マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 コレクターズ・エディション [DVD]

監督 : フィリダ・ロイド 
出演 : メリル・ストリープ  ジム・ブロードベント  アレキサンドラ・ローチ  ハリー・ロイド  オリヴィア・コールマン 
  • Happinet(SB)(D)
3.41
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953042650

感想・レビュー・書評

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  •  鉄の女サッチャーの人生を振り返る。

     サッチャーというのは新自由主義が台頭している現在から見ると非常に賛否両論が分かれる人物で、賛美するだけでも否定的に描きすぎても何か違う感じになってしまう。認知症になった現在を振り返る形というのはなかなかうまいつくり。まぁ、だからといってこの映画が面白いかというとちょっと微妙な気もするが。。。
     サッチャーが新自由主義的な思想を持つに至った過程が一番興味があるのだが、この映画を見る限りだと自分は女性という逆境を乗り越えて首相になったから人は皆頑張れるはずだという佐野眞一の橋本市長評に近いものを感じた。

     メリル・ストリープがどう見てもメリル・ストリープに見えないのはすごい。

  • M・ストリープのなりきった演技、まさにこれに尽きる。

  • マーガレット・サッチャーの首相になるまでの過去と、認知症がで始めた引退後。描く。
    決して妥協しない、固い意志を持つ強い女性のようだが、その反面だれよりも孤独で夫であるデニスに頼りきっていたのだなあと。
    メリルストリープの熱演見応えあり。

  • 英国首相サッチャーの半生の物語。
    認知症の症状が出始めた現代と、政治家を志し、
    一国の宰相に登りつめるまでの過去とを交錯させながら描く。

    英国民の可能性への眼差しと、人類愛の深淵に対する深い確信、
    そして決して短期的な大衆迎合へ走らず未来を見据えた政治観が
    「鉄の女」との異名に相応しい厳しく強硬な姿勢を生む。

    そして、それ故の、圧倒的孤独。

    フォークランド紛争をはじめ、労働問題や財政問題等、
    人命や数多の人の生活に係る意思決定をひとりの責任で負うことの
    辛酸たるや想像を絶する。

    公人と私人であることを完全に分けることなんて出来るわけがない。
    開戦を決定したサッチャー首相は、
    自宅のリビングで紅茶を飲みながら悩み続けるような日常。
    彼女自身が選んだこととはいえ、
    唯一無二の立場にある彼女の苦悩を理解できるべくもないが、
    それを救うのは、理解ではなく、彼女の存在そのものの肯定。

    彼女自身がただそこに居るだけで全て肯定し、
    承認し続けてくれた最愛の伴侶デニスを亡くすことで、
    彼の幻覚が見え出し、認知症へ至る。
    その道程がかえって政治家時代の彼女の孤独とデニスとの愛情を物語る。

    前評判通り、メリル・ストリープの怪演が凄まじい。
    孤独と愛と信念と老いと政がない交ぜとなった、
    恐ろしく複雑な心性を、サッチャー元首相が憑依したかのような、
    驚異的な演技力で魅せる。

    アメリカ賛辞の作品が居並ぶ中、英国をテーマとした作品で
    アカデミー賞受賞の快挙も頷けるところ。

    それにしても、政治の敵はポピュリズム。
    更に言えば、ポピュリズムに走る原因は皮肉にも有権者。
    100年先の国をデザインして、今、血を流せる決断ができるか、
    孤独でない政治家は政治家ではないのかもしれない。

  • 自分の信念を曲げずに、自分が正しいと信じ続け、他人に耳を傾けず、現状に目を向けるべきだと進言する閣僚に対して臆病者だとサッチャーは罵る。破綻しているのにそれでも突き進んでいく。
    それが痛々しかった。

    どこで間違えたんだろう。コロコロ意見を変えるのは良くないけれども、理屈では合っていても現実では予想を超える痛みが生じていて国民はNOを訴えているのにそれには対処せずに、理屈を押し通すのも良くないと思う。

