裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]

監督 : トーマス・アルフレッドソン 
出演 : ゲイリー・オールドマン  コリン・ファース  トム・ハーディ  ジョン・ハート  トビ―・ジョーンズ 
  • Happinet(SB)(D)
3.65
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本棚登録 : 652
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953042728

感想・レビュー・書評

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  • あんなに尖っていたゲーリー・オールドマンがこんなに円熟した演技をみせてくれるなんて!
    渋さ満開のキャストと言い、沈黙と仕草で展開される演技バトルと言い、ついでに、常に曇っているロンドンの風景と言い、必要としていたものが全て揃った映画でした。久しぶりにイギリス英語も堪能しました。
    原作も素晴らしいらしいので、是非読んでみたいです。
    2時間くらいの映画ですが、ゆっくりと確実に、そして慎重に集中力を失わないプロットで、役者陣の演技も良かったです。
    ベネディクト・カンバーバッチが美味しい役だったのも嬉しい。ただ彼は、ブロンドよりもブルネットの方が瞳の色がきれいに見えて、セクシーですね。いつも小綺麗にしているコリン・ファースのうっすら生えた髭もよろしかったです。

  • ★★★★

    高田馬場にある早稲田松竹で『007 スカイフォール』との二本立てを観てきた。

    ロードショーでも観たんだけど、そのときは面白いと思った半面、理解できていない部分もあってもう一度観たいと思っていたのが今回ようやく機会にありついた。

    二度目でもやっぱりわかりづらい感じはある。

    原因は、『007』と違って現実のリアリティーラインに近いスパイものなので話が込み入ってるのがひとつ。

    もうひとつは、(おそらく監督の意向なんだろうけど)ミステリーとして観客に謎解きを楽しんでもらおうというより、冷戦下に国家同士が舞台裏で鍔迫り合いをしていた、その時代の空気感を味わってもらうことを優先しているからだと思う。

    おかげさまで存分に堪能しましたよ。

    映画を見終わってから、どうにかしてこの映画をもっとよく理解するための補助線はなかろうかと考えてふとあるセリフを思い出した。

    「警察もヤクザも同じ穴のムジナじゃけん」

    これは深作欣二監督の『県警対組織暴力』における松方弘樹のセリフなんだけど、警察もMI6も国家権力という意味では一緒だから、この映画もヤクザ映画として見ればすごくわかりやすいじゃないかというわけだ。

    実際に当てはめてみるとヤクザ映画の図式が面白いように当てはまる。

    コントロール。彼はもちろん組長だ。

    彼は大きな失敗をやらかして組長の座を追われ、女房役だったスマイリーも一緒に引退する。

    が、その後彼が殺される。

    コントロールは組の中に裏切り者がいると言っていて、他の組員はその意見を支持しなかったけど、どうやら彼の意見の方が正しかったらしいということがわかり、今は部外者であり内部事情に詳しいスマイリーがその真相解明に駆り出される。

    この段階ではスマイリーは自分は跡目争いには関係なくてただ夫であるコントロールの復讐のために立ち上がるんだけど、真相を探る中でコントロールが裏切り者候補として自分のこともリストアップしていたことを知る。

    ここで彼は女房からただの部下になり、それは同時に自分が跡目争いの一員であったことを彼に自覚させる。

    ここからスマイリーは将来組長になることに対して自覚的になる。

    どこからそれがわかるかというと、決して自分で危ないことはしないということだ。

    危ないことは(ドラマ『シャーロック』でお馴染みの)ベネディクト・カンバーバッチ演じるピーターやトム・ハーディ演じるリッキーにやらせる。

    自分がもはやトカゲの尻尾ではなく、トカゲ本体だとわかっているからだ。

    部下たちの活躍もあって裏切り者を見つけだしたスマイリーは、大親分であるところの大臣の覚えもよろしく、めでたく組長の座につき、物語はめでたしめでたしとなる。

    思想家の萱野稔人の著書に『カネと暴力の系譜学』というのがあり、国家とヤクザがいかに似ているかということが書かれている。

    規模や性質の異なる組織であっても結局は身の周りの小さな人間関係で動いているという点は大差ないのだ。

    それは社会体制の違う国でも同じ事で、スマイリーがソ連の情報組織を束ねるカーラに対して、ある種のシンパシーを感じているように見えるのもそのへんに根っこがあるのだろう。

    仁義なき戦い、が行われているように見えても、結局裏切り者は損を見るのだ。

  • 1974年の小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」が原作、ドラマ化もされているスパイサスペンス。

    “1960年代のロンドン。ある作戦の失敗でイギリスの諜報機関“サーカス”を引責辞職したジョージ・スマイリーに、ある日特命が下される。それは、いまもサーカスに在籍する4人の最高幹部の中にいる裏切り者(モグラ)を探し出せというものだった・・・”

    まずこの作品は初見ではなんのこっちゃ良く分からない点が凄く多く、観る人によってはストーリーについていくことすら困難かもしれない。というのも原作小説がヒットしていて、ドラマ版も人気だったという背景があり、ある程度の内容を知っている人向けの作りだからだ。

