犬に襲われたりして、
    命を落としてしまうコアラが後を絶たないらしい。
    一週間に死んだコアラ達の写真が痛々しかったです。
    250年前と比べて、コアラが生息できる森が何と減った事か!

    後から勝手に住みついて森林を伐採し続ける人間達が、
    「保護しなくてはならない」とは、おこがましさすら感じるのですが、
    コアラが激減しているのは事実。悲しい事ですね。

    「エジプト 革命の行方」
    アラブの春以降、エジプトはどう変わったのか?興味深いです。
    治安の悪化、失業者の増加。日本にいると全然情報は入って来ない。
    でもまさかこんなに酷かったとは……。

    民主主義の入り口に辿りついただけで、
    民主主義を実現させたわけではない、という言葉が印象的です。
    理想と現実との乖離は、いずれ解消される時が来るのでしょうか。

  • 特集:コアラを救え!◆よみがえる南北戦争◆森の名演奏家、マイコドリ◆アイスランドの絶景◆エジプト革命の行方

  • 2012年5月号の目次
    よみがえる南北戦争

    奴隷制度をめぐって国を二分した米国の内戦。当時の画家たちが描いたスケッチと、現代の写真家が撮影した再現写真で、戦いの記憶をたどる。

    文=ハリー・カッツ

     1861年から4年にわたり、米国では奴隷制度をめぐる内戦「南北戦争」が繰り広げられた。それから150年。その戦場では、いったい何が起きていたのか。第1部では、画家たちが実際の戦地で描いたスケッチ、第2部では、当時のカメラ技術を用いて撮影したリチャード・バーンズの写真を基に、戦いの記憶をたどる。
    編集者から

     南北戦争が起きた頃、日本は1867年の大政奉還を目前に控えていました。米国人が南北戦争にロマンを感じるのは、日本人が幕末に生きた人々に惹かれるのと近いものがあるのかもしれません。今号の特製付録と一緒に読んでいただくと、米国の歴史でいかに重要な分岐点であったかが良くわかります。ぜひ、併せてどうぞ!(編集H.O)

    森の名演奏家 マイコドリ

    南米エクアドルとコロンビアの森に生息し、翼から不思議な音を出して求愛するキガタヒメマイコドリの雄。その超絶技巧の秘密が解き明かされてきた。

    文=ダン・コッペル 写真=ティム・レイマン

     中南米の熱帯に生息するマイコドリのなかでも異彩を放つキガタヒメマイコドリ。雄は求愛のとき、マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」さながらのダンスと、翼を使って奏でる“音楽”で雌を魅了する。

     米コーネル大学脊椎動物博物館の学芸員キンバリー・ボストウィックによる研究の結果、キガタヒメマイコドリは求愛の音を発するとき、左右の翼を1秒間に107回も打ち当てていることがわかった。その動作からどうやって音が出るのか。メカニズムを詳しく解説する。
    編集者から

     いったいどんな音で求愛しているのか、気になりますよね。動画がありますので、こちらをご覧ください。意外とシンプルな音なのですが、その“演奏法”の謎を知ったうえで聞くと、雄の涙ぐましい努力が感じられて、思わず応援したくなります。(編集T.F)

    コアラを救え!

    ユーカリの森が消え、伝染病も流行。オーストラリアのコアラの窮状と、保護に奔走する人々を取材した。

    文=マーク・ジェンキンス 写真=ジョエル・サートレイ

     夜中の2時に、電話のベルが鳴る。現場の郊外住宅地に急行したボランティアの一行が目にしたものは、1頭の野生のコアラ。フェンスの鉄条網にひっかかり、どうにも身動きがとれなくなっていた。

     コアラはオーストラリアの人気者。かつては広大なユーカリの森に約1000万頭が生息していたが、20世紀初頭の乱獲で頭数が激減。都市化のあおりで生息地を失い、犬に襲われたり、自動車にはねられたりして、次々に命を落としている。さらに近年の調べでは、クラミジアによる感染症が広がり、不妊のコアラが増えている。窮地に立つコアラを救おうと、救助に奔走したり、みなしごコアラを里親として育てたり、さまざまな形で保護に尽力する人々を取材した。
    編集者から

     4月号に登場したフラミンゴに負けず劣らず、コアラの目もたいがい怖いものですが、やはりそこは世界で愛されている動物。ふわふわの毛に丸いフォルムといった外見は愛嬌(あいきょう)を感じさせます。こんな動物が住宅街を普通に歩いていたりすること自体驚きですが、オーストラリアの人々がコアラ激減の危機的状況をあまり知らないことも意外で、また、それが根本的な問題でもあると感じました。ただし特集内で取り上げているのは、保護活動に奮闘する人たち。コアラへの愛が伝わってきて、心があたたまりました。(編集M.N)

