SHAME -シェイム- スペシャル・エディション [DVD]

監督 : スティーヴ・マックイーン 
出演 : マイケル・ファスベンダー  キャリー・マリガン  ジェームズ・バッジ・デール  ルーシー・ウォルターズ  ニコール・ビヘイリー 
  • Happinet(SB)(D)
3.26
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  • (38)
  • (10)
本棚登録 : 496
感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953042698

感想・レビュー・書評

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  • 一見して完璧でハイソサエティな生活を送っている男の抱える性依存症の側面を描いたヒューマンドラマ。

    素晴らしかった。極限まで無駄をそぎ落としたシンプルで硬質な画面の迫力。一辺の無駄なカットもなく完成されている、という印象。

    過去に起こった何らかの要因によって損なわれた心がその人を蝕み、本人の意思とはほとんど無関係に発生した脅迫的な飢餓感が歪んだ行動に走らせてしまうという構図を観察するような淡々とした視点で捉えている。

    日本でのキャッチコピーは「男が隠したい恥(シェイム)とは?」というもので、これだとさも最後になにか凄い事実がわかるんだろうという感じがするが、結局兄妹が抱え込んでいる「何か」は最後まで描かれない。ひどいミスリードでキャッチコピーとしては最低だが、映画としてはこの「何か」を描かない構成にしたのは英断だったと感じる。重要なのは「何が起こったか」ではなく「何らかの要因が人をどのように歪ませるのか」であり、ありきたりなお涙頂戴を回避して原因をブラックボックスに格納してしまうことでかえって主人公の歪みや苦しみが強調され、観客は主人公と自分を重ね合わせやすくなっていると感じた。

    ファスベンダーの力演は凄まじく、本当にいい役者さんだと思った。印象的ないくつかの長回しや、セリフ無しに心象を写す映像表現なども素晴らしかった。

    この兄妹が救われることを祈らずにおれない気持ちが最高潮に達したところで唐突に幕を閉じるラストシーンの絶妙なさじ加減が見事。

  • 数ヶ月前に劇場で観ました。監督がかの有名な俳優と同じ!という衝撃、セックス依存症!そんな病気があるのか!というテーマの衝撃!そんな成人指定受けた映画でありながらも マイケル・ファスベンダー、 キャリー・マリガンといった今注目されている俳優たちが本気の体当たり演技を見せてくれるという衝撃!どの点からとっても衝撃が沢山でこれは一見の価値かと思い頑張って(?)スクリーンで鑑賞しましたが正解でした。映画祭で高評価を受けた信頼を揺るがせない力作です。

    そんなテーマであるからとにかく何回出てくるか忘れるくらいセックスシーンはあるのだけど一遍も色気が無く殺伐とした無機質感しかないってのがスゴイ。タバコでも吸ってるシーンなのかという程にアッサリとナチュラル。それがまた本作をすんなり受け入れられ鵜大きな要因であるのは間違いない。
    舞台がNYだから忘れがちだけど制作はハリウッド(米国)ではないみたい。やっぱりハリウッドでは未だに絶対踏み込めない領域なんだね。

    テーマが衝撃なのでつい論点がそっちへ向かうのかもしれないが本作は何が良いかってとにかく画面が美しい。本作を象徴するかのようなブルートーン、キャリー・マリガン演じる妹のキャシーの纏うイメージカラーとのコントラスト、シンプルで無機質ながら鮮麗されていて本作のもつ異常感を透明感迄感じる事が出来る独特の色彩と光の感覚が美しい画面で見事に相殺してみせてくれている。
    まさに映像のマジック。それを垣間みる事が出来ます。

    私が印象的なのは彼ら兄弟を優しく包み込むかのようなネオンがキラキラきらめく夜のNYの街。
    ワンカット撮影の横スクロールによる撮影でファスベンダーが夜の街を走り抜けるシーンがとても印象的。
    OPも最後の締めもスタイリッシュにきまっていて好感を持てた。

    スティーブ・マックイーン監督。かの有名な俳優と名前負けしない(笑)素晴らしい監督だと思います。今後の彼の作品も非常に楽しみですね。^^

  • 心をぎゅっと締め付ける、どうしようもなく孤独な映画だった。
    音楽も撮り方も全体的に寂しい雰囲気が漂っており、余計に心に浸透するのかもしれない。
    マイケル・ファスベンダーの泣きそうな(あるいは泣いてる)顔が悲し過ぎて辛い。
    映画であんなに辛そうなセックスシーンは観たことが無い。

