キツツキと雨 通常版 [DVD]

監督 : 沖田修一 
出演 : 役所広司  小栗旬  高良健吾  臼田あさ美  山崎努 
  • 角川書店
3.77
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111242129

感想・レビュー・書評

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  • とにかく間がすごい、すごい。間で笑わせたり、間で考えさせたり、間でこころをどすっとさせたり。この間は日本独特のものだな。これだから邦画はやめられない。

    日々はただ淡々と続いていくし、でもその中におかしいことがあったり、ちょっとワクワクしたことが起こったりするから、やっぱり日常はやめられない。岸さんがとてもいとおしい存在。この映画の中での日常の代名詞。

    甘いものを断っている2人が甘味に食らいつくシーン。朝、靴下をはくときに、いつも聞こえてくる自分の心の中の声「黒はやめとけ」を無視するシーン。
    知らず知らずのうちに、自分ルールを決めてそれにとらわれて生きてしまっているけれど、そのルールをとびこえるということは自分自身をとびこえるということなんだな、と。それをとびこえたら、なんでもない日常がちょっと変わったり、ちょっとだけおもしろくなっていったりするのかな。

    この映画のために作ったとだけあって、主題歌の星野源の「フィルム」が流れたときは、すべてが丸くおさまった気がしました。

  • 小栗旬さんと役所広司さんが主演の映画です。
    木こりを営む頑固なおじさんは、仕事を辞めた息子ともすれ違いの日々を送っていた。そんな中、村で映画を撮影している消極的な監督と出会い・・・。監督は無事に映画を撮り終えることが出来るのか?という話です。

    とにかくすごいのは、会話の間が絶妙です。とてもリアルです。
    会話の間の間が映画ではなくて日常を垣間見ているのか?と錯覚させるほどに巧妙に取られています。
    思わず映画という事を忘れてしまうくらいです。

    小栗旬さんが演じられる自分に自信がない若監督、役所広司さんが演じるきこりもどこか憎めない人物に仕上がっており
    大切なものにまっすぐに向き合えない不器用な2人が
    互いの交流を通して大切なものに向き合って行きます。
    最初の出会いは最悪で、何事にも消極的な監督に木こりは怒りを覚えて目の前で直接文句を言うくらい第一印象が悪かった2人ですが
    映画の撮影という共通の目的に向かって一致団結していきます。

    この2人の共通点として
    ”甘いものを絶っている”というものがあります。
    木こりは医者から止められている(健康の為)
    監督は映画がうまくいく、というジンクスの為(この詳細は最後まで明かされませんでした)
    2人が思い切って甘味を食べるシーンは2人が大切ななにかにしっかり向き合えた証しだったのでしょうか、みていて頬が緩みました。
    最後の、木こりが撮影のクライマックスに駆けつけるシーンもとてもグッときます。
    2人の成長が感じ取れる最高のシーンです。

    その過程もユーモラスに描かれており鑑賞していて一緒に笑ったり落ち込んだりしていました。
    人を変えるのはや人との交流、そして交流を通して自分の心に湧きあがってくる、何か。
    それはとても大切な事なんだなあ、としみじみと感じさせてjくれる映画です。

  • 良い空気の映画です。
    ゆる過ぎずシビア過ぎない絶妙な塩梅。笑ったりしんみりしたり。

    役所広司さんが演じた林業に従事してる岸さんがとにかく魅力的でした。村の日常にいきなりゾンビ映画の撮影隊が入り込んできて、岸さんもなんとなく巻き込まれてるけどどんどんキラキラしていくの良かったです。自分がゾンビやってるシーン観てキラキラしてるのもいいし、仕事仲間たちに出演した話聞かれててたぶんどんなのか分かってないから話してる内容がふわふわしてても、仲間から凄ぇ!って言われたら嬉しそうだし。かわいい。
    後々、村の皆さんもエキストラ出演してて岸さんがちょい仕切ってる感じになってるけど押し付けがましく感じないのは岸さんの人望だな。

    映画監督役の小栗旬さんも映画の中でちゃんと役が成長してたの良かったです。岸さんに映画の内容訊かれて話しながら、「面白いですか?」ってきかずにはおれない自信ない感じから、最後には大声でカットもOKも出せるようになって。
    助監督の古舘さんの、あの年齢で助監督やってる人の悲哀もちゃんとあったし、ベテランカメラマン嶋田久作さんが面白くなってきた!みたいなテンションになるのも良かった。
    山崎努さんも良かった…大物俳優だけど痔、というコメディだけの人じゃなかった。。

    村の皆さんも楽しそうにゾンビ役演ってるしゾンビメイクのまま日常生活送っててシュール。それはりりィさんもびっくり。
    ゾンビ映画、良くわからない展開だな…って思ってたけどラストシーンがカオスでこの映画観たい!!ってなりました。

    映画撮影終わって、また日常に戻ったけど、前と同じ日常ではないし、あの1ヶ月も無いくらいかもしれない日々はずっと残るんだろうな。
    いいな〜キラキラしてたな。
    実家は九州の田舎なのですが映画の撮影はきたことあるのでちょっとこの感覚わかるところあります。この作品みたいにがっつり関わってなくても、身近で映画が撮影されてるのは非日常過ぎてなんだか嬉しかったもんな。人生で一度だけ、撮影してるので!って車の通行を止められた思い出です。

  • 2012年 日本 128分
    監督:沖田修一
    出演:役所広司/小栗旬/高良健吾/臼田あさ美/古舘寛治/平田満/高橋努/嶋田久作/伊武雅刀/山﨑努

