セイジ -陸の魚- DVD

監督 : 伊勢谷友介 
出演 : 西島秀俊  森山未來  裕木奈江  新井浩文  渋川清彦  滝藤賢一  二階堂智  津川雅彦 
  • ポニーキャニオン (2012年8月14日発売)
3.13
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本棚登録 : 413
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013168367

感想・レビュー・書評

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  • 2012年 日本 108分
    監督:伊勢谷友介
    原作:辻内智貴『セイジ』
    出演:西島秀俊/森山未來/裕木奈江/新井浩文/渋川清彦/滝藤賢一/津川雅彦/二階堂智

    1990年、就職の決まった大学四年生の僕(森山未來)は、最後の夏休みに自転車で一人旅に出る。しかしある日、山道でブレーキが効かなくなりカズオ(新井浩文)の車と衝突してしまう。カズオは僕をドライブイン「HOUSE475」という店に連れていき、そこにいた翔子(裕木奈江)が手当をしてくれる。翔子はこの店のオーナーで、店はやとわれ店長のセイジ(西島秀俊)が切り盛りしている。僕は成り行きでその店に留まることになり…。

    前半は、自分探し系の青春ストーリー風の出だし。店に集ってくるカズオと地元の仲間たち、バンドを諦めて就職を決めたタツヤ(渋川清彦)や、翔子に想いを寄せているマコト(滝藤賢一)ら。カズオは実家の酒屋を継ぐつもりでいるが、覚悟ができていないのか、チンピラのように喧嘩などしている。僕は要領よく就職を決めたが特にやりたいことがあるわけでもない。翔子は夫と離婚して手切れ金代わりにこの店をもらったが、夫側に引き取られたと思しき子供に会えず飲んだくれたり。モラトリアムな人々の群像劇風。

    そしてタイトルになっているワケアリのセイジ。無口で無愛想で、何を考えているかよくわからないが、たまに言う言葉に含蓄があり、僕はセイジに興味を持つ。西島秀俊は大変かっこいいのだけど、正直、終盤の急展開以前に、もっとこのセイジという人間の内面や人間性を掘り下げておかないと、最後の行動がただの頭おかしいひとにしかならない。残念ながらこの映画では、セイジという人間の魅力を描き切れていなかったと思った。エピソードらしいエピソードは、動物愛護団体の偽善的な職員(奥貫薫・宮川一朗太)をやりこめる場面だけだ。彼の人間観を現すエピソードではあるが、終盤の行動との整合性はない。

    風景は美しく、昆虫の映像なども良かったけど、それ以外は映画として微妙。まず序盤、僕がセイジの店にやってくるまでのエピソードを、なぜ2回繰り返したのか。僕視点とセイジ&翔子視点?思わせぶりに分けて表現するほどのエピソードではなく、はっとする仕掛けがあるわけでもない。ただ単に、僕が来る前に翔子とセイジは寝てましたというだけ。単なる作り手の自己満足。

    そもそも冒頭で、20年後の僕(二階堂智)の回想として物語がスタートしているのに、僕の知らないエピソードを変な形で組み込む時点で構成が破綻している。僕はまるで超能力者のように、セイジが初めてこの店に来たときの情景を幻視したり(サイコメトラーかよ)セイジの撮影したフィルムの中に入り込んだりする。原作があるので、どこまで映画オリジナル表現なのかはわからないが、こういう余分な実験的表現は本当に必要だったのだろうか?とにかく斬新な手法を試してみたいというだけの学生映画のようだ。

    店の常連客であるゲン爺(津川雅彦)と幼い孫のりつ子(庵原涼香)も、きちんと紹介されないうちに、なぜかセイジがりつ子と楽しそうに遊んでいる映像が差しこまれたりして、最初はセイジの子供なのかと思ったほど。そしてオーナー翔子と、店主セイジが、一体どこに住んでるのかよくわからなかったり。セイジ自身については、翔子が彼のことをまるで生きるのを諦めた世捨て人であるかのように説明する(ここで「陸の魚」という言葉が使われるが、なんだか意味が合ってない気がした)のと、セイジが突然自分語りを僕にするだけ。

    そしてなぜか唐突に、無差別連続殺人犯が近所に出没しているという話が差しこまれ、さらに唐突に、ゲン爺とりつ子の家族が襲われ両親は惨殺され、りつ子は命を取り留めるも左腕を失い、魂の抜けた人形のようになってしまう。こんな大事件が起こっているのに、りつ子は入院もせず自宅にいるし、2~3日しかたっていないかのようにずっと夏。連続殺人犯の動機もその後も一切わからず、都合よく現れ都合よく消える。これも原作があるからわからないけど、じゃあ序盤で意味深にセイジが血まみれ(車に轢かれた動物を処理してたぽいけど)で現れたりするのも無駄なミスリードにすぎない。