    ブランドンとシシーがぶつかり合うシーンが痛い。
    しかし、孤独を深めあってしまう2人に共感してしまう部分もあれば、圧倒もされる。
    ブランドンはシシーのことをどう想っていたのか?
    妹として見ていたのか、それとも…?
    シシーを見つめる時のブランドンの瞳が印象的。この2人の関係性については永遠の議題にしたい。

    好きなシーンはシシーの歌を生で聴いてブランドンが涙を零すシーン。

  • とにかく静かな映画。
    音楽もセリフも説明も最小限。
    アクションや展開が早い映画が好きな人だと退屈するかも。

    「主人公の男は本当に隠したい恥を持っている」と予告編で匂わせているが、結局主人公の過去やセックス依存になったきっかけは明かされない。
    キャリー・マリガン(超かわいい)演じる妹と肉体関係があったのか、何か事件があったのか、どんな事件だったのかわからない。
    けれどもやもやすることはない。
    観た人によって解釈が異なるタイプ、でもこちらに丸投げされている感じはしない。

    恐らくブランドンは他人と関係を築けないことをコンプレックスに感じている。
    上司と部下といった立場を優先させる付き合いや、その場限りの関係は得意だが、これから先長い間一緒にいたい、あるいは一緒にいた相手との接し方がわからない。
    そうした相手と接することに恐怖すら感じているのではないだろうか。
    電話に背を向けポルノ動画に没頭するあのシーンが、ブランドンの恐怖心を象徴しているように見えた。

  • セックス依存症の兄と、恋愛依存症にして自傷癖のある妹。
    なんとか均衡を保っていた兄のところに妹がねぐらを求めてきたことによる、歪み。

    というあらすじではある。
    しかし上記のようなある種のわかりやすさからこぼれるところ、作中ではほのめかされているところにこそ、この映画の魅力がある。
    つまりは底なし。

    兄と妹のなんともいえないつながり。
    近親相姦というフレーズを出してしまってもこの場合まちがいではないだろう。
    依存も自傷も、愛に、孤独に、絶望に「行き詰ってしまった」ということの表現でしかない。

    ほか。
    ・キャリー・マリガンのコケットな下品さ。狆ころ姉ちゃん。マシュマロみたいなフォルム。「可憐さ」に惹かれていただけに、驚き。その歌も。
    ・出自や両親の隠蔽。「わたしたちは悪い人間じゃない。いた場所が悪かったのよ」
    ・長回し。会話劇。
    ・色彩。
    ・ピアノ曲。
    ・HDを、オナニーを、見られる恐怖。というよりも、彼くらいのエロパワーは誰でも持っているのでは?

  • どうしようもなく弱くて、似てるから一緒にいたくないんだろう

  • 何を書いてもネタばれになるのでなかなかレビューがむずかしいのだが、マイケル・ファスベンダー演じる主役が何をSHAME(恥)と感じているのかということについては文化の差が大いに関係している。やはり、この主人公の場合はアイルランド移民であるというのが話に説得力を増しているわけでありますが、このテーマ、日本だとそれほどシェイムにならなかったりするので厄介ですね。

  • Huluにて鑑賞。
    スティーブ・マックィーン監督作品。

    セックス依存症の主人公・ブランドン。
    でも、情愛のある相手は抱けない、、、つらい、つらすぎる。
    困ったことにブランドンは、色男でお金もある。
    ひたすら行きずりのセックスにのめりこむ。
    結婚については「無意味だと」悟っている。

    彼の深い悲しみは、妹の自殺を食い止めた後も、行き場がない。
    幼い頃、妹とつくってしまった罪は、癒えぬまま。

    「私たちは悪くない、居場所が悪かっただけ」

  • キャリーマリガンが歌うニューヨークニューヨークが最高

  • 人と深く付き合うことができないけど、ありのままの自分を誰かにさらけ出したい。この欲求を生んだ原因は過去にあるはずが、それは劇中で語られない。この兄妹が過去に背負ったものは一生癒されず、苦痛を燃やしながらその度に折り合いをつけてまた温め続けるしかないと思ったら生き地獄。
    日常を切り取った起承転結の無いシンプルな風景が、その裏にあるものを想像させる。この作品の性描写はどちらかというと排泄描写に近くて虚しさが残る。

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