    山奥の小さな村、木こりの岸克彦(役所広司)はいつものように仕事に精出していたが、そこに東京から映画の撮影隊がやってくる。身勝手にあれこれ注文をつけてくる撮影スタッフたちに当初は迷惑していた克彦だが、根が親切なためついロケハンの手伝いなどしてやってしまう。いつもうろうろしているだけで役に立っていなさそうな若いスタッフ(小栗旬)を叱ったりしているうちに、だんだん映画に興味を持ち始め…。

    使えない若いあんちゃんだと思って叱り飛ばしていた若者が、実は映画の監督・田辺幸一だと克彦は随分たってから気づく。まだ若い幸一は優柔不断で引っ込み思案な性格、ベテラン撮影スタッフ(古舘寛治、嶋田久作ら)や出演者たち(臼田あさ美、平田満)から完全に舐められており、撮影は思うように進まない。一度は東京へ逃げ戻ろうとするが、スタッフにバレて連れ戻されたり。しかし克彦の純粋な映画への好奇心に触れるうちに、初心と自信を少しずつ取り戻し始め、克彦の呼びかけで地元の村人の全面的協力を得ることもできて、スタッフたちも協力的に。撮影は軌道に乗り始め…。

    なんというか、ほのぼのコメディ。役所広司が、無骨な山の男、でもなんかお人よしでチャーミングなおじさんを魅力的に演じている。ちょい役で映画に出演したことを、木こり仲間(伊武雅刀、高橋努)に褒められて得意げな顔をしている場面などなんともいえず可愛い。

    小栗旬のほうは、低予算マイナー映画(和製ゾンビもの)ながら抜擢された新人監督、脚本も彼が書いたというから才能はあるようだけれど自信がない。序盤は引っ込み思案にもほどがあり、ちょっとイライラするけれど、最後にちゃんと大きい声が出せるようになるあたり、成長がわかりやすい。

    克彦には息子の浩一(高良健吾)がいるが、仕事を辞めて現在無職。克彦とは諍いが絶えない。克彦は息子のような年齢の監督・幸一と接するうちに、息子への態度も軟化していく。ベタな展開だけど悪人が出てこない安心感、ぼーっと見てほのぼのするのには良い感じ。

  • 超傑作、大作、という感想は持たないものの度々観たくなる作品。
    刺激的なドラマにあふれた展開などはなく、静かな人と人の交流と控えめなユーモアが温かい作品。
    食べる動作などの生活感のある動作のディテールにこだわりを感じる。
    特にそういった同じ動作を2人で行うシーンがすばらしい。派手さのない無言のシーンでありながら強い表現力。
    繰り返しも多い。3段オチのように繰り返して笑えるところもあり、また繰り返しの内容が変わることで関係性の変化や成長が出ていたりする。
    役所広司の風呂場でのゾンビが非常にかわいらしい。

  • 沖田修一監督

    役所広司の 芸の幅の広さにはおどろく。
    とぼけた感じで 人懐っこい。
    それで、リーダーシップもあり,
    相手の気持ちを察する。
    この男の存在で 新人監督の小栗旬は、
    徐々に 変化し始める。

    自分のつくった台本が 面白いのか
    どうかも,よくわからなくなっている中で、
    役所広司が ほめてくれることで 自信を持ち始める。

    台本の最後のページに 『自分』という大きな字が
    すべてを 暗示させる。

    大スターの山崎努にも、演技の注文をつけて、
    それが,山崎努にもほめられる。

    耳の後ろでささやく、言葉に 忠実に聞いていたが、
    やっと,自分で どの靴下をはくのかを決めることが
    できるようになった。自分に自信が湧いてきたのだ。

    監督の名前は 幸一。25歳。
    役所広司に 檜の監督椅子を贈ってもらう。
    監督は幸一。 役所広司の息子の名前が 浩一。
    つながりを持つ。
    浩一は 東京に出て行くが また舞い戻り
    父親と 美味しいそうに食事をする。
    このシーンが ほほえましい。
    多くを語る必要はないのだ。

  • 映画「関ヶ原」を観て、ドラマ「陸王」を観て、
    この映画を観ながら思った
    役所広司さんの演技がすきなんだな、と
    気負わずに観ることのできるこういう映画が大好き

  • いい映画!沖田修一のほのぼのとしたセンスむっちゃ好き!役所広司には笑ったなー!!でも全体的に間をゆったり取り過ぎたのか、後半に感情のピークがやってこない感じはある。山崎努のシーンは良いシーンだけど、なくても良かったような気もする。

  • 立って、転んで、また立って、と仕事仲間に話す役所広司の顔がすごく良かった。

  • 岐阜の山村を舞台に木こりの中年男と気弱な若手映画監督の物語。

    最近のMobageのCMでよく見かける古舘 寛治さんは助監督役で出演。
    他キャストを見ているとカメラマンは帝都物語の嶋田久作さん、木こり仲間には伊武雅刀さん、大物俳優役には山崎努さんと豪華な俳優陣。

    淡々と映画製作は進んでいくのだが...

    何かにコンプレックスを持っていたり、傷ついたり、挫折したり、やめようと思ったことがあると思うけど、もう一度真剣にやってみるんだ!って思わせてくれる作品です。

    そしてたくさんの人が協力することでひとつの素晴らしい作品が完成する。

    『ゾンビは走れません!』

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