    説明めいた演出や台詞は一切無く、ただただテンポよく物語は進んでいく。回想シーンなど、随所に差し込んでいるが説明的な字幕もないために観てる側からするとこれがいつの話で、今とどう繋がってるのかが掴みにくい。そして登場人物も多く、それぞれが通常の名前と“暗号名”という諜報活動用の名前もあるため(他にも偽名がある役も)に人物背景も捉えにくい。

    気づいたら真相が判明し、気づいたら終わってしまった。初見の感想はこんな感じ。不親切だな~と思ったのが正直なところだが、消化不良な点を埋めるためにネットで考察を読むといろんなことに気づかされてハッとした。必要のないシーンに感じたところも、意味の分からなかった台詞も全てに意味があった。

    そして二度目の観賞。真相を知った上で再度観直すと如何にこの作品が“無駄の少ない映画”かが良く分かる。嘘に嘘を重ねる中に見え隠れする“モグラ”の真意や東西冷戦下という難しい時代だからこその言い回し、そして┌(┌^o^)┐ホモォ......。

    狂ってないゲイリー・オールドマンを中心に本当に渋すぎるキャストだったけど、適材適所で素晴らしい配役だったし、時代設定の作り込みも凄く良かった。二回観賞すること前提とは言わないが、内容を知った上で観てこそ、この作品の本当の魅力が見えると思います。

  •  『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の映画版。知的で、残酷で、抑制されていて、ロマンティックで、この上なく見事な作品です。
     情報量が多いのでぼーっと観るにはあまり向きませんが、まずはこの冷たさと郷愁を感じるだけでもいいと思います。あとはキャストが実に豪華なので、イギリス映画が好きなら見ておいて損はありません。

  • ラスト…ラ ス ト !!
    結末に関しては印象の色合いさえネタばれしたくないので、言えるのはこれだけ。
    見て。

  • 難しい!
    見る前に何回もあらすじとか相関図見て挑んだけど、途中から曖昧な理解で進んでいき最後はどーんと終わった。
    ラストのラメールの明るい感じと、オチの映像のギャップ?が切ない〜

    パーティーでプリドーとヘイドンの目が合って、ヘイドンが先に逸らすとこがこの映画を象徴してるなって思った。もう一度観たい!

  • 一度観ただけでは意味が分からず、あらすじやらを色々調べて2回観ました。

    スパイ映画だけれどアクションシーンはほとんど無く、ゲイリーが渋く淡々と謎を解いていく。
    最初に観たときはついつい眠くなってぽーっとしてしまって、後から調べてるときに「えっ、こんなシーンあったっけ?」と戸惑いましたが、見返したらきちんと描かれていてびっくり。これは原作が好きで読み込んでいるひとからすればニヤニヤが止まらない映画なんだろうなぁ。

    ゲイリーの有無を言わせない存在感と、穏やかで優しい顔、妻との関係に思い悩む情けない背中、そして時々滲ませる残忍な一面がもうたまらない。最後の「スパイ」を知ったうえでさらにもう一度観かえしたくなる。

  • 予約。早く来い来い。
    来た。観た。
    初見の映画館で意味の分からなかったシーン、原作読んだことで今回はだいたい理解できたかな。でも別にそのシーンが意味することを取りこぼさないように見る必要は感じないのだ。豪華な俳優陣にうっとりしながら観てるだけだからな。

    カットされたシーンのうち、スマイリーがエプロンつけて目玉焼き作ってそれだけをいただく長回し、いいですね。映画に挿入されていたら車から蜂を逃すシーンと並んで妙に笑いを誘うものとなったでしょう。けけけけけ。

  • 大傑作。

    ひとつの場面・ひとつのセリフも見逃せない・聞き逃せない映画であり、それらを支える画の美しさ、俳優さんの演技力も素晴らしいです。

    そのぶん視聴者に負担をかける作品ではありますが、それだけの価値はあります。

    説明が不足しているのではなく、必要最小限かつ映像で読み解く形で説明が与えられることが多いのではと感じました(セリフによる説明も無駄が一切ないので、そこも取っ付きにくいところかもしれませんね)。

    人によっての映画に求めるものの違いはあるでしょうが、ハマる方はハマる作品でしょう。

    原作へのリスペクトが非常に感じられて、「単体の映画」としても傑作ですが「原作付きの映画」としても傑作だと思いました。

    ピーター・ギラム君、スマイリーのこと好きすぎでしょ……。

  • え…? ええ…?? 連発の映画。有名な考察を読んで全体像がわかったけど、見てる間はいつから回想シーンなのか 、誰が誰なのか、男同士でデキてるのか、なんで池泳ぐのか、何もかもわからないことだらけだった。そんな状況で最後まで集中して見れたんだから、やっぱりいい映画。イギリスでは原作小説は有名ということだけど、映画を観るのにかなりエネルギーを使ったのでしばらくは読まなくてもいいかなぁ。

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