    映画のキモは、この心神喪失状態の幼いりつ子を、正気に戻すためにセイジがどうするか、という場面になるのだけど、ここまでで、セイジの人間性がちゃんと描かれていないので、先にも書いたようにただの頭のおかしい人にしかなっていない。ネタバレだけど、セイジはりつ子の目の前で、自分の左腕を斧で斬り落とす。ぶっちゃけ、こんなことされたら余計にトラウマ倍増するだけだと思うんだけど。これが無償の自己犠牲と讃えるべき行為とは、私にはどうしても思えなかった。

    セイジは両親から虐待を受けており、幼い妹を守るために両親を殺して少年院に入っていた過去がある。しかしそうまでして守った妹は、彼が入所している間に亡くなってしまった。彼がりつ子に妹の面影を重ねあわせ、今度こそ助けたいという悲壮な覚悟を持った、ということまでは理解できるが、それがあの行動では…。過激ならなんでもよいというわけではないでしょう。結局この映画にはそこにいたるまでの説得力がないのが問題。

    20年後、僕はそれきり疎遠になっていたHOUSE475を再び訪れ、大人になったりつ子と再会する。セイジらがその後どうなったかはわからないが、りつ子は救われた、というオチ。もやもや。キャストはなかなか豪華だし演技も良かったけれど、監督:伊勢谷友介のセンスは正直ちょっと微妙だと思った。バンド仲間役で出演しているRAT(http://rat-web.jp/)のメンバーと、劇中歌(「My Friend」https://www.youtube.com/watch?v=AucIzEbs06Y)はなかなか良かった。

  • 美しい風景と素敵な映画俳優たち、どこか意味を持たせた沈黙、こういった雰囲気の映画が好みなら楽しめる。
    同じシーンを別角度から再度流したり、回想のシーンで突如モノトーンの画面になったりといった工夫も楽しめた。
    初めて見たときは意味が繋がらなかったり、声が小さすぎて聞き取れなかったりしたが、見直してようやく分かるシーンもあった。緻密に計算されて作られた分かりやすく出来の良い映画もいいけど、こういったどこかスキのある映画もいいなあとふと思った。分かりやすい娯楽としてではなく、分かりにくい芸術にも少しずつ挑戦していきたいと思わせてくれた作品。

  • 〜2015

  • こういう役をやる時のにしじまがただただ好きです

  • 夏休みに自転車ひとり旅。
    そこで出会った人々。
    そしてしばらく生活することに。
    わけありな人が気になる。
    セイジの影がありそうな雰囲気にのまれそう。
    斧を手にしたとき……やはりそう来るのかだった。
    そこまでしても、どうにかしてあげたかったんだよね。

  • 夜中に観たらめっちゃ怖かった

  • 監督同様、僕も原作の小説が好きだから観てみましたけれどもまあ…及第点といったところでしょうか…。 ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    前半はすげえ退屈でして…まあ、原作の小説からして静かな雰囲気ですから仕方がないんですけれども、いざこうして映像にされるとやはり…退屈さは免れず思わず眠りそうになりましたけれども、物語が緊迫感を帯びてきてからは割りと観れましたね。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    セイジ役が西島氏ってことで多少違和感があったんですけれども…なぜなら素の西島氏はどことなくすっとぼけた感じがあってセイジ役には適さない…と勝手に思っていたんですけれどもまあ…終わりよければすべて良し、でしょうか…そこまで違和感感じずに最後まで観れましたね…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、でも何となくチグハグな感じは否めませんねぇ…特にラストら辺とか…ここは原作の小説でも違和感を抱いたところであって映像にするとまあ…なんか間の抜けた感じになっちゃいましたけれども、全体的には割りと良かったですよ!! ということでさようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • ぼけっと観てたら、まんまとミスリードに誘われててじくじくと追い詰められる気分だったけれどラストにほっとした。

    これは紛れもない救いの物語。

  • 森山未來がみたくて。
    20代前半の孤独感みたいのをすごく感じた。

    セイジさんの脈絡の無さが若干不気味。
    途中で寝そうになってしまったけど
    ラストの例のシーンが綺麗でした。(森山未來が駆け寄るところが特に)

  • 全体的に設定や演出の中途半端さが気になる。
    監督名を見ればさもありなん。
    役者が名監督になれるとは限らない。

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