- Amazon.co.jp ・電子書籍 (319ページ)
感想・レビュー・書評
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数年前に本屋で見かけ、奇妙な表紙絵が気になっていた。1世紀前と思われる小説家の肖像。背景には総毛だったドクロと、奇妙な動物の首。表紙だけに惹かれ、アマゾンで電子書籍版を購入した。
ラヴクラウトは20世紀初頭に登場したアメリカのホラー小説の先駆者と言われる人物。スティーブン・キングなど、愛読者も多いらしい。
本書は4編からなる恐怖小説集で、うち2編はモンスター小説。
派手な展開があるわけではない。「面白いか?」と聞かれるとそうでもなく、「怖いか?」と聞かれても素直に肯定はできない。幼稚な表現だが、「面白くなくはなく、怖くなくもない」小説集と言えるかもしれない。
「実際に目に見える恐ろしいものは結局何一つ見なかったのだということを心によく銘記しておいていただきたい」という冒頭部分が示すように、読者の想像心が恐怖を生むような展開となっている。
心からお勧めできるような小説集ではないが、個人的には読んでいる間、奇妙な充実感を感じた。大西尹明氏の翻訳は素晴らしいと思う。小説世界の雰囲気は楽しめた。一応は読んで損はないかもしれない★3.5。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一度挫折していたが、読み返したら驚くほど面白く感じた。「インスマスの影」などはなかなかスリルのある読みものだったし、名状し難い不安や恐怖を掻き立てられる表現が多かった。
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※2017.4.27購入@honto
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彼の想像力の産物であり彼自ら病的なまでに憑かれていたクトゥルフ神話が怪しく息づく代表作「インスマウスの影」と「闇に囁くもの」。デラポーア家に伝わるおぞましい血の秘密が戦慄を呼ぶ「壁のなかの鼠」、ブラックユーモア風の異色作「死体安置所にて」の全4編を収録
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独特の味わいがあります。意外と読ませるな、と思った。
カニコウモリって言われて「おでんくん」に出てくるキャラを思い出してしまう。 -
グロいわけでもないんだけど、なんだか思い出して食欲が失せる話だった。直接的な気持ち悪い描写はなかったのだけど。
1番面白かったのはインスマウスの影。謎は謎のままで終わるのかと思ってたら意外にも深入りしてた。インスマウスの街の寂寥とした、というか、どんよりした漁港の空気も感じられた。(子供の頃に読んだ妖怪、幽霊系の話と似ていたかも) -
人智を越えた何者かが地に潜み、この世界を忍びやかに浸食しつつある恐怖。
異形なモノ達も登場しますが、その上位にあるモノの正体は判然としません。
その正体を知りたい=「クトゥルフ神話」への興味を大いに掻き立てられます。
が、この一冊だけでは何も分からないので、結局次の本を手にとってしまう……
無茶苦茶怖いわけでもなく、殊更に残酷なわけでもないのですが、作品全体を覆うじめっとした恐怖感が堪らないです。
分からない何かがじわじわと忍び寄って来る、その不気味さや不穏さがクセになりますね。
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■ インスマウスの影
■ 壁のなかの鼠
■ 死体安置所にて
■ 闇に囁くもの