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感想・レビュー・書評
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駅ビルの六階にある本屋・成風堂で働く杏子(24歳)とアルバイト学生・多絵(21歳)が、本屋に持ち込まれる日常の謎を解明するミステリー。「パンダは囁く」「標野にて」「君が袖振る」「配達あかずきん」「六冊目のメッセージ」「ディスプレイ・リプレイ」の6篇収録。良質なミステリーだった。
「六冊目のメッセージ」で版元の営業マンが入院患者向けに勧めたのが、
『宙の旅』 林完次著 小学館(宙の写真紀行)
『散策ひと里の花』河合雅雄著 講談社(ボタニカル・エッセイ)
『ダヤンのスケッチ教室』 池田あきこ著 MPC
『民子』浅田次郎著
『夏への扉』ハインライン著 早川文庫
の5冊。お気にいりのSF名作『夏への扉』が入っていて嬉しい。ほぼ制覇しているはずの浅田次郎に『民子』なんて作品あったっけ? 知らなかったのはちょっとショック。猫をテーマとしたフォトエッセーとのことだが…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書店店員が事件を解決するという事で面白そうと思い読んでみました。短編でサクッと読めます。後味も悪くないですし。通勤の朝に読むのにぴったりでした。
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舞台は街ビルのごく普通の本屋さん!本屋で働くしっかり者の杏子、ちょっと勘の鋭いアルバイトの多絵が、本屋にまつわる日常の出来事から事件を解決していく、本格派ミステリー!
ほのぼのとしたミステリーではあるものの、かなり本格的でした!著書が元書店員ということもあって、描写がすごくリアル・・・。成風堂がどんな本屋なのかな〜なんて、自分の近くの本屋をイメージしながらあっという間に読めました!
実在の本をベースにしているので、出てきた本が気になりました!
ガッツリしたミステリーとか、ちょっと殺人とかそういうのは・・・って人におすすめです。しかもショートストーリーなのでかなり読みやすい! -
あっと言う間に楽しく読んだ。どれも面白かった。
「標野にて 君が袖振る」切ない気持ちになるものの印象に残る。
「六冊目のメッセージ」のラストも良かった。
本屋さんって何となく憧れる職業で、その裏側を覗かせてもらったみたいで興味深い。でも、どう考えても重労働だよなぁ。 -
おもしろかった!
推理小説初心者の私でもわかりやすい!
本屋で起こるさまざまな出来事!
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書店好きという人種がいる。本好き・読書好きという人種の多くの人が書店好きだ。かくいう私もその一人である。書店を散策するのが好き、本に囲まれているのがうれしいのだ。そういう人種にとって、本書はいろいろな意味で楽しませてくれる。書店の仕事の紹介であったり、書店員の生態であったり。
さらに、というかこちらがメインだが、いわゆる「日常の謎」とその解決の秀逸なこと。本当にありそうな謎の提示から、とてもありそうにないサプライジングな結末へ無理なく展開していく筆力は見事である。短編の一つ一つにいろいろな趣向が凝らされており、バラエティに富んだラインナップになっており飽きが来ない。実に読んでいて楽しい作品だ。
そして、最後の戸川安宣の解説がうれしい。これを読むだけでも、本書を読む価値があると言っては、作者大崎梢に失礼だろうが、読後のデザートとしては最高である。むろんメインが美味しくなければデザートは楽しめないのうは言うまでもない。 -
「日常の謎」ミステリー。書店で起こる些細な謎解き、看過できない事件(謎)。殺人は起きない。
社員の杏子さんより大学生バイトの多絵さんの方が謎解きに前向きで彼女の着眼点は面白いです。
書店員がそこまでやる?と突っ込みたくなるけど、「事件メモ」ですから。
一話完結の短編集で楽に読めました。
単発2時間ドラマにすると少し物足りないのかな。
すぐにドラマ化しようとするのは私の悪い癖です。 -
私は多く語れはしないが、本を読むのが好きで書店が好きだ。
今のおすすめや新刊、既刊の棚を眺めて、気になったものがあれば数冊買っていく。
店員さんからしたら迷惑な話かもしれないが、結構長居することもある。ただ眺めているだけで楽しい空間。
ただ、好きと言っても私は客としての書店しかしらない。
この本の作者は元書店員ということもあり、普段は知ることのできない書店の裏側をたくさん知ることができる。
それぞれのジャンルの発行ペースに驚き、配達があるのを知り、あの賑やかなおすすめコーナーの書店員さん達の頑張りとその理由を見た。
これだけたくさんの事を知れただけでも、私としては大満足だ。
もちろん謎解きや、ストーリー自体も面白い。
一つめのパンダのおじいさんの話で一気に心を掴まれたし、ヒロちゃんのように美少女ではないが、イケメンに守られたい。
一瞬しか出ていないが、艶本を好むおじいさんの容体も気になる。戻って来てくれると嬉しい。
一番気になるのは、病院帰りの女性と営業マンのその後だ。あの後二人は会えただろうか、本を渡せただろうか、その先もその先もとたくさん考えてしまう。
今度本屋へ行った時は、スーツ姿の人を探してみよう。今までは特に気にしていなかったが、見つけたら「あの人が島村さんか!」となるかもしれない。
この本を読んで更に本屋さんが好きになったし、通いたくなった。
今はまだ平台を見ても綺麗としか思わないが、その内、書店員さんの個性やセンスを見切れるようになるかもしれない。