    また、戦争で勝つと、今までバッシングしてきた国民は手のひらを返したかのようにサッチャーを持ち上げる。自分たちがNOを突きつけていた、その現状は変わっていないのに、国民意識を刺激されるとそんな簡単にコロっと態度が変わる国民。それが自分のことのように思えて恥ずかしかった。

  • プライムミニスターを退いた老サッチャーの回顧から始まる、グローサー出身の一人の母親としての女性、また英国のみならず、世界を大きく変えた政治家としての二つの側面がみごとに描きだされている。
    多くの人々のために力強く動く「公」であったが、一人の女性として、「私」の一体何を失っていったのか・・・とても考えさせられた。一体何が人生にとって本当に大切なのか。
    これは、政治の話だけでなく、私たちの仕事と家庭の関係などにも言えることだったりするのではないかと思ったり。

  • スーツケースにまとめて、出て行くシーン。
    行かないで欲しいと頼むけれど、以前投げつけた言葉を返される。

    幸せになって欲しい気持ちも
    公共の福祉の為に働きたい気持ちも
    本当なのに、上手く両立できなかった。
    切なくなる。

    昔の映像を見返すシーンで、巻き戻しても時間は戻らない、と言われた。
    もし、時が戻るなら、どこまで戻したいのかな。

  • 伝記ものは、マルコムXとか、ホッファとか、割と好きなんだけど、もうこの手のものには飽きてしまったのか、なんだか現代と過去の行き来がめまぐるしくて、すんなりと感情移入もできず、何度か途中で見るのをやめようかと思ったくらい...。

  • メリル・ストリープが二度目のオスカー主演女優賞に輝いた作品。メイクの腕もさることながら、比較的体格の良い彼女が本当に年老いて小さくなったように見える上に、認知症による覚束ない雰囲気を醸し出す演技が素晴らしい。これは確かに受賞に値する。
    タイトルのとおり、「鉄の女」の異名をとるイギリス元首相マーガレット・サッチャーの半生をナラタージュの体裁で描いた内容。市長も務めた父を尊敬していたこと、食料品雑貨店の娘としてのものの考え方が根底にあること、男社会であった政治の世界に唯一の女性として飛び込み、断固たる姿勢で自分の意志を貫いて闘ってきたこと、首相として、数々の苦渋の決断を下すたびに周囲の批判や中傷を受けつつも夫デニスの支えを受けながら乗り越えてきたこと。晩年のサッチャーがこれらを回想していくことでストーリーが展開していく。ただ、会議の場でサッチャーが自分の意見を曲げず、ややもすると独断気味になってしまうことで、周囲との温度差が広がっていく様は描かれているのだが、首相就任に至るまでと就任後にも色々苦労はあっただろうに、そのあたりの描写が無かったのは残念。(そのおかげで、サッチャー首相の経歴をあまり知らなくても見ることはできるんですが。)
    物語は老女が食料品雑貨店でミルクを買うシーンから始まる。ダイニングで老夫婦が向かい合って朝食を取る姿が次に描かれ、この老女がサッチャーで、夫デニスはサッチャーにしか姿が見えない故人であることが分かる。少し話が進むと、亡くなって数年経つ夫の遺品をサッチャーが未だ整理できずにいることが判明してくる。ラストで、遺品とともにデニスの思い出を夢中になって片づけ始め、デニスの幻想との別れを告げる。
    この作品、政界で活躍していた姿を描く回想世界と、夫の幻想と会話するプライベートな姿を描く現実世界が、終始入れ替わりながら話が進む。どちらかに重きを置くわけではない。賛否両論ありながらも政治の世界で様々な功績を残した彼女も、未だ愛する夫の死を受け入れられない人間味のある彼女も、どちらも一人の「マーガレット・サッチャー」という人間なのだ。

  • メリル•ストリープの演技の真髄ここにあり!って感じの、もう途中からマーガレット•サッチャーにしか見えないよね。

    強い女も実は弱いし、強くても支えは必要だし、支えがあるからこそ強くいれるんだよなぁ、と。
    デニスの存在がなければ、もっと早く心は折れていたのかもなぁ、と。

    やっぱ愛だな、愛。

    愛あってこそ、妻でいられて母でいられて女でいられるのだ!

    愛を探そう。

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