    アイスランドの絶景

    火山と氷河がはぐくんだ大地は、人間と家畜による森林破壊に屈することなく、壮大な自然美を保ち続ける。

    文=ロバート・クンジグ 写真=オルショヤ・ハールべリ、エアレン・ハールべリ

     火山と氷河がはぐくんだアイスランドの大地。数年ごとにどこかしらで噴火が起きているこの島で、火山活動はめずらしいことではない。だが、南部の氷河で2010年に起きたエイヤフィヤトラヨークトル火山の大噴火では、水蒸気爆発により火山灰が成層圏にまで到達。欧州全域で飛行機を足止めし、空の交通網をまひさせた。

     9世紀後半ごろから入植者が定住するようになると、羊をはじめとする家畜が島に持ちこまれた。羊たちは草や若木をむさぼり、人々は木炭を得るために森林を次々に伐採。植生を失って島の景観は一変し、露出した表土が急激に失われている。

     過酷な風土と、人間と家畜がもたらした荒廃。それでも今なお、アイスランドの景観がたたえる荒々しい自然美は、見るものの心を強く惹きつけてやまない。
    編集者から

     アイスランドの地名は難しい……たとえば「Hveravellir」。どうやったって「クベーラベトリル」とは、知らずには読めません。今回、地名のスペシャリストも参考にしている『アイスランド地名小辞典』という本を知りました。地理学者で当時お茶の水女子大学の教授だった浅井辰郎氏が、言語学者の森田貞雄氏とともに現地に足を運び、1980年に出版したものだそうです。これに載っている地名でも、現地読みに合わせて極端なカタカナ使いをしている部分は日本語に近いかたちに直すのが今は一般的とか。特集には、うそみたいな(絵画みたいな)風景が満載。温泉が豊富なのは、日本との意外な共通点です。(編集M.N)

    エジプト 革命の行方

    大統領選挙を間近に控えたエジプト。首都から遠く離れた地方は、民主化運動でどう変わったのか。

    文=ジェフリー・バーソレット 写真=アレックス・マヨーリ

     2011年、ムバラク大統領の長期独裁政権が崩壊したエジプト。首都カイロのタハリール広場で民主化の実現を訴える人々がいる一方で、民主主義への移行に難色を示す人も多い。革命後の人民議会選挙では、イスラム教黄金期への原点回帰をめざす超保守のヌール党が大躍進し、25%近い議席を獲得した。

     地方の都市では、革命前にはめったになかったという盗みが横行し、市民は治安への不安を抱えている。治安の悪化は主要産業である観光業にも大打撃を与え、エジプトを訪れる外国人観光客は激減した。

     治安の悪化と経済の低迷にあえぐエジプト。国民はリスクを冒してでも民主化の実現をめざすのか。それとも、生活の安定を求めるのか。南部のアブシンベルから北部のアレクサンドリアまで縦断し、人々の生の声を聞いた。
    編集者から

     5月号が発売されるころには、新聞やテレビでエジプトの大統領選挙に関する報道が徐々に出てきているのではないでしょうか。タハリール広場での反政府デモ以降、エジプト国内がどんな状況になっているのか、この特集を読めばよくわかると思います。写真家集団マグナム・フォトの会長、アレックス・マヨーリの写真も必見です。(編集T.F)

  • 南北戦争 コアラを救え アイスランド エジプト

  • 気になった記事は次の2つ

    「森の名演奏家 マイコドリ」
    マイコドリは求愛の時、踊りや音楽を披露する鳥。
    「音楽」というのは「さえずり」もそうだが、それ以外に翼を打ち当てて出す音の事も指している。

    翼の骨の一つに何本かの線状の隆起があり、その隆起に他の骨をこすりあわせて音を出しているらしい。
    要するに翼の端がヴァイオリンになっているようなもの。

    ただ、この「楽器」のために、他の種類の鳥より骨が重くなってしまっている。
    一体、なぜ、こんな方向に進化したのか、ぜひとも本鳥に聞いてみたい。

    「コアラを救え!」
    言わずと知れた、オーストラリアの象徴とでも言うべきコアラ。

    コアラ自体は大事にされているが、そのコアラの生息地が激減してしまっている上に伝染病が追い討ちをかけている。
    しかもコアラ減少の深刻さが多くの人に伝わっていないらしい。

    さすがにオーストラリアの人もコアラを「どこにでもいる」とは思っていないだろうが、日本のメダカのように多くの人が危機意識を持たないまま、ある日突然、「絶滅寸前」と言われて怯む、という事だけは避けてほしい。

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