新潮 2012年 08月号 [雑誌]

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  • 舞城王太郎『美味しいシャワーヘッド』

  • 今年もA賞ノミネートの舞城作品を再読し、感想を書き留めておく。

    まずは、タイトルと書き出し。
    「シャワーヘッドを胃袋まで飲み込んだ状態で風呂場に倒れてるところを見つかって初めて、単なるお湯の出口に過ぎないそれが性的なメタファーとなりうることを知る。」 ムムムッ。なんじゃこりゃ。

     タイムログの話とか、場を共有するリアルな関係とソーシャルネットワークの「距離の差」とか、「今・この時代」に関するテーマが意識的に取り入れられている。

     人は自分の矮小さからは逃れられないという「諦念」が、「別に、どっちでもいい」という、何事につけ強気になれない僕を形作っていて、そんな僕が衝動的に彼女に会いに300kmをタクシーで移動してみるけど、その衝動は300キロの道のりで費えてしまう。でも、「内側からじゃ判らないものが絶対見えるから」それでいいのだと、認める。

    「僕は元いた小さな場所に戻らなくてはならない。でも、それはゆっくりでいい。」
    僕がそうして得た境地は、特別な友人(毛利樽歩)の結婚式でさらに一歩進む。
     「判らないことにしてしまう」という、僕が構造的に抱える気持ちの仕組みに関しては、自分はもう判っていて、それを認めなくてはならない時期に来ているのだ、と自問自答する。

     思い出や記憶、は言葉を通じて語られる。しかし、僕たちは心を頼りに言葉を動かすから、すべてを言い尽くすことはできない。言葉では掬い取れない細やかないろいろは、すべて自分の中にあると「心を抜きにして」信じよう。
     今まで「判らない」ということにしてきた「大事なこと」を見失わないように、適当な態度じゃなくて「気を付ける=気を張って相手に、対象に寄り添う」のだという決意。
     
     最近の舞城作品には、衝動的な情熱ではない、俯瞰的な諦念でもない、人間のスタンスがポジティブに描かれている。そして、その底流するテーマが、たぶん僕には心地よい読後感を与えてくれるのだと思う。

  • 芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」舞城王太郎著読了。いろんなエピソードを並べているが、狙ってる感のラストはどうなんだろか。面白かったけど。

  • 芥川賞候補、舞城王太郎『美味しいシャワーヘッド』のみ。最後の数ページがとても良い。言葉のリズムが急に変わる。いくつかのエピソードに分けられていて、踏切のところが個人的には好きなんだけど、「サンキューです!」ってセリフが雰囲気をぶち壊しにするさすが舞城さん笑。



  • 舞城王太郎「おいしいシャワーベッド」
    文学してる舞城は好きだけど今回はあまり入り込めなかったな。
    散漫してしまっている気がした。

  • やっぱり舞城!

  • 最果タヒ「最